北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

北海道胆振東部地震(平成三〇年胆振東部地震)震度七道内観測史上初,山岳崩壊と道内全域停電

2018-09-06 20:00:18 | 防災・災害派遣
■北海道全域に災害救助法適用
 本日0308時に発生した北海道胆振地方を震源とするマグニチュード6.7の地震、北海道厚真町の地震は気象庁が観測情報を計測した結果、震度七の揺れが発生していたことが判明しました。

 平成三〇年胆振東部地震、気象庁は今回の北海道胆振地方東部地震を平成三〇年胆振東部地震と命名しました。震源地は北海道胆振地方中東部で震源の深さは37km、今回の地震は震源地付近で大規模な土砂崩れ、山岳崩壊としか表現できない規模の土砂災害を及ぼすと共に北海道全域が停電し、停電により鉄道や道路交通へ影響が生じ、この点で前例がない。

 震度7が北海道で観測されたのは初となる。北海道南西沖地震、1993年7月12日に発生したマグニチュード7.8では奥尻島で震度6が観測され、2003年9月26日に発生した平成十五年十勝沖地震はマグニチュード8.0で最大震度は新冠町や静内町と浦河町や鹿追町等で震度6弱、1968年の十勝沖三陸沖北部地震はマグニチュード7.9で最大震度5でした。

 5名死亡4名心肺停止31名行方不明、本日1700時時点で北海道庁や北海道警が発表しました。死者は厚真町で複数、むかわ町、新ひだか町、札幌市、以上で1名が死亡しました。厚真町では2kmに渡り震源付近の山間部が大規模な土砂崩れを引き起こし、山体崩壊というべき被害に同町の吉野地区と富里地区と幌内地区で31名の行方不明者が発生、現在捜索中となっている。

 厚真町の山岳崩壊、山間部の森林が広範囲にわたり地滑りの様に剥け崩落しました。熊本地震における南阿蘇町と似た様相で、原因は不明ですが厚真町は震源付近であると共に山間部は近傍の千歳市樽前山噴火に伴う火山性地形であることから、有史以前も含め巨大噴火が繰り返し火山砕屑物や火砕堆積物等が表層部ごと地震にて崩落した可能性があります。

 第7師団、今回の地震は東千歳駐屯地に司令部を置く機甲師団管内で発生しました。北海道知事からの自衛隊への災害派遣要請を受け、第7師団は初動として4000名規模の災害派遣を開始、順次派遣規模を拡大し本日正午ごろには4900名を現場へ派遣しました。自衛隊の任務は土砂崩れ被災地での道路啓開、被災地での給水支援、電力供給等多岐に登ります。

 北部方面隊に加え隣接方面隊支援として東北方面隊の増援が決定し、明日朝にも仙台港より輸送艦おおすみ、により施設科部隊装備を北海道へ派遣する方針とのことです。また防衛省では経済産業省や厚生労働省との調整により、北海道内の大規模な停電に対し、電源車等給電装置の輸送支援も検討しているといい、当面は2万5000名規模の派遣を行う。

 北海道全域の停電、未曽有の事態です。地震発生の本日0308時より昼過ぎまで約10時間に渡り停電するという状況は北海道電力発足後では初めてではないでしょうか。停電は北海道経済を完全に停滞させ、JR北海道は全線で架線や信号機と券売機を含めた全ての施設が停止し、路線バスさえ信号機停止により運行できない状況、停電が最大問題といえます。

 北海道電力需要は直近の5日ピーク時で380万kWとのこと。最大の火力発電所はタービン施設等に損傷が確認された為、発電能力の回復は一週間かかる事から経済産業省と北海道電力は、出力25万kWの砂川火力発電所を再稼働、東北電力からの海底電気ケーブルを用いて最大60万kWの電力供給を行い、政府によれば今夜中に100万kWの供給を目指す。

 伊達と知内の火力発電所の復旧は明日7日にも実施され、明日には290万kWの供給を行えるよう政府と北海道電力及び全国の電力会社各社は取り組んでいるとのこと。砂川火力発電所の再稼働により、札幌市と旭川市や名寄市の電力供給が部分的に再開し、札幌中心部では信号機が点灯、大通公園札幌テレビ塔デジタル時計も再稼働を開始したとのこと。

 経済産業省では北海道全域の停電に対し、自家発電用燃料の輸送に本州島からの燃料輸送に自衛隊協力を検討するよう大臣指示が出されると共に、病院や上下水道どの病院で電力が不足するのか厚生労働省と調整し連携するよう命令、砂川火力発電所運転再開により札幌中心部と旭川一部へ送電が再開されたとはいえ、未曽有の停電へ対応が急がれています。

 北海道電力によれば1600時の時点で復旧が進み、札幌市と旭川市と苫小牧市に室蘭市及び安平町等28自治体の一部地域32万9000戸で電力供給が再開、残る停電は260万戸です。奈井江火力発電所と知内火力発電所の再稼働を今夜中にも完了させる方針で、経済産業省によれば今夜中に水力発電所発電と合せ120万kWの道内供給再開を目指す、とのこと。

 泊原発外部電源喪失、最大の懸案は本日1300時過ぎにすべて復旧しました。冷温停止中の原発も原子炉燃料棒は崩壊熱を放出し続けており冷却停止となれば暴走し最悪の場合は炉心融解まで達します。外部電源は元々三系統六回線あり、今朝の地震発生後0325時には六回線全てが寸断、非常用電源で冷却を続けましたが一応一系統一回線が復旧、引き続き復旧作業中です。

 札幌市は1995年阪神大震災における神戸市のような大規模な被害は今回発生しておらず幸いでした。札幌市内では清田区の丘陵地の盛り土住宅街において液状化現象による被害が生じ、道路陥没などが札幌市北区で発生しまして、住宅被害もかなりのものとなりましたが、市街地が広範被災する阪神大震災神戸市長田野のような大火災は今回起きていません。

 交通復旧について。JR北海道は本日すべての列車を始発から運休しています。正午過ぎまで稚内から函館まで北海道全域が停電し、架線や信号機を動かせず、又停電により踏切遮断器等が下りたままとなり自動車通行へも影響が生じていました。JR北海道では明日正午まで全列車運行中止を決定、今後電力供給を待って安全確認の後運行再開を行うとのこと。

 新千歳空港、飛行場機能は維持されていますが本日全便運休となりました。ターミナルビル管理会社である新千歳空港ターミナルビルディングはターミナルビルの天井落下や手荷物管理システムの停止により、千歳空港への電力供給が再開された場合でも、システム点検などが必要である事から、運航再開まで更に半日を要追記するものと見通しを示しています。

 【2330時追記】空港再開について、NHK報道によれば新千歳空港は夕刻から電力供給が回復し、本日2130時頃、停電から回復する事となり通常電力へ切り替わったとの事です。当初は電力回復から旅客機運行再開まで半日程度を要するとしてきましたが、航空各社は電力供給回復を受け今夜中に運航スケジュール調整を行い、明日7日から運行再開を目指しているとのこと。

 停電について経済産業省は今夜中に120万戸分にあたる150万kWの発電を達成する方針とのことで、政府も明朝までに100世帯分の電力供給回復の方針で様々な施策を進めています。北海道電力は保有する25台の電源車を主要な病院等の社会インフラ維持へ充てると共に全国電力各社から150台の電源車確保を進めており、明日中に35台が到着する見込み。

 携帯電話基地局、長期化する停電により影響が生じ始めています。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク各社の携帯電話が北海道内で繋がりにくくなっている、本日2232時NHK報道がりました。元々携帯電話基地局は停電時に非常用電源で交換を維持しますが、既に発災から19時間近くを経ており、携帯電話各社は移動基地局と発電装置手配を進めています。

 札幌市清田区での液状化と見られる現象、当初は水道管破裂と報じられていましたが1420時NHK報道によれば専門家の分析として液状化現象であると報じています。その専門家の話として今回液状化現象が発生した清田区里塚では過去の1968年と2003年に発生した十勝沖地震などでも同地では液状化現象が発生しているとのこと。JR北海道運転再開について、明日午後から北海道新幹線運行再開を目指し調整中との事、在来線運行再開見通しは立っていない。

 石狩低地東縁断層帯、政府地震調査委員会は警戒を続けてきました今回の震源地付近に存在が確認されている石狩低地東縁断層帯と今回の地震震源を慎重に検証した結果、今回の地震は石狩低地東縁断層帯を原因とするものではないとしており、一方今回の地震発生により周辺の断層帯が地震を起こしやすくなったとして、特に注意を要するとしています。

 平成三〇年北海道胆振東部地震と命名した気象庁は、石狩低地東縁断層帯も含め今後一週間程度震度七程度の地震に注意するよう呼びかけています。また気象庁では今後震源地となった地域付近では降雨が予想されており、揺れの強かった地域では家屋倒壊と土砂災害などの危険性が高まっているとして、地震活動や雨の状況に注意するよう呼びかけました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防災速報】北海道地震M6.7:道央道南被害道内全域停電,千歳空港閉鎖とJR北海道全運休

2018-09-06 07:00:07 | 防災・災害派遣
■北海道で震度六強
地震に関する速報です。第一報として本日0700時に速報を掲載し、1215時に記事を大幅に補強しました。

北海道で地震が発生しました。第二北大路機関で情報集積中で、順次北大路機関防災情報として情報は随時更新されます。本情報は大規模災害時の流言飛語防止の観点から、全てNHK報道、NHK中継での政府公式会見、中央省庁公式情報、以上を情報源として掲載しています。第二北大路機関では本日0605時の第一報以降順次情報を掲載中ですが、以下に1200時時点での情報をまとめました。

地震発生から現時点1212時時点で九時間が経過しています。そこで、現在の情報という事でNHK報道をまとめました。現地の現時点の写真を撮影できないため、第一報の最初の二枚は航空自衛隊千歳基地の、まだ以降の写真は被災地を警備隊区としている陸上自衛隊第7師団の写真と共に紹介しています。現在自衛隊は、4000名規模の災害派遣を実施中で2万5000名体制まで拡大し対応すると政府が発表しました。

本日6日0308時、北海道安平町付近を震源とする震度6強の地震が発生しました。安平町付近と記載したのは気象庁地震計が震源地付近で機能停止となっている為です。この安平町は札幌市から90kmの距離にあり、新千歳空港のある千歳市から東南に20km、夕張市から真南に70km、フェリー等が入港する苫小牧市から北東に50kmの立地にあります。

土砂崩れが人命に関わる最大の被害です。厚真町とむかわ町では詳しい地震データが入っていません。厚真町では大規模な土砂崩れが町内三箇所で発生しているほか、厚真町では町内の山間部吉野地区と富里地区と高丘地区で土砂崩れが発生、NHK1035時報道では32名、NHK1100時の報道では39名と多数の行方不明者が出ており、救助活動が展開中です。

土砂崩れの要因ですが火山性地形が考えられる。厚真町付近には火山爆発指数5の大噴火を1739年に起こした千歳市の樽前山があり、過去一万年に五回のプリニー式噴火を引き起こしています。これは富士山宝永噴火と同規模で、周辺地形は火山堆積物の上に植生が広がる地形で、直下型地震で火山性地形の表層部が一斉に地すべりを起こした可能性がある。

震度を市町村ごとに挙げますと、震度6強が安平町、震度6弱が千歳市、震度5強が札幌市北区、苫小牧市、江別市、三笠市、恵庭市、長沼町、新ひだか町、震度5弱が函館市、室蘭市、岩見沢市、登別市、伊達市、北広島市、石狩市、新篠津村、南幌町、由仁町、栗山町、白老町です。道南の多くは震度4から3ですが函館市では震度5弱を観測しました。

死傷者について、NHK1044時報道によれば少なくとも負傷者127名と 32名が安否不明となっています。1057時のNHK報道では北海道庁の発表として、むかわ町で1名の死亡が確認されたとのこと。また、札幌市災害対策本部がまとめた情報によれば、本日0800時の時点で負傷者87名が出ている他、札幌市内での被害通報は発表で399件に上るとのこと。

原発の情報です。北海道内には札幌市から西へ100km離れた泊村に北海道電力泊原子力発電所があり、3基の原子炉が現在東日本大震災後の停止状態にあります。原発は停止状態であっても冷却が停止した場合は崩壊熱により原子炉が暴走し炉心融解に至る危険がありますが、現在北海道全域が停電中で外部電源喪失状態にあり、非常用電源が冷却中とのこと。

停電、発災から七時間を経ても北海道内は地震発生と同時に稚内から函館までの全域で停電中です。これは震源に近い厚真町に北海道最大の苫東厚真発電所が操業しており、北海道電力総発電量795.7万kWに対し厚真町と苫小牧の三箇所の火力発電所だけで260万kWを発電しています。206万kWの泊原発が停止中で元々道内電力供給は逼迫していました。

苫東厚真発電所は施設が損傷している、1121時の菅官房長官記者会見で発表されています。北海道電力では火力発電所が地震発生を受けすべて同時に停止させたことで295万戸が停電した為、信号機や高速道路ゲートを含め広範囲に断水しているほか、携帯電話等も一部でつながりにくい状況となっており、JR在来線や第三セクター、地下鉄市電も停止中です。

停電復旧へ北海道電力では水力発電所を利用する事としており、道内は揚水式水力発電所として静内川の高見発電所、新冠川の新冠発電所、尻別川の京極発電所が合計80万kWの発電量を、石狩川系ダム水路式の滝里発電所、豊平発電所、雨竜発電所が合計16万kWの発電量がある為、まずこの電力を用いて順次道内の火力発電所再稼働を開始する方針です。

病院について、全域停電中の道内では災害拠点病院の内少なくとも20か所が自家発電装置により患者受け入れを行っていると0808時NHK報道にあり、1031時のNHK報道では加藤厚生労働大臣の厚生労働省災害対策本部会議の後に、災害対策拠点病院の自家発電等に触れたうえで、救急患者の受け入れ自体を中止している病院はない、と発表しています。

ここからは1245時追記分、千歳基地の写真とともに。札幌市内の被害では市内で液状化が確認されているほか、室内での店頭や落下物により負傷者が発生しています。札幌市の被害は清田区において水道管破裂による土砂流失が発生しており、報道映像を見る限りには勾配に沿って道路上を土砂が流れ出て堆積している事から、水道管破裂という情報と共に液状化の特性と一致、液状化現象の可能性があります。

札幌市ではこのほか、北区において大規模な道路の陥没などが発生しています。札幌市北区は小樽市に近く、震源から若干距離がありますが、北区を中心に87名の負傷者が発生しています。苫小牧港では液状化による沈下が確認されました。NHK1046時報道によれば東港区コンテナターミナルと西港区埠頭で液状化が確認され、埠頭が10cm沈下したとのこと。

新千歳空港は閉鎖、旭川空港は通常運航となっています。新千歳空港は航空機発着が可能で航空自衛隊千歳基地を中心に航空救助拠点となる事が予想されます、滑走路などの発着施設や航空管制施設は機能しますが、千歳空港ターミナルビル管理会社によればターミナルビルに被害が生じ、本日6日一杯閉鎖するとのこと。旭川空港は自家発電で運行中です。

帯広空港も自家発電により旅客機の運行と空港ターミナルビルの運営が可能とのことで、旭川空港と帯広空港の羽田便は予定通り運航するとNHK報道がありました。一方、1240時時点でJR北海道は停電により北海道新幹線を含めたすべての列車が運行できず、NHKの札幌駅からの中継によれば券売機も停止しているとのこと。復旧の目途も立ちません。

フェリー海路での北海道への移動ですが、青森と大間から航路が運行中です。NHK1133時報道によれば津軽海峡フェリーの函館青森航路は運休中ですが、津軽海峡フェリーの函館大間航路は運行されているとのこと。青函フェリーは函館と青森の航路を運航している他、ハートランドフェリーの道内奥尻と江差航路と奥尻とせたな航路も運行中とのことです。以上が1244時までの更新です。

1255時更新、空港について、釧路空港と中標津空港は自家発電装置により通常運航するとの事ですが、釧路空港からの関西空港への便は関西空港閉鎖に伴い運休されるとのこと。女満別空港は1000時の便を最後に自家発電燃料が少なくなり運休になり空港は1400時に閉鎖されるとのこと。函館空港は新千歳空港便や成田便と中空便等、8便のみが欠航となっています。

泊原発は三号炉のみ外部電源が復旧しました、NHK1252時報道です。外部電源復旧は1213時とのこと。ただ、一号炉と二号炉の外部電源復旧はまだとのことで、非常用ディーゼル発電機が稼働しているとのこと。この他燃料貯蔵プールなどの冷却も非常用ディーゼル発電機により対応しているとのことで、東京電力などが電源車の派遣準備に当っています。以上が1255時の更新です。この他は第二北大路機関防災情報をご覧ください。


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