■THAADvsイージスアショア
北朝鮮ミサイル開発は単体でも脅威であるのに加え、核実験により核弾頭の脅威とマレーシアで使用されたVXの脅威が重なり、懸念すべき水準です。
核兵器の運搬手段としての弾道ミサイルは脅威であると共に、弾頭部分へVXを装填し使用されたならば、広範囲が致死性ガスにより汚染されます。この為、ミサイル防衛という施策は、一歩進んだ“国家防衛システム”という機能を求められるに至りました。そこでミサイル防衛のシステム、THAADミサイルとイージスアショアシステム、二つを比較してみることとしました。
全土防衛に部隊数はどれだけ必要か、について。THAADミサイルとイージスアショアシステム、弾道ミサイル防衛の最新システムにて、日本全土へのミサイル防衛体制を確立するにはどの程度の配備と展開が必要なのかについて。防衛省の試算資料によればイージスアショアシステムは2システム程度で日本全域を防護出来ると試算しています。THAADは6個中隊程度で日本全域を防護できるとのこと。
迎撃ミサイルの射程は、どれだけ違うのか。THAADミサイルとイージスアショアシステム、運用するミサイルはTHAADミサイルの射程が200km、イージスアショアシステムはイージス艦に搭載されるSM-3を運用し射程は1300kmです。イージスアショアシステムは2システム、THAADは6個中隊程度、日本全土の防空へ必要なシステムの数量相違は迎撃ミサイルの射程によるものと分かります。
システムユニット費用はどの程度か。イージスアショアシステム1システム当たりの整備費用は800億円程度、THAADミサイル1個射撃中隊当たり1250億円程度の費用を要するとのこと。イージスアショアシステムについてはシステム費用全般ですが建設工費や用地取得費用などは含みません。THAADミサイルについてはAN/TPY-2レーダーシステムと車両などを含めた費用です。
総事業費はどの程度異なるか。イージスアショアシステム1システム800億円で2システムの事業費用は1600億円程度となります。THAADミサイル1個射撃中隊1250億円程度で6個中隊を要しますので7500億円程度となる。THAADミサイル7500億円程度に対し、イージスアショアシステム1600億円程度と、純粋に費用面だけを見ますとイージスアショアシステムの方に利があるといえるでしょう。
二つの装備の特色について。イージスアショアシステムはセンサー部分がイージス艦と同じシステムですので、海上自衛隊のイージス艦運用ノウハウを多少応用できます。THAADミサイルは可搬式の弾道ミサイル迎撃システムですので、必要な地域へ自走し展開する事が可能となりますし、当面は2セットを入間基地と饗庭野分屯基地に配備し首都圏と若狭湾原発地域と京阪神中京地区を防護するという施策が可能です。
運用部隊は何処になるのか。イージスアショアシステムはイージスシステムである為、運用は海上自衛隊となります。THAADミサイルについては都市防空任務が航空自衛隊であるため、運用もこちらが濃厚でしょう。予算はBMD関連費用から捻出される為、双方、P-1哨戒機整備事業とコンパクト護衛艦量産、F-35調達事業とFS-X次期戦闘機事業、直接を圧迫するものではありませんが、間接的に圧迫し、また人員は派遣しなければなりません。
THAADミサイルとイージスアショアシステム、どちらが理想か。イージスアショアシステムは固定式であり飽和攻撃に曝される脆弱性を考慮すればTHAADミサイルが理想となりますが、整備費用が4.7倍近く大きい為、調達するには無理があります。ただ、将来的に老朽化する護衛艦こんごう型について、後継艦建造後にSPY-1レーダー等を陸上へ移設し、イージスアショアシステムと出来れば費用を圧縮できるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
北朝鮮ミサイル開発は単体でも脅威であるのに加え、核実験により核弾頭の脅威とマレーシアで使用されたVXの脅威が重なり、懸念すべき水準です。
核兵器の運搬手段としての弾道ミサイルは脅威であると共に、弾頭部分へVXを装填し使用されたならば、広範囲が致死性ガスにより汚染されます。この為、ミサイル防衛という施策は、一歩進んだ“国家防衛システム”という機能を求められるに至りました。そこでミサイル防衛のシステム、THAADミサイルとイージスアショアシステム、二つを比較してみることとしました。
全土防衛に部隊数はどれだけ必要か、について。THAADミサイルとイージスアショアシステム、弾道ミサイル防衛の最新システムにて、日本全土へのミサイル防衛体制を確立するにはどの程度の配備と展開が必要なのかについて。防衛省の試算資料によればイージスアショアシステムは2システム程度で日本全域を防護出来ると試算しています。THAADは6個中隊程度で日本全域を防護できるとのこと。
迎撃ミサイルの射程は、どれだけ違うのか。THAADミサイルとイージスアショアシステム、運用するミサイルはTHAADミサイルの射程が200km、イージスアショアシステムはイージス艦に搭載されるSM-3を運用し射程は1300kmです。イージスアショアシステムは2システム、THAADは6個中隊程度、日本全土の防空へ必要なシステムの数量相違は迎撃ミサイルの射程によるものと分かります。
システムユニット費用はどの程度か。イージスアショアシステム1システム当たりの整備費用は800億円程度、THAADミサイル1個射撃中隊当たり1250億円程度の費用を要するとのこと。イージスアショアシステムについてはシステム費用全般ですが建設工費や用地取得費用などは含みません。THAADミサイルについてはAN/TPY-2レーダーシステムと車両などを含めた費用です。
総事業費はどの程度異なるか。イージスアショアシステム1システム800億円で2システムの事業費用は1600億円程度となります。THAADミサイル1個射撃中隊1250億円程度で6個中隊を要しますので7500億円程度となる。THAADミサイル7500億円程度に対し、イージスアショアシステム1600億円程度と、純粋に費用面だけを見ますとイージスアショアシステムの方に利があるといえるでしょう。
二つの装備の特色について。イージスアショアシステムはセンサー部分がイージス艦と同じシステムですので、海上自衛隊のイージス艦運用ノウハウを多少応用できます。THAADミサイルは可搬式の弾道ミサイル迎撃システムですので、必要な地域へ自走し展開する事が可能となりますし、当面は2セットを入間基地と饗庭野分屯基地に配備し首都圏と若狭湾原発地域と京阪神中京地区を防護するという施策が可能です。
運用部隊は何処になるのか。イージスアショアシステムはイージスシステムである為、運用は海上自衛隊となります。THAADミサイルについては都市防空任務が航空自衛隊であるため、運用もこちらが濃厚でしょう。予算はBMD関連費用から捻出される為、双方、P-1哨戒機整備事業とコンパクト護衛艦量産、F-35調達事業とFS-X次期戦闘機事業、直接を圧迫するものではありませんが、間接的に圧迫し、また人員は派遣しなければなりません。
THAADミサイルとイージスアショアシステム、どちらが理想か。イージスアショアシステムは固定式であり飽和攻撃に曝される脆弱性を考慮すればTHAADミサイルが理想となりますが、整備費用が4.7倍近く大きい為、調達するには無理があります。ただ、将来的に老朽化する護衛艦こんごう型について、後継艦建造後にSPY-1レーダー等を陸上へ移設し、イージスアショアシステムと出来れば費用を圧縮できるでしょう。
北大路機関:はるな くらま
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#個人的には、はしけ案も好きなのですが、あくまでアイデアの一つに過ぎませんし、レーダー射界の確保の点から、山の上にはかなわないでしょうし。
一方で、対中国を考えると、イージルアショアでは開戦初日に制圧されるでしょう。が、それはそれで良いと思います。中国は世界経済の中に組み込まれており日本本土を弾道弾で攻撃するのはよほどの事態の時だけですが、孤立した独裁国家である北朝鮮は独裁者の気まぐれ・妄想でやらかしかねないので、同列に考えるのもおかしい。。。
また、そもそもTHAADにすれば制圧されないとも言えない。何しろ、射程の短いTHAADでは、個々の地域を守るのは常に1こ隊であり、敵が望むならその隊を飽和せせたり無力化させるのは難しくない。
射程の長い敵兵器に対して、射程の短い防御兵器を沢山用意するといいのは、典型的な「兵力の逐次投入」「遊兵だらけの配置」なので、筋が悪いと思います。
東京だけを守って他は見捨てる、というのであれば、THAAD隊を東京周辺に集中配備すれば、非常に有効でしょうけど。。
船として自走航行することを放棄すれば、維持管理のハードルは低くなりますし、いざとなったら曳航しての移動も可能です。
とりあえず舞鶴港あたりに専用桟橋増築してでどうでしょうか?