■護衛艦と掃海艇の両立は可能なのか
本特集は今回が最終回です、護衛艦と掃海艇、両立は可能なのか、重要航路ごとに木造の掃海艇ひらしま型と小型護衛艦ゆうばり型を充分装備できればそれは理想なのですが、難しい故の代案について。

沿岸防備任務にはミサイル艇のような対水上打撃力のみならず、潜水艦の浸透から重要航路を守りつつ、近年敷設方法が多様化した機雷脅威から我が国重要航路を防護しつつ日施掃海任務を行う、しかし機雷対処任務は専門分野であるため、航空機運用能力を利用し、航空掃海を行ったうえで機雷処分任務に当たる、更に対潜脅威の徴候があった場合には哨戒ヘリコプターの支援を受ける。

もちろん、MCH101には数に限りがありますし、現行の航空隊を二個航空隊程度に増勢しなければ、日施掃海の実施海域すべてにMCH101を展開させることはできませんが、運用能力があってその上で後日増強するのか、それさえもないのかの違いは大きいといえるでしょう。ただ、掃海ヘリコプターは掃海艇以上に高価であり、機雷戦の脅威度を高く評価する海軍でも導入に踏み切ったのは日米とスウェーデン海軍など限られ、安易に増勢する事は難しいでしょう。

ただ、ここで試金石となるのは先行して建造されるコンパクト護衛艦です、コンパクト護衛艦は掃海ヘリコプターへの支援能力を持つと共に掃海器具を搭載し暫定的な掃海任務へ参加可能であり、この種の任務へ対応する水中自航装備USVがコンパクト護衛艦により運用され、実績が積まれるならば、航空掃海任務と併用する新しい機雷掃討体系を構築できる可能性があるところです。

即ち、相手も機雷を敷設するついでに掃海艇をしとめようと考える潜水艦がいる可能性に対し掃海艇が潜水艦に班下kするという可能性を付与する事に意味があります、小型でもソナーを搭載し対潜任務に従事するならば潜水艦は接近に一定のリスクを突き付けられ、その周囲に哨戒ヘリコプターが飛行しているならば、攻撃や機雷敷設という任務に一行の余地を与えるでしょう。しかし忘れてはならないのは乗員の事で、訓練体系の異なり、つまり科員の訓練の違いが大きく問題となるでしょう。

配置一つとっても異なり、例えば掃海艇が機雷掃海任務に当たる場合は乗員すべてが上甲板や上部構造物のできるだけ外側に配置されます、これは過去の戦訓から機雷に触雷した場合は艦内にいた方が危険、という視点に基づくものです。護衛艦の対水上戦闘や対空戦闘では逆に露出した人員が破片の損害をうけるため艦内に入り、また甲板上はレーダーの電磁波影響が大きくなり特にイージス艦などはSPY1レーダーの発動中はこの影響に配慮し上甲板に乗員を出しません。

戦闘配置につくよう号令が掛かれば一斉に外にでるのが掃海艇ですが、護衛艦では逆となります。このあたりから異なるのですから、一隻で戦闘と掃海を実施する場合、従来の掃海器具を曳航し艇上部構造物や露天甲板から戦闘指揮をとる方式から、CICを基点に運用するべく、掃海器具を機雷掃討に特化させるなどの施策が必要となるでしょう。ただし、従来型掃海艇を全て将来三胴船方式艦艇に置き換えるのか、地方隊掃海隊にのみ将来三胴船方式艦艇を配備し、掃海隊群には従来型掃海艇を配備する選択肢はあるため、今後の展開を見守りたいところです。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
本特集は今回が最終回です、護衛艦と掃海艇、両立は可能なのか、重要航路ごとに木造の掃海艇ひらしま型と小型護衛艦ゆうばり型を充分装備できればそれは理想なのですが、難しい故の代案について。

沿岸防備任務にはミサイル艇のような対水上打撃力のみならず、潜水艦の浸透から重要航路を守りつつ、近年敷設方法が多様化した機雷脅威から我が国重要航路を防護しつつ日施掃海任務を行う、しかし機雷対処任務は専門分野であるため、航空機運用能力を利用し、航空掃海を行ったうえで機雷処分任務に当たる、更に対潜脅威の徴候があった場合には哨戒ヘリコプターの支援を受ける。

もちろん、MCH101には数に限りがありますし、現行の航空隊を二個航空隊程度に増勢しなければ、日施掃海の実施海域すべてにMCH101を展開させることはできませんが、運用能力があってその上で後日増強するのか、それさえもないのかの違いは大きいといえるでしょう。ただ、掃海ヘリコプターは掃海艇以上に高価であり、機雷戦の脅威度を高く評価する海軍でも導入に踏み切ったのは日米とスウェーデン海軍など限られ、安易に増勢する事は難しいでしょう。

ただ、ここで試金石となるのは先行して建造されるコンパクト護衛艦です、コンパクト護衛艦は掃海ヘリコプターへの支援能力を持つと共に掃海器具を搭載し暫定的な掃海任務へ参加可能であり、この種の任務へ対応する水中自航装備USVがコンパクト護衛艦により運用され、実績が積まれるならば、航空掃海任務と併用する新しい機雷掃討体系を構築できる可能性があるところです。

即ち、相手も機雷を敷設するついでに掃海艇をしとめようと考える潜水艦がいる可能性に対し掃海艇が潜水艦に班下kするという可能性を付与する事に意味があります、小型でもソナーを搭載し対潜任務に従事するならば潜水艦は接近に一定のリスクを突き付けられ、その周囲に哨戒ヘリコプターが飛行しているならば、攻撃や機雷敷設という任務に一行の余地を与えるでしょう。しかし忘れてはならないのは乗員の事で、訓練体系の異なり、つまり科員の訓練の違いが大きく問題となるでしょう。

配置一つとっても異なり、例えば掃海艇が機雷掃海任務に当たる場合は乗員すべてが上甲板や上部構造物のできるだけ外側に配置されます、これは過去の戦訓から機雷に触雷した場合は艦内にいた方が危険、という視点に基づくものです。護衛艦の対水上戦闘や対空戦闘では逆に露出した人員が破片の損害をうけるため艦内に入り、また甲板上はレーダーの電磁波影響が大きくなり特にイージス艦などはSPY1レーダーの発動中はこの影響に配慮し上甲板に乗員を出しません。

戦闘配置につくよう号令が掛かれば一斉に外にでるのが掃海艇ですが、護衛艦では逆となります。このあたりから異なるのですから、一隻で戦闘と掃海を実施する場合、従来の掃海器具を曳航し艇上部構造物や露天甲板から戦闘指揮をとる方式から、CICを基点に運用するべく、掃海器具を機雷掃討に特化させるなどの施策が必要となるでしょう。ただし、従来型掃海艇を全て将来三胴船方式艦艇に置き換えるのか、地方隊掃海隊にのみ将来三胴船方式艦艇を配備し、掃海隊群には従来型掃海艇を配備する選択肢はあるため、今後の展開を見守りたいところです。
北大路機関:はるな くらま
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「ひらしま」型掃海艇はすでに170億円になっています。このうち100億円近くがMCM装置の値段と思いますが、未来のMCM装置は、コンテナ式にしたうえ、UUV/USVを使うので、これより安くなることはないでしょう。間違いなく高く、おそらく1セット150億円はするのではないでしょうか?
これを運ぶキャリアーとしてのこの三胴船は、その規模(1700t)、戦闘装備からして「コルベット艦」であり、どんなに安く見積もっても、これまた150億円はするように思います(単胴の簡素な船型にしても、120億はするでしょう)。まして対潜装備をつけたら、さらに30-40億円はかかるでしょう。
三胴船を掃海艇として用いた場合には、270-300億円、対潜作戦も担わせると、300-340億円の装備となります。対潜作戦だけなら200億円前後。
現有の掃海艇との1:1の代替は苦しく、~30隻ある掃海艇は、~20隻程度へ減らす必要が生じてしまうかと思います。
2:コンパクト護衛艦との関係について
高速を意図しているのが事実とすれば、これまた高価なものとなるでしょう(高速性は過去英国の21型フリゲートや米軍LCSでさんざん価値がないと示されてきたのに、なぜ。。。?)。
この船にも機雷戦の一部を担わせることになるのでしょうかね。。。
高速性は進出速度には影響しますが、対機雷戦を40ktでするはずもないので、対機雷戦にはほとんど寄与しません。高速進出を生かすために、少数を使うのは良いかもしれませんが、掃海艇の代替にはならないかと。
いっそ掃海艇の後継は、ひうち型のような簡素な船に、光学FCSと3インチ砲だけを載せ、離島警備、湾口警備(海底ソナーのメンテ)と、対機雷戦を担わせる案も検討の余地はあると思いますが。。。
そして、コンパクト護衛艦の原案を破棄し、2500tくらいのコルベット艦としてこの三胴船をもう少し大型化して投入する、とか。。。
この件については米海軍がアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦フライトⅡAの一部に掃海能力を与えるという試みを行っています。
米海軍が問題視したのは湾岸戦争下におけるイラク軍による機雷で実際に米艦が触雷被害を受けた。イラク戦争でもドラム缶に爆薬を詰めた即席機雷が掃海艦が入り込めないような浅い沿岸に撒かれ、特に泥が河口に堆積する河川では掃海専門ダイバーの作業も困難となっていました。
これについて米軍はREIMSと呼ばれる掃海用無人潜水艇を搭載し掃海作業を行うことで艦の安全航行を可能にするという答えを導き出しました。
アーレイ・バーク級フライトⅡAの13番艦であるDDG-91ピンクニーにはREIMSより高性能のRMS(リモート・マインハンティング・システム)が搭載され沿岸で作戦を行う際はRMSを発進させて作戦周辺海域の安全を確認してから作戦に入るという流れになっています。具体的にはRMSが前方の音響センサーで浮遊機雷を、下方センサーで沈底機雷を探知し発見した機雷は同艦に搭乗する機動爆発物処理隊(EODMU)が艦載ヘリや搭載艇(RIB)で接近し水中処分するというものです。