■臨時情報-シリア情勢
安全保障の均衡が破れると広範囲に突発的事態が起きるという実例ですので我が国安全保障を考える上でも参考となり得る事例です、トルコとロシアの摩擦もしくは競合関係が拡大している。
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ウクライナ情勢はシリア情勢へ波及するのか。安全保障問題は微妙な均衡に依拠して機能しており、一つが破綻しますと影響は波及します、例えば無関係に思えてもある地域の緊張を受けその地域から全く別の地域へ舞台を移動した、もしくは関心が特定地域に集中している状況で、それ以外の地域での予防外交が機能不随となっているなど要因となります。
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トルコは11月13日に発生したイスタンブールでの爆弾テロを受け、テロを実行したと考えられるPKKクルド労働者党の拠点地域へトルコ空軍による航空攻撃を実施しました。このテロはイスタンブール中心部イスティクライル通りにおいて発生し、6名が死亡し81名が負傷する大惨事となりましたが、実行犯が監視カメラに映り、当局に拘束されている。
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イスタンブールのイスティクライル通りでのテロはトルコ政府にとり2016年以来の大規模テロとなり、トルコのエルドアン大統領はテロを実行した組織への報復を命令していました。テロ組織への報復は正当な行為とおもわれるかもしれませんが、PKKクルド労働者党はトルコとイラクおよびシリアの国境地域での民族国家を目指す集団です。そして攻撃へ。
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報復攻撃は20日実施されましたが、この攻撃の標的となったのは越境攻撃、シリア領内のPKKクルド労働者党施設であり、31名が空爆により死亡したとトルコ国防省は発表しています。ただ、この空爆に加えてトルコ軍は陸軍による越境攻撃を行う準備が進められているとされ、これに対してシリアのアサド政権を支援するロシアが憂慮を表明しました。
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シリアは2011年より内戦が継続しており、ロシアはシリアのアサド政権支援を継続、シリア領内へ航空部隊や地上部隊を展開させています。しかしこのシリア駐留ロシア軍は2月のウクライナ侵攻以来、兵力派遣を維持することができず、また情勢悪化に対して軍をシリアへ派遣する兵力もないため、今回穏便に憂慮を表明し自制を促すこととしたもよう。
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ロシアがトルコとの競合関係を強めるのはこのシリア地域だけではありません、2021年4月に旧ソ連構成国である中央アジア諸国の中でも回教国とチュルク評議会という枠組みをOTSチュルク機構へ拡大、今月12日にはウズベキスタンのサマルカンドでOTS拡大後初の首脳会議行われ、ロシアの勢力圏においてトルコが着実に勢力を伸ばしているのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
安全保障の均衡が破れると広範囲に突発的事態が起きるという実例ですので我が国安全保障を考える上でも参考となり得る事例です、トルコとロシアの摩擦もしくは競合関係が拡大している。
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ウクライナ情勢はシリア情勢へ波及するのか。安全保障問題は微妙な均衡に依拠して機能しており、一つが破綻しますと影響は波及します、例えば無関係に思えてもある地域の緊張を受けその地域から全く別の地域へ舞台を移動した、もしくは関心が特定地域に集中している状況で、それ以外の地域での予防外交が機能不随となっているなど要因となります。
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トルコは11月13日に発生したイスタンブールでの爆弾テロを受け、テロを実行したと考えられるPKKクルド労働者党の拠点地域へトルコ空軍による航空攻撃を実施しました。このテロはイスタンブール中心部イスティクライル通りにおいて発生し、6名が死亡し81名が負傷する大惨事となりましたが、実行犯が監視カメラに映り、当局に拘束されている。
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イスタンブールのイスティクライル通りでのテロはトルコ政府にとり2016年以来の大規模テロとなり、トルコのエルドアン大統領はテロを実行した組織への報復を命令していました。テロ組織への報復は正当な行為とおもわれるかもしれませんが、PKKクルド労働者党はトルコとイラクおよびシリアの国境地域での民族国家を目指す集団です。そして攻撃へ。
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報復攻撃は20日実施されましたが、この攻撃の標的となったのは越境攻撃、シリア領内のPKKクルド労働者党施設であり、31名が空爆により死亡したとトルコ国防省は発表しています。ただ、この空爆に加えてトルコ軍は陸軍による越境攻撃を行う準備が進められているとされ、これに対してシリアのアサド政権を支援するロシアが憂慮を表明しました。
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シリアは2011年より内戦が継続しており、ロシアはシリアのアサド政権支援を継続、シリア領内へ航空部隊や地上部隊を展開させています。しかしこのシリア駐留ロシア軍は2月のウクライナ侵攻以来、兵力派遣を維持することができず、また情勢悪化に対して軍をシリアへ派遣する兵力もないため、今回穏便に憂慮を表明し自制を促すこととしたもよう。
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ロシアがトルコとの競合関係を強めるのはこのシリア地域だけではありません、2021年4月に旧ソ連構成国である中央アジア諸国の中でも回教国とチュルク評議会という枠組みをOTSチュルク機構へ拡大、今月12日にはウズベキスタンのサマルカンドでOTS拡大後初の首脳会議行われ、ロシアの勢力圏においてトルコが着実に勢力を伸ばしているのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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