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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

アクラ級攻撃型原潜北海道沖に出現、宗谷海峡を通過! 第2航空群P-3Cが確認

2010-04-29 23:14:00 | 防衛・安全保障

◆ロシア軍の我が国周辺における状況

 中国海軍の活動にばかり注目されがちですが、我が国周辺状況を俯瞰しますとロシア軍の動静も慎重に観てゆく必要があります。

Img_6732_1  統合幕僚監部は、軍用機に対する緊急発進や日本周辺での脅威となり得る艦船の動向を発表しています。ここには中国海軍艦艇や空軍機の動向とともにロシア海軍艦艇、軍用機の情報も発表しています。今月は15日、16日に航空機が我が国防空識別圏内に進入し、戦闘機を緊急発進させて対応、26日と27日に潜水艦を含む水上戦闘艦の行動が確認されたとのことです。この中にアクラ級攻撃型原潜の行動が発表されていました、アクラ級は海上自衛隊最大の潜水艦の二倍以上あり、中国海軍の漢級原潜とは静粛性や攻撃力等で比較にならないほどの性能を有しています。本日はこの話題。

Img_6043  26日、グリシャⅤ型フリゲイトが宗谷岬沖西南西210kmの日本海上を北東に向かい航行しているのを八戸航空基地を発進した第2航空群のP-3C哨戒機が発見しました。警戒を継続したところ、同艦は宗谷海峡を東航したことが確認されたと発表されました。このグリシャⅤ型とともに翌27日、ロシア海軍のアクラ級攻撃型原潜が北海道宗谷岬沖東北東170kmのオホーツク海を西へ向かい航行しているのを、第2航空群のP-3Cが再度確認したのです。グリシャⅤ型とアクラ級攻撃型原潜はその日のうちに宗谷海峡を西航したのが確認されています。

Img_6988  ロシア海軍の動向としては2月27日に対馬海峡を満載排水量8500㌧のウダロイ級駆逐艦が航行して以来の事ですが、今回確認されたアクラ級はロシアでも最新鋭の攻撃型原潜です。ロシア海軍の原子力潜水艦には全面核戦争において潜水艦発射弾道弾を運用する戦略ミサイル原潜、射程の長い巡航ミサイルを運用し、米海軍の航空母艦など戦略目標を攻撃する原子力ミサイル原潜、そして専ら敵の潜水艦を攻撃する事を第一任務とする攻撃型原潜に分けられるのですが、アクラ級は1990年から就役が始まっており、攻撃型原潜の中で最新型となっています。

Img_6048  アクラ級は最高速力は28ノット、アメリカ海軍のロスアンジェルス級攻撃型原潜後期型よりも水中では静かに航行できる静粛性を特色としています。水中排水量9100~9500㌧、650㍉魚雷発射管と533㍉魚雷発射管を計8門搭載、魚雷や対艦ミサイルなど40発を搭載しています。650㍉魚雷は空母攻撃用に開発された超大型魚雷で核弾頭か450kg弾頭を搭載、射程27浬、速力50ノットで目標を撃破します。AIP推進方式の、そうりゅう型が水中排水量4200㌧、原子力潜水艦は原子炉が稼働している限り無限の水中行動能力があり、酸素までも海水の電気分解で得られ、食糧さえ続けば数ヶ月間の行動が可能です。ロシア海軍の行動は極東海域でも低調ではありますが、大型艦を運用しており、中国海軍以外にも脅威があることを示しています。

Img_9149  航空機について、今月の動向を見てみましょう。15日、ロシア空軍のTu-95爆撃機二機が千島列島沿いに南下、襟裳岬沖で転進し東京に向かう経路で飛行、航空自衛隊から戦闘機が緊急発進して対処しました。Tu-95は房総半島沖で転進、小笠原諸島に沿って飛行し北硫黄島北方において転進、根室半島沖までを同じ経路で飛行したのち、大きく転進、択捉島国後島間を通過し、そのまま宗谷海峡上空を飛行、ロシア沿海州方面へ飛び去りました。いわゆる東京急行という経路で、千歳、三沢、百里の航空機が対処したのでしょう。

Img_8282  続いて16日、今度は沿海州側から日本海へIl-20哨戒機が飛行、防空識別圏内へ進入、航空自衛隊は緊急発進を行いました。若狭湾へ一直線で飛行したのち日本海の公海上で対馬へ向かう経路に転進、隠岐島と竹島の間を飛行し山口県沖で再度転進、隠岐島沖で今度は能登半島方面へ転進し日本海沿岸を飛行、秋田県沖で北海道方面へ転向し北海道沖を飛行、そのまま沿海州へ戻りました。双方ともに領空侵犯には至らず、最初の海軍艦艇動向も領海侵犯には至っていませんが、マスメディアは周辺の軍事情勢について報道するとしても中国軍か北朝鮮軍の動向ばかり、何も報じないよりはまともではあるのですが、北方にも脅威がある、という事への認識は忘れてはならないと言えるでしょう。(参考資料・・・統幕HP:http://www.mod.go.jp/jso/press2010.htm)

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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