◆修理は、はるな建造の三菱重工長崎造船所
10月27日、関門海峡にて観艦式から佐世保基地への帰投中に韓国籍貨物船カリナスターの追突を受け、艦首部分が大破したヘリコプター搭載護衛艦であるが、この程修理計画の概要が公表された。
12月25日付の共同通信配信記事によれば、くらま修理を担当するのは三菱重工長崎造船所で、防衛省が随意契約で発注、修理費は総額9億4000万円となる見込み。三菱重工長崎造船所の発表によれば、修理開始は2010年1月末か2月上旬となり、6月頃にかけて修理を完了するとのことだ。
随意契約について、佐世保地方総監は、沖縄から山口までの総監部警備区内に修理できる業者がほかになかった、と説明している。くらま、は石川島播磨重工業東京工場において1981年に竣工したヘリコプター搭載護衛艦であるが、三菱造船長崎造船所は過去にヘリコプター搭載護衛艦の建造の実績がある。
三菱造船長崎造船所は、1973年にヘリコプター搭載護衛艦はるな、の建造を担った造船所であり、くわえて、たちかぜ型3隻、はたかぜ型2隻、こんごう型3隻など多数の護衛艦を建造した造船所として知られ、今回の、くらま修理に関しても、その高い技術を如何なく発揮することが期待される。
しらね型の、しらね、くらま、は対潜中枢艦として建造されており、艦首部分のOQS-101大出力ソナー、そして後部から繰り出す全長200㍍のSOQ-18曳航ソナーから得た情報を対潜情報システムTDPSを用いて解析することで、海洋条件にもよるが100km(一説には180km)以上先の潜水艦を発見することが可能だ。この艦首部のOQS-101が衝突により損傷していないかが、一つの問題点となったが、今回の修理費用などをみれば杞憂だったのかもしれない。
さて、くらま修理は来年六月までの時間を要するとのことだが、問題は、稼働状態のヘリコプター搭載護衛艦だ。第4護衛隊群ひえい、が稼働状態であるが、第1護衛隊群ひゅうが、は慣熟訓練中、第2護衛隊群くらま、は前述の通り、第3護衛隊群しらね、は現在舞鶴のユニバーサル造船にてCIC部分の修理中で、稼働状態のヘリコプター搭載護衛艦が、ひえい一隻のみなのだ。
ひゅうが型二番艦いせ就役は、2011年3月で、ひえい、が除籍され交代する。しらね型の後継艦となる護衛艦は、その次のヘリコプター搭載護衛艦で、平成22年度防衛予算に盛り込まれた19500㌧型護衛艦(22DDH)の完成は2015年3月となる見込みだ。22DDHが二隻揃うまでの期間、しらね型はヘリコプターを3隻搭載可能という重要な対潜中枢艦としての任務を全うしなければならない。
HARUNA
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