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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フィリピン-ネスターアセロ級ミサイル哨戒艇とMRF多用途戦闘機候補に韓国KF-21ボラメを追加

2022-11-22 20:01:17 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回は定期的に紹介していますフィリピン軍特集の最新情報をお伝えしましょう。一時は日本のミサイル艇を欲したフィリピンは手堅く実用的な調達を行いました。

 フィリピン海軍は新たにイスラエル製FAIC-Msネスターアセロ級ミサイル哨戒艇を導入しました。導入されたのはミサイル艇ネスターアセロと二番艇のロリナトトン、ネスターアセロとはフィリピン海兵隊の下士官の名で1972年にモロ族民族解放戦線の大規模騒擾事件に際し勇気ある行動を執り、フィリピン最高位の勲章である義勇勲章を叙勲した名です。

 ネスターアセロ級ミサイル哨戒艇は全長32m、イスラエルのハイファで建造され8月下旬に貨物船にてフィリピンへ出航しました。最大の特色は機関砲に加え射程25kmのスパイクNLOS対舟艇対戦車誘導弾を装備している点で、従来の機関砲のみを装備する哨戒艇では重武装の中国海軍艦艇による圧迫に対応出来なかった状況を転換させる哨戒艇となる。

 ロリナトトンとともに2隻が揃ったミサイル艇ですが、2022年内に更に3隻が導入される計画で、またフィリピンでは4隻をライセンス生産する構想、カビテ市のパスカルデデスマにあるPN造船所にて建造が予定されています。フィリピン政府は9隻のミサイル哨戒艇建造にイスラエルとの間で100億ペソの契約を結んでおり、海軍力整備を進めています。
■KF-21ボラメを検討
 F-35のような第五世代戦闘機を目指すわけではないが安価で4.9世代と自称する韓国のKF-21戦闘機は数を揃えられる次世代戦闘機へ発展するのでしょうか。

 フィリピン空軍はMRF多用途戦闘機候補に韓国の最新鋭戦闘機KF-21ボラメを加えます。これはフィリピン空軍司令部広報官が8月の定例記者会見において表明したものです。広報官は現在構想している第四世代戦闘機と第4.5世代戦闘機と比較した場合、KF-21戦闘機は最もステルス性が高い点を強調しました。KF-21は7月19日に初飛行を迎えている。

 MRF多用途戦闘機はフィリピン空軍が領土領空を防空する上で12機の第四世代戦闘機乃至第4.5世代戦闘機を必要としているものですが、現在のところ国防予算に正式に計上されたものではありません、そして費用としては610フィリピンペソ、米貨換算で10億ドルの総費用を見込んでいる為、12機の導入はF-16V戦闘機の場合予算不足が予想されるという。

 KF-21ボラメが候補に加わるもう一つの理由に、フィリピンは韓国より12機のFA-50軽戦闘機12機を導入した点です、3億2200万ドルで導入したFA-50は韓国側の整備支援や教育支援により整備性や稼働率が確保されておりフィリピン空軍での評価は比較的高く、コストの高騰リスクの低さと運用における韓国製航空機の実績が反映されたともいえます。
■スコルペヌ級潜水艦
 フィリピンはステルス性の高い戦闘機を検討すると同時に潜水艦を史上初めて取得する動きが有り、新ゲームチェンジャーとなりえます。

 フィリピン海軍はフランスよりスコルペルヌ級潜水艦の導入計画を継続している、これはフランスの駐フィリピン大使ミシェルボコズ大使が明らかにしたもので、フィリピン政府は潜水艦建造の請負業者についてまだ明らかにしていませんが、フランスの潜水艦造船を担うナーバルグループも、潜水艦導入交渉を継続する用意があると表明しています。

 スコルペルヌ級潜水艦の導入計画、フィリピン政府は2019年にロレンザナ国防大臣がスコルペヌ級潜水艦の有用性を発言していて、2020年から2021年の期間に海上防衛力強化へ潜水艦の導入計画を画定するとしていましたが、フィリピン国内におけるCOVID-19新型コロナウィルス感染拡大による経済後退などを受けその計画の具現化が遅れていました。

 スコルペルヌ級潜水艦はフランスとスペインが共同開発しました輸出用潜水艦であり、ディーゼルエレクトリック方式であると共にオプションとしてAIP非大気依存機関を搭載し水中航続距離を延伸する事が可能です。フィリピンは建国以来潜水艦を保有した事はありませんが中国海軍による行動活性化を受け、潜水艦整備を含め海軍近代化を進めています。
■スキャンイーグル
 伊丹駐屯地祭にも登場しましたスキャンイーグルは使いやすく安価です。

 フィリピン海軍はスキャンイーグル無人機による第71海上無人偵察機隊を初度作戦運用に就かせたとのこと。海軍は一年間に渡り海軍航空隊での地上及び海上でのスキャンイーグル運用訓練及び評価試験を継続しており、このほどこれを完了、カビテ市山グリーポイントにあるヘラクレオ アラノ基地の海軍航空隊司令部において記念式典を挙行しました。

 スキャンイーグル無人機はボーイング社の子会社であるボーイングインシツ社が開発した無人機であり、全長1.4mに全幅3.1mと小型ながらは着荷滑走路を必要とせず簡易カタパルトと空中回収装置により狭い地形においても運用、100km以上先への飛行能力と21時間以上の連続飛行が可能、150km/hの速度で飛行が可能でたかい偵察能力をもっています。

 第71海上無人偵察機隊は人員14名で海軍士官5名と9名の整備兵により編成されています、スキャンイーグルのフィリピン軍導入は2020年11月25日のことでした。フィリピン海軍は極めて広大な多島海域を限られた防衛力で警戒監視する必要があり、その為の航空機は日本から無償譲渡されたTC-90練習機など限られています、無人機は重要な装備です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ウクライナへF-16戦闘機供与は有得るか?払底し始めたアメリカ軍余剰弾薬と新しいバーター供与方式迂回供与

2022-11-22 07:00:19 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 日本はF-4EJやL-90の余剰が廃棄されていなければ供与を検討すべきであったのかもしれませんが残念ながらその動きは無い。

 F-16戦闘機のウクライナ供与はありえるのか。F-16戦闘機はロッキードマーティン社が生産しゼネラルダイナミクス社が設計し1970年代から延々改良を続けいまなお第一線の性能を誇る戦闘機です。これまで高性能すぎるとの背景から供与されず今に至りますが、幾つかの背景から可能性が高まっているように思う。その背景とは在庫枯渇とバーター方式だ。

 スティンガー携帯地対空ミサイルやジャベリン対戦車ミサイル、アメリカがウクライナへ供与し続けてきました弾薬の備蓄がそろそろ連邦軍余剰弾薬備蓄払底となってきました。連邦軍備蓄を放出するという選択肢もないには無いのですが、そんなことを行えば今後十年近くにわたり、台湾海峡や中東での情勢悪化にアメリカ軍自身が対応できなくなります。

 HIMARS用誘導ロケットGMLRSロケット弾なども、ロシア軍を押し返す規模で大量にウクライナ軍へ供与され射撃されています。もちろんウクライナ軍はソ連時代から運用するBM-21ロケット弾など無誘導の従来型ロケット弾も多数運用していますが、1m誤差で正確に命中するGMLRSの任務を無誘導のロケット弾で代替するには大量の弾薬が必要です。

 TOW対戦車ミサイルやM72携帯ロケット発射装置など、ほかに供与できるものもあるにはあるのですが、例えば105mm野砲や155mm野砲弾などもウクライナへ膨大な数が供与されていますので、備蓄が限界に達してきている。一方で、これはウクライナへ供与している区分の装備が備蓄払底しているのであり、当然だが供与しないものはまだ在庫がある。

 Mk82通常爆弾やクラスター爆弾などは、ウクライナへ供与していませんので在庫はまだあります、そしてウクライナ戦争を見ればわかるとおり、双方ともにあまり空軍を戦闘に参加させていない、時折ロシアのMiG-31が遠方からジルコンミサイルで対地攻撃、ウクライナのMiG-29はHARM対レーダーミサイルで精密攻撃する、という程度でした。理由は。

 S-300地対空ミサイル、先日ポーランドに逸れ弾が落下し大騒ぎになりましたが、ロシアもウクライナもS-300や改良型のS-400地対空ミサイルで対空戦闘を展開し、戦闘機がまともに飛べない環境があるのです。例外的にやや高い頻度で低空飛行能力の高いSu-25攻撃機、ロシアとウクライナものものが双方で低空から航空支援を行うくらいとなっていた。

 F-16戦闘機ならば余裕がある、そしてもう一つはバーター供与という方式が盛んである。ドイツなどが、ウクライナ軍に適合する旧ソ連製装備は払底しているが、まだ保有している国に、T-72戦車をウクライナに供与する分だけレオパルド2A4戦車を、BMP-1装甲車をウクライナに供与する補填に中古のマルダー1装甲車を供与する、というような方式だ。

 F-16戦闘機、アメリカ空軍が運用する機体は搭載機器が最新型であり、ウクライナに供与した場合はモスクワまで空爆できてしまい紛争拡大の要因となる、ロシアを刺激するしキエフを空爆されるウクライナには正当な言い分ともなりうるという問題があります、しかし輸出された古いF-16Aなどであればどうか、バーター方式の迂回供与ならば可能性は出てきます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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