◆領空侵犯よりもM7.0級地震が多い日本
東日本大震災が及ぼす次期戦闘機選定への影響について、本日は少し考えてみたいと思います。
戦闘機、考えてみれば、日本では国籍不明機が対領空侵犯措置を降り切って領空侵犯に至る回数よりもマグニチュード7以上の地震が発生する頻度の方が多いのですよね。もちろんですが戦闘機は航空優勢確保が第一任務ですから、災害派遣の対処能力は付随的に望まれるという範囲内になるのですけれども、要撃機として航空優勢確保に必要な能力を有している機体の中から、将来F-4EJ改を置き換えF-15J改とともに任務に当たる戦闘機の選定に、これまでと違った視点も踏まえて行く必要はあると考えます。
戦闘機も災害派遣に参加しています。F-X選定と東日本大震災と言いますと、どうしても今後は緊縮財政になるため取得費用が小さなF/A-18Eか、将来脅威を見据えた運用コストが長期的に低いタイフーンか、という安直な議論になりつつありますが、今回は災害派遣と戦闘機について、という視点から俯瞰してみましょう。小松基地航空祭で災害派遣展示をご覧になられた方、いらっしゃるでしょうか、今回の東北地方太平洋沖地震発生に際しても、即座に情報収集に向かったのは対領空侵犯措置へ待機していた戦闘機の緊急発進でした。
今回の大震災は日中に発生した事案でしたが、夜間に発生する可能性も相応にある訳ですので、目視に頼る戦闘機による情報収集では限界があります。この為、偵察航空隊以外にも戦闘機に高度な偵察能力を求める、という事は選択肢としてあり得るでしょう。他方で、今回の災害派遣では被災地が非常に大きかったため情報把握と情報伝送に時間を要しており、被災状況の把握にかつて情報RMAと呼ばれたような情報集約基盤を充分に活かす事が出来れば捜索救難と被災者保護の両立に寄与したでしょうから、情報優位を目指す航空機の導入にも意義があるといえます。
次期戦闘機ですが、F/A-18Eであれば対地攻撃を重要視しているためレーダーは地形把握能力が非常に優れているほか、偵察ポッドを搭載することで高度な戦術偵察機としての運用が可能になっています。戦闘行動半径もF/A-18EはF-35Aやタイフーンと比べて大きく、大規模災害が発生した際には広範囲の情報収集に当たる事が可能です。対領空侵犯措置任務に待機する全ての機体に偵察ポッドを搭載するのか、と言われれば議論の余地があるのですけれども、偵察を重視している航空機として導入の意義はあるでしょう。
情報優位を考えたF-35,今後はこれまでにも表明されているように国産開発に加えRQ-4グローバルホーク無人偵察機の導入が行われるなど航空自衛隊は無人機の導入に向かう事となるのでしょうけれども無人航空機の管制と情報伝送が要求仕様に含まれており、しかも陸上部隊のデータ送信等の中継もその任務範囲に含まれており、これがF-35を単なるステルス戦闘機ではない次世代機である所以としています。いわば情報優位を目指した航空機であることから、今後陸海空自衛隊が情報の即時共有を目指す共同交戦能力付与に、電波の帯域確保も含め本格的に行うならばF-35という選択肢にも大きな意義があると言えましょう。
実際問題として、冒頭にも記したとおり対領空侵犯措置任務の緊急発進回数は別として、これを振り切って領空侵犯に至るケースは非常に稀でして、逆に日本の領域内で発生するマグニチュード7.0以上の地震が発生する回数の方が大きい訳でして、この場合には行動半径が非常に広く、航空機の中では最も早い進出速度を有する戦闘機と災害派遣の第一陣として展開させる事例は多いのですから、偵察重視なのか、情報優位なのか、この視点に着眼点を置いて次期戦闘機選定を行う必要も、実のところあるのではないか、と考えます。
HARUNA
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載アh厳に禁じる)
そういえばF-15の偵察のやつは結局どうするんでしょう。
個人的にはCH・UHの増備を望みますね。
完全空中機動師団を各方面隊にとは言いませんが方面飛行隊にも数機のCHを装備するべきだと思いますね。
要撃戦闘機としてみたら、どちらも?ですね。どちらかと言えばF-35かな。
支援戦闘機としたらF-18かな。
F-4の使い方及び今回の災害で壊れたF-2の代わりは支援戦闘機と考えるとF-18となるのでしょうか?
さてグローバルホークが福島原発を超低空で偵察していましたが、日本の航空法にふれていないのでしょうか?マスコミもあまり騒いでいませんので航空自衛隊に採用されてもあまり問題視されないような気がしますね。※有用であることが認められるから。(ニヤリ)
戦闘機の災害派遣での能力を証明することは、財務省と国民に対して、予算の優先度と戦闘機勢力増勢の意義の証明にも繋がると思うのですが、どうでしょうか。
また、この機体は防空や対地攻撃だけではなく災害時にも効果がありますぜ!、とメーカーが政治家に強調するような可能性も考えられるようにも思います。
F-15ですが、偵察機の開発については頓挫していますね、雰囲気では、もう無人機でもいいのでは、という声もあるのだとか。
リビアですが、空自が重視している航空優勢確保は、実のところ航空戦さえ起きていない訳で、参考にはならないのかな、とも。
F-Xですが、今後五年間で12機と最終的に40機の導入を検討しているそうで、・・・、F-2分は意地でも修理するのか別枠、ということなのかな。まさか損耗を考慮に入れていないので調達しません、とか、政府の人が小学生騙すような思考体系ではないでしょうし、ね。
RQ-4ですが、あの機体、超低空に降りていましたか?、ちょっと知りませんでした、スンマセン・・・。航空法との関係ですが、RQ-4は巡航高度が旅客機の高度よりも高い場所を飛行していますので、運用基地さえ確保できれば、問題は無いでしょう。一応導入計画がありますし。あと、米軍機は日本の航空法の制限を受けませんので、このあたりも問題は無いのかな、と。
ただ、空港で運用しようとすると、RC航空機なのか、操縦士不在の有人機なのか、というところで空港に入れるのか入れないのか、という問題が生じてくると考えます。航続距離と飛行時間が大きいので、硫黄島あたりに運用施設を津波対策込みで建設して、日本海に飛行する時は大きく迂回して運用する、という手法でも問題は無いのかな、とも。
http://kanpou.npb.go.jp/20110405/20110405h05529/20110405h055290012f.html
4月11日午後1時に提案希望申込書の配布
4月13日午後1時までに提案希望申込を行った企業を対象に、同日説明会を実施。その際に提案要求書の概要を説明し、その概要を説明し、質疑応答の場を設けるとのこと。
(提案希望申込自体は平成23年4月18日午後1時まで受け付ける)
情報ありがとうございます。
F-Xの話題や22DDH発注など、報道はあるのですが、ちょっと災害関係記事で転載ばかりしているので、メインの記事まで転載記事をもとに作成、というと少々気が引けてしまったりする今日この頃。
無人機の効用は確かですが、大規模地震のように瞬時の情報が必要な状況では、対領空侵犯措置に待機している機体のほうが応用できる部分が大きいのかな、と。
実際、そういう意味で米海軍は空母航空団から偵察勤務に航空機を飛ばした訳なのですから、ね。初動は有人機が、続いて無人機による監視任務へ、というのが一つの方法と考えます。