大好き!藁科川

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耳地蔵

2010年09月30日 | 祠・石碑
このお地蔵さんはデカイです。

“ちょこん”とした石仏のイメージではなくって、美術室の石膏像のような大きさです。
おまけに、南の島で選ばれてしまった冬季オリンピックのスケルトンの選手のような赤い帽子と涎掛けが不釣合いで、恰幅のよい首から下げた数々の石は、チェーンを首に巻いて入場した往年のプロレスラーを彷彿とさせます。

それもそのはず。

かつてこの重たいお地蔵さんが野ざらしであった頃、「江戸を見せてあげよう。」と言っては村の若者たちが、左右の耳のところに手をあてて持ち上げる力比べの相手をしていたそうですから。

また、ある時はばくち打ちが、勝負に勝つために、この地蔵尊に願をかけて出掛けたというから、なんとまあ踏んだりけったりな訳で・・・。

でもそういう人ほど、「心はあったか」ということはよくある話し。ご他聞に漏れず、このお地蔵さん、耳の病気を治してくれることでたいへん名高い、藁科川上流・坂ノ上の「耳地蔵」さんです。

その御利益のあらたかなるや、このお地蔵さんにお参りして、病気が治った者は、河原等で見つけた穴の開いた石を“お果たしの石”としてお供えすることになっていましたが、かつては、その石でこのお地蔵さんの体が見えなくなるほどに、うず高く積み上げられていたと言うから、すごいっ!

けれども今はのんびりと、隣の弘法大師の石仏さんと並んで昔の思い出話などに語り合いながら、藁科川の流れを穏やかに田んぼの角から見つめています。


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『耳地蔵』

安倍郡大川村坂ノ上(現・静岡市大川)の中央の田んぼの中(現在は、田んぼの北側角の藁科川沿い)に小さな地蔵が建っている。由来は分からないが、昔から耳地蔵と呼ばれ、耳をわずらう者が祈願すれば必ずなおしてもらえるというので信仰する者が多かった。なおれば願果たしに、近くの河原から耳の形をした穴のあいた石を拾ってきて、ひもに通し、地蔵の首にかけてやるか、または穴のあいた石を地蔵の前に供えることになっていた。
最近は村の人でも、地蔵の存在すら知らない人もあるというが、古老の話しによれば、昔は願果たしにあげた穴あき石が積み上げられて、地蔵の身体が見えなくなるほど信仰者が多かったということである。地蔵はもと、の寺の境内にあったものを、同寺が廃寺になってから、ここに移されたものであるというが、年代など詳しく知っている人はいない。

『ふるさと百話4』静岡新聞社.昭和47年

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