Kanaheiのデンマーク生活

糖尿病の勉強をしたくてきたデンマークでの紆余曲折な生活を日記として残しています。

糖尿病の福祉サポート in DK

2006年10月11日 | なるほどな話
 昨日するべきだった「グループ作業における心理学」という今日の授業の予習本読み150ページはともかく(そんなの初めから読む気になれません!)、明日の看護学理論の本読みもすべて放棄して、今必死に取り組んでいるのが金曜日のデンマーク語の授業で私が担当する、一型糖尿病に関してのプレゼンです。一応は西東京糖尿病療養指導士の認定を受けている私、ここは完璧にプレゼンしてやろうじゃないかと、燃えています。

 と言っても小児科経験がないとはいえクラスメイトもみんな看護師なわけで、だいたいのことはわかってると思うし、それならばと(私の勉強のためにも)デンマークの一型糖尿病に関して資料を集めてみたところ、なかなか面白いことが載っていました。

 特にデンマークの福祉サポートに関してなのですが、スターターキットとしての血糖測定器やインシュリン注射器、そしてその後の自己コントロールに必要なものとして血糖測定器用ディスポのチップや針、尿検査用テープなどはすべて補助の対象であり、無料もしくは格安で提供されます(日本では健康保険適応、たしか)。
 さらに、入院するとき、通院にかかる交通費、糖尿病食の費用(詳しくはわからないけど宅配食のようなものでしょうか)、また生命維持に必須なインシュリンは通常の50~85%の価格で購入できます(でもなぜここまで補助があってインシュリンがタダじゃないのか謎だけど…)。
 そしてなんと、基本補助金として約2240kr(44,800円)を12ヶ月分+1.25ヶ月が年に一回17才まで支給されるのだそうです(とりあえずこれらは18才未満までで、18才以上では子供としてではなく大人としてまた別の手当に切り替わっていく)。すごいすごーい!

 まあ、それでも一型糖尿病の方の一生をこの大病と付き合っていく、そして厳しい自己コントロールを強いられる苦しみは変わらないでしょうが、でも経済的な悩みが取り除かれるだけでもずいぶん違うんじゃないかな、と思います。
 うちの母親(2型糖尿病)も最近ついにインシュリン注射を始めるようになったのですが、2ヶ月毎の診察、検査、薬代(内服&インシュリン)で毎回2万円は軽く飛んでいくと電話口で嘆いているし、病気になった時の治療と暮らしの最低限の保証が得られるというのは、病気で精神的にも参っている人にとって、本当に心強いものなのだろうということはとてもよくわかります。
 そしてこれら補助が国の法律によって細かーく定められ、住むコミューンによって施行されるという安心感、さすが福祉国家、私が惚れ込んだ糖尿病大国の顔も持つデンマークです。(調べてないけど他の病気に関してもサービスは充実しているものと思われる)

 ここ最近「もうやだやだデンマーク」モードだったのですが、デンマークのいいところを再認識でき、たまには真面目に勉強もしてみるもんだな~と思いました。(まあ、でもあまりにこの福祉の違いを見過ぎると日本人として悲しくなるんだけど…)

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2 Comments

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Unknown (のん)
2006-10-11 19:14:38
基本的質問ですみません。アメリカ人みたく巨漢でもないデンマーク人にも糖尿病って多いんですか?確かにノボはこっちの会社ですもんね。。。けど、アメリカでは、公共施設や病院のトイレとかにインスリンの針用ゴミ箱とかあったりするけど、こっちでは見かけた事がないし。。。むしろ、喫煙者はアメリカよりうんと多い印象で、喫煙の被害の方が多そうに感じるのは私だけでしょうか?



日本だとI型糖尿病は小児慢性特定疾患に値するので、保険医療の自己負担分が後で還付されます。後は、地域と年齢によっての乳児医療や重症で障害者手帳の交付までいけば、更に給付金があったり、税金の還付という手段はありますが、医療の面ではカバーしていても、生活の質を向上させる意味での福祉的な支援は確かに薄いですね。。。



更なるレポート期待しています!
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Unknown (Kanahei)
2006-10-12 00:22:47
のんさん*

2型に関しては、

*食習慣の問題

*冬長くて運動不足な問題

*遺伝(データを見てないのではっきり言えませんが)

*アルコール

など生活習慣の問題で患者数が多いのはよくわかりますよね。喫煙も影響して、間違いなく日本より合併症のリスクは高いと思います。

あとコペンハーゲンに比べてユランの肥満率というのはかなり高いようです。田舎なのでアクティビティがさらに限られる、というのが一因のようですけど…。私はデンマークに来ての初めの3ヶ月をユランで過ごしたので、「中年デン人は病的にデブ」というイメージで、コペンに来てびっくりしました。



1型は、これもまだ証明データがないのですが、DM療養指導士のセミナーで「スカンジナビアでは他国に比べて1型DMが多いのは、乳製品の影響があると最近の論文で報告されている」と聞いたことがあります。

アメリカなどでは昔から母乳育児が人気なかったこともあって(今は違うでしょうが)、その影響で1型患者数も増えたのかな、なんてあくまで素人的推測ですが(母乳で育てた場合、1型の発症率は低くなる)。



あとデンマークにも時々公衆トイレに針入れありますよ(大きな駅とか)。最近の針はかなり小型でキャップもあるし、衛生安全面を考えたら針入れは撤去して持ち帰りを推奨してるんですかね?いつかノボにでも聞いてみたいいところです。



日本でも1型はそれなりに給付が得られるんですね!知らなかったです!
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