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新防衛大綱とF-35B&EA-18G【15】F-35B,ヘリコプター搭載護衛艦搭載と格納庫収容能力

2018-05-02 20:17:40 | 先端軍事テクノロジー
■いずも型&ひゅうが型護衛艦
 F-35Bを航空母艦としてではなく制海艦として運用するという違いを前回提示してみました。それでは、実際に搭載するという視点から。

 ひゅうが型護衛艦に、F-35B戦闘機を固定翼艦上哨戒機として搭載する場合、現実的に何機搭載できるのでしょうか。ひゅうが型護衛艦の格納庫は格納庫区画が全長120mと全幅最大20mと最小19mです。ただ、ここにはエレベータ区画と整備区画が含まれています、ここを差し引いた格納庫単体では全長60mとなっていてそれでも広大な格納庫ですね。

 インヴィンシブル級航空母艦、ひゅうが型護衛艦と比較される事が多いイギリス海軍の軽空母では全長152mと幅22.6mという規模の格納庫が確保されており、その容積がはるかに大きいことが分かります。ひゅうが型護衛艦は水上戦闘艦としてのソナー区画を有している為、軽空母としての設計を有するインヴィンシブル級との相違点が強調されるかたち。

 SH-60K哨戒ヘリコプターは胴体長15.9m、胴体全幅2.7mです。ただ、艦載機ですので尾部と回転翼を折り畳む事が出来、この場合は全幅3.3mとなります。ひゅうが型護衛艦の航空機定数はSH-60K哨戒ヘリコプター3機とMCH-101掃海輸送ヘリコプター1機を定数としていますが、実際は格納庫にSH-60Kを3機並列搭載する様子が演習映像で確認できる。

 F-35B戦闘機は全長15.4mmと全幅10.67mという形状でF-35A戦闘機と同大です。空母艦載機型のF-35Cであれば全長15.5mと全幅13.11mなのですが空母格納庫艦載を想定し主翼に折畳機構がある為、全幅9.10mまでコンパクト化できるものの、F-35Cでは垂直離着陸が不可能です、全幅10.67mでは完全に並列し2機を格納庫に収容する事は出来ません。

 ただ、SH-60K哨戒ヘリコプターとF-35B戦闘機を並列に収用する事は可能です。寸法ではSH-60K哨戒ヘリコプター2機とF-35B戦闘機1機を並列搭載する事は出来そうですが、波浪等の動揺に備え格納庫内で機体を固定する必要があります。アメリカ海軍のニミッツ級航空母艦では完全に敷き詰めるような収容方式を採っていますが、護衛艦では難しい。

 それでも、格納庫全長が60mあればF-35B戦闘機4機とSH-60K哨戒ヘリコプター4機を縦列搭載可能で、整備区画にF-35BかSH-60Kを1機搭載可能です。SH-60Kを対潜戦闘重視の場合、一機でも多数を搭載する必要はありますが、忘れてはならないのが現在は汎用護衛艦全てにヘリコプター運用能力があり、SH-60K搭載はそれほど切迫していません。

 F-35B戦闘機を並列に格納庫に収容する事は出来ませんが、斜めに並べるならばF-35Bだけで7機を多少詰め込めれば8機を収容可能で、SH-60Kについては護衛艦はるな型のように回転翼を展開の重整備を飛行甲板で行うと割り切り、整備区画へ収容するならば2機を、整備区画は幅が20mありますので尾部を畳まず無理を通せば横に3機を搭載できます。

 SH-60K哨戒ヘリコプターを20m四方の区画に3機並べる事は一見無謀に見えますが、全幅14.6mの護衛艦あさぎり型航空機格納庫が、勿論格納庫幅は全幅よりも狭くなりますが容積上緊急時に2機の収容を想定しています。平時には満載一杯の航空機搭載の必然性は薄いのですが、緊急時に搭載する能力はこの程度ある、という視点で見ればよいでしょう。

 飛行甲板にも艦載機を留置する、格納庫容積を考えた場合には限界があるように見えるF-35Bの搭載能力ですが、本来航空母艦は格納庫に半分程度の艦載機を収容するのみで、少なくない機数を飛行甲板に留置します。平時の定数は別としまして緊急時に最大収容できる機数はF-35Bは飛行隊規模10機、SH-60Kも同時に3機以上まで詰め込めるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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2 コメント

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Unknown (ドナルド)
2018-05-03 10:56:12
インビンシビル級の格納庫は、「ひゅうが」型と比べて巨大ではありません。

(h を文頭に追加してください)
空母イラストリアスの格納庫
ttps://i.imgur.com/4XPlFV2.jpg
あるいは
ttps://imgur.com/gallery/rnt3G

イギリス軍でQEまでは最大の格納庫を持っていたOcean。エレベータの配置を変えることで、スペースを随分増やしています。
ttps://www.flickr.com/photos/cpad/7166208720/in/photostream/

いずれも、エレベーター込みで150 m x 20 m 内外です。

ちなみに、「整備区画」は、イギリス空母にはありません。言い換えると、整備区画まで含めた「ひゅうが」の格納庫サイズと、インビンシビル級のそれを比較すべきです。

結果として、大差はないと理解しています。

事実に関する点だけ、コメントいたしました。
返信する
Unknown (豬挐戈摹箆)
2018-05-08 09:38:50
ドナルドさんのコメントを見るともうひゅうがにF35を搭載しない理由がないですね、20機程試験導入して訓練だけでも実績をやっておくべきでしょう、実績があればもしもの時に海兵隊のF35をひゅうがとワスプに分散搭載してもいいですね
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