難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

JDFが国連障害者権利条約の採択の声明を発表

2006年12月18日 17時55分41秒 | バリアフリー
12月15日、障害者権利条約の採択を受けて厚生労働省記者クラブで、JDFと国連障害者権利条約推進議員連盟との共催で記者会見があった。

議員連盟は中山太郎会長、小野寺議員、原口議員が出席、JDFは日盲連、全家連を除く各団体から参加があり、議連、JDFが夫々声明を発表した。

ラビット 記
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【声明】障害者の権利条約の採択にあたって
2006年12月13日に、第61回国連総会は障害者の権利条約を採択しました。国連では総会のもとに設置された特別委員会で2002年7月以来、障害者の人権を保障するための国際条約を検討してきました。丸4年以上をかけた作業の成果として、条約が採択されたことを受けて、日本の障害NGOを代表する立場にある日本障害フォーラム(JDF)としての声明を発表します。
 日本障害フォーラムは障害者団体を中心に13団体から構成され、障害者の権利を推進することを目的に設立されたネットワークであり、条約及び関連国内施策に関する政府との意見交換、意見書(日本語、英語)の公表、権利条約推進議員連盟との協力、特別シンポジウムの開催、特別委員会への代表団派遣、条約案の翻訳、国連内のサイドイベントの開催、特別委員会でのNGOとしての発言、政府代表団への顧問推薦、世界の障害者ネットワークとの連携など、権利条約策定過程に国内外で積極的に参画してきました。
 振り返れば、障害者の国際的条約提案が最初になされ、そして否定されたのは1987年でした。1981年の国際障害者年を受けて、1983年から実施されていた「国連障害者の10年」の中間年である1987年に開かれたストックホルム専門家会議において、条約提案が行われたのです。国連の専門家会議として初めて障害者自身が過半数を占めたこの専門家会議で、障害者の権利を確立し、差別を撤廃するには、国際条約が必要だという声が、障害者自身から切実に表明されたのです。
 あれから20年間を経て、国際社会はようやく障害者の権利条約を手にすることができました。率直に言って私たちはもっと強力な内容の条約を求めてきたため、これで満足という訳ではありません。しかし、障害者を含む誰もが差別されず、完全に参加できる社会を築き上げる取り組みの第一歩として、今は条約の採択を心から喜んでいます。社会にある障壁を除去し、障害者の人権と自由を確保するための国際的な合意が条約という具体的な形でようやく実現したからです。
 21世紀初の人権条約となる本条約の国連総会での採択を受けて、わが国としては、国内施策と国際協力への条約の理念の反映ならびに批准と国内履行という大きな課題に対応することが求められます。とくにこの条約の策定過程においては、障害NGOが国際的に協力して「私たち抜きに私たちのことを決めないで!」を合言葉に多くの提言を行ってきました。
今後の条約批准と履行の過程すべてにおいて、障害者の実質的な参加の保障が強く求められます。この条約制定と実施は、「完全参加と平等」の世界的実現に向けて極めて重要な意義があり、日本障害フォーラムは、引き続き関係団体とも密接に連携しながら、前述した障害者権利条約採択後の諸課題の実現に向けて全力で取り組む決意です。
2006年12月15日
                   日本障害フォーラム(JDF)



字幕放送(3) ラジオの字幕放送

2006年12月18日 12時18分37秒 | バリアフリー
「字幕放送付加の免除申請が数百も出ているとか。」(ラビット)と聞いたところ、サンフランシスコの風さんから、返事があった。

日本では、著作権法で、テレビやラジオ放送の音声を、聴覚障害者福祉に関係のある指定事業者は著作権者に許諾無しで、インターネットで配信して良いことになっている。
デジタル放送が本格的に普及すればテレビとインターネットを同じ画面で見るようになるだろう。インターネットによる字幕配信も手話配信も可能になる。2009年にデジタル放送に完全に切り替わるアメリカではすでに新しいサービスや新しい機器が出ているとのことだ。

ラビット 記
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そうなんですよ。どこに住んでても金儲けしか考えていない連中は税金や法逃れにどうしても頭がいくんですよね。

それよりわたしが当地で今まで当たりに便利だと思っていたことで、10月に日本に帰ったときに、テクノ王国の日本でまだこういうのがないのか、とはっとさせられたことがあります。
それは今、アメリカの聴覚障害者の間ではIPリレーとビデオリレーという、TTYに替わる無料電気通信サービスがここ数年でほぼ定着したことです。
前者は携帯電話から文字メールを打つとオペレーターが文字内容を相手に音声で伝えてくれる、またはその逆。
後者は手話でメッセージを送りたい人がカメラ付きパソコンを使ってある電話番号にかけると、手話から音声電話、またはその逆をやってくれる。
TTYと同じようにどちらも連邦政府予算の電気通信サービスなので使用料は電話料金と同じ、オペレーターは連邦政府電気通信委員会(FCC)予算でまかなわれている(このサービスを無料にするため、電話利用者全員が毎月、電話料金に応じた税金を払っている)。

わたしは仕事柄、聾・難聴の両方の人と一緒に仕事していますが、文字に強い聴覚障害者はIPリレーで文字メッセージからわたしの電話やEメールに音声や文字のメッセージを送ってきますし、手話のほうが得意な人は、ビデオリレーを使って手話から音声電話への変換サービスを使っています。携帯電話による電子メールは日本の聴覚障害者の間でも普及してますが、緊急事や知らない人・場所へなど、音声電話をかけなければいけない状況はまだあると思います。
そういう場合にIPリレーやビデオリレーのような、無料の電気通信変換サービスがあることは、聴覚障害者の基本的人権を完全にするために必要なことだと思います。

また、ラジオ放送に字幕をつける運動をやっている人がいますが、これは災害時のラジオ放送やラジオの道路交通情報など、重要な場面の割にはまだ文字放送になっていない分野に目をつけてのことです。これについてはまた後日。


字幕放送(2) デジタル放送時代の放送バリアフリーの在り方

2006年12月18日 12時06分11秒 | バリアフリー
民放連が、障害者団体が権利要求をしていることを理解し、国際動向も承知しているのにどうして消極的な意見になってしまうのか、これは民放連字幕放送研究部会の意見であって、民放連の経営者の意見ではないからだ。
民放連として、放送事業者の責務を自覚し、必要なコストをスポンサーに求めるべきだ。それはテレビを視聴している消費者、国民が負担しあうことになる。
放送事業者も国民やスポンサーに理解を求める努力が必要ではないか。それが社会的合意につながる。

この研究会の報告書の骨子が示されているがこの報告書が名称のとおり「デジタル放送時代」にふさわしい内容になるよう、積極的に意見を出していく必要がある。

○放送アクセス権の明記
○ガイドラインの目標数値の設定
○放送バリアフリーに関する恒常的協議の場の設置
○モニタリング機関の設置
○コストの負担のあり方

ラビット 記


字幕放送(1) 欧米と日本のニュース画面

2006年12月18日 10時08分24秒 | バリアフリー
061211_1417~002.jpg061211_1416~001.jpg総務省のデジタル放送時代における視聴覚障害者向け放送に関する研究会で、民放連字幕放送研究部会が意見を述べたが、日本のテレビ放送は欧米に比して生放送の割合がかなり高く、努力しているが技術、コストの点で字幕放送の拡充は難しいというものだった。
そこで、生放送の代表的なニュースは欧米のに比べると画面に見出しやインタビューした内容、人名が出ている、インターネットで同様な情報が発信されており、それらを「活用」してほしいというものだ。
これには、聴覚障害者の委員からテレビの字幕スーパーは話の全てを伝えていない、インターネットは皆が見られるわけではないと反論された。
インターネットとテレビは見る人も状況もまったく違う。テレビが伝えられないのでインターネットを見ろというのはメディアとして白旗を掲げたも同然で責任を果たす意思を疑いたくなる。

同様なことは、解説放送は技術、人材の点で難しいとから、ラジオを聞いてほしいと述べ、視覚障害者委員から、ラジオとテレビは放送内容がまったく違う、字幕・解説放送の制作費がたった5億円では自分たちの求める放送の目標達成は難しいと語気を強めて反論された。

ラビット 記