北大路機関

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ひゅうが&いせ掃海隊群移管可能性(3)航空機搭載,全通飛行甲板型護衛艦の水陸両用作戦能力

2019-04-02 20:17:10 | 防衛・安全保障
■おおすみ型輸送艦を支援
 掃海隊群は30FFMの大量配備により一種の第二護衛艦隊へと展開してゆくのではないか、とした前回の続き。

 ひゅうが型護衛艦の掃海隊群移管可能性について、当然ですが護衛艦隊はこうした運用を発表していません。私見としてF-35B搭載改修が護衛艦いずも型のみに集中しているために海上自衛隊が護衛艦ひゅうが型について、なにか、いずも型とは異なる運用を想定しているのではないか、という推測に依拠するものです。しかし、掃海隊群の任務は今後多様化する。

 30FFMは62口径5インチ砲を搭載します。3900t型護衛艦ですが、3500t型護衛艦として建造されました護衛艦あさぎり型、4400t型護衛艦として建造されました護衛艦むらさめ型が3インチ砲を搭載していますので、5インチ砲の採用は一種意外ともいえたのですが、掃海隊群へ配備するので有れば、強力な艦砲は有る種必須だ、両用作戦を支援するために。

 掃海隊群の任務は現時点で既に輸送艦おおすみ型3隻を隷下に有しています。両用作戦を考えれば自衛艦隊隷下の第1輸送隊であった当時よりも掃海隊群隷下に入り幕僚規模は三倍となっており、水陸両用作戦の包括指揮能力は相応に高まり、沿岸部に接近する輸送艦艦上でなく、元々高い旗艦機能を有する掃海母艦から指揮統制できる意味は非常に大きい。

 うらが型の指揮統制能力は高いのですが、掃海隊群に前述したとおり、MCH-101掃海輸送ヘリコプターを搭載できる母艦がありませんので、水陸両用作戦に必須のヘリコプターを搭載する母艦がありません。新防衛大綱検討時点では多用途運用母艦という揚陸艦の建造が検討された旨の報道はありましたが、結局新し輸送艦の建造は、実現しませんでした。

 おおすみ型輸送艦は全通飛行甲板型形状を採用しています。しかし航空機運用は苦手だ。露天甲板のうち航空機発着区画は後部の2箇所のみ、ヘリコプタースポット2箇所が配置されています。露天甲板前部は車両甲板となっているのですね。艦内に臨時にUH-1J多用途ヘリコプターの収容事例はありますが、発着専用で基本的に母艦運用能力はありません。

 UH-60JA多用途ヘリコプターを国際貢献任務、インドネシア津波災害国際緊急援助隊へ臨時搭載した事例は過去にありますが、艦内の車両甲板へ車両用エレベーターで搭載する苦肉の策を講じ、UH-60JAはローター長さが大きすぎたために車両甲板収容時はローターを整備員が取り外し胴体のみを収容する、長時間を要し、面倒な搭載方法をとっていました。

 ひゅうが型であれば、SH-60J/K哨戒ヘリコプターがローターを展開させたまま格納庫へ搭載可能ですし、なによりヘリコプター搭載護衛艦なのですから、おおすみ型輸送艦には無かった航空機燃料区画が十分に確保されています。またなにより、水陸両用作戦を行うので有ればMCH-101掃海輸送ヘリコプターそのものを陸上自衛隊輸送へ充てる事も可能だ。

 航空中枢艦として、ひゅうが型は掃海隊群の水陸両用作戦任務へも対応しうる訳ですね。特に航空中枢艦は、航空機の航続距離が非常に長いのですから危険を冒して沿岸部へ接近する必要がありません。その上で、ひゅうが型には対潜戦闘能力や対空戦闘能力で卓越した能力が、なにしろ対潜ソナーから僚艦防空能力まで、備えられており、強い護衛艦です。

 指揮統制能力は、うらが型掃海母艦と比較してさえ、一段上の能力を有しています。多目的区画はシンポジウムを艦内で開催できるほどのものがありまして、実際護衛艦ひゅうが、は2011年東日本大震災において指揮中枢艦として東京の政府と仙台駐屯地の統合任務部隊司令部や第七艦隊との調整を同時並行できました。両用作戦での中枢艦も担えましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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コメント (1)
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