goo blog サービス終了のお知らせ 

北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】自衛隊RQ-4B初飛行とA-400M輸送機18号機,F-35とEF-2000戦闘機新情報

2021-07-20 20:16:40 | インポート
■週報:世界の防衛,最新12論点
 今回は航空関連の12話題です。先ずは自衛隊のRQ-4M,これに併せてRF-4偵察機廃止により廃止改編された偵察航空隊が再編成されています。

 航空自衛隊へ導入されるRQ-4Bグローバルホーク無人偵察機が4月15日、カリフォルニア州のパームデール飛行場より初飛行を迎えた、ノースロップグラマン社が発表しました。RQ-4は30時間以上にわたる長時間の滞空能力を有し、太平洋横断飛行が可能なほぼ唯一の無人偵察機で、政府と防衛省は2014年にグローバルホークの導入を決定しています。

 RQ-4Bグローバルホーク無人偵察機は、4億8990万ドルの費用を投じ機体3機と2基の地上管制ステーションの導入、またノースロップグラマン社からの運用支援や重整備支援等に充てられます。防衛省はガーディアン無人偵察機3機の導入にも関心を示しているとされ、24時間体制の有人機による島嶼部警戒飛行への限界が生じているのかもしれません。

 RQ-4Bグローバルホーク無人偵察機については、導入当時にはここまで高度な無人偵察機を導入するよりも防衛装備庁の開発計画がある高高度滞空型無人偵察機の開発前進を推す声もありましたが、当時想定されていなかった程の我が国周辺地域の緊張拡大による警戒監視能力強化需要に現有装備体系は応えられておらず、先見の明といえるかもしれません。
■オーストラリアのMQ-9B
 オーストラリアはロイヤルウイングマンとともにMQ-9を導入し更に哨戒機も新調するという。

 オーストラリア国防省はMQ-9Bリーパー無人攻撃機12機の導入に関する16億5100万ドルの導入計画についてアメリカ国務省の対外有償供与了承を受けたとのこと。MQ-9Bはアメリカのジェネラルアトミクス社が製造する無人航空機で、オーストラリア軍において周辺海域での対潜哨戒任務や警戒監視任務及びISR情報収集任務等に充てられる見込み。

 MQ-9Bは安価な機体であるが地上管制装置を含めると高額になる。契約にはMQ-9B機体12機に加えレイセオンMTS-D-EO/IRセンサーを15基、Lynx-AN/APY-8合成開口レーダー16基、KMU-572爆弾兵装架6基、MAU-209目標表示装置4基、EGI慣性航法装置36基、RIOTM-ISR情報収集ポッド15基、MXU-1006誘導爆弾兵装架7基、等が含まれる。
■A-400M輸送機18号機
 日本のC-2よりも先行するA-400Mですが量産はこんなかたちなのですね。

 フランス国防省装備総局は3月25日、エアバス社よりA-400M輸送機18号機を受領したとのこと。フランス軍は2013年にA-400M輸送機初号機を受領し、A-400M最初の導入国となっています。フランス空軍では旧式化したトランザールC-160輸送機やC-130輸送機の後継機として位置付けられておりフランスの中東アフリカ地域への戦力投射を支える。

 A-400M輸送機は空挺部隊運用の際には116名が落下傘を装備して搭乗でき、また低高度での自動操縦性能が高く戦術輸送機としては超低高度を長距離飛行する事が可能であり、更にC-17とC-130の中間程度の輸送力などの特徴を有しており、また欧州ではCOVID-19新型コロナウィルス感染拡大を受け医療物資輸送などにも重要な任務を担っています。
■最後の定期整備受けたC-160
 C-160はC-130の双発型というような欧州が開発した古いが手堅い戦術輸送機です。

 ドイツ空軍は最後の定期整備を受けたC-160トランザール輸送機をエアバス社より受領した。C-160トランザール輸送機は欧州共同開発の戦術輸送機で搭載能力は8tと航空自衛隊のC-1輸送機並であるが、胴体容積を大きく確保していることから重量は軽いものの大型の装備品を空輸可能で、狭い欧州NATO第一線での空輸作戦を念頭に置いた設計である。

 C-160トランザール輸送機の初飛行は1963年、フランス空軍やドイツ空軍に幅広く採用された傑作輸送機であったが、後継機にエアバスA-400M輸送機が開発されている。しかしこのA-400M輸送機の大幅な開発遅延によりドイツ空軍ではC-160の運用を継続してきたが、今回A-400Mの数が揃った事もあり最後の定期整備となった。数年内に完全退役する。
■ポーランド空軍の中古C-130
 日本も採用していますC-130Hも長い時代を歩む航空機ですね。

 ポーランド空軍は中古C-130H輸送機5機をアメリカ空軍より導入するとのこと。ポーランド空軍は現在アメリカよりC-130E輸送機を5機導入しましたが、数は充分でなく更に3機を長期貸与されポビツ基地第33輸送航空隊において運用していますが、C-130E輸送機は老朽化が進んでおり、2機は近く用途廃止され1機はアメリカへ返還される計画です。

 中古C-130H輸送機5機はアメリカ国防総省の進める余剰装備品供与計画により引き渡されるもので、1985年に製造されました。ポーランド軍に配備されるC-130Eは1970年に製造されたもので、これよりは新しい機体です。エンジンはアリソンT56-A-15ターボプロップエンジンに更新されており、これは1990年代半ばの製造機に搭載されるエンジンです。
■韓国空軍のF-15K改修費用
 日本のF-15近代化改修費用が爆発的予算超過となりましたが隣国韓国でも同じもよう、ボーイングのどんぶり勘定はこの他にKC-46などでも問題化している。

 韓国空軍のF-15K戦闘爆撃機についてその一機あたりの改修費用が邦貨換算67億円に達するとして、韓国国内において大きな論争となっています。韓国空軍は59機のF-15K戦闘爆撃機を運用していますが、4月21日付朝鮮日報によれば59機の改修費用にボーイング社が提示した費用が4兆6000億ウォンに達するとのことで当初見積もりの倍以上という。

 F-15K一機に換算すると688億ウォンで邦貨換算67億円、これは59機のF-15Kを近代化改修する費用で新造のF-15Kを30機調達できることとなります。ボーイング社のF-15に関する論点では日本の航空自衛隊向けF-15J近代化改修費用の見積もりが当初見積もりの三倍以上に増大し中止となったばかりで、コスト管理の甘さが韓国でも表面化しました。
■ラファールウクライナ供与提案
 ラファールは一時期輸出に苦慮していましたがユーロファイターの様々な問題が表面化すると期待急上昇となっている印象ですね。

 フランス政府はラファール戦闘機のウクライナ供与を提案する方向で調整中です。これは2021年内に予定されているマクロン大統領のウクライナ訪問に際しウクライナ空軍次期戦闘機計画へフランスが提案を行う用意がある、と駐ウクライナ大使館のポンシンフランス大使が表明したもの。ウクライナでは2020年5月に“空軍構想2035”を発表している。

 MiG-29戦闘機老朽化を受けて行われるウクライナ空軍次期戦闘機計画では2030年までに75億ユーロを投じて36機から42機の第4.5世代戦闘機を導入する計画です。ウクライナへはアメリカがF-16Vを提案している他、スウェーデンがグリペンを提案しており、ここにフランスもラファール戦闘機を提案する構図、初号機は2023年納入を予定しています。
■EABO遠征局地基地作戦能力
 F-35Bの前線滑走路での運用は航空自衛隊も南西諸島で検討しているものと同じ。

 アメリカ海兵隊は4月6日、F-35B戦闘機と想定応急滑走路を用いた初のEABO遠征局地基地作戦能力試験を実施しまました。これは第3海兵航空団代122海兵戦闘飛行隊がカリフォルニア州ユマ海兵航空基地において実施したもので、太平洋上の島嶼部戦闘などで必要となるであろう野戦飛行場を想定した極めて短い滑走施設からの発着を想定しました。

 F-35B戦闘機の前任であるAV-8攻撃機もその更に前任のA-4攻撃機もアメリカ海兵隊において前線飛行場に展開し、第一線で戦う海兵地上戦闘部隊へ必要な近接航空支援を実施しています、A-4攻撃機の後継であるAV-8攻撃機は垂直離着陸が可能であり、最前線に隣接する地域に鉄板を敷いた簡素な前線飛行場を分散秘匿し、運用する訓練を行っています。

 EABO遠征局地基地作戦が想定するものは既存の海兵航空基地や強襲揚陸艦の支援から独立し、また基地が破壊された場合でも離島に所在する港湾の埠頭舗装部分や高速道路等に展開する事に主眼が置かれており、この能力を構築する事でアメリカ海兵隊は海軍艦艇の支援を受けずして太平洋上に広く第五世代戦闘機の作戦空域を展開させることができます。
■デンマーク空軍初のF-35
 デンマークはF-35開発パートナー国なのですが引き渡しに時間を掛かっている印象だ。

 デンマーク空軍は4月7日、初のF-35戦闘機を受領しました。デンマーク空軍のF-35戦闘機初号機はL-001号機、戦闘機はデンマーク空軍の所管となりますが、機体はアメリカ本土に置かれ、アメリカ空軍第56戦闘航空団第308戦闘飛行隊の支援を受け操縦訓練や整備訓練等を行うとのこと。デンマーク空軍は2016年に27機のF-35導入を決定しました。

 F-35戦闘機のデンマーク本土配備は2023年が予定され、デンマーク南部のスクリュズストロプ空軍基地へ配備されます。基地には現在、スクリュズストロプ戦闘航空団にF-16飛行隊である第727戦闘飛行隊と第730戦闘飛行隊、デンマーク海軍カーロプヘリコプター航空団の第722飛行隊分遣隊がEH101 Mk.512救難ヘリコプターを運用しています。
■イタリアユーロファイター配備
 イタリアと云えば1990年代までF-104が現役でしたが急成長が続く。

 イタリア空軍は第51戦闘航空団の第132戦闘飛行隊へユーロファイター戦闘機配備を開始させたとのこと。第51戦闘航空団はイタリア第四のユーロファイター飛行隊でイタリア北部イストラーナ空軍基地へ展開、飛行隊は現在のところユーロファイター戦闘機とAMX攻撃機を混成運用中だがAMXは退役予定でユーロファイターに一本化させる方針です。

 イタリア空軍はユーロファイター戦闘機95機を運用中であり、最終号機は2020年10月に納入されました。また並行してF-35戦闘機12機を配備中、F-35はF-35Aを60機とF-35Bを15機の75機導入する計画で、この他トーネード攻撃機54機とAMX攻撃機32機を運用中となっています。トーネードもF-35に置換えられる計画で、改編が進んでいます。
■MiG-35戦闘機に最新AI搭載
 F-16に対抗すべく開発されたMiG-29の改良型ですが更なる進歩を歩む。

 ロシアのMiGコーポレーション社はMiG-35戦闘機に最新のAI人工知能を搭載した敵味方識別装置を搭載する。これは4月10日にTASS通信インタビューに対しMiGコーポレーション広報担当者が語ったもので、AIがどのように目標を識別するかについては言及されていない。MiG-35は現在も、インド空軍次期戦闘機として売り込みが行われている。

 MiG-35戦闘機に搭載されるAI人工知能の用途であるが、一つの可能性として第五世代戦闘機などRCSレーダー反射面積の小さな航空機をレーダーが得た情報を虚像の中から識別する処理能力への応用、またもう一つの可能性としてはMiG-29時代から重視されているIRST前方赤外線探知装置による航空機判別へのAIによる処理能力強化等が考えられよう。
■民主化運動攻撃へ中国製無人機
 ミャンマーへは最早PKO部隊を送って兵力引き離しを行うほかないように思う。

 ミャンマーのクーデター軍事政権は民主化運動への攻撃へ中国製無人機CH-3Aを運用しています。これはイギリスの防衛専門誌ジェーンが報じたもので、CH-3A無人偵察機は対戦車ミサイル等が搭載可能な固定翼無人偵察機です。無人偵察機の用途については、民主化運動を行うデモ隊の動向を上空から監視し、集合分散を地上部隊へ伝送しているもよう。

 CH-3A無人偵察機は彩虹無人機としても知られCASC中国航天科技集団により開発、最大離陸重量は630kgで巡航速度は220km/h、航続距離は2400kmとされています。ミャンマー軍は2013年より10機から12機が輸出されたものとされ、ミャンマー中部のメイッティーラ基地に配備されています。このメイッティーラは旧称メイクテーラとして知られます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする