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京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

COVID-19政府緊急事態宣言-日本全土へ拡大,日本型法的自粛限界と未知数の欧州型都市封鎖

2020-04-17 20:19:16 | 国際・政治
■特定警戒13都道府県設定
 新型肺炎、展望狭き感染収束手法と着実な世界規模感染拡大、未知のウィルスに各国は選択肢と時間との戦いも含め模索を続けています。そして昨日、全国へ動きがあった。

 日本全土に緊急事態宣言布告、新型コロナウィルス肺炎の急速な感染拡大を受け政府は昨日4月16日、緊急に政府専門家諮問委員会を招集、新型コロナウィルス特別措置法に基づく緊急事態宣言布告地域を現在の7都府県に加え、日本全域に拡大する是非を討議し、その必要性を受けた事で緊急事態宣言布告地域を16日付で全国47都道府県へ拡大しました。

 特定警戒都道府県。危機的な感染拡大が続く都道府県として先んじ布告された東京都、大阪府、神奈川県、兵庫県、千葉県、埼玉県、福岡県、以上7都府県に加え、新たに北海道、茨城県、石川県、岐阜県、愛知県、京都府を加えた13都道府県を重点的な感染拡大防止措置実施地域とする方針です。政府はこの布告を5月6日、連休明けまで、としています。

 感染拡大、深刻です。日本国内の感染者数は9297名、本日17日1030時NHK集計時点の数字で昨日から574名増加しました。重篤患者はこのうち193名、そして死者数は昨日から11名増加し190名となりました。この数にはクルーズ船検疫隔離は含まれず、712名感染確認と4名の重篤及び13名の死者が出ています。なお全体で1563名が退院したという。

 新型肺炎は恐るべき疾病です。214万1854名が感染、ロイター通信が16日までに集計し17日1100時に報道した数字です。このうち治療中であるのは146万4149名で68.40%に当り、24.90%にあたる53万3961名が回復し退院しましたが、死者数は14万3744名であり、致死率は6.70%に達し、病院を出る五人に一人は息をしていないという数字です。

 致死率6.7%。勿論疫病には血液感染や接触感染の疾病ではエボラ出血熱やマールブルク熱にHIVエイズ等の更に高い致死率の事例はありますが、飛沫感染とエアロゾル感染という高い感染力を有する疾病、短期間で大量に感染拡大を引き起こす疾病のなかでは6.7%の致死率は、季節性インフルエンザの致死率が0.1%未満である事を考えれば、規格外といえる。

 東日本大震災20倍の40万の死者が日本国内で想定、政府専門家諮問委員会委員の医療崩壊が生じ感染拡大が続いた場合の概算です。アメリカCDCは当初最悪の場合は全米で200万が死亡、ドイツ内務省も最悪の数字としてドイツ国内で100万の死者を想定している為、ドイツよりも遥かに人口が多く高齢化の進む我が国では、40万の数字は寧ろ楽観的といえる数字です。
点は都市伝説的に報道の片隅を行き来していた命題ですが、CNNやAFP,ロイターといった報道機関が可能性の一つとしてアメリカ政府が調査した旨を対に報じました。しかしどうであれ、ウィルスの正体が不明である。実のところ懸念するのはこの点で、まだ出口戦略は全く、みえません。

 八割の接触機会を抑える事で初めて感染拡大を終息に転じる事が出来る、政府専門家諮問委員会の概算です。そして緊急事態宣言により駅前の人出はNHK報道で16日1500時時点では渋谷駅65.1%、横浜駅64.7%、川崎駅49.7%、大阪駅71.6%、難波駅62.9%、三ノ宮駅50.4%、福岡天神駅55.0%、一応は減少していますが、80%には程遠い実情がある。

 都市封鎖へ思いきった舵を切る必要もあるのではないか。上記数字ではあと一歩二歩で実現しそうではありますが、外出制限措置の厳しいイタリアで84%、スペインで82%、こうした実績があります。日本は法的自粛に留めるものの、求める成果は欧州並という厳しい水準を期していまして、欧州や北米の様な惨状を回避するには、決断は不要なのでしょうか。

 都市封鎖か法的自粛か。現在のところ我が国におけるコロナウィルス感染拡大対策は新型コロナウィルス対策特別措置法にもとづく緊急事態宣言の布告により法的な自粛要請の権限を都道府県知事へ付与する、こうした方式を用いています。これは政府が再三示す通り、法的拘束力を持つ外出禁止ではなく自粛要請であり、都市封鎖では明白にありません。

 法的自粛。対して都市封鎖は中国が一月下旬に感染源である武漢で実施したのを皮切りに、当初は欧米諸国で同様の措置は不可能と懸念されつつ、しかし、大規模感染が発生したイタリアが二月末に北部地域で実施したのを筆頭に、イタリア全土、スペイン全土、フランス全土、ドイツ等、欧州諸国はこの施策を一斉に踏襲し、罰則とともに外出を禁じました。

 経済的影響について。実のところ現時点では法的自粛要請の方式が経済的影響を抑えることが出来ています、ただ、現時点の視点であり、都市封鎖も法的自粛もどちらが感染鎮圧への決定打となるのかは、新型コロナウィルス感染拡大阻止に双方とも過程にあることから、経過観察を継続しなければどちらが正解であるのか、世界中が注目している状況です。

 欧州での都市封鎖は中国ほど強制力を有しているものではなく、実際、都市封鎖ロックアウトに際して中国では山道に岩を並べ道路を煉瓦にて物理封鎖していたころから、あれがロック(岩)アウトだ、出来ない、と揶揄されていました。しかし、欧州の都市封鎖は結局、日本とは比較にならないほど徹底したものであり、当然、経済も停滞してしまいました。

 日本方式、感染拡大を収束させるに留まらず、終息させるには、結果論として日本の法的自粛は不徹底なものといわざるを得ません、しかし、治療薬の開発かワクチンの開発、これは早ければ来年にも量産できる、それまで遅滞行動を執ることが主眼といえるでしょう。一方で、都市封鎖であればまったく感染者がでない状況で二週間を経れば終息とできる。

 終息宣言。これが世界を正常な状況へ回帰させる分水嶺となります。ただこの視点に立ちますと、日本方式はどう頑張ったとして、小規模なクラスター感染が再発する状況が続き、治療薬かワクチン開発を待たねばなりません。即ち一年程度は要することを意味しますが、中国の武漢方式であれば、最短三ヶ月程度で一定の成果を示すことが出来るのですね。

 日本の法的自粛要請の問題点は、爆発的感染を防ぐことが主眼ですが、煙る野火のように先が見えない長期化が懸念される点で、仮に都市封鎖をおこなう欧州が完全な鎮圧に成功し、アメリカも新規の患者が全く出ない状況となり、経済活動が再起動した際、日本には地域的なクラスター感染が継続する、そうした状況が続いていることとなるのですね。

 都市封鎖が確実な終息への王道、こう確立するのであれば、日本の法的自粛方式は終息が治療法確立かワクチン完成を待つものであるため、残念ながら長期化を是認し悪手であった、と後世に評価される可能性もあります。しかし問題は、欧州の都市封鎖は鎮静の兆しが見えているものの、感染拡大はゆっくりですが確実に継続している、という点にある。

 欧州や北米が通常状態まで復帰した際に、日本だけが感染拡大を抑えてはいるものの完全に終息させていない、こうした懸念があります。即ち経済的影響が現状のまま推移する、という事です。すると、選択肢に欧州方式の都市封鎖を検討する必要も出てきます。ただ、この問題は正解がありません、都市封鎖にもまた感染終息への確実な保証はありません。

 物理的ロックアウト、中国方式をこう仮称しましょう。武漢市内では二ヶ月に及ぶ都市封鎖が解除されたと3月末に報じられた際、実態を見ますと武漢に入ることが解除されたが出ることは出来ない、という。4月初旬に武漢は開放されたと報じられ出入り自由となったと報じられましたが四月中旬時点でさえ、現実、市内の一部地域封鎖が継続されています。

 収束したが終息までは至っていないのではないか、こう懸念しますのは無発症患者数を中国政府は三月下旬に発表の方針を示したものの四月中旬で発表していません、また、武漢市内は漢江に沿って三都市を統合し創設された、非常に広範囲の市域を有する都市ですから、物理的ロックアウトが実際に効果を示したのか、確たる結論が未だに未知数なのです。

 都市封鎖の難点は、医療機能を含め全ての機能を封じてしまう点です。日本では工場稼働やテレワークという選択肢、それ以外の場合は通勤した場合でも罰則はありません。しかし、通勤や工場稼働をも封じる封鎖措置、簡単には選択せきませんが、概ね二ヶ月程度実施することである程度の効果はあるようで、問題は経済損益に見合うのか、という事です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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