藁科川上流・日向地区に伝わる言い伝えを再録します
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『お松ぶち』
昔々、日向にお松という名前の女がおりました。このお松さんがある時、歯を病んで、痛くて痛くてしょうがありませんでした。今のように歯医者さんも、良い薬もない時代のことでしたので、山奥の川の淵で、水に浸し、冷やして治そうと思い立ちました。
お松さんは、その山奥の淵へ、雨の日も風の日も、毎日、毎日通って、朝から晩まで冷やし続けたのです。それでも歯の痛みは、少しも治りませんでした。それどころか、ますます痛くなるばかりで、気も狂わんばかりでした。そこで、お松さんは「こんな痛み続けるなら、毎日がまんして生きているより、いっそこの淵に飛び込んで、死んでしまう方がましだ」と言って、ある日突然、その山奥の人里離れた静かな淵に、身を投げて死んでしまったそうです。そして、ふちの近くに、お松さんを葬り、けんぷん様という神様をおまつりしました。その後、このお松ぶちのあるけんぷん様には、歯の痛む人々が大勢やってきてけんをあげてお参りし、歯痛を治してもらったそうです。
(藁科物語第4号~藁科の史話と伝説~.静岡市立中央図書館.2000)
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『お松ぶち』
昔々、日向にお松という名前の女がおりました。このお松さんがある時、歯を病んで、痛くて痛くてしょうがありませんでした。今のように歯医者さんも、良い薬もない時代のことでしたので、山奥の川の淵で、水に浸し、冷やして治そうと思い立ちました。
お松さんは、その山奥の淵へ、雨の日も風の日も、毎日、毎日通って、朝から晩まで冷やし続けたのです。それでも歯の痛みは、少しも治りませんでした。それどころか、ますます痛くなるばかりで、気も狂わんばかりでした。そこで、お松さんは「こんな痛み続けるなら、毎日がまんして生きているより、いっそこの淵に飛び込んで、死んでしまう方がましだ」と言って、ある日突然、その山奥の人里離れた静かな淵に、身を投げて死んでしまったそうです。そして、ふちの近くに、お松さんを葬り、けんぷん様という神様をおまつりしました。その後、このお松ぶちのあるけんぷん様には、歯の痛む人々が大勢やってきてけんをあげてお参りし、歯痛を治してもらったそうです。
(藁科物語第4号~藁科の史話と伝説~.静岡市立中央図書館.2000)
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