平和エッセイ

スピリチュアルな視点から平和について考える

フォトンベルト妄想(1)

2006年06月23日 | フォトンベルト妄想
いまニューエイジ系の人々の中で、「フォトンベルト」なる言葉がはやっているようです。

「フォトンベルト」とは文字通りフォトン=光子のベルトのことです。フォトンベルトについては、インターネット上の無料百科事典のWikipediaが簡潔に説明しています。この言葉を知っている方も知らない方も、一度お読み下さい。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88

海外ではフォトンベルトについては1981年から語られるようになったのですが、日本でこの言葉を広めたのは、『フォトン・ベルトの謎』(2002年5月・三五館発行)の著者、渡邊延朗氏でしょう。

※渡邊氏はエハン・デラヴィ氏からこの情報を入手したものと思われます。

渡邊氏はホームページでこう述べています。

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 1996年宇宙空間に浮かぶハップル宇宙望遠鏡は、宇宙の遥かかなたに存在する<フォトン・ベルト>の撮影に成功した。
 このフォトン・ベルトは光エネルギーに満ちており、そこを通過するのに2000年という気が遠くなる時間を要する。確かなことはその領域は人類にとって全くの未知の空間だという事である。
 1991年、アメリカの天文学者ロバート・スタンレー博士は人工衛星の観測データから、プレアデス星団付近にあるフォトン・ベルトの存在を科学的に突き止めている。博士は報告書に次のようにしたためた。

 “この濃密なフォトンは、われわれの銀河の中心から放射されている。わが太陽系は、1万1千年ごとに銀河系のこの部分に進入し、それから2000年かけて通過し、そして2万6千年の銀河の軌道を完結させる”と。

フォトンとは光エネルギーのことで日本語には「光子」と訳されている。
フォトンは太陽からも発生している。物理学的に解説すると、いわゆる光は光の粒々としては光子(フォトン)であり、波としては電磁波と呼ばれる。
そして、この光子が電磁気的な力を媒介しており、そういう力の働いているところが<電磁場>と呼ばれている。

フォトンとは、反電子(陽電子)と電子との衝突の結果生ずるもので、二つの粒子は、この一瞬の衝突によって互いに破壊し合い、この衝突の結果生じるものが、フォトンとか光の粒子とか呼ばれるエネルギーに完全に変換される。  
それは素粒子の物理的崩壊によって得られる光以上のものとされ、多次元の振動数を持つ次元間エネルギーであるとされる。

さらにフォトンはきわめて高次元の電磁波エネルギーであり、そのエネルギーは全ての生命体を原子レベルから変成させ、遺伝子レベルの変容も行い進化させるといわれる程である。 しかも寿命は無限大とされる。

 最近、太陽活動に大きな異変がみられ、極めて憂慮すべき事態にあるのだと報告されている。
 1999年イギリスのラザフォード・アップルトン研究所のグループは、“太陽の磁場に異変がみられる”と発表した。研究グループの発表では、太陽の磁場が過去100年間でなんと2倍以上になっていることが分かったというのである。太陽の磁場の長期的な変化が分かったのはこの時が初めてだった。
 さらに過去100年間で0.5度気温が上昇した地球温暖化の原因との関係も、原因は太陽磁場の変化にあると研究チームのリーダーであるM.ロックウッド博士らはみているとも重ねて見解が発表された。

 このようにいま地球的規模、いやそれ以上に宇宙的規模で大異変が起こり始めている。
たとえばいま国際的に大問題となっている地球温暖化現象も、実は原因はCo2ではなく、このフォトン・ベルトによる影響と考えられる。
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http://www.net-g.com/photon/reset0.html

一読して、渡邊氏が科学についてはまったく無知であることがよくわかります。

「フォトンとは、反電子(陽電子)と電子との衝突の結果生ずるもので、二つの粒子は、この一瞬の衝突によって互いに破壊し合い、この衝突の結果生じるものが、フォトンとか光の粒子とか呼ばれるエネルギーに完全に変換される。  
それは素粒子の物理的崩壊によって得られる光以上のものとされ、多次元の振動数を持つ次元間エネルギーであるとされる。」

皆さんが今ご覧になっているコンピュータのモニターからはフォトンが放射され、それを目がキャッチして、この文字を読んでいます。しかし、このフォトンは「反電子(陽電子)と電子との衝突の結果生じたもの」ではありません。フォトンは「反電子(陽電子)と電子との衝突」からも生じますが、それが唯一ではありません。電球や蛍光灯からもフォトンは生じます。フォトンなどというから何か特別なものだと錯覚しますが、要するに光です。

光は電磁波の一種です。電磁波のうち、目に見える範囲の波長のものを光というのです。光には粒子としての性質と波動としての性質の両面があると言われています。

「素粒子の物理的崩壊によって得られる光以上のもの」とは何でしょうか? 原子が崩壊するときにはα線、β線、γ線という3種類の放射線が放射されます。α線の正体はヘリウム原子核、β線は電子、γ線は電磁波=光子、すなわちフォトンです。γ線は可視光よりも波長の短い電磁波です。「光以上のもの」とは、α線かβ線のことでしょうか? そうではなさそうです。

また、陽子や中性子などの素粒子の崩壊の際には、光子以外に、中間子(湯川秀樹博士は中間子を理論的に予言してノーベル物理学賞を受賞なさいました)やニュートリノ(東京大学名誉教授の小柴先生はニュートリノの研究でノーベル物理学賞を受賞なさいました)などが放出されます。「素粒子の物理的崩壊によって得られる光以上のもの」とは中間子やニュートリノのことをいうのでしょうか? いいえ、どうもそうでもないようです。

※細かいことを言うと、ベータ崩壊の際にニュートリノも放出されます。

渡邊氏が言うフォトンとは、「多次元の振動数を持つ次元間エネルギー」なのだそうです。しかし、そういうものは現在の物理学では検出されていません。検出できないものは観測もできません。

観測できないものがどうして、「宇宙の遥かかなたに撮影」できるのでしょうか? 撮影できたのであれば、それは通常のフォトン、つまり光以外のものではありません。

それとも、すべてのフォトンは「多次元の振動数を持つ次元間エネルギー」だと言いたいのでしょうか? すると、私たちはわざわざフォトンベルトなどに入らなくても、毎日、太陽や電灯から「多次元の振動数を持つ次元間エネルギー」を浴びていることになります。



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1 コメント

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情報発信 (田中)
2006-06-23 17:00:15
すい星のことでもとんでもないことをおっしゃっていました。ネットでちょっと検索するだけで済むことなのに。

「感想」をいうのではなく広く世間に何かを発表するからには裏を取るとかわからないことは調べてみるという態度がみられなかったのは残念です。

2004年末にテレビでフォトンベルトなるものを取り上げてそれを見た人で真剣に恐れている人たちがいるのに驚きました。

「死後体験」の坂本政道さんが著書で丁寧にフォトンベルトを否定されているのをみて精神世界の情報を発信される方のあるべき態度をみた思いでした。
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