■はるな-ひえい,将来護衛艦模索
日米対潜特別訓練は多くの成果と意外な課題という将来への貴重な一歩となりました。
ひえい、はるな、日米訓練を経てパッシヴオペレーションへの移行という部分で設計当時知り得なかった最新鋭の情報に接する事となるのですが、これは同時にアメリカ海軍が海上自衛隊を日本国家の沿岸部を防備するだけの文字通りの自衛隊と考えるのではなく、日米安全保障条約という文字通りに、同盟国の友邦海軍として認識が変容した証といえるかもしれません。
たかつき型、みねぐも型、海上自衛隊には多数の国産護衛艦が整備されていますが、パッシヴオペレーションへの移行の遅れは敢えて書き足しますが、はるな型だけのものではありません。もっとも、パッシヴオペレーションへの移行はソ連海軍もアクティヴオペレーションが基本となっていまして、当然ですが最新鋭ひえい、はるな、だけの問題ではない。
フレッチャー級はギアリング級の供与艦を運用していた海軍も多い時代、勿論、第二次大戦中の水上戦闘艦を主力としていた台湾海軍や韓国海軍をはじめアジア各国、具体的にはこの両国は大型水上戦闘艦がすべて第二次大戦時代のものでしたし、中国海軍にはそもそも大型水上戦闘艦がありませんでしたので自衛隊だけが旧式、というわけではありません。
海上自衛隊は、しかしその周辺国の技術的遅れに安堵することはなく、その後にマスカーの追加やスクリューシャフトの改良、機関部の防音構造など様々な施策をおこなっています。マスカーは船体から微細気泡を発生し包むことでアクティヴソナーなどによる索敵に対抗するもので、くらま訓練航行時には確かに船体が白い気泡で包まれている写真がある。
防音構造などは設計時から配慮しなければ追加できる水準は限られるのですが、しかし、2009年まで現役にあった護衛艦はるな、騒音は周りの任務を妨害するほどのものとは言われていませんので、改修は成功したのでしょう。リムパックではその後、海上自衛隊は米海軍航空母艦の直衛を担う事も多くなり、対潜戦闘能力の改善が成功した事を意味します。
はるな型を四隻六隻と増強するのか、より大型の護衛艦を建造するのか、海上自衛隊の視点は大きく論争を巻き起こすこととなります。もう少し大型の護衛艦の方が航空機整備などで利点がありますし、発着ひとつとっても船体が大型となれば動揺も減退させられますし、船体を大きくすることで乾舷を高くとることができれば、航空機運用能力を高めます。
飛行甲板が波浪に洗われることも少なくなりますので乾舷が高いという事は意味がありまして。これは運用性能に直結する。実際、時は流れて13500t型護衛艦が検討された当時、格納庫を上部構造物内に設ける試案の一つがイメージ図として提示された際に乾舷が低くなり飛行甲板に波浪が押し寄せ前甲板航空機運用能力が阻害されると識者が指摘しました。
しかし、大型化を指向しますとどうしても避け難い視点は、必要な性能を盛り込めば護衛艦はどんどん大型化してゆくという事です。これ自体は必要ならば仕方ない選択肢の帰結なのですが、大型化し建造費が増大し、重要なのは此処ですが、海上自衛隊の予算で必要な数を量産できなくなっては意味がありません、その上で当時日本は今ほど豊かではない。
重要な視点は二つあり、艦載機を3機のままで良いのかという視点、また航空機格納庫を上部構造物に一体化させるだけでよいのかとの視点、この二つが大きくなります。要するに4機程度搭載する必要性、6機搭載するという選択肢、上部構造物ではなく船体に格納庫を配置し飛行甲板までエレベータにより展開収容させるとの選択肢が生じてくるわけです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
日米対潜特別訓練は多くの成果と意外な課題という将来への貴重な一歩となりました。
ひえい、はるな、日米訓練を経てパッシヴオペレーションへの移行という部分で設計当時知り得なかった最新鋭の情報に接する事となるのですが、これは同時にアメリカ海軍が海上自衛隊を日本国家の沿岸部を防備するだけの文字通りの自衛隊と考えるのではなく、日米安全保障条約という文字通りに、同盟国の友邦海軍として認識が変容した証といえるかもしれません。
たかつき型、みねぐも型、海上自衛隊には多数の国産護衛艦が整備されていますが、パッシヴオペレーションへの移行の遅れは敢えて書き足しますが、はるな型だけのものではありません。もっとも、パッシヴオペレーションへの移行はソ連海軍もアクティヴオペレーションが基本となっていまして、当然ですが最新鋭ひえい、はるな、だけの問題ではない。
フレッチャー級はギアリング級の供与艦を運用していた海軍も多い時代、勿論、第二次大戦中の水上戦闘艦を主力としていた台湾海軍や韓国海軍をはじめアジア各国、具体的にはこの両国は大型水上戦闘艦がすべて第二次大戦時代のものでしたし、中国海軍にはそもそも大型水上戦闘艦がありませんでしたので自衛隊だけが旧式、というわけではありません。
海上自衛隊は、しかしその周辺国の技術的遅れに安堵することはなく、その後にマスカーの追加やスクリューシャフトの改良、機関部の防音構造など様々な施策をおこなっています。マスカーは船体から微細気泡を発生し包むことでアクティヴソナーなどによる索敵に対抗するもので、くらま訓練航行時には確かに船体が白い気泡で包まれている写真がある。
防音構造などは設計時から配慮しなければ追加できる水準は限られるのですが、しかし、2009年まで現役にあった護衛艦はるな、騒音は周りの任務を妨害するほどのものとは言われていませんので、改修は成功したのでしょう。リムパックではその後、海上自衛隊は米海軍航空母艦の直衛を担う事も多くなり、対潜戦闘能力の改善が成功した事を意味します。
はるな型を四隻六隻と増強するのか、より大型の護衛艦を建造するのか、海上自衛隊の視点は大きく論争を巻き起こすこととなります。もう少し大型の護衛艦の方が航空機整備などで利点がありますし、発着ひとつとっても船体が大型となれば動揺も減退させられますし、船体を大きくすることで乾舷を高くとることができれば、航空機運用能力を高めます。
飛行甲板が波浪に洗われることも少なくなりますので乾舷が高いという事は意味がありまして。これは運用性能に直結する。実際、時は流れて13500t型護衛艦が検討された当時、格納庫を上部構造物内に設ける試案の一つがイメージ図として提示された際に乾舷が低くなり飛行甲板に波浪が押し寄せ前甲板航空機運用能力が阻害されると識者が指摘しました。
しかし、大型化を指向しますとどうしても避け難い視点は、必要な性能を盛り込めば護衛艦はどんどん大型化してゆくという事です。これ自体は必要ならば仕方ない選択肢の帰結なのですが、大型化し建造費が増大し、重要なのは此処ですが、海上自衛隊の予算で必要な数を量産できなくなっては意味がありません、その上で当時日本は今ほど豊かではない。
重要な視点は二つあり、艦載機を3機のままで良いのかという視点、また航空機格納庫を上部構造物に一体化させるだけでよいのかとの視点、この二つが大きくなります。要するに4機程度搭載する必要性、6機搭載するという選択肢、上部構造物ではなく船体に格納庫を配置し飛行甲板までエレベータにより展開収容させるとの選択肢が生じてくるわけです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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