■F-15J IRST搭載試験
航空専門誌などによれば、五月上旬ごろから、三菱重工小牧南工場においてF-15J近代化改修計画の一環として進められていたIRST(Intfi Red Search and Track):前方赤外線捜索追尾装置の搭載試験が開始されたとのこと。
IRSTは、928号機の機首上面に装備されているとのこと(写真が無いので929号機で代用)。IRSTは航空機がエンジンの排気とともに発する赤外線を遠距離から探知するもので、レーダーよりも探知距離には限界があるものの、こちらからは電波を出さない為探知されにくく、また赤外線感知機能に依拠する限り、電子妨害などにより攪乱される心配が構造上あり得ないことが利点として挙げられる。
F-15Jは近代化改修により、最新世代戦闘機に対して、超音速巡航能力とステルス性機体形状を除けば伍する性能を維持できることとなり、例えばF-15J近代化改修機が有していない機能を、一部の新世代機(F-22やF-35など)、もしくは小型のステルス無人機などを索敵と前方哨戒に使うなどし、共同交戦機能を付与させれば、次世代航空戦に対しても一定の対応能力を有するに至るのでは、と考えたりする。以上、時間がないのでコネタでした。
さて、先進技術実証機『心神』について、少し併せて考えてみたい。正直な話、日本が今後、国産による第一線戦闘機を独力で開発することは難しい。F-35,F-22の開発をみると、費用面の問題がある。無論、今後はCADを含めた設計関連の技術は向上するであろうし一概に比較は出来ないのだが、機体新素材を筆頭に各種先端技術の集合体として、F-22や次世代ステルス機に対応する技術開発を行う為には、護衛艦、戦闘機、戦車などの正面装備調達費の大半を注ぎ込んでも難しいのではないか、と。仮に可能性があるとすれば、武器輸出三原則を緩和し国際共同開発に参加するか、若しくは輸出を前提として量産効果を見込み生産すること、もしくは一機の価格が設計費上乗せで護衛艦一隻分になる覚悟で国産するかである。他方、いわゆる支援戦闘機としてならば、また別なのだが。
かなりまえ、T-4後継機に関する議論が出てこないことから、『心神』をT-Xに転用してはどうか、と書いてみた。妥当(現実)な案としては、T-4の能力向上型(コックピットなどを仕様変更)し、T-Xとするのが有力案になるのだろうが、『心神』を利用する案があってもいいのではないか、と記した次第。『心神』を将来的にF-3としては、という話も皆無とはいえないが、相当さき、F-2後継機が国産か共同開発か輸入かが議論される平成30年代後半となるだろう。ここに技術的応用はあるかもしれないが、『心神』の設計図を拡大コピーして生産する旧ソ連方式のような手法は採られないだろう。
他方で、これは非常に曖昧模糊とした推測なのだが、次世代航空戦に戦闘機以外の面で『心神』が応用される可能性は無いか、という点。単なる技術実証機としてならば、エンジンをF-15やT-4など既存の機体に盛り込み、実証機はステルス形状だけを研究する航空機で充分なのだろうが、一種の完成した航空機システムとして『心神』が研究されていることを考えると、一部で揶揄されているような、米国からのF-22輸出に対する否定的見解から生じた、もしくは、日本独自の新世代航空機国産という背景以上のものが見えるように考えることも出来る。
ここで、これは馬鹿げた推測も踏まえてであるが北海道大樹町の飛行場にて、2007年5月9日から防衛省技術研究本部がグライダーを用いて実験飛行を行っている無人航空機技術と併せ、『心神』を無人化、ステルス性を活かしての初期遭遇戦闘やスマートスキンレーダー、IRSTを用いての索敵任務などを行う可能性は無いかということ。現代航空戦では、先に目標を探知した方が圧倒的に有利であり、ミサイルのアクティヴ誘導化や航空機のステルス化、戦闘のパッシヴ化が進められている訳だ。『心神』をベースにした無人機と、ステルス性を有さないF-15J近代化改修型をデータリンク(電波を用いずとも、例えば非電波通信の技術を開発すれば電子戦環境においても運用可能)することで、効率的な航空戦を展開出来るのでは、と。観月の際に一つ思いついた次第。思いつきなので、詮索は不要。
HARUNA
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私はF-15がエアブレーキとしてコクピットの後ろの
薄っぺらい「制動板」を立てたところを見て、ぐにゃ
っと曲がらないのが信じられません。
あれだけ大きそうな空力抵抗を、あの薄い板と、
それを押し立てている後ろの細いシリンダが見た
目に、工学的に「スゴク」見えてしまい、ホント、
大丈夫かなあ?っていつも思うのですよね~。
エアブレーキかドラックシュートかで制動方法って類型できますが、どちらにしても強引だなあ、と。他方、フラップなんかも付け根はエアブレーキのシリンダ並に細いですし、多分大丈夫なんでしょうね。
F-15は、設計に余裕がある機体ですし、データリンク性能と電子戦機器を最新型のものとすれば、まだまだ現役で使える性能をF-15は有してるといえます。
ただ、今年の1月上旬頃に報道された米空軍で運用されているF-15初期型(C型を含む)の163機が構造上問題があり、空中分解する恐れがある、という報道が出ていましたが、頑丈とされるF-15でも、そういう問題が、と驚かされたことがあります。