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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】第33普通科連隊-久居駐屯地創設61周年祭(1)33普連記念式典(2013-04-21)

2020-06-14 20:01:26 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■三重県の第33普通科連隊
 三重県久居には"三"繋がりか、かつて旧陸軍歩兵第三三連隊本営が置かれていました。そして同じ場所には現在第10師団隷下の第33普通科連隊が駐屯しています。

 入場する普通科隊員とUH-1HおよびV-107、V-107は流石に全てCH-47に置き換えられています。この二機も用途廃止航空機を展示しているものでして、これは近傍の陸上自衛隊航空学校本校の置かれる明野駐屯地が所在している故でしょう、なにか、自衛隊らしさ。

 入場する自衛官候補生と背景にはUH-1H多用途ヘリコプターにV-107輸送ヘリコプター。現在は既にUH-1Hは全て除籍され、強力なエンジンを積むなど改良したUH-1Jとエンジンを双発とする等したUH-2の評価試験が進んでいますが、この頃まだUH-1Hは現役です。

 朝日を浴びて整列する96WAPCと74TK、ここは三重県津市にある陸上自衛隊久居駐屯地、京都大阪名古屋から伊勢神宮へと至る近鉄久居駅、その駅前に整然と並ぶ建物群に大書された久居自衛隊、この建物が三重県を防衛警備管区として受け持つ部隊の駐屯地です。

 74式戦車の浮かぶ勇壮な輪郭。これから行われる記念式典へ待機する戦車を見上げる構図から。この久居駐屯地には第10師団の隷下部隊である第33普通科連隊が駐屯しています。普通科部隊は旧軍で言う歩兵、記念式典の支援へ遠く滋賀県から戦車部隊が展開している。

 82式指揮通信車の入場と待機車両の長い車列が続く。久居駐屯地は隣接して久居訓練場が配置され、訓練場は演習場のような射撃訓練などは行えませんが、三重県都市部は津市の近鉄電車駅前にある駐屯地、というには想像できないような広さを有している駐屯地です。

 式典開始時刻となり駐屯地から行進して久居訓練場へ入場してまいりました、自衛官候補生の入場を正面から撮影します。候補生というのは昔の新隊員、いまは昔のようにすんなりと入れてくれない、曹候補学生という制度があり、終身雇用時代は終わりを告げている。

 64式小銃を自衛官候補生たちは抱える。この64式小銃も陸上自衛隊では全廃され久しいですが、当時はまだ予備役部隊などにも残っていました、重量が4.4kgもありまして一眼レフに巨大な単焦点超望遠レンズを装着した重さがあります、毎日担ぐのは大変だろうなあ。

 第33普通科連隊の隊員も入場を開始、普通科隊員を正面から。89式小銃を携行している。この重量3.5kgで一眼レフに超望遠ズームレンズを装着したようなもの。64式がEOS-5Dに400mmF2.8ISを装着の重さ、89式小銃はEOS-7Dに100-400mmIS2とG3Xの重さ。

 第1中隊と第2中隊と車列や航空機を背景に入場が進む。V-107が背景に有りますと、もともと自衛隊は高度経済成長期に装甲車やミサイルよりもV-107を600機導入する案が、航空科に有りV-107も全日空が新幹線に対抗し新時代の基本交通手段を目指していました。

 連隊旗を奉じて副連隊長が入場する。指揮官の入場、普通科連隊というのは1200名の師団普通科連隊と650名の旅団普通科連隊というように区分されています。第33普通科連隊は師団普通科連隊であるのは前述の通りでして副連隊長とともに多数の中隊長や幕僚が並ぶ。

 連隊旗の到着と指揮官の敬礼、本部管理中隊長、第1中隊長、第2中隊長、第3中隊長、第4中隊長、対戦車中隊長、重迫撃砲中隊長、教育隊長、連隊人事幹部、連隊情報幹部、連隊訓練運用幹部、連隊補給整備幹部、中隊長や連隊幕僚だけでもこれだけ揃うのですね。

 中隊旗が旗の敬礼動作を行う、背景に並ぶのは軽装甲機動車。軽装甲機動車、陸上自衛隊を中心に広く配備されている小型装甲車で2000両以上が導入された小松製作所製装甲車です。そして2002年に中部方面隊で最初に慶応高機動者を受領したのが、この連隊なのです。

 連隊幹部の整列、後方支援連隊の指揮官も一人並ぶ。2000年代は変革の時代で、上記の軽装甲機動車など普通科の機械化が一挙に進み、結果、後方支援連隊整備大隊から普通科直接支援中隊を各連隊駐屯地へ分遣し、車両整備の支援を実施するようになっています。

 国旗へ敬礼、捧げ銃。整列を完了した部隊とともにいよいよ式典開始です。日章旗が式典会場へ到着しまして、われわれ観覧の一同も起立して国旗を迎えます。平和主義と国民主権を掲げた憲法と国家が有ってこそ、憲法と主権を守る 防衛力として自衛隊はあり得る。

 日章旗が登壇する。そして第33普通科連隊長、兼ねて久居駐屯地司令の古屋浩司連隊長も車両にて観閲台へ。古屋連隊長はこの久居駐屯地での連隊長を経て、しばらくののちに上級部隊である第10師団の師団司令部幕僚長、そして現在は宮城地方協力本部長にあたる。

 巡閲をおこなう古屋連隊長。詳しい方のお話によれば、古屋1佐は普通科幹部として一本、初の中隊長は山岳連隊として名高い第12師団第13普通科連隊、現在は旅団へ縮小されてしまいましたが険しい日本アルプスで部下を引っ張れる歩兵を地でゆく指揮官なのだとか。

 巡閲、会場は比較的広い。久居駐屯地、いやここは訓練場ですが式典会場は千僧の第3師団祭や守山の第10師団祭、練馬の第1師団祭よりも広い会場となっています、実際ここでは火炎放射器さえ実際に放射できるほどの面積がありますので、展示が行われるか楽しみ。

 連隊長の巡閲とともに敬礼する普通科隊員、そして並ぶ軽装甲機動車、さらに引退した航空機、と。自衛隊は機械化が遅れていた、識者など何気なく表現しますが有る意味的外れで、長らく空中機動を重視し航空打撃力と輸送能力を装甲車よりも重点的に整備しました。

 巡閲続く、重迫撃砲に対舟艇対戦車誘導弾が並ぶ。79式対舟艇対戦車誘導弾は通称重MAT,もともとは師団対戦車隊に配備されていたものですが、2002年の師団改編で第10師団が乙師団から戦略機動師団へ改編された際に全ての普通科連隊に対戦車中隊が置かれている。

 自衛官候補生も敬礼を行う。自衛官候補生、昔は曹候補士で入隊したらばほぼ定年まで奉職できましたが、人件費節減観点から七年以内に陸曹選抜に合格できなければ強制退職という曹候補学生という制度となった。彼らは候補生となってまだ数週間、様になっている。

 日章旗と整列した隊員たち。スタンド席にて撮影できた故の良い撮影環境です。この2013年当時の行事はまだ牧歌的で、地方の駐屯地祭ならば開門後に到着しても一般用スタンド席上段がまだ開いていたのですよね。いまは開門三時間前に並んでも最上段は厳しい。

 連隊長訓辞。この2013年行事というのは、3.11東日本大震災の記憶もまだ鮮明であるとともに南海トラフ巨大地震の危険性が大きく認識され、三重県を防衛警備管区とする第33普通科連隊には熊灘にめんした長大な海岸線をどう対応するか、防衛とならび課題だった。

 鈴木英敬知事の訓辞、2013年の様子です。西宮生まれで灘中灘高と東大へて通産官僚、2011年に36歳という史上最年少で県知事となった鈴木知事です。学歴経歴は凄い方ですが2020年代の鈴木県政を見ますと、逆に三重県民は若い知事を良く育てたなあ、と何か感心する。

 式典会場を18mm広角で写し込む、空が広い。式典会場の奥には、見えませんが伊勢湾が広がり、背後には直ぐ近鉄線、そして壮大な鈴鹿山脈が広がり、その奥に隣接して京都府が、という立地です。祝辞と祝電披露も終わりいよいよ、観閲行進準備の号令が掛かる。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【12】機動戦闘車の初公開(2016-01-10)

2020-05-31 20:19:07 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■明日の本土防衛担う新装備
 今日でいう16MCVこと16式機動戦闘車、評価試験進むその試作車両が一般初公開となりましたのがこの日でした。

 機動戦闘車、増加装甲を設計時点で標準装備、というものも。10式戦車のモジュール装甲採用により前例はあるのですけれども、ボルトオン式増加装甲の標準装備というものに、将来発展性を考えているのか、基本装甲が心もとないのか、少し考えてしまいましたね。

 機動戦闘車を正面から。この車輛は将来的に装甲戦闘車などに転用される事はあるのでしょうか、三菱重工ではプライベートベンチャーで開発している様子が海外の兵器見本市で紹介されていますが、付け焼刃的な、試製56式装甲人員輸送車の様な変な形状ではあった。

 機動戦闘車、車幅2.98mと道路運送車両法車両限界では特殊大型車両となる。ただ、機動砲の装甲戦闘車転用では、イタリアのフレシア装輪装甲戦闘車がチェンタウロ2戦車駆逐車の車体を転用しているのですね。105mm砲型から120mm砲型へ拡大した際の派生型だ。

 フランスのVBCI装輪装甲戦闘車は、650両が調達され、25mm機関砲等を一人用として、操縦手と砲手を車内配置、車長は歩兵分隊長を兼ねて後部兵員室からモニターを通して全般指揮に当り、下車戦闘の際には車長も降りて分隊を指揮するという、運用をしています。

 機動戦闘車はフロントエンジン方式である為、装輪装甲戦闘車の派生型は有り得る。ただ、駆動系は流用できるのですが、後部兵員室や砲塔基部を構成する車体は別物を再設計し、小型の25mm機関砲塔を採用する等、下車戦闘への人員確保の設計が選択肢でしょう。

 96式装甲戦闘車、小松製作所の国産装甲車です。装甲が薄いとか小型等言いたい放題の印象がありますが、日本の道路情勢に適合した実のところ傑作装備と思う。何より安価です。例えば、大き過ぎて役所に届けねば駐屯地から出られない汎用装甲車では話になりません。

 中距離多目的誘導弾、1セット5億円。これは元々普通科中隊の対戦車小隊へ大量配備される計画で、自衛隊の戦車減勢を受け、対戦車火力の強化を目指したもの。ただ、高価なミサイルを多数そろえるよりも、必要な戦車を揃える方が税金の有効利用のようにも思える。

 NBC偵察車、小松製作所は開発したもの。これを原型に、装輪装甲車(改)が開発されましたが、要求仕様は全て満たしていたにも関わらずこの翌々年に性能不充分として国が受け取りを拒否、小松製作所は意味が分からないとして、爾後の新規防衛事業撤退を発表した。

 03式中距離多目的誘導弾、2010年代に入り陸上自衛隊の地対空ミサイルは本来野戦防空用の装備でしたが、中国軍巡航ミサイル戦力の異常規模での増大を受け、航空自衛隊の弾道ミサイル防衛部隊穴埋めとして陸上自衛隊に巡航ミサイル防衛の新任務が付与されている。

 ペトリオットミサイルPAC-3,終末段階での弾道ミサイル迎撃を担うのですが、15kmから20km程度と迎撃範囲が限られ、この後にPAC-3-MSEとして防空能力を30kmまで広める改修が。将来的には長射程のスタンダードSM-6地上発射型等に置換えられるのだろうか。

 74式戦車、本州の戦車部隊はまだこの74敷居が主力だ、とは時代錯誤な発想で2019年時点で74式戦車は第3戦車大隊と第9戦車大隊に第10戦車大隊、第1戦車大隊の一部と第13戦車中隊、残りは僅か8個中隊だけとなっています。後継車は無く純減に近い状況だ。

 89式装甲戦闘車、前型の73式装甲車並みに350両程度が量産され、北海道に4個普通科連隊程度を充足する予定でしたが、68両で生産終了となり、機甲師団である第7師団の所要定数半数だけを確保して、生産終了となりました。政府は普通科部隊を重視するというが、ならばこれは必要です。

 87式自走高射機関砲、一応全国に高射中隊を配備すべく170両程造る予定でしたが、48両で生産終了、高度な電子装備を合わせ、北海道では第7高射特科連隊と第2高射特科大隊に配備されています。戦車数が削減される中、重要となる戦車を確実に防護するには、これも後継装備を考える必要が。

 CH-47JA輸送ヘリコプター、やはり目の前にしても見上げる程にその機体は全てが大きいですね。第1ヘリコプター団への集中配備が行われると共に、北関東の第12ヘリコプター隊、九州の西部方面航空隊、そして沖縄の第15ヘリコプター隊などに配備されています。

 AH-64D戦闘ヘリコプター、島嶼部防衛を考えますと特に必要な装備なのですが、今後の無人機の軍事利用を考えますと、多数の無人機に対し警戒監視を行い、対抗無人機の管制さえ可能、AH-64Dは単なる航空打撃力に留まらない重要なポテンシャルを有している。

 AH-1S対戦車ヘリコプター、富士重工がUH-1J多用途ヘリコプターの後継として双発のベル412を原型としたUH-2を開発しましたが、単純な航空打撃力のみに注力するならば、AH-1Sのシステムと運用思想をUH-2に盛り込んだ、AH-1Wの様なAH-2という選択肢も。

 こうして一通り装備品展示を巡ったのですが、やはり注目は本邦初公開となった機動戦闘車で、時間を追うと共に多くの見学者に包まれてゆきました。戦車ではありませんが、74式戦車の代替と昔の60式自走無反動砲の中間というような位置づけには、最適でしょう。

 習志野と共に年末年始頑張った当方は、少し遅い年始旅行という事で自衛隊最精鋭という事で名高い第1空挺団降下訓練始めを堪能しました、そして当方は次なる目的地、茨城県大洗町観光と神奈川県横須賀観光へ向かい、まずJR津田沼駅へと転進を開始した訳です。御帰りはこちら。

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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【11】中谷元防衛大臣の訓示(2016-01-10)

2020-05-17 20:16:56 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■大臣訓示と祝賀飛行
 平成28年第1空挺団降下訓練始の訓練展示はこうして完了しました、そして今朝一番に降下訓練塔から降下訓練体験を行いました防衛大臣の訓示です。

 第1空挺団降下訓練初めの完了と共に年頭に当たっての訓示、厳しい国際情勢と共に空挺団への期待を訓示しました。一般公開される自衛隊行事の中で防衛大臣が直接訓示するというものは、この習志野位ではないでしょうか。空挺団長以下中谷防衛大臣へ敬礼を行う。

 中谷防衛大臣が、訓示へ進む。中谷大臣は1990年以来議員奉職、第一次小泉内閣において第67代防衛庁長官を経験、第三次安倍内閣では再任され、今回の降下訓練始めを第14代防衛大臣として観閲、訓示を述べます。防衛大臣旗として五つの桜が並ぶ大臣旗がみえる。

 中谷防衛大臣による、第1空挺団降下訓練初めの完了と共に年頭に当たっての訓示、厳しい国際情勢と共に空挺団への期待を訓示しました。一方で政治には政府が自衛隊へ命じ、求める、厳しい任務へ臨む第一線へ必要な装備と補給を滞りなく行う義務があります。

 祝賀飛行へ。最初に四機のヘリコプターがこちらへ飛んでくる様子が。空挺団を支えたヘリコプター部隊は中谷大臣へ祝賀飛行を行う。観閲飛行の後に前期着陸して訓示を、という訳には航空機という特性上出来ない事から、編隊での祝賀飛行を行う事で代えています。

 AH-64D戦闘ヘリコプターを先頭に二機のAH-1S対戦車ヘリコプターとUH-1J多用途ヘリコプターが一機、確かUH-1J多用途ヘリコプターは二機と地雷敷設の機体が参加部隊にいたはずですが、他の支援等で展開しているのでしょうか、若しくは不測事態準備なのか。

 AH-1S対戦車ヘリコプターは96機が導入されたのですが、後継のAH-64D戦闘ヘリコプターは13機で調達終了、弾道ミサイル防衛の為の予算捻出を、性能不足という云いがかりで塗布しました。これが性能不足ならばアフガンやイラクでの破竹の戦果は何なのだろう。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが三機重なるような構図で、チヌーク三兄弟、というところか。よくみますと1機がJA型で残る2機はJ型ですね。川崎重工では延命改修に併せて、CH-47JのCH-47JA相当への近代化改修も継続的に行っています。まだまだ使う機体だ。

 輸送ヘリコプターの五機編隊、これで人員275名を空輸できる規模です。軽装甲機動車ならば吊下げ空輸と機内収容で10輌、機内には高機動車も入ります。救急車や消防車さえも、治具さえ取り付けるならば空中機動させる事が可能、大規模災害にも常に活躍しています。

 南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の懸念が残る中、特に輸送ヘリコプターは重要です。あの2011年東日本大震災においても、孤立地域救出から救援物資輸送に福島第一原発原子炉放水、果ては民心安定という成果まで出しました、全自衛隊で最も重要な機体の一つ。

 第1空挺団火消し部隊の出動だ。火消し部隊というと何か緊急展開部隊的な強そうな響きが残るのですが、こちらの火消し部隊は野火に備えるもの。過去に充分刈っておいた筈が疑爆筒の火花が引火し迫力ある状況になった事が、火消し部隊は重要だ。消防ともいう。

 中谷防衛大臣の訓示が訓練展示終了と共に開始されますので、訓練参加部隊は習志野訓練場の域内から急いで式典会場へ集合してゆきます、一方で火消し部隊は小火が火事となる前に火消しに向かう、こう書くと地域紛争の鎮圧に向かうような表現となるのはきのせい。

 87式自走高射機関砲の撤収、迫撃砲小隊の隊員が点呼し式典会場へ向かう準備を行う、とともに火消し部隊が焦げていそうな枯草へ片端から水を。この背負い式個人消火器材は山林火災に用いるもの、稀にサバイバルゲームで携帯放射器代わりに水掛に使うのもいる。

 空挺隊員が続々と集結する。戦闘防弾チョッキと小銃を装備し完璧な擬装を行っている方々は先ほどまで訓練展示に参加していた方、略帽と戦闘服だけの方々は来賓誘導や会場警備と式典案内等、支援に当っていた空挺隊員のみなさま。車両の擬装はどれも完璧だ。

 89式装甲戦闘車、富士学校の装備ですので車輌地区へ集結し、整備補給を追えて後に滝ヶ原駐屯地へ戻ります。この車体かMLRS基部の車体、再生産できるならば、これに16式機動戦闘車の砲塔を載せて装軌機動戦闘車、と出来ないか、少し考えてしまいましたね。

 10式戦車、皆さん真剣に集まって無数の写真を撮影しているので当方もカメラを取り増しますと、ご近所の方から、珍しい車両なのですか、と聞かれてしまいました。あ、いや、これ、“戦車を、洗車”と多分皆さんがカメラを向けている理由を説明しますと、引かれた。

 関西では戦車を洗車の写真等は鉄板ネタだと思うのですが、千葉の人は笑いに冷淡というのか、真面目な方が多いのでしょうか。でも駒門駐屯地祭や練馬駐屯地祭では戦車を洗車する様子などは中々見れませんし、一発ネタとして使える被写体が在れば、撮りますよね。

 機動戦闘車、本邦初公開となりました。報道公開以外で、ですが。この時点ではまだ16式機動戦闘車ではなく装備実験隊が評価試験を行う単なる機動戦闘車です。快晴の青空の下で最新鋭の代名詞というべき陸上自衛隊の新装備が、心なしか輝いているように見える。

 機動戦闘車は車体形状や増加装甲が微妙に各車両で違う、というもの。アメリカ軍のストライカーMGSを見た事がありますが、不思議と砲塔も大型ですし、車幅等はこちらの方が大きいのに専用設計という事で車体は全体的な印象としてコンパクトな印象を受けました。

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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【10】空中機動部隊戦果拡張(2016-01-10)

2020-04-19 20:00:44 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■ヘリボーン部隊の増援到着
 AH-1S対戦車ヘリコプターは減少が進み後継のAH-64D戦闘ヘリコプターは数が揃わず政治的に放置されているところ。

 ヘリコプターの編隊飛行と共に戦果拡張を行う、第1空挺団降下訓練始め、その訓練展示模擬戦もいよいよ最終段階となってきました。第1空挺団よりも支援の第1ヘリコプター団や東部方面航空隊と第1師団や富士学校の方が目立っている、とかは敢えて考えない。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが編隊飛行で前進する、陸上自衛隊唯一の僥倖はヘリコプター関連装備が後継機未定とミサイル防衛優先航空機調達中断により、瓦解寸前か瓦解している状況にあって、CH-47JA輸送ヘリコプターだけは調達が続いた、という状況でしょう。

 55名の人員を輸送し、8tの装備を吊下げ空輸、緊急時には近距離短時間に限り11tまでの装備品を吊下げ可能というこの航空機は自衛隊の至宝というべき存在です、老朽機の延命改修も始まりましたが、アメリカではCH-47AをCH-47Dに改修しまだ使っている事例が。

 バートル社が開発し、ボーイング社に引き継がれているCH-47JA輸送ヘリコプター、日本では1981年の導入開始以来川崎重工がライセンス生産を行っています。前型CH-46,日本では民間型V-107を制式名としていましたが、双方とも大事に生産基盤が維持されている。

 狙撃手がM-24狙撃銃と共に観測手を先頭に駆けています、UH-1J多用途ヘリコプターが二機編隊で展開した際の先頭機で機動、擬装完璧で今の今まで気付かなかった。いよいよ状況終了も近くなった、ところですが、最後の最後に仮設敵に動きがあったのでしょうか。

 中距離多目的誘導弾も待機している、第1空挺団はジープで知られる73式小型トラックに車載する79式対舟艇対戦車誘導弾、巨大な弾頭を備えた重MATを愛用してきましたが、車載式で嵩張るものの、射程8km、この世界でも最も新しいミサイルへ更新したもよう。

 仮設敵が遊撃戦を展開してきた、狙撃手が走っていたのはこれが理由でしたか。報道席前で分かりやすく仮設敵の反撃が始まる、成程冒頭に残置斥候を配置した程の仮設敵です、今回も遊撃戦を試みたところで空挺団の警戒線に捕捉され、近接戦闘となったようですね。

 9mm機関拳銃と89式小銃を手に空挺隊員が敵逆襲部隊制圧に向かう、残置斥候で無く逆襲か、軽装甲機動車と共に稜線を走ってゆく。我が方は戦果拡張へ戦車部隊を投入し本格的な反撃に移行しましたが、後方連絡線を遮断された敵部隊が遮二無二突進を開始したか。

 87式対戦車誘導弾を構え稜線に陣取る対戦車小隊を見ますと、敵には反撃の徴候も依然残っているのでしょうか、87式対戦車誘導弾は直接照準式とレーザー誘導併用方式、発射装置隣では箱形のレーザー照射装置により敵戦車の逆襲に備えている様子が見て取れます。

 9mm機関拳銃、遠目には軽量軽快にみえる。9mm拳銃の後継として空挺団と空中機動の第12旅団に配備された所謂短機関銃で、銃床を持たず突き出して安定させるスリング保持方式を採用している。個人的にはH&K-MP-7の様な個人防護火器に切り替えるべきと思う。

 空挺団の警戒線に捕捉された仮設敵は逆襲部隊ではなく、少数の遊撃戦部隊であったもようです。増援部隊の到着前までに、第一線を保持していた部隊により制圧され、一部は捕虜となったもよう。こうして戦果拡張に続く形で、この訓練展示は状況終了となりました。

 MLRSも撤収を開始する。MLRS,日産自動車によりライセンス生産された、91両を取得したのですが、足回りはアメリカのM-2装甲戦闘車、これを生産したのならば68両で調達中止となった89式装甲戦闘車に代え、M-2装甲戦闘車日本仕様を造っても良かったのではとも思う。

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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【09】戦果拡張!前進開始!(2016-01-10)

2020-04-05 20:02:19 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■習志野訓練場の想定戦場
 習志野訓練場に展開した想定戦場は増援戦車部隊が空挺部隊に合流を果たしました。

 10式戦車に89式装甲戦闘車と74式戦車が空挺団の保持した第一線を超越し、仮設敵部隊へ猛烈な鋼鉄の圧力を加える。先ほどまでの主役は空挺団でしたが、富士教導団と第1師団を主力とした増援を前に空挺団唯一の装甲車両である軽装甲機動車の影は薄い印象だ。

 軽装甲機動車の傍らには01式軽対戦車誘導弾と87式対戦車誘導弾の発射器が並んでいます、近代的な対戦車誘導弾は戦車に対抗し得るとは聞くのですが、並べてみますと、照準装置や暗視装置と通信能力が段違い、ミサイルは一矢報い得る装備、というのが正しいか。

 89式装甲戦闘車はこの時点で未だ下車戦闘に移っていない、装甲戦闘車は装甲車と違い下車戦闘は機関砲が主要目標を制圧完了するまで肉薄、最終段階で下車戦闘を行う、下車戦闘は短時間で車両も適宜機動掩護し、目標制圧後は速やかに収容し機動戦の速度を上げる。

 74式戦車2両と10式戦車2両に89式装甲戦闘車2両、これはかつて空挺団が有した空挺普通科群本部情報小隊特車班や空挺普通科群本部中隊空挺戦車小隊の規模に近い。一方、お隣中国は03式空挺戦闘車、ロシア空挺軍はBMD-4空挺戦闘車等独自の重装備を持つ。

 ロシア軍のBMD-4空挺戦闘車は13.6tの装軌式車体に5名の空挺兵とBMP-3装甲戦闘車の砲塔を載せたもの、自動装填式2A70/100mm滑腔砲と2A72/30mm機関砲を搭載し、主砲発射式対戦車ミサイルも搭載、自衛隊も空挺軍を軽装備、と誤解せぬよう留意すべきだ。

 空挺団が保持した防衛線へ第1師団の増援が到達、時機がやってきました。これまで個々に支援を実施していた空中機動部隊が一斉に集結し、戦果拡張へ次の空中機動作戦への展開の準備を行うこの構図、富士総合火力演習や第7師団創設記念行事等での定番の幕引き。

 空挺特科大隊の120mmRT重迫撃砲が一斉に射撃を行う。空包が用意されていない120mmRT重迫撃砲ですが、花火を打ち上げる事で射撃の雰囲気を醸し出しています。重迫撃砲空包替わりの打ち上げ花火、これは全国の普通科部隊駐屯地祭でもやって欲しい。

 戦果拡張へ、戦車部隊の増援と共に先ほどまで稜線に伏せ防衛線に終始していた空挺隊員も立ち上がり反撃へ進む、戦車部隊という強力な増援が展開するまでの貴重な時間、命の時間を稼ぐという空挺部隊の任務そのものを体現するような情景が眼下に展示されてゆく。

 10式戦車が戦果拡張へ超越攻撃を行う、空挺団は精鋭無比を掲げる自衛隊最強部隊として名高いのですが、落下傘が空を舞う優美な姿こそ印象的であるものの、こうして自衛隊が世界に誇る10式戦車との並びを見ますと、戦車の重要性についても考えさせられるもの。

 AH-64D戦闘ヘリコプターを先頭に空中機動部隊の一斉躍進がいよいよ開始されます。戦後陸上自衛隊は、旧陸軍の九七式中戦車がM-4戦車に歯が立たなかった背景から戦車を重視、航空攻撃の苦杯から地対空ミサイル、専守防衛からヘリコプターを重視してきました。

 戦車と地対空ミサイルにヘリコプター重視、言い換えれば普通科部隊の機械化と装甲車を後回しとしまして、これが冷戦後に入り、弾道ミサイル防衛を重視する中で、戦車部隊とヘリコプターの更新を後回しとして来ました事が、非常に憂慮する結果に繋がりつつある。

 欧州NATO諸国等は戦車を大胆に縮小した分、イタリアやフランスのように思いきった装甲戦闘車と戦闘ヘリコプターに注力し、機動打撃力を確保した事例はあります。全部縮小したドイツとオランダの悪い例もある、陸上自衛隊はどうなるのか、考えてしまいました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【08】増援戦車部隊の到着(2016-01-10)

2020-03-08 20:16:57 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■空挺団と戦車の協同
 第1空挺団の確保した空挺堡へ増援部隊が続々と到着し、第1師団より展開した戦車部隊もその増援として戦闘加入を始めます。

 第1空挺団降下訓練始め、空挺団が空挺作戦により仮設敵の前進を完全に拘束した防衛線へ、第1戦車大隊より10式戦車の増援が展開しました。10式戦車は高い不整地突破能力を活かし、習志野訓練場を全力で進みます。実際、島嶼部防衛では海浜は不整地である。

 第1師団からの増援を受けた第1空挺団ですが、空挺普通科群本部情報小隊特車班として1960年代にはM-24軽戦車が配備されていました。もっともM-24軽戦車は機動力はあるものの対戦車火力としては1950年代でも非力、1973年に廃止改編を受けているのですが。

 10式戦車は2両が展開し、その奥には74式戦車も支援へ展開しています。M-24戦車をかつて装備していましたが、後に60式装甲車を有する空挺普通科群本部直轄空挺装甲輸送隊へ改編、僅か5輌でも貴重な装甲車両となっていました。硬い車両が部隊にあると心強い。

 現在空挺団を輸送する航空自衛隊にはC-2輸送機という16式機動戦闘車や89式装甲戦闘車を輸送可能という新型輸送機があります。例えば第1空挺団にも偵察戦闘大隊のような、機動打撃力を限定的に有する部隊を置いてみても、良いように思うのですがどうでしょう。

 第1空挺団にはこれまで様々な任務が政府より要求されてきました、例えば警察力の限界とされた1960年代における赤軍ハイジャック事件頻発機にはレンジャー要員を中心とした特殊班を組んだとも言われますし、邦人救出法整備前にも幾度か研究を行ったとされる。

 邦人救出任務やテロ対策任務については、自衛隊法改正等により法的根拠が加えられるようになりましたが、この過去からの事例に学ばねばならない点は、現行法では不可能な任務であっても、人命を守る為に政府が突如特措法を整備し任務付与する可能性があること。

 74式戦車と10式戦車が第一線へ快走する、第1戦車大隊の装備です。こうした重装備は空挺作戦の軽快な印象とは必ずしも合致しませんが、政治は必要となるかもしれない装備を、国民へ説明した上で確実に数を揃える努力を、これを見ている政治家は果たすべきだ。

 空挺大隊の軽装甲機動車と共に砂塵の幕の期に見えるのは富士教導団普通科教導連隊より支援へ参加した89式装甲戦闘車です。89式装甲戦闘車増援を含め、砂塵が訓練場を包むが如く視界を閉ざすのは、先程より続々と展開する戦車の無限軌道が巻き起こす鉄の轟き。

 軽装甲機動車が空挺団の空挺中隊迫撃砲小隊と空挺特科大隊重迫撃砲中隊の射撃陣地を次々と超越し、第一線へ殺到する。上空を掩護するのは再補給を何度も繰り返し飛来するAH-1S対戦車ヘリコプター、上空を警戒し、敵戦車の動きを上空から完全に封じている。

 03式中距離地対空誘導弾システム、射程50km以上という高射教導隊の地対空ミサイル、この戦闘で気付くの多的航空部隊が来ない事、考えれば習志野分屯基地のペトリオットミサイル部隊が隣接し、この中SAMも展開しているならば、防空は正に万全といえますね。

 ペトリオットミサイルPAC-3,万一我が空挺堡を敵が弾道ミサイルで攻撃した場合に備え、こんな強力な装備まで展開すると共に、敵が生物兵器や化学兵器、空挺部隊の天敵と云われる戦術核兵器を使用した場合に備え中央特殊武器防護隊NBC偵察車まで展開しました。

 MLRS多連装ロケットシステムの展開、クラスター弾全廃条約に併せ、面制圧から精密型のGPS誘導方式と長射程化の新型弾薬を導入し、事実上の戦術ミサイルシステムとなったMLRS、その背後にはAH-1S対戦車ヘリコプターとAH-64D戦闘ヘリコプターが固める。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【07】空挺部隊の攻撃開始(2016-01-10)

2019-12-15 20:18:51 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■第1空挺団,攻勢に転じる!
 空挺作戦は時間と時機が戦域優勢獲得への主導権への重要な要素となっています、降下訓練始めでは全てが最適に進んだ仮定で進む。

 AH-64D戦闘ヘリコプターが空挺部隊を強力に掩護する。戦闘ヘリコプターは第一線近くに開設する野飛行場を補給拠点として、弾薬や燃料を再補給し繰り返し展開が可能です。飛行場から運用するF-2戦闘機やアメリカ空軍のA-10攻撃機と違い、戦場近くに待機する。

 FH-70榴弾砲が、宇都宮駐屯地より展開した第12旅団第12特科隊の特科火砲が、更に強力な特科火力を敵に叩きつけるべく布陣を完了しました。手前には120mmRT重迫撃砲、81mm迫撃砲も少し奥に展開していまして、陸上自衛隊火力の一端が体系化され並びます。

 謎の車両がL-16/81mm迫撃砲の背後を進んでゆく。奥に見える茂みの様なものは写真では分かりにくいのですが、動いています。こういう生き物をどこかで見た事がありますが、当たり前ですけれどもこちらの方がずっと大きい。それも地を這うようにかなりの速度で。

 完全に擬装した車両とはこういうものをいうのでしょう、運転士が見えなければ車両とさえ気づきません。これは1/2tトラックが87式対戦車誘導弾中MATを積載した1/4tトレーラを牽引し増援へ駆けつけている所で、連接部分が地を這うようで、ちょっと不気味だ。

 空挺特科大隊の120mmRT重迫撃砲牽引車が汎用車輌として様々な輸送任務に当る、1/2tトラックが87式対戦車誘導弾中MATを積載した1/4tトレーラを牽引した先ほどの無茶な擬装に比較するならば、まだ人間味があるというかトヨタの工業製品らしい車両ですね。

 FH-70榴弾砲の射撃準備が完了する、120mmRT重迫撃砲は最大射程13kmで通常弾でも8.1kmの射程を有するが、FH-70はBB特殊装薬を用いた場合の最大射程は38kmといい、通常砲弾でも射程は30km、迫撃砲との格の違いというか、野砲の凄さを垣間見る印象です。

 1/2tトラックが87式対戦車誘導弾中MATを積載した1/4tトレーラを牽引し、二両並んで進む。違和感感じられるかもしれませんが、この二つの車両は擬装の有無が違うだけで、同じ車両が同じものを牽引し同じミサイルを搭載しています。自衛隊の擬装は凄いなあ。

 87式地雷散布装置を搭載したUH-1Jが、敵戦車部隊の接近経路を閉塞するべく展開する。87式ヘリコプター散布対戦車地雷54発を搭載し、一挙に地雷原を構成する。ただ、接近経路を塞ぐことは、我が方の攻撃進路を狭める事にもなり、指揮官の運用決断が迫られます。

 87式地雷散布装置は9発づつ3区画に分け27発の対戦車地雷を収容しているところが良く見えます。左右合せて54発、この装備が在れば敵の攻撃進路を瞬間的に閉塞する事も可能です。目立つために障害処理が容易ですが、短時間でも足止めする事に大きな意味が。

 BTR-96やT-74戦車が繰り返し接近したことで、轍が目立つような経路へと低空からUH-1Jが向かう、轍が目立つという事は窪地の経路など遮蔽物が多い地形上の特色を有しているのでしょうか。87式ヘリコプター散布対戦車地雷54発投下の地点はこのあたりか。

 87式ヘリコプター散布対戦車地雷54発が87式地雷散布装置より一斉に投下されてゆきます、落下し破損し爆発する事の無いように空気抵抗で落下速度を落とす形状となっていまして、写真を確認しただけで31発が空中を零れ落ちる様に敷設される様子がみえました。

 尖兵小隊の路上斥候を果たした情報小隊の隊員が離脱します、CH-47JA輸送ヘリコプターにより一挙に空中へ離脱します。進出した路上斥候が離脱するという事は何を意味するのか、それは我が方の火力戦闘、効力射がその地域へ降り注ぐため、といえるでしょう。

 87式対戦車誘導弾中MATを第一線へ展開させた車両が撤収する。87式対戦車誘導弾中MATの射程は2000mで01式軽対戦車誘導弾の1500mよりも若干長いのですが。後継装備として射程8kmという中距離多目的誘導弾の配備が始まっています。かなり大型ですが。

 負傷者後方搬送が開始されます、併せて捕縛した仮設敵の残置斥候も後送する事となり、逃走しないよう警戒要員と共にヘリコプター発着地点へ誘導されてゆきます。流石にこの第一線へ野外手術システムは展開できませんので、負傷者は迅速に後送せねばならない。

 UH-1J多用途ヘリコプターが後送へ進出する。赤十字の徽章を明示し救急ヘリコプターである事を明示しています。徽章を取り外せば、即座に多用途ヘリコプターへ復帰できるのですが。ただ、救急ヘリコプターは戦時国際法で守られているとはいえ、遠目に分り難い。

 UH-60Q救急ヘリコプターというアメリカ陸軍にはUH-60派生型が配備されています。驚いたのはアメリカ軍がアフガニスタン介入の際にUH-60Qを36機も配備し、迅速な後方搬送体制を確立していた、と話を聞いた際でした。日本ももう少し人命重視はできないのか。

 UH-2としてUH-1Jの後継機が現在明野駐屯地航空学校において評価試験中です。せめて機数が充分確保出来れば、救急ヘリコプターという選択肢も増えるのでしょうが。多用途ヘリコプターはドクターヘリなどよりもエンジン出力等に余裕があり、輸送力もあります。

 負傷者後方搬送へ離脱するUH-1J多用途ヘリコプターが二機、この少し前に前型のUH-1H多用途ヘリコプター最後の機体が北海道で用途廃止となりました。UH-2は当初川崎重工が開発する予定でしたが、開発制度の混迷と過剰な公正追求により頓挫し、大きく遅延した。

 AH-64D戦闘ヘリコプターとAH-1S対戦車ヘリコプターが編隊で増援へ展開します。本来の調達計画ではAH-64Dが既に50機程揃っている筈でしたが、2000年代初頭からの弾道ミサイル防衛という2兆円規模の防衛事業が従来予算の枠内で行われ、頓挫しています。

 弾道ミサイル防衛という大義名分は在れど、62機調達するという政府方針に従い62機分の部品を取得し、生産ラインを建設した富士重工は突如11機で調達中止を求められ、残る51機分の取得部品費用を防衛省へ損害賠償する訴訟へ発展、2機追加と賠償金を払いました。

 30mm機関砲を敵へ向ける。賠償金は351億円でしたが、富士重工と国の関係は一時険悪となり、これが多用途ヘリコプター後継開発でも富士重工外しと誤解される行動に繋がり、数年単位の開発遅延へ。51機分3672億円を補正予算に載せてでも調達するべきだったか。

 10式戦車、AH-64Dが空挺部隊の防衛線を支えている最中に第1師団の第1戦車大隊が駒門から増援へ駆けつけました。10式戦車はC4I機能を重視すると共に複合装甲と大出力エンジンに120mm戦車砲を採用し、優れた自動化により重量を44tまで抑えた戦車です。

 第1戦車大隊、10式戦車も当初は戦車定数600両の時代に開発されましたが、弾道ミサイル防衛への予算捻出を背景に防衛計画の大綱が改訂されるたびに戦車定数は400両、そして現在は300両へと削減され、戦車量産数が減り逆に非常に割高となってしまいました。

 戦車は、しかし、このように機動打撃では絶対に必要な装備です、10式戦車は三菱重工が2010年に年間52両生産した場合の単価を7億円としていましたが、結局予算不足から毎年9輌生産に抑えた事で単価は13億円まで上昇しています。その戦車が戦闘加入します。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【06】ヘリボーン重輸送降着(2016-01-10)

2019-11-10 20:13:27 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■強襲!空挺から空中機動へ
 第1空挺団の降下強襲という空挺の奇襲から確保した空挺堡へ増援の空中機動部隊降着が本格化しました。

 空挺隊員の増強が降着したUH-1J多用途ヘリコプターから展開を開始する。空挺団を構成する基幹部隊は3個の空挺大隊、空挺大隊は3個の空挺中隊より成り、一個空挺大隊は380名を基幹としています。師団や旅団普通科中隊よりも空挺中隊は小型編成を採っている。

 UH-1J多用途ヘリコプターより数名の空挺隊員が戦闘加入するだけでも、小型編成を採る空挺中隊には大きな増援といえるのです。空挺団降下訓練始め、空挺降下した部隊は増強空挺中隊規模、此処に続々車輌展開と空中機動により部隊が展開し戦闘加入してゆきます。

 状況は空挺部隊の島嶼部展開と共に、我が国島嶼部を占領する仮設敵部隊が逐次反撃を加えている状況であり、空挺団は携帯対戦車火器と分割携行した迫撃砲により第一線を保持し、空挺堡への接近経路を確保していますが、徐々に損耗が目立ち始めたという状況です。

 12.7mm重機関銃をUH-1J多用途ヘリコプターより射撃する、12.7mm重機関銃は大型である為、これを搭載するとUH-1Jの機内にはほぼ積載できるものが無くなるのは難点ですが、MINIMI分隊機銃は射程威力共に限界があり、この機銃の選択肢となったのでしょう。

 ガンシップ型として70mmロケット弾と7.62mm多銃身機銃ポッドを搭載する改修がUH-1系統にはベル社より提示されていますが、辞任輸送型へ戻すのに時間を要すると共に費用も安価ではなく折衷案がこれ。敵砲火下でホバーリングしつつ射撃は危険極まりない。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが120mmRT重迫撃砲と牽引車を吊下げ空輸し、戦闘加入する、120mmRT重迫撃砲は空挺特科大隊に2個中隊が配備されている空挺団最大の火力で、M-1/105mm榴弾砲の後継として配備されたもの。射程は長居が持続射撃能力は劣ります。

 120mmRT重迫撃砲はフランストムソン社製の傑作重迫撃砲を豊和工業がライセンス生産し、陸上自衛隊には約500門が配備されています、迫撃砲ですが砲身には旋条があり命中精度が高く、更に砲身と砲架を一体化し車輪を有する構造により機動性が高い特色がある。

 高機動車や軽装甲機動車を更に一両、CH-47JA輸送ヘリコプターは機内へ搭載する事が可能です。取得費用は一機55億円と非常に高い航空機ではありますが、ボーイング社の機体を川崎重工においてライセンス生産しており、整備基盤が国内に在る事で稼働率が高い。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが二機編隊で更に戦闘加入する、二機は12.7mm重機関銃を搭載する火力支援型だ。UH-1J多用途ヘリコプターでは機銃一丁搭載すると機内の多くが占有されてしまいますが、CH-47JAの機内は広く、左右各一丁を搭載しても余裕そのもの。

 空挺中隊は約100名、CH-47JA輸送ヘリコプターは55名乗り、定員で搭載したとしてもこの二機編隊で一個中隊を空輸できるという。師団普通科連隊や旅団普通科連隊の普通科中隊は200名、空挺中隊は機動力を重視するべくその半分の規模としている訳ですね。

 空挺普通科群として2004年まで、第1空挺団は4個空挺中隊を基幹としていました。2004年の改編で空挺普通科群と空挺対戦車隊を統合した上で、3個空挺大隊へ分け、各空挺大隊の本部に対戦車小隊と通信小隊に情報小隊を置く、という現在の空挺団編成となりました。

 CH-47J輸送ヘリコプター、良く見ますとCH-47JA輸送ヘリコプターではなくCH-47J型でした、そして何よりよく見ますと後部扉には目いっぱい空挺隊員が詰め込まれています、そしてファストロープを固定する治具が後部扉一杯に展開されているのも確認できますね。

 ファストロープにより次々と展開する空挺隊員、錯綜地形や山間部に市街地と森林地帯等で用いられる展開方法で、金具を要するリぺリング降下と異なり、ファストロープは非常に太いロープを採用する事で皮手袋を着用したらば即座に迅速降下し展開する事が可能だ。

 ファストロープ降下の利点は迅速さにあります。しかし、難点はリペリング降下と異なり金具で保持するのではなく両手両足で保持しているだけである為、不意の反動や衝撃で手放してしまうと落下の危険性もあります。しかし、撤収するCH-47Jの時間は非常に速い。

 戦闘加入する増援部隊、CH-47JA輸送ヘリコプター二機からのファストロープ降下により実質一個中隊が加わるのですね。空挺団尖兵中隊とともに主力が尖兵中隊の確保した新しいヘリコプター降着点へ続々と展開を開始します。ヘリボーンで空挺作戦は次の段階へ。

 FL-501やF-18という空挺機動車輌が欧州空挺部隊では開発されています、市場の自動ターレや簡易ゴルフカートというべき装備、座席等安全装備は一切無いが、目一杯乗れば牽引車と併せ8名程度を時速50km/h程度で数十km運べる、そんな装備が日本にも要る。

 高機動車、というよりも重迫撃砲牽引車として空輸された車両がそのまま120mRT重迫撃砲の陣地進入を完了し、加えて先行進入した迫撃砲部隊の機動支援に当る。空挺部隊では手空きとなった車輌には即座に次任務がある、大隊長は適宜その命令を出さねばならない。

 迫撃砲陣地には120mmRT重迫撃砲とL-16/81mm迫撃砲が並んで展開しています。L-16迫撃砲は空挺中隊に迫撃砲小隊として配備されており、第一線空挺部隊に強力な火力を供する。そして、空挺展開と空中機動展開した車両と共に、次の増援部隊が展開を始めます。

 完璧に擬装した高機動車が増援の迫撃砲小隊と共に空路先行展開した迫撃砲小隊へ重い81mm迫撃砲弾の補給を開始する、弾薬は重く人力搬送には限界がある、限られた弾薬で第一線へ火力支援を行っていた先行迫撃砲小隊には高機動車での弾薬補給は天恵といえる。

 空挺特科大隊主力の増援が、遂に到着した。120mmRT重迫撃砲が重迫撃砲牽引車に牽引され3門同時に展開する。簡便な大火力です、しかし何れは空挺特科大隊に対砲レーダ装置等を装備した指揮情報中隊を置き、M-777超軽量榴弾砲の様な装備が要るのでは、と。

 M-777榴弾砲はアメリカ海兵隊と一部の陸軍砲兵部隊で装備されるイギリス製超軽量火砲で、なんとUH-60JA多用途ヘリコプターでの空輸も可能、120mmRT重迫撃砲以上に命中精度が高く、アフガニスタンでは山頂に空輸展開し即席砲台が物凄い威力を発揮しました。

 完全に擬装された車両は間近でみますと一体何なのか分らない、という事があります。車両や個人擬装は自衛隊へ学べ、とはアメリカ軍が日米合同演習の際に研修へ来ていたほど。実際、アメリカ軍特殊部隊のここ20年の失敗は擬装不充分で発見された為、とも思える。

 射撃陣地へ展開を開始する120mmRT重迫撃砲、その向こうには別の増援を輸送したCH-47JA輸送ヘリコプターが離陸に備えている。空挺降下の部隊が確保した地域へ空中機動部隊が増援に至り、その確保した経路に沿って地上部隊の増援が本格化した状況です。

 AH-64D戦闘ヘリコプターが更に敵戦車部隊への強力な打撃力を発揮します。我が方の増援と共に敵部隊の反撃も徐々に戦車部隊を含むようになってきましたが、こちらには強力な戦闘ヘリコプターが遥か彼方からレーダー照準による正確無比な支援を行う事が可能だ。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【05】ヘリボーン強襲戦発動(2016-01-10)

2019-10-20 20:10:13 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■最強AH-64D戦闘ヘリの飛来
 青空を覆う空挺団落下傘降下の奇襲により空挺堡を確保した第1空挺団は、刹那の間を置く事無く次の行動、ヘリボーン強襲を開始します。

 AH-64D戦闘ヘリコプターが空挺部隊を上空から掩護、アパッチロングボウ愛称のAH-64Dはいったん上昇し、AGM-1114ヘルファイア対戦車ミサイルを射撃する、AGM-1114は射程8km、陸上自衛隊の他に海上自衛隊もミサイル艇対策に装備している。

 AH-64Dは航空学校から参加しました。13機しか装備されていない虎の子の装備ですが、元々は62機を導入予定で、かつて96機が導入されつつも、老朽化にて順次退役が進むAH-1S対戦車ヘリコプターを置き換える計画でした。弾道ミサイル防衛で調達は中断へ。

 AH-64Dは一個飛行隊12機が予定、AH-1Sは16機で飛行隊を編成していましたので、62機で現在の5個飛行隊と教育所要の2機を充足できる筈でした。しかし調達は13機、この後に1機が事故で失われ、航空打撃力の再編は陸上自衛隊喫緊の課題となっています。

 UH-1J多用途ヘリコプター、M-2重機関銃を航空機用銃架に一丁搭載し展開しました、AH-1S対戦車ヘリコプターの代替にはなりませんが。しかし過去に70mmロケット弾発射装置を10セット調達し火力支援機へ試験した事があります。精度が低く不採用でしたが。

 M-2重機関銃の空包射撃、毎分最大635発の12.7mm弾が地上を制圧します、実は航空機搭載用にM-2/ANという上空では空冷作用が高くその分発射速度を毎分1200発に高めた派生型が1933年に開発されているのですが、陸上自衛隊は地上型のみを装備しています。

 CH-47JA輸送ヘリコプターが空中機動へ展開する、UH-1J多用途ヘリコプター搭載の12.7mm機銃は、このCH-47JA輸送ヘリコプターが降着する際の降着地を制圧する任務へ展開したもよう。ヘリコプターの降着に落下傘は不要、同時に55名を一気に輸送可能です。

 第1空挺団は中央即応集団の隷下部隊、そしてこのCH-47JA輸送ヘリコプターも中央即応集団隷下の第1ヘリコプター団に所属する。中央即応集団は2018年3月の陸上総隊創設に併せ幕僚機構転用へ廃止となり、空挺団とヘリコプター団は現在、総隊直轄部隊となった。

 AH-64D戦闘ヘリコプターが低空を進出する、実際に航空用語として匍匐飛行というものがあり、武骨に突き出た空気抵抗の塊は全てが匍匐飛行へ障害物などを前に急停止する際に役立つ。AH-64後継機にティルトローター機の研究はあるが、個人的に懐疑的である。

 空挺団本部偵察小隊の進出を掩護するAH-64D,後継のティルトローター機研究とはAH-64D開発のボーイング社が提案するものですが、高速が必要ならばF-35Bで良く、AH-64Dの空気抵抗は不期遭遇や障害物を前に急減速の際に役立つ、速度が全てではない。

 CH-47JA輸送ヘリコプターから続々と展開する空挺団本部偵察小隊の偵察オートバイ、過去にはM-24軽戦車装備の空挺普通科群本部情報小隊特車班や60式装甲車装備の空挺普通科群本部直轄空挺装甲輸送隊があり、少数とはいえ、装甲車による威力偵察が可能でした。

 空挺普通科群本部情報小隊特車班は軽戦車5輌を装備、空挺普通科群本部直轄空挺装甲輸送隊は60式装甲車5輌を装備、何れも廃止改編されていますが、C-2輸送機という89式装甲戦闘車や16式機動戦闘車を輸送可能な機体がある現在、再編成されるべきと思う。

 AH-64D戦闘ヘリコプターと共にAH-1S対戦車ヘリコプター編隊が支援へ駆けつける。AH-1S対戦車ヘリコプターは東部方面隊隷下の東部方面航空隊第4対戦車ヘリコプター隊に所属する。ただ、AH-1S対戦車ヘリコプター減勢に伴い、部隊は縮小再編の予定です。

 APG-78ロングボウレーダーを搭載するAH-64D戦闘ヘリコプターは210個の地上目標を識別追尾する能力と共に、無人機統制や敵無人機警戒監視等の新時代の任務に必要な性能を有します。自衛隊装備の機体はアローヘッド搭載、改良型AH-64Eに近い性能を持つ。

 AH-1S対戦車ヘリコプターの編隊が仮設敵に向け射程3750mのTOW対戦車ミサイルと70mmロケット弾、20mm機関砲を装備し襲い掛かる。地皺の多い我が国土へは必要として導入された装備ですが、今後の無人機時代を踏まえればAH-64Dへの代替は不可欠だ。

 TOW対戦車ミサイル射撃は低空から一挙に高度を上げて敵戦車を捕捉し、一気に撃ち下す、有線誘導式のTOWは、射撃誘導中に妨害された場合に回避できない為、高高度から撃ち下す事で射撃中に高射砲などの妨害を受けた際、回避した場合も慣性で敵戦車を撃破し得る。

 AH-64D戦闘ヘリコプターの場合はもう少し先進的だ、APG-78には脅威電波標定能力があり、高射砲等がレーダー照準を行えば即座に逆探知、30mm機関砲や対戦車ミサイルで滅多打ち制圧が可能、機体も頑丈で192発の14.5mm弾を受けつつ翌日に修理完了の事例が。

 UH-1J多用途ヘリコプターが二機編隊で進出してゆく、AH-64D戦闘ヘリコプターとAH-1S対戦車ヘリコプターはこの空中機動部隊の降着掩護、という構図で敵戦車部隊を強力な火力で制圧する任務にて展開していたのでしょう。更に多数のヘリコプターが続く。

 HU-1Bを導入開始した1961年は陸上自衛隊空中機動元年というべき年度で、統合展示演習、現在の富士総合火力演習にてH-19ヘリコプター5機と大型のH-21ヘリコプター2機による空中機動にて、第一線へ急速増援部隊の戦闘加入、という展示が行われています。

 UH-1J多用途ヘリコプターの先頭を往く機体には狙撃手がスキッドに足を掛けて降着と同時の即座に飛び降りる体勢に在ります、M-24狙撃銃を装備し800m先の指揮官を生活に狙撃するという。空挺団からM-24軽戦車は廃止されても、M-24狙撃銃という新顔が、と。

 UH-1J多用途ヘリコプターの機内を見ますと、後部に2名分の座席を増槽用に転用し、航続距離や滞空時間を延伸している仕様となっている。UH-1J多用途ヘリコプターの輸送能力は人員11名、ただ増槽により4名分を使っている構図です。この機体は自由度が高い。

 UH-60JA多用途ヘリコプターへ、1998年よりUH-1J多用途ヘリコプターを順次置き換える構想がありましたが、一機35億円というUH-60JAの取得費用は、バブル崩壊後の停滞期の日本経済では多数を調達できず、ここに弾道ミサイル防衛という新任務が加わります。

 UH-1Hまではベル社のライセンス生産を富士重工が実施していましたが、UH-1Jは富士重工の独自型であり、エンジンをAH-1Sと同型とする事で整備性を高めました。対してUH-60JAは三菱重工製、整備共通性や訓練相互互換性の面で若干疑問符も残りました。

 UH-60JAについては、しかし海上自衛隊がSH-60J哨戒ヘリコプターと航空自衛隊がUH-60J救難ヘリコプターとして共通機体を製造していましたので、安価に調達できる時期はありました。此処で問題点は陸上自衛隊の調達開始が航空自衛隊完納後だったのですね。

 UH-1Jの後継にUH-60JAを大量調達できていれば、HH-60Jのような火力支援型をAH-1S後継機に充てる事が出来たかもしれませんし、利点はありました。ただ、1:1で置き換える事に拘らなければ、という但し書きが。ミサイル防衛に翻弄された機種といえましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】平成28年第1空挺団降下訓練始【04】空挺堡確立!攻撃へ(2016-01-10)

2019-09-29 20:02:40 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■降下強襲!舞い降りる落下傘
 空挺作戦の要諦は降下地点と攻撃を持続させる補給への橋頭保である空挺堡を確立し、次の攻撃に移る事に在ります。

 空挺団本部中隊偵察小隊と降下誘導小隊が高高度より自由降下により展開します。団本部の他、自由降下訓練課程を経て自由降下技術を有する隊員は多く、第1期自由降下課程訓練を開始した1969年以来、高高度から30km以上を滑空するこの装備を重視している。

 第1空挺団は2016年当時と2019年現在は同一編成で、その編成は団本部中隊偵察小隊、同降下誘導小隊、第1空挺普通科大隊、第2空挺普通科大隊、第3空挺普通科大隊、空挺特科大隊、空挺後方支援隊、空挺通信中隊、空挺施設中隊、空挺教育隊、となっています。

 降下誘導小隊による降下誘導の開始、無線機と鏡により展開する輸送機と連絡を実施します。鏡は太陽光を反射しますと10km以上先から確認できまして、視覚に依存する絶対に故障する懸念のない確実な方法が、最新無線機と併用し実施されているのが印象的ですね。

 C-1輸送機からの降下開始、このC-1輸送機は8tまでしか搭載出来ない、と言われていましたが、この更に前のC-46輸送機は2tまでしか空輸できず、更に火砲は分解した75mm榴弾砲しか搭載できませんでした。C-1は105mm榴弾砲も、小型トラックも搭載可能だ。

 KC-130空中給油輸送機からの空挺降下、用意用意用意!、降下降下降下!、号令と共に696ML/12落下傘がいち降下ッ!にい降下ッ!さん降下ッ!よん降下ッ!!、開くまでの緊張を背負い、降下します。ここ何度も飛来していますが、60名の空挺隊員が搭乗できます。

 89式小銃、MINIMI分隊機銃、01式軽対戦車誘導弾を手に降下完了した空挺隊員たちが第一線へ向かう、その後続はL-16/81mm迫撃砲を分解携行する迫撃砲小隊の隊員が。空挺中隊は空挺大隊隷下に3個あり、各空挺中隊には3個空挺小隊と迫撃砲小隊が置かれている。

 L-16/81mm迫撃砲は射程5.6km、砲座と砲架に砲身と照準器を四名が分解し、弾薬は各員が背嚢に携行し、弾薬定数の砲弾は更に続行し輸送している、という事でしょうか。空挺隊員はこうした徒歩搬送に対応するべく、自衛隊一と云われる体力練成を行う事で有名だ。

 89式小銃を手に先行する空挺班、MINIMIの射手は最後尾を護り、また迫撃砲小隊を掩護できる位置を確保しています。空挺部隊は降下地点を空挺堡として維持し、航続する増援や補給として維持せねばなりません、故に準備が整えばそこから広く確保へ展開してゆく。

 01式軽対戦車誘導弾は赤外線画像誘導式の対戦車誘導弾でタンデム弾頭により爆発反応装甲を有する戦車を撃破でき、また上部攻撃弾道を選定する事で第3世代戦車を高い確率で撃破可能、射程は1500mある。電池式で警戒態勢を長時間維持する際の難点は、あるが。

 空挺降下と共に降下完了した空挺隊員の前進が同時進行で進む、この日は風がほぼありませんでしたのが幸いです。降下不可能寸前の強風で決行しますと、降下したまま着地と共に落下傘毎隊員が引きずられてゆく、というような状況が、実際に過去には在りました。

 C-1輸送機には高機動車も1/2tトラックも搭載可能です。ただ、物量投下は気流の影響を受けた場合、狭い習志野訓練場を外れてしまうと、周りが住宅地となり、車輌が市街地へ降着するという、特に家屋などに車両が上から衝突する危険があるため、実施されません。

 第一線へ続々と到着する。横一列の文字通りの横隊という状況が、防衛線という線を彷彿とさせる様式となっているのが印象的だ。落下傘の派手な降下は規模を錯誤してしまいますが、C-1輸送機3機でようやく1個中隊を空挺降下させられる規模でしかないという。

 降下誘導小隊の降下誘導は続く。この降下訓練始めへ参加した輸送機はC-1輸送機2機とC-130H輸送機にKC-130空中給油輸送機の4機のみ。航空自衛隊はC-1輸送機の飛行隊2個とC-130H輸送機の飛行隊1個、C-1は大型のC-2へ更新中ですが、全体として少ない。

 C-130H輸送機による降下が継続します。輸送機は全体で40機程、40機あれば空挺団を輸送出来る、との考えは早計で、航空自衛隊は戦闘機部隊の作戦維持の為に空輸任務があります。有事の際に空挺団は必要だが戦闘機部隊は平和で仕事なし、とは考えられません。

 C-1輸送機3機とC-130H輸送機3機、という規模が昔の空挺団降下訓練始めでは一つの定数でした。しかし、ソマリア沖海賊対処任務や邦人輸送任務待機と沖縄防空任務等、C-130H輸送機は航空自衛隊実任務増大に併せ平時の必要数が増大、余り余裕がないもよう。

 島嶼部防衛を主眼としたこの空挺団降下訓練はじめでは、離島、つまり海の周辺へ降下する想定にて、降下する隊員の一部は救命胴衣を着用し降下しています。写真でも燈色の両脇に抱える装備品が救命胴衣に当る。そして千葉県では毎年海上降下訓練が行われている。

 L-16/81mm迫撃砲の展開が完了、89式小銃を手に迫撃砲の周囲を油断なく警戒する隊員と共に、背嚢に格納されていた迫撃砲弾なのでしょうか、砲弾コンテナが6発並べられているのが確認できます。また、剽悍が立てられており、射撃体勢に入っている事が分ります。

 KC-130空中給油輸送機からの空挺降下、海上降下訓練は島嶼部防衛以前に万一の際に海上へ降下する必要が生じた場合も想定するという。落下傘がまだ空に飛びだしていると同時に迫撃砲部隊の展開や第一線への空挺隊員の展開と空挺堡の確保が同時進行で進んでゆく。

 先兵小隊が敵残置斥候を捕える、OD作業服にM65鉄帽という如何にも仮設敵らしい仮設敵を捕らえた、残置斥候とは主力の後退に際して残置し、彼我勢力の展開推移などの報告を維持し、火力戦闘等を有利とさせるもの。潜伏斥候が居るという事は、我が行動に対し敵の反撃が近い。

 負傷者発生、我が方の第一線部隊が砲迫攻撃により損害を被り負傷者が発生したという想定、敵の攻撃が開始されたという事は先ほど制圧した残置斥候が我が空挺部隊の動向を侵攻軍主力へ報告した事を意味します、いよいよ空挺部隊、精鋭無比の戦いが始まるのか。

 空挺情報小隊が88式鉄帽に代え身軽なブッシュハットを装着し軽快に駆けてゆく、戦闘防弾チョッキさえ身に着けず、不安ではありますが、集約チョッキと思われる装具には先頭に必要な弾薬とガスマスク等一式を備えており、機動力を武器として情報収集へひた走る。

 敵BRDM-LAV軽装甲車が攻撃を加えてきた、BRDM装甲車は偵察部隊や砲兵観測部隊へ配備される軽装甲車であり、この出現は次の砲兵攻撃か自動車化狙撃連隊主力による攻撃の始まりを意味します、つまり斥候を抑えなければ次の状況は非常に不利になってしまう。

 01式軽対戦車誘導弾が連続して火を噴く、射程1500mの携帯対戦車ミサイルもBRDM-LAV程度ならば瞬時に制圧できよう。空包射撃ですが激しい火閃が輝き、一瞬カメラの操作に遅れた当方には白煙が写るのみ。BRDM-LAVばかり撮っていたのが裏目に。

 命中!、BRDM-LAVが吹き飛んだ、というようなTNTによる演出が為されます。BRDM-LAVの接近は、我が方も先兵小隊からさらに進出した路上斥候が発見した、BRDM-LAVの白煙と共に路上斥候が伏せている様子が見えるでしょうか、戦闘開始だ。

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