■定期的に論題となる命題
徴兵制というものがウクライナ戦争により再度関心が高まっているようです、軍事知識の深い方程専門性から志願制志向であり軍事へ警鐘を鳴らす方は徴兵制を危惧する印象だ。
徴兵制、ウクライナ戦争を契機に揺れています。それは日本にも一定数居る徴兵制論者というもので、ロシア軍ウクライナ侵攻に際してウクライナは大量の予備役、90万もの予備役兵が在籍しているために、ロシア軍に対して、当初は48時間保たないのではないかと危惧されましたが、48日後には反撃に転じ、半年越え48週間後の見通しさえ立ってきました。
ウクライナでの予備役は徴兵制によるものとともに、ウクライナは2014年のクリミア併合とともにドンバス紛争へ徴兵を短期間でも派遣し実戦経験を積ませることで、いわば90万の予備役兵は大半が短期間でも実戦経験を有しているという、これほどの実戦経験者はアメリカなど数える国でしかなく、ロシア軍も少なくとも今年二月末までは居ませんでした。
ロシアでの動員、しかし、徴兵制についてウクライナの奮戦が従来の、現代戦における短期間の徴兵経験者の有用性の評価を大幅に高めた可能性を示したのに対して、ロシアでの動員体制、実際に動員をされてみますと、やはり徴兵制は有用だ、とはとてもいえない状況がかいま見えてきました、具体的に言えば練度と装備が明確に不十分、特に武器が無い。
AK-47小銃、驚かされたのはロシアでの召集令状出頭者に対して貸与されていたのが、ロシアメディアの報道、検閲され厭戦機運を出す報道を違法とされる報道、ここで貸与されていたのがAK-47だったのです、中国軍でさえ使っていない、ソ連地上軍では1956年より後継のAKM小銃に切り替わっているため、要するに1940年代の小銃を貸与された。
日本でも徴兵制を、といいますと国内の装備備蓄からウクライナよりもロシアのような状況となるのかもしれません、日本はアメリカから貸与された装備を返還するべく補給処に備蓄しており、2000年代までハーフトラックさえ返還待ちで備蓄されていました、恐らく自衛隊はM-1カービンとM-1小銃ならば、仮に64式小銃が無くとも、備蓄している。
ハーフトラックは解体していますが、なにしろ自衛隊には用途廃止された装備を保管する場所が無く、近年退役したMLRSさえ解体しています。ロシア軍が2014年に廃棄されたT-62を再生しウクライナへ派遣していますが、駐屯地に展示されている61式戦車や60式装甲車でも修理し再生できれば御の字ですが流石に腐食度合いから現実的に再生は難しい。
74式戦車がまだ100両程度残っていますので、これも873両生産したことを考えれば少なくなったものですが、これを延命するという選択もあるのかもしれません。このほかに、残っている装備があるとするならば、古い106mm無反動砲くらい、補給処に積まれているのかもしれません。ただ、徴兵制を敷くとして精々装備がこの程度という現実があります。
M-1小銃と残っていればM-1919A6機関銃、いっそBARでもあれば分隊支援火器に最適なのでしょうか。車両はトラックがただでさえ不足しているので地方協力本部のバンと指揮車はプリウス、敵の戦車がきたら106mm無反動砲と、火炎瓶くらいは使える、今の状況で徴兵制などを行いますと、軍隊というよりチキチキマシン猛レース的な状況ですよ、ね。
徴兵制云々よりも、やはりまともな装備をそろえることの方が先決です、ウクライナはM-113装甲車やT-72戦車などを友好国から大量に供与されていますが、一応日本は世界第三位の経済大国という地位にあり、時刻で国防の予算を出したくないので恵んでくれ、と友好国に願い出たとしても、そんなものならば日本よりウクライナ最前線へ送るでしょう。
要するに装備が現時点で現役部隊でも充分とは言い難い中で徴兵制を日本が行ったとしてもまともな戦力にはできないということ。そしてベビーブーム到来中ならばともかく少子高齢化の時代には、若者は居るにしてもロシア軍のように無茶苦茶な戦死者を前提として使い捨てる運用よりは、せめて全員をまともな装甲車に乗せる必要があるのではないかと。
三菱機動装甲車、最低でも96式装輪装甲車や軽装甲機動車に乗せるか、高機動車に乗せるにしても間合いを持って任務に向かえるよう中距離多目的誘導弾や軽対戦車誘導弾が潤沢に必要となります。するとこれらは税金で購入するのですから、国民の10%を徴兵し上記の一億円程度の装甲車に乗せるためには国民90%の税金で買うということに他なりません。
陸上自衛隊の隊員はに全人口の0.01%強ですので、志願制の現時点で0.1%の自衛官の装備と給与などを99.99%の国民が支えている構図です、これを仮に徴兵で人口の1%とした場合でも装備や生活面での支える国民の負担は100倍になる、ということなのですね。装備を増やす必要はありますが、駐屯地や演習場ももっともっと必要となる、可能なのか、と。
自衛官の応募者が少ない点などを徴兵制志向の論拠とされる方が居ますが、それは2010年度から自衛官候補生制度など、幹部自衛官以外の自衛官が事実上の非正規公務員となったためです、拘束時間が長く残業代制度のない非正規雇用が、ほかの企業や公務員、正規雇用へ志願者をとられた構図です。この点は混同せず別個の問題だと、考えねばなりません。
自衛官候補生制度という数年間だけの期間雇用に、曹候補学生という事実上の非正規公務員制度を改めれば、職業が安定しているというだけで若者は選択肢に自衛官を加えられる、また今の自由時間にも門限という意味不明の制度を切り替え、自衛隊は防衛に専念できる体制に切り替えるだけでも、働きやすい職場となります。これこそ防衛力の基盤でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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徴兵制というものがウクライナ戦争により再度関心が高まっているようです、軍事知識の深い方程専門性から志願制志向であり軍事へ警鐘を鳴らす方は徴兵制を危惧する印象だ。
徴兵制、ウクライナ戦争を契機に揺れています。それは日本にも一定数居る徴兵制論者というもので、ロシア軍ウクライナ侵攻に際してウクライナは大量の予備役、90万もの予備役兵が在籍しているために、ロシア軍に対して、当初は48時間保たないのではないかと危惧されましたが、48日後には反撃に転じ、半年越え48週間後の見通しさえ立ってきました。
ウクライナでの予備役は徴兵制によるものとともに、ウクライナは2014年のクリミア併合とともにドンバス紛争へ徴兵を短期間でも派遣し実戦経験を積ませることで、いわば90万の予備役兵は大半が短期間でも実戦経験を有しているという、これほどの実戦経験者はアメリカなど数える国でしかなく、ロシア軍も少なくとも今年二月末までは居ませんでした。
ロシアでの動員、しかし、徴兵制についてウクライナの奮戦が従来の、現代戦における短期間の徴兵経験者の有用性の評価を大幅に高めた可能性を示したのに対して、ロシアでの動員体制、実際に動員をされてみますと、やはり徴兵制は有用だ、とはとてもいえない状況がかいま見えてきました、具体的に言えば練度と装備が明確に不十分、特に武器が無い。
AK-47小銃、驚かされたのはロシアでの召集令状出頭者に対して貸与されていたのが、ロシアメディアの報道、検閲され厭戦機運を出す報道を違法とされる報道、ここで貸与されていたのがAK-47だったのです、中国軍でさえ使っていない、ソ連地上軍では1956年より後継のAKM小銃に切り替わっているため、要するに1940年代の小銃を貸与された。
日本でも徴兵制を、といいますと国内の装備備蓄からウクライナよりもロシアのような状況となるのかもしれません、日本はアメリカから貸与された装備を返還するべく補給処に備蓄しており、2000年代までハーフトラックさえ返還待ちで備蓄されていました、恐らく自衛隊はM-1カービンとM-1小銃ならば、仮に64式小銃が無くとも、備蓄している。
ハーフトラックは解体していますが、なにしろ自衛隊には用途廃止された装備を保管する場所が無く、近年退役したMLRSさえ解体しています。ロシア軍が2014年に廃棄されたT-62を再生しウクライナへ派遣していますが、駐屯地に展示されている61式戦車や60式装甲車でも修理し再生できれば御の字ですが流石に腐食度合いから現実的に再生は難しい。
74式戦車がまだ100両程度残っていますので、これも873両生産したことを考えれば少なくなったものですが、これを延命するという選択もあるのかもしれません。このほかに、残っている装備があるとするならば、古い106mm無反動砲くらい、補給処に積まれているのかもしれません。ただ、徴兵制を敷くとして精々装備がこの程度という現実があります。
M-1小銃と残っていればM-1919A6機関銃、いっそBARでもあれば分隊支援火器に最適なのでしょうか。車両はトラックがただでさえ不足しているので地方協力本部のバンと指揮車はプリウス、敵の戦車がきたら106mm無反動砲と、火炎瓶くらいは使える、今の状況で徴兵制などを行いますと、軍隊というよりチキチキマシン猛レース的な状況ですよ、ね。
徴兵制云々よりも、やはりまともな装備をそろえることの方が先決です、ウクライナはM-113装甲車やT-72戦車などを友好国から大量に供与されていますが、一応日本は世界第三位の経済大国という地位にあり、時刻で国防の予算を出したくないので恵んでくれ、と友好国に願い出たとしても、そんなものならば日本よりウクライナ最前線へ送るでしょう。
要するに装備が現時点で現役部隊でも充分とは言い難い中で徴兵制を日本が行ったとしてもまともな戦力にはできないということ。そしてベビーブーム到来中ならばともかく少子高齢化の時代には、若者は居るにしてもロシア軍のように無茶苦茶な戦死者を前提として使い捨てる運用よりは、せめて全員をまともな装甲車に乗せる必要があるのではないかと。
三菱機動装甲車、最低でも96式装輪装甲車や軽装甲機動車に乗せるか、高機動車に乗せるにしても間合いを持って任務に向かえるよう中距離多目的誘導弾や軽対戦車誘導弾が潤沢に必要となります。するとこれらは税金で購入するのですから、国民の10%を徴兵し上記の一億円程度の装甲車に乗せるためには国民90%の税金で買うということに他なりません。
陸上自衛隊の隊員はに全人口の0.01%強ですので、志願制の現時点で0.1%の自衛官の装備と給与などを99.99%の国民が支えている構図です、これを仮に徴兵で人口の1%とした場合でも装備や生活面での支える国民の負担は100倍になる、ということなのですね。装備を増やす必要はありますが、駐屯地や演習場ももっともっと必要となる、可能なのか、と。
自衛官の応募者が少ない点などを徴兵制志向の論拠とされる方が居ますが、それは2010年度から自衛官候補生制度など、幹部自衛官以外の自衛官が事実上の非正規公務員となったためです、拘束時間が長く残業代制度のない非正規雇用が、ほかの企業や公務員、正規雇用へ志願者をとられた構図です。この点は混同せず別個の問題だと、考えねばなりません。
自衛官候補生制度という数年間だけの期間雇用に、曹候補学生という事実上の非正規公務員制度を改めれば、職業が安定しているというだけで若者は選択肢に自衛官を加えられる、また今の自由時間にも門限という意味不明の制度を切り替え、自衛隊は防衛に専念できる体制に切り替えるだけでも、働きやすい職場となります。これこそ防衛力の基盤でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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