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難聴者の生活

難聴者の日々の生活から、人工内耳など難聴者のコミュニケーション、聴覚障害者の制度改革について語る。

職場の会議中の要約筆記   

2008年01月31日 06時57分41秒 | 要約筆記事業
080130_1833~001.jpg080130_1335~001.jpg3時間にわたる会議が終わった。

若手からは厳しい意見も出されたが、全社的な立場からは合意を図らねばならない。幾つか意見を出したが、皆うなづいて聞いてくれた。


要約筆記者には、会議前に物流問題から計画の今後まで説明し、過去の議論、予想される議論や自分の言いたいことまで話しておく。
そうすることによって、私の意図に合う要約筆記が提供される。そのためにも要約筆記者には秘密保持の信頼がなければならない。奉仕員では会社として契約出来ない。

会議中に何度か問いかけられたのに気が付かなかったが、その時はあわてずに要約筆記の書かれたのを見て答えるのが大切だ。
もたもたしているように見えてもきちんと答えることで信頼が得られるからだ。

会議が終わったら残っててくれと言うので要約筆記者に予定した時間まで残ってもらおうとしたら要らないという。ノミニュケーションだったのだ。


ラビット 記
写真は会社に行く商店街にある鳥居。安くて綺麗な居酒屋。



今日の会社の会議と要約筆記

2008年01月30日 13時26分21秒 | 要約筆記事業
080130_1252~001.jpg080130_1241~001.jpg今日の会社の本社である会議は人工内耳をしてから初めての会議だ。
本社の会議でも要約筆記の派遣は依頼している。
前の要約筆記がない時は、指向性マイクも使ってひたすら聞いても分からずとんちんかんな返事をしたりしていたので、苦痛以外の何物でもなかった。

まだ人工内耳は聞え始めたとも言えない、新しい補聴器もいまいち音の切れが悪い。
こうした時は、無理に聞こうとしないで要約筆記に身を任せる方が神経も疲れず、会議資料を見る余裕もあるので楽だ。
要約筆記者に身を任せるにはどういう会議になるのかを事前に良く説明する必要がある。今13時20分。本社に着くのは45分か。要約筆記者は50分に来る。5分で社内の挨拶をすませなくてはならない。


昨夜はあまり寒いので帰宅中にいつも持ち歩いているコーヒーボトルに焼酎を入れて飲んでいた。
今朝コーヒーを飲んでいたら、何やら甘酸っぱい。ボトルのゴムのパッキンの隙間に昨夜の焼酎が残っていたのだ。

焼酎を飲んだらパッキンも外して洗わなければならない。


ラビット 記
二枚目の写真は鉢植えのアマリリス。新しい葉が出てきた。



「言葉を追うな、意味を追え。」 人工内耳と要約筆記 

2008年01月20日 16時22分32秒 | 要約筆記事業
080120_0837~002.jpg080120_0837~001.jpg右の補聴器と左の人工内耳ともTモードにして聞くと良く聞こえる。話し手の話し方もうまいが話がそのまま頭に書ける。
聞き取った言葉がタイプされて並んでいく。
「情報の過多の例を考えた時に最初に頭に浮かんだのがこのスリーマイル島の原発事故の例だったんですね。」

タイプでカナ漢字混じり文で、タタタと打ち出されて行くのはテレビや映画のシーンのようだ。


頭に浮かぶが、並んでいく時はその意味まで理解に至っていない気がする。
なんで理解出来ていないのか、考えたい。
乳幼児からの難聴で、14歳から補聴器を装用し始め、成人になり、20代、30代は職場では出来ないにしても難聴者の集まる場では、補聴器や磁気ループ、指向性マイクも使って聞き取れていたはず。40代後半から補聴器での聞き取りの力が低下していた。

聞き取りにくい耳で、端ばししか聞こえない言葉をなんだろうなんだろうと思いながら聞いているが、頭に言葉が並ぶというのは、その聞き取れていない虫食い状態の話が埋まって「聞こえている」かのようだ。

その聞こえた言葉の意味を考え、「成程。それなら今は事故対策はどうなっているのか」、「事故と言えば新潟の柏崎原発も危なかったな」とか、聞いて思考する作業が弱い。 

なぜ弱いのか。話を聞いて、それが自然に頭の中にイメージなり概念を構築することが出来ていないのかも知れない。

聞く機会、聞く時間が足りないのかも知れない。普通は小学校から高校、大学の授業、講義とかなりの時間を人の話を聞いて成長する。
知識として脳内に蓄積される他、音声データとしても大量に蓄積されるのだろう。
聞くことで、言語を獲得し、コミュニケーションと行動体験とともに成長する。人格が形成される。

乳幼児からの難聴の場合。聴者に比べてこの蓄積が知識も音声データとも圧倒的に少ない。
だから聞こえた言葉の音をカナ漢字混じり文に並べる(類推)ので精一杯なのではないか。


人工内耳で聞こえたオンは何の音かも最初は言葉かも分からない。聞こえたピーピーガーガーが時間とともに段々言葉に聞こえてくる。
しかし、人工内耳は補聴器で言葉を並べる上で良い効果がある。言葉の輪郭が明瞭になるからだ。


聞くのをあきらめ、文字で話を聞くようになって、話されたことが文字になったものを読んで、内容を理解するのはまた疲れることがわかった。
そこから、見てすぐ分かる要約筆記の必要性が生まれる。

「言葉を追うな、意味を追え。」というのは名古屋の登録要約筆者の会が通訳としての要約筆記を際履修する講座のテキストの中のフレーズだ。
話された言葉をそのまま文字化するのではなく、理解しやすいように、言葉を再構築する。そのために意味をとらえることが重要ということだ。
要約筆記が通訳である理由だ。


実際に頭に言葉がならんでも理解しにくいならと要約筆記を見ると分かるということが何度もあった。
人工内耳を装用するということは頭に音声データを今からでも蓄積したいということがある。


ラビット 記
写真は東大の側のお宮。「医王山」とある。





要約筆記の利用のために何が必要か(改題)

2007年12月22日 09時32分39秒 | 要約筆記事業
071222_0912~001.jpg071222_0910~001.jpg要約筆記は聞こえない人の「活動・参加」の保障の一端を担って発展してきた。
「活動・参加」とは、国際生活機能分類ICFの人が社会で生活、就労、学習、その他の文化的な活動も含めて全ての行動を指す。
「活動とは,課題や行為の個人による遂行のことである。
参加とは,生活・人生場面への関わりのことである。」
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html

しかし、まだ要約筆記は私たち聴覚に障害を持つものの「活動・参加」全てに利用されているわけではない。

まだ、難聴者等の集団活動や各種行事の範囲にとどまっているのではないだろうか。
難聴者等のコミュニケーションや要約筆記に対する理解不足、文字として残ること、要約筆記者の認定制度の未発足などから、職場への要約筆記の日常的な派遣が認められているケースは少ないからだ。

難聴者等が、個人で活動する職場や地域などは利用がまだ少ない。その中にもいろいろ場面があると思うが、聞こえる人の中に混じって、言葉をやりとりする必要な場面は多い。
これらの場面はかなり同時性が要求される。
つまり「待ってくれない」場面で要約筆記はまだ多くは使われていないのではないか。
難聴者等の社会の様々な場面への参加が広がるにつれ、要約筆記がこうした場面でも参加を保障してくれるという期待がある。

難聴者等は自らのコミュニケーションと支援を考えて、自分に必要なのはその場ですぐ分かる要約筆記なのか、補聴器や読話、手話などの補足としての文字情報を求めているのかを明確にしなければならない。

要約筆記に聴覚の補完的文字情報を求められない。同じように文字を表示しているがまったく違う技術だ。
中途失聴者や難聴者は言語を獲得しているので、聞えていた言葉、補聴器や読話で
聞えている言葉を聞きたいという気持ちが強い。そのため、出来るだけたくさんとか、話し言葉をそのまま書いて欲しいという要求になる。しかし、文字で表示された話しを読むのがストレスがあるとは気づいていない。ケバ取りされた話言葉を長時間にわたって読んですぐ理解出来るというのは話しの内容が在る程度わかっているとか、手話や読話、補聴器で聞き取れている時だ。
それが出来ない難聴者はその場に参加するためには同時性が保たれた分かりやすい文章で、表示される必要がある。

コミュニケーションは、話し言葉だけで行われておらず、様々な視覚情報も活用しているが、それらを活用出来、かつ思考出来る時間が必要だ。
要約筆記は、難聴者が話が自らのコミュニケーションがどう行われているのか、何が必要かを理解しなければ利用出来ない。


ラビット 記



市町村の要約筆記者派遣事業

2007年12月18日 21時00分09秒 | 要約筆記事業
071216_0824~001.jpg都内の区市の中に、要約筆記者派遣事業の予算が限度いっぱいになったということを聞いた。
地方の市町村でも始まっていないところが多い。

障害者自立支援法第77条2項で「しなければならない」市町村の義務事業になっているが、市町村の事業を開始しない理由はニーズが把握出来ない、派遣出来る要約筆記者がいないなどだ。

都内の区市では要約筆記者派遣事業は手話通訳等派遣センターと契約しているところがほとんど。
しかし、再三の働きかけにも関わらず、まだ要約筆記者派遣事業を行っていない市がいくつかある。

障害者自立支援法施行前は都道府県レベルで要約筆記奉仕員派遣事業が全国で実施され、どこに住んでいても派遣が受けられた。

市町村が派遣事業を行わないならば、都道府県は代わりに行わなければならないはずだが、支援法では派遣事業が「行うことができる」任意の事業になっているとの解釈で実施しないところがある。

これは、障害者の立場に立てば、市町村の責任が大きいが国も都道府県の責任はまぬかれない。ともに連携して障害者の自立を推進する義務があるからだ。

また、予算の不足を理由にしても、個別給付と事業補助と目的別の補助金となっていない統合予算であることから、事業の実施に支障がないように振り替えなどが可能なはずだ。


ラビット 記
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身体障害者福祉法第3条
(国、地方公共団体及び国民の責務)
第三条  国及び地方公共団体は、前条に規定する理念が実現されるように配慮して、身体障害者の自立と社会経済活動への参加を促進するための援助と必要な保護(以下「更生援護」という。)を総合的に実施するように努めなければならない。

2  国民は、社会連帯の理念に基づき、身体障害者がその障害を克服し、社会経済活動に参加しようとする努力に対し、協力するように努めなければならない。

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障害者自立支援法第2条2項及び3項
2  都道府県は、この法律の実施に関し、次に掲げる責務を有する。
一  市町村が行う自立支援給付及び地域生活支援事業が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行うこと。
二  市町村と連携を図りつつ、必要な自立支援医療費の支給及び地域生活支援事業を総合的に行うこと。
三  障害者等に関する相談及び指導のうち、専門的な知識及び技術を必要とするものを行うこと。
四  市町村と協力して障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行うとともに、市町村が行う障害者等の権利の擁護のために必要な援助が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行うこと。
3  国は、市町村及び都道府県が行う自立支援給付、地域生活支援事業その他この法律に基づく業務が適正かつ円滑に行われるよう、市町村及び都道府県に対する必要な助言、情報の提供その他の援助を行わなければならない。




要約筆記は何をするのか(メモ)2

2007年12月11日 07時28分50秒 | 要約筆記事業
071117_2128~02Xツリー.JP =?US-ASCII?B?Rw==?=要約筆記は、話されている最中に話し言葉の意味を要約筆記者が理解し、それを話しの最中に難聴者等が話し手の言いたいことを理解できる言葉ととして、文字で伝える。そのために、その場ですぐに理解できるように話し手の意図の発露の一つとしての言葉を要約して文字化する。
「要約して」は「話し言葉を理解しやすくするために短い言葉で表現する」、「意訳」に近い。


話し手の意図は言葉のオンの連なりを全て文字に置き換えることで伝えられると言うのは、言葉によるコミュニケーションで言葉そのものが持つ情報はかなり低いだろう。その言葉の中でも、声の調子、抑揚、間の取り方等を除いたオンだけになるとさらに情報は少ない。

オンをそのまま文字化することで、受信者に話し手の意図が伝えられるというのは受信側の負担を考えていない考えだ。

テレビのニュースのリアルタイムの字幕は特別な話題の「話された言葉」をそのまま文字にしている(音声認識やスピードワープロの場合)。また、双方向のコミュニケーションは出来ないので期待せずに言葉が発されるという特徴がある。アナウンサーがしゃべる場合は、原稿に基づいて話すので話されているが元は書き言葉だ。

1分間270字から300字くらい話されている言葉の文字を2行ないし3行の字幕を目で追うのは相当疲れる。映像や他の文字情報等を見るゆとりは少ない。
このためテレビの字幕は、受信者側の負担を考えて、一定の時間表示することが相当前からマニュアル化されている。そのために、話された言葉の語尾が丁寧語等が普通体になっていたりする。


要約筆記に対して、今でも「情報量が少ない」、「出来るだけ書いて」、「あれも落ちている、これも落ちている」と言う人は難聴者にもいる。その人たちは手話を解したり、補聴器などで聞こえる人で、それぞれのコミュニケーション方法で得られない、得られなかった部分を要約筆記に補完的に求めようとしているのだろう。その
手話も話された言葉、あるいはオンを受け止められるように口型の付いた表現が多い。かっては自分もそうだった。
その場合、常に表記された文字全部を読んでいる訳ではない。通常は手話や補聴器で聞いていて、不明のところを文字で確認するために部分的に読む。


手話や補聴器でコミュニケーションする難聴者等が把握しきれなかった言葉を要約筆記に求めようとする気持ちは分かる。当然だ。
しかし、そのことを要約筆記に求めてはいけない。
それは、要約筆記は読む人に負担を出来るだけ少なく、話し手の意図を文字で伝えるために、話された言葉の意味を文字で伝えるもので話された言葉のオンを再現するものではないからだ。


難聴者等のコミュニケーション支援は、要約筆記と別に音声の即時文字化、リアルタイム・キャプショニング(RC)の支援が必要だ。この二つは違う機能なので同時には出来ない。RCの技術には、高速日本語入力キーボードを使った速記や音声認識技術等がある。パソコン要約筆記といっている中にもこのRCに近いものがある。
難聴者等は自らのコミュニケーションがどういう方法で行っているのかを考え、その支援方法を考える必要がある。


ラビット 記



要約筆記は何をするのか(メモ)1

2007年12月10日 21時57分08秒 | 要約筆記事業
071130_1633~01_Ed001.JPG要約筆記は、難聴者等が社会のいろいろな場面に「活動」する場合に、話された言葉をその場で文字により伝えることで、その人の活動を支援するコミュニケーション支援方法だ。

「活動」におけるコミュニケーションはいろいろな行動の元になる。その場でやり取りされている言葉を聞いて、最初の行動は記憶するとか、話している人に返事や相槌を打つことかもしれない。ノートなどの記録を取ることかもしれない。

会合、打ち合わせ、集会や授業であれば挙手するなり、発言するなりするだろうし、店頭や役所などであれば、製品購入やサービスの申し込みといった行動を取るだろう。

目の前に話し相手がいれば、普通はそこで言葉のやりとりが発生することが多い。黙ったままとか後で返事しますとかいう対応は考えにくい。今日の講演の記録を読んでからゆっり考えるということもあるだろう。


しかし、要約筆記は、その場のコミュニケーションを同時性を持って文字で伝えることで成立させ、難聴者等の「参加」支援するものだ。

同時性をもってコミュニケーション支援するが、「文字で」というのが、要約筆記というコミュニケーション支援方法の特徴を強く規定する。

聞こえた言葉を文字にするのは手書きでもタイプする場合でも、文字化するには困難がある。一定以上の早さで文字化するには、高速タイプや音声認識等の技術が必要になる。このことから、話し言葉を要約する必要があることは理解できよう。一部だけを文字化するのでは話し手の意図が伝わらずコミュニケーションが成立しない。これは文字化する側の問題だ。

同様に、文字化されたものを見る人、受け手側の問題がある。
人は聞いて理解するようには文字を読んで理解できない。それは、文字は読む必要があるし、読める必要があるからだ。
「読む」ということはその文字を知っていて、文字列の意味が分かり、文章全体の意味が分かる能力が必要だ。

読んでいる時の頭の思考は、聞くようには早くスムーズではない。話されている言葉を、ただ音素をそのまま文字に置き換えるだけでは、読みながら単語や文章に置き換える必要がある。漢字かな混じり文にし、冗長語を省き、句読点をつけ、改行しても、文字になった文章を読んでも意味を理解するのは聞くよりは脳の負担が大きい。
(続く)


ラビット 記




場違いな質問は講師にも要約筆記者にも失礼です

2007年11月25日 12時52分32秒 | 要約筆記事業
071125_1151~001.jpg071125_0909~001.jpg昨日は、名古屋から来た要約筆記者のの講演で、講演の趣旨とは違う質問をした人が二人もいた。

障害者スポーツに熱中していた車椅子の彼女が、難聴の女性に出会ったことから、手話通訳と要約筆記者として活動するようになった話、ダイビングに挑戦し海外では車椅子の彼女が普通に扱われるが、日本では間違った理解から食事に行ってもどの席が良いか聞かれずに車椅子のままの席に案内されたり、ミュージカルの高い席買ったのに車椅子優先席に案内されたりした経験談は、私たちに「障害」とは何か、自立とは何かを考えさせてくれるとても良い話だった。

しかし、質問した二人は何を考えたのか「二人書きをどう思うか」と聞いたのだ。これは昨夜から十分寝ないで準備した彼女に失礼だ。
この質問で皆が感じていた感動を一挙に覚めさせてしまったことを悪びれずにもいるのでは、要約筆記を語る資格はない。

プラネタリウムに字幕を付ける活動の紹介では、難聴者とともに生きるという高い思想を実践してきた「まごのて」と彼女の活動が私たちの自立、共生社会を支えていると名古屋の難聴者がうらやましく思ったことだ。

私が要約筆記のスクリーンから感じた感動を彼女たちは普段から利用している手話通訳と読話で感じなかったのだろうか。
アメリカの障害者リーダー研修事業の「ダスキン」を書かずに「とある」と書いたことが「突然聞こえなくなった人の情報保障にならない」のだろうか。

講演から感動を感じられなかったから、全く関係ない「二人書き」を質問出来るのだろう。
要約筆記の情報量以前の問題だ。

彼女の初めて聞く話をループを使えない私が要約筆記と読話で感じた感動は要約筆記の有効性を示している。


手話の分からない人のために今の要約筆記をおかしいと「代弁」するのではなく、その人たちにコミュニケーションとは何か、要約筆記とは何かを考えるように話した方が良いと思う。


ただね、グルメだのミュージカルだの高い趣味に気が合うとは言え、あまり誘わないでね。


ラビット 記
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071110_1438~001.jpgad[es]が気になっています。この前の病室のようにパソコンのない環境では困ったことになるので、乗り換える気になっています。
パピヨンの携帯キーボードですが利用感想レポートがありました。
http://www.wmstyle.jp/archives/2007/03/05_030707.php
を見ると便利そうです。新幹線の中で打てそう。
ヨドバシで見ると、難聴者の生活にものっていましたが4980円です。
楽天で見ると3850円のもありますが送料が1050円別にかかります。
http://esearch.rakuten.co.jp/rms/sd/esearch/vc?sv=2&v=2&e=0&s=6&oid=000&sitem=FILCO+Papillon+%A5%D1%A5%D4%A5%E8%A5%F3+FKB66PU+&f=A&nitem=&g=0&min=&max=&p=0

ところが携帯キーボードではなく、普通のUSBキーボードをつないだ人がいました。
なんだー、USBホストケーブルと会社にいっぱい余っているキーボードで使えそうです。
もしかしたら今のWX310Kでもできるのかしら。やってみよう。

もう一つのキーボードはブルーツースで通信する携帯キーボードです。
http://www.reudo.co.jp/rboardk/rbk-2000bt2.html
これは[es]はブルーツース機能がないのでアダプターを付ける必要があり
ます。
http://www.ibsjapan.co.jp/Catalog/WiFi/Bluetooth/IMUB-01.html
接続する方法のレポートもありました。
http://mobaio.cocolog-nifty.com/pickup/2007/09/wzero3_ades_blu_4c62.html

ブラウザの遅いのは気になりますが、NetFrontは早いらしい。






障害者権利条約の「文字通訳」について

2007年11月19日 07時18分48秒 | 要約筆記事業
071118_1538~001.jpg071119_0640~001.jpg障害者権利条約に盛り込もうとした文字通訳について

国連第8回アドホック委員会で、我々が全力で盛り込もうとしたことは「文字通訳」を手話通訳と同じように並べて記述することだった

これは、欧米のように音声をそのまま文字に変えて表示するキャプショニング(字幕制作)ではなく、音声コミュニケーションにおいて、読んですぐに理解できるように元の言葉を非音声要素の意味も含めて、積極的に要約し、文字で表示する「通訳」としてだった。

全難聴では、日本の要約筆記は、この言語処理の専門性と対人支援の専門性を持つ社会資源と位置付けている。


これを私たちは英語では、speech to text interpreter と表現していた。
しかし、議長テキストに対する国際障害コーカス案にはvoice to text となって、information technology の中に列挙されていた。

これは、国際難聴者連盟のマルシア・ドゥーガン理事長は国際障害コーカスのメンバーに多くのメールを送ってアピールしたが音声認識技術とかを想起されたのかも知れない。

第8回アドホック委員会で採択された条約には、文字表示display of text がコミュニケーションの定義に入っている。

これはコミュニケーションが、言語、文字表示、点字、触覚によるコミュニケーションと並んでいるので表示された文字で行われることを意味する。
この言語は同じ第2条の定義で音声言語、手話、その他の形態の非音声言語と示されている。writingは筆記で書くという動作を表している。

マルチメディアのアクセシブルな技術も含むということで、音声認識技術による方法などを示していると考えられる。


第9条アクセシビリティ2項(e)、第20条移動の自由(b)のライブアシスタンスは、様々なガイドヘルパー、介助犬など人的支援、訓練された動物の支援を意味し、手話通訳の専門家を含むとしているが、これに要約筆記が入るのではないかということも最近、指摘があった。

速記タイプや音声認識、パソコン要約筆記を字幕制作(キャプショニング)とする活動もあり、関係者との協議も必要だろう。
聴覚障害者には様々な形式、様式のコミュニケーション手段を選択する権利がある。


まさに「障害」は形成しつつある概念だ。


ラビット 記



東京都の要約筆記者派遣事業の継続・拡充について

2007年11月07日 20時14分18秒 | 要約筆記事業
東京都中途失聴・難聴者協会は、要約筆記者派遣事業の継続・拡充について、都議会に陳情書を提出し、都議会各政党に要望書を渡して、説明に回っている。

10月31日都議会議会局議事部議案法制課へ
グループ派遣についての陳情書を提出し受理された。
委員会への付託準備にあたっては、文書表を議案法制課が作成するので、陳情内容について詳しく聞かれた。
12月に行われる19年第四回定例会で所管委員会に付託されるかどうかが決まり、その後は20年2月に行われる委員会において審査のうえ採択、不採択が決まる。
ここで採択になれば、本会議に送られ審議の上最終決定となると事務局からの報告だ。


ラビット 記
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                平成19年10月31日
東京都議会議長                   
比留間 敏夫殿

〒160-0022
東京都新宿区新宿2-13-11-1003
電話番号03-5919-2421
     特定非営利活動法人 東京都中途失聴・難聴者協会
           理事長 高岡(たかおか) 正(ただし)

要約筆記者派遣事業の継続・拡充に関する陳情

都において、要約筆記者派遣事業を拡充するよう
派遣事業要綱を改定いただきたい。


1.私達中途失聴・難聴者のコミュニケーション手段は、補聴器による聞き取り、筆談、手話等様々で、健聴者の話が聞き取れないのみならず、中途失聴・難聴者同士が集まって会話を交わし会議をするにも共通の意思疎通の方法がないためコミュニケーションに困難を抱えています。その中で、各自の話す内容を紙に書き、又ロールフィルムに書いてオーバーヘッドプロジェクター(OHP)でスクリーンに投影する要約筆記は、書かれた日本語を読み理解することで私達中途失聴・難聴者の会話・会議を可能にし、私達の社会参加を大きく促進してきました。

2.このような要約筆記者派遣事業は、平成18年度までは区市町村の聴覚障害者のみならず、区市町村の聴覚障害者団体又東京都レベルの聴覚障害者団体をも対象として東京都が事業を実施してきました。しかし、平成19年4月よりの障害者自立支援法の地域生活支援事業実施に伴い、区市町村の聴覚障害者個人対象の要約筆記者派遣事業は都より区市町村に事業移管され、非常に限定された聴覚障害者のグループによる要約筆記利用のみが都の要約筆記者派遣事業として現在継続されています。

3.現在の都の要約筆記者派遣事業(東京都要約筆記者派遣事業実施要綱参照)は、派遣対象者を「東京都の区域内に住所を有する身体障害者手帳の交付を受けた聴覚障害者による原則として10人以上のグループ」で、かつ(1)手話を理解できない者(2)障害者本人の社会参加のための自主的活動、に限定しています。このため、区市町村の10人に満たない障害者団体の利用は認められていません。又、私達の協会のような東京都レベルの障害者団体の役員会、その他の集まり・会議に対しては、「障害者本人の社会的参加のための自主的活動」ではないとして、実務上利用が非常に制限された状態が続いています。又、このような限定された要約筆記者派遣事業も経過措置であり、早急に区市町村事業に移行すると説明されています。

4.私達中途失聴・難聴者が個人で要約筆記を利用する場合は、利用者本人のみを対象としたノートテークが適しています。しかし、数人、数十人の中途失聴・難聴者が集まる場合には、要約筆記した内容をOHPでスクリーンに投影する方法が参加者の情報共有化のため非常に有効です。参加者の数だけ、ノートテークを用意し個人個人に個別に情報を保障することは、多数の要約筆記者の準備が必要で人・物・金の無駄使いになるのみならず、情報を共有して会議を進行させる妨げともなります。

5.以上の理由から、現在の「東京都要約筆記者派遣事業運営要綱」を次の通り改定するよう陳情いたします。

要綱第4「派遣対象者」

(現行)
東京都の区域内に住所を有する身体障害者手帳の交付を受けた聴覚障害者による原則10人以上のグループによる利用であり、かつ次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1)手話を理解できない者
(2)障害者本人の社会参加のための自主的活動であること

(改定)
要約筆記の派遣を受けられるものは、東京都の区域内に住所を有し、次の各号のいずれかに該当するものとする。
(1)聴覚障害者団体
(2)身体障害者手帳の交付を受けた聴覚障害者のうち、手話を理解出来ないもの。

以上



これが要約筆記の醍醐味だ  

2007年10月02日 20時45分49秒 | 要約筆記事業
070831_0838~001.jpg今日は本社でコンサルティングを受けられるかどうかを候補社に打診する会議だった。

紙は用意したがペンを忘れてしまった。
両脇に要約筆記者が座り、会議が始まる。

担当から依頼内容が説明される。何か話し方がスムーズでないなと気付いた。

要約筆記が付けば話の内容が分かるので話し手や参加者の顔を見たり、資料を探す余裕も出る。

たんたんと書かれるきれいな字を読み取るが、コンサルティングを依頼しようとする内容の説明があいまいで、受ける会社もあれこれ質問するがどうにも話が進まない。
たまりかねて、話の背景や現在の検討内容を説明した。

やっと意図を理解してくれたようだ。
しかしどうも雰囲気がおかしい。

要約筆記者はいつものように帰ろうとする。何か話があるかも知れないからと待機してもらった。
070831_0830~001.jpg
するとちょっと待って、話があると言われて、二人だけで説明を聞いた。もちろん要約筆記者は同席してたんたんと書いている。
こうした話になると考え自分と相手の間には要約筆記者は座らないよう位置を変えておく。

昨日状況が変わったことがわかった。それで合点がいった。そうだったのだ。


今日の会議のように、普通に参加し、意見も出せ、内密の話も出来た。これは要約筆記者の技術も対応も高いレベルでないと出来なかったろう。

要約筆記の醍醐味を十分に味わった一日だった。


ラビット 記 



「聴覚障害者のための字幕付与技術」をどう使うか

2007年09月19日 13時11分48秒 | 要約筆記事業

070915_1410~001.jpg9月14日、京都大学学術情報メディアセンターで「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウムが開かれた。
http://www.media.kyoto-u.ac.jp/activity/info/event/2007/08/post_7.php

高速に音声を文字化する技術として、パソコン要約筆記、電子速記タイプの一つの「はやとくん」、音声認識技術の「Julius」(ジュリウス)が紹介された。

話された言葉がその場で文字になることは聴覚障害者の長い間の夢であったが、テレビ放送のニュースなどでは実用化され、その他にも会議や講演などでも活用されている。筑波技術大学でも聴覚障害学生のために、スピードワープロによる字幕が遠隔入力で提供されている。

こうした高速入力技術は、音声をリアルタイムに文字に変えて提示するもので、シンポジウムのタイトルにあるとおり「字幕付与」技術だ。


問題は、話された言葉が文字になったものを聴覚障害者がどのように受け止めるかだ。
シンポジウムの呼びかけ文にも「それらの方法が字幕を見る人たちにどのように目に映り、どのような期待を寄せて発展していくべきかをともに考え」たいとある。

パソコン要約筆記は、字幕付与技術の中に並べられているが、目的も技術も異なるものだ。聴覚障害者がこのことを理解して利用しなければ、間違った方向に発展しかねない。


ラビット 記
写真は、はやとくんの表示。約23文字×14行。

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「聴覚障害者のための字幕付与技術」シンポジウム
 現代社会では言葉によるコミュニケーションがとても大切ですが、とりわけ言葉を聞く上で障害を持つ人たちに、話し手の言葉を適切に伝えることが非常に重要です。
 本シンポジウムでは、パソコンを用いて入力し即座に文字をスクリーンへ映し出していくパソコン要約筆記、速記タイプを電子化したはやとくんを用いる字幕付与技術、国会での実用開発が始まる音声認識技術を字幕へ応用する研究、現在から未来につながる技術を総覧します。
 用途はテレビ放送、授業のノートテーク、会議中継やインターネットなどにおける字幕のストリーミングといった広範囲にわたります。ICT時代が進むにつれ、社会的に話し言葉のアクセシビリティを保障する必要性がますます高まる中で、各分野の第一人者を結集して、コンピューター技術をベースにした話し言葉の高速文字化技術について全体を展望する機会を企画しました。それらの方法が字幕を見る人たちにどのように目に映り、どのような期待を寄せて発展していくべきかをともに考える機会としたいと思います。


難聴者の音声コミュニケーションの理解

2007年09月18日 08時36分06秒 | 要約筆記事業
070915_1340~001.jpg難聴者は発声が出来るのでコミュニケーションは音声による。
思考も音声の日本語で行われている。

ろう者は手話で会話しているように、難聴者の会話は音声日本語だ。

難聴者が聞こえない時に、文字によるコミュニケーションを求めるのは自然だが、話した言葉のままの文字表記で意味が理解出来るかは良く考える必要がある。

音声には様々な形の情報が含まれておりいるので文字表記だけではそれらが漏れてしまう。

もちろん、音声コミュニケーションが発生する現場は様々だ。
仲間とのおしゃべりから会議、講演、学術的な講義。バラエティショー、演劇、放送。

場面によっては文字表記(キャプション)で良い場合がある。
これらに、当事者がどのような立場でいるかでも聞き方が違う。
つまりその場に主体的に関わっているか否かで、求める表記も変わるのだ。

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司会のような立場なら即答しなければならないので、即時的に意味理解しやすい文章を求める。それは話された言葉の意味がパッと伝わるものだ

話された言葉の文字表記を読む時間的な余裕があれば(文字表示の時間が長ければ)、理解が出来る。
しかし、話し言葉が文字になっていても、本を読むように斜め読みは出来ない。

昨日、ある難聴者がまさにこのことについて書いているのを読んだ。要約筆記を読んでいる時は頭が音声日本語モードになっているからではないかというものだ。


ラビット 記



要約筆記者の団体派遣を認めない自治体の増加

2007年09月17日 11時14分12秒 | 要約筆記事業
070831_0838~001.jpg070814_0837~002.jpg要約筆記者の団体派遣を認めない自治体が増加している。

これまで障害者社会参加促進事業で実施して来た要約筆記奉仕員派遣事業は、個人の派遣はもとより、団体を対象にした派遣も行われていた。
しかし、コミュニケーション支援事業に移行した要約筆記者派遣事業は個人の自立を促進するのが障害者自立支援法の趣旨だとして、団体派遣を「検討する」自治体が増えている。

障害者自立支援法は、障害者の自立を地域で障害者のニーズに沿って様々な形で支援するのが趣旨であり、どこにも団体での活動を支援しないとは記されていない。
また特定の団体を支援するのは法の趣旨に馴染まないという自治体もあるが、支援法と実施要項には団体を支援するなとも書いていない。

むしろ、中途失聴・難聴者は成長の過程、人生の途中で聴力を失った人々なので、社会的には孤立しており、障害者がその自立のためにいろいろな団体を結成して、障害を乗り越えて社会参加しようとするのは当然のことだ。
だから、集団での情報保障を求めて要約筆記が誕生し、発展して来たのだ。
障害者の社会参加は自覚的な団体の活動によって推進されてきた。


障害者自立支援法で、コミュニケーション支援事業が市町村の必須事業となり、要約筆記奉仕員派遣事業がなくなって要約筆記者派遣事業となったことは、要約筆記者の派遣をコミュニケーションの保障を受ける権利として位置づけられたことを意味している。

この当たり前のことを自治体の担当者の無理解のために奪われないようにしっかりと訴える必要がある。


ラビット 記




会社の要約筆記(有償派遣)は難聴者の就労に不可欠

2007年09月15日 08時26分26秒 | 要約筆記事業
070914_1907~002.jpg昨日は本社で、会社の戦略に関わる会議があった。
要約筆記者は13時半から17時まで派遣を依頼していた。
予定が30分延長になって、要約筆記者には帰ってもらったが結局20時まで6時間を越える会議となった。

6時間のうち、要約筆記者がいたのは3時間半。
これだけ長い会社の会議に要約筆記が付いたのは初めてだった。
今までは、補聴器とワイヤレスマイクや指向性マイクを使って耳を済ませて聞いていたが疲労するばかりで結局何も分からなかった。
何も分からずにただそこにいるだけなので睡魔が襲うのも当然だ。

会議前に、会社の機構や沿革も説明し、資料を渡して、説明。どういう内容の会議かを理解してもらう。どういうことを自分が発言しようと思っているか理解してもらうために、会議で配布していないメモも見てもらった。

070914_1907~001.jpg会議では、配布された資料が多かったが幸い記号と番号があり、要約筆記者も確認しやすかった。
プロジェクト会議は、資料はあるものの各部署の意見を聴取するのが目的なので、何が話されているかを見極めないと自分の意見を出しにくい。
このプロジェクトは、全社的に巨視的に問題を把握することが鍵だが、みな自分の部署の細かい部分の問題を指摘する。ノートテイクに書かれたものを見ながら自分の話そうとしていることを整理しておく。

基本戦略に関わる問題を各事業所の選抜メンバーによるプロジェクトの会議だったが、以前だったら、こうした会議のメンバーに選ばれても、会議の内容が分かるかとどうしようと不安になった。
今回は自分の担当職務で意見も提案も会議の内容に合わせて出来たので、眠くはならずに充実した会議だった。


要約筆記者が帰った後は補聴器に頼ったが両耳に補聴器をしても限界がある。ホワイトボードにかかれたものを見ながら意見を挟むしかない。ホワイトボードを使う時はボードを見ながら話したりするので口を読むのも難しい。

ラビット 記