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北大路機関

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MLRSの射程499kmJFS-Mミサイル,最近の防衛政策は予算の問題を陳腐化で置換えていないか

2023-04-10 07:00:00 | 先端軍事テクノロジー
■防衛政策の不自然
 最近の防衛政策は予算の問題を陳腐化で置換えていないかと思う、必要な装備であっても使えないと政治が定義づけるだけで無計画に廃止しているような印象です。

 MLRSの射程延伸、日本の防衛を考える場合、現在は2030年の全廃に向けM-270MLRS多連装ロケットシステムの用途廃止が進む一方、アメリカではM-270をM-270A2へ改修している現状をどう考えるのか、改修する場合の費用と比べM-270A2を新規調達した場合の非常に高い取得費用を考えますと安易に廃止することへ疑問を感じないでもありません。

 499km、MLRS用弾薬は現在ドイツが開発しているJFS-M改良型弾薬の499kmがもっとも射程の長いもので、陸上自衛隊が装備するM-31-GMLRS精密誘導ロケットの射程70kmを大幅、というよりも別物といえるほどに射程が伸びています、JFS-Mが射程を499kmに抑えているのは大量破壊兵器運搬手段拡散防止レジームにもとづく国際法上の制約ゆえ。

 JFS-M精密誘導ロケット弾、この射程であれば那覇駐屯地と鹿屋基地へ配備することで、ほぼ南西諸島全域を射程に収められ、現実問題として12式地対艦誘導弾システムと比較しても射程は二倍以上、しかも上海と那覇の距離が822kmですので、中国本土主要地域には届きませんが、それだけに専守防衛用として中国を刺激しない装備といえます。

 MFOM弾薬である、MFOMとはMLRSファミリー弾薬という意味なのですが、このJFS-Mは無改造でMLRSに搭載することが可能、誘導プログラムの追加は必要ですが、これをふくめてもJFS-Mを導入したその日から射程499kmの長距離砲兵システムとして機能することになります。これは取得費用面から非常に優れており即応性の高さにもつながります。

 MLRSの利点はその上で、車体そのものが高度に装甲化されている点がある、これはロケット弾をむき出しに搭載するHIMARS高機動ロケットシステムよりも防御力の面で優位性があり、もともと戦車に随伴することを念頭とした設計のためなのですが、移動中に航空攻撃や弾道ミサイル攻撃を受けた場合での生存性の高さが利点として挙げられます。

 専守防衛を考える以上、実は有事における生存性は第一撃を受けるという専守防衛の性質上防御力は重要な要素です、そして専守防衛を例えば憲法改正により脱却したとして、国際法上先制攻撃は適法ではありません、すると射程が30kmのM-26ロケット弾が陳腐化したといわれれば肯定しますが、JFS-Mがある以上、MLRSそのものは有用といえましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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Unknown (Unknown)
2023-04-12 09:08:39
一部政治家、官僚、財界人などが本国のためにひたすら日本弱体化を画策してるんでしょうな
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Unknown (軍事オタク)
2023-04-13 11:22:09
MLRS全廃はもったいないと思います。
返信する

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