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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

桜島噴火-南山岳噴火口からの爆発的噴火,噴石2.5km飛び気象庁は避難促すレベル5を発令-住民避難開始

2022-07-25 07:00:56 | 防災・災害派遣
■臨時情報-桜島レベル5発令
 桜島が昨夜爆発的な噴火を引き起しました。被害は無く大規模な噴火兆候もないとの気象庁見解ですが噴火口に近い地域には避難指示が発令されたもよう。

 桜島が24日2005時ごろ、噴火しました、単なる噴火ではなく噴石が2.5km先まで到達する比較的留意が必要な規模の爆発的噴火であり、気象庁はこの噴火を受けかあ噴火警報を発令、桜島は既に火山活動が観測されレベル3の入山規制が発令されていましたが、これを一気にレベル5の避難指示へ切り替えました。噴石と火砕流への警戒が必要とのこと。

 ダンテズ・ピーク、折しもBSテレビ東京では噴火の時間帯に丁度アメリカの火山災害をテーマとしたピアーズブロスナン主演の映画が放映されていました、最初は桜島が噴火という速報であった為、驚かされましたが一方でいつもの事という印象もありました、しかし放映が終了する直前の2045時頃に、レベル5が発令され、意外に大きいと驚かされます。

 33世帯55名へ避難指示が発令されています、鹿児島市は24日2240時に今回の噴火を受け噴火した南山岳噴火口から3km以内に噴石被害の危険があるとして桜島の危険区域にある有村町と古里町の一部世帯へ避難指示を発令、ただ桜島からの退避ではなく噴石の危険の無い圏外への避難で、桜島島内の高齢者福祉センター東桜島に避難所が設置されている。

 南山岳噴火口からの噴火です。桜島の噴火は前述の通り珍しいものではありません、そして24日2005時の噴火以前に7月に入り小規模噴火の徴候、そしてGPS観測により桜島の山体膨張が確認されていたため、入山規制が発令されていたかたち。今回の規模の噴火は想定されていたようですが、山体膨張が収束したのかが、今後の警戒点といえましょう。

 山体膨張、つまり山が膨らむという事象は傾斜計やGPS観測により火山を観測する要諦の一つです。今回の噴火は明々とした噴火が映像で確認できる事からマグマ噴火であり、熱せられた水源が爆発する水蒸気爆発ではなく、既にマグマが昇ってきている事を意味します。すると大規模な噴火となる可能性はあるのでしょうか、気象庁の見解は以下の通り。

 大規模な噴火の徴候は無い、気象庁は今夏の噴火についてレベル5は発令されていますが、警戒されている全島避難が必要な大規模噴火の差し迫った兆候は無いとしています。桜島では日常の噴火の中での比較的大きな噴火の対処計画と、1914年大正噴火、これは鹿児島市内にも震度六の火山性地震等が在りましたが、その再来を警戒する対処計画があります。

 大正噴火のような規模の噴火が切迫している兆候は無い、気象庁はこのように発表しています。大正噴火は上記の通り火山性地震に伴う被害が鹿児島市内でありましたが、桜島の被害は岩屑雪崩や溶岩流と火砕流により、当時錦江湾に浮かぶ離島であった桜島が九州本島と溶岩流で繋がるなど全域が被災しています。これ程の徴候はない、ということでした。

 姶良カルデラ。今回気象庁は差し迫った大規模噴火の危険は無いとしていますが、桜島の本体は錦江湾そのものの真下に広がる姶良カルデラという九州有数のカルデラです、九州有数というと小さな印象があるかもしれませんが、日本最大の阿蘇カルデラ、霧島山の本体である加久藤カルデラ、そして島を吹飛ばし海面下にある鬼界カルデラと並ぶ規模です。

 桜島は姶良カルデラの最後の破局噴火から数十万年、ふき飛ばされ何もなくなった錦江湾の噴火丘として育った活火山、徐々に重量が増大している為、何れその重みで地下のマグマ溜まりに桜島自体が沈み逆にマグマ溜まりが地表に吹き出すカルデラ噴火が発生します、遠い先の話であり防災計画に反映する段階ではないのですが、長期観測が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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WHO世界保健機関がサル痘感染拡大にPHEIC公衆衛生緊急事態宣言,厚生労働省が医療従事者ワクチン接種へ

2022-07-24 07:00:36 | 防災・災害派遣
■臨時情報-PHEIC発令
 サル痘という新しい感染症の感染拡大が警戒されています。

 WHO世界保健機関は日本時間23日、世界規模で感染拡大の兆候が見られるサル痘について、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を発令しました。サル痘は天然痘の様に空気感染するものではなく接触感染が主流とのことで、COVID-19感染対策を継続する事である程度の感染は防げるとされています。また既存の天然痘ワクチンも効果を示すともされています。

 PHEIC公衆衛生緊急事態宣言の発令により、感染対策や国境管理などで各国は厳しい措置を執る事が可能となります、例えば流行地域からの入国制限や検疫体制の強化などが可能となるのです。なお、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言は現在、COVID-19新型コロナウィルス感染症やポリオ感染拡大に対し発令継続中で、今回は、並行しての発令となりました。

 74か国で1万7000件の感染が確認されているという事ですが、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言発令の背景にはこれまで欧米を中心とした感染が催事などでの原因を追跡した結果、一種の接触感染であったとされるのですが、アメリカで催事に出席していない小児感染者が確認された事で市中感染拡大の徴候が見え始めていることもその背景といえるでしょう。

 天然痘と症状は似ているが天然痘とは別の感染症である、サル痘についての留意事項です。こういいますのも天然痘はワクチンこそ開発されていますが大規模流行は過去のものでありワクチン集団接種などは我が国では既に行われていません、しかし、致死率では、いまのところという前提はつきますが、天然痘よりもリスクは低いものともされているもの。

 サル痘は感染すると高熱を発し、また天然痘に似た水疱が体中に生じるといい、この水疱が感染源となります。ただ、天然痘では水疱の瘡蓋が乾燥し粉末となることで感染力を維持したまま数百m先までウィルスが感染する、これがマイクロ飛沫感染よりも危険な空気感染とされているものなのですが、専門家はサル痘ではこのリスクを低いと説明している。

 厚生労働省は医療従事者へ天然痘ワクチン接種を開始するとしています、この天然痘ワクチン接種により発症を予防できるとされています。ただ、繰り返しますが天然痘は近年に流行事例が無く、この為に各国もワクチン備蓄はテロ対策などに限られています。アメリカではワクチン緊急増産が6月から調整されており、我が国も相応の準備が必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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電力需要逼迫長期化と歴史的猛暑災害-政治は直視し国営火力発電建設や持続的原子力開発など現実的な対策を

2022-07-02 07:01:44 | 防災・災害派遣
■臨時情報-猛暑と電力不足
 2011年の福島第一原発事故を思い出せば原子力の推進は大きな反対もあるのでしょうが、この暑さと電力不足は災害であり社会問題です。

 電力不足は政治課題となりつつある状況です。まず電力が不足していては経済活動も行うことは出来ません、そして電力不足は一時的なものと反論があるのかもしれませんが、製造業は季節産業ではなく世界のサプライチェーンのなかで円滑に動くことが重要であり、季節の温度により現代のグローバル経済において遅延が認められることはないのです。

 原子力廃止路線、もちろん代替電源が開発されるのならば反対はしません、ただ、2030年代に廃止を目指すが当面、というものは危険性をはらむ判断です、なぜならば2030年代に廃止される産業では専門家が育ちません、特に大学の原子力工学など若手技術者は、あと十数年で日本から無くなる産業を将来の進路設計に選ぶことはできないのではないか。

 2030年代に廃止するのであれば、新しい技術者は生まれません、それは原子炉設計や原子炉運用への技術者も含まれますが、何より事故対策の技術者も生まれません、産業として終わることを宣言するのですから、蒸気機関車の設計やブラウン管テレビやLEDではない白熱電球の省エネ技術の様に、このままではロストテクノロジーとなってしまうでしょう。

 原子力のいいとこどりで、票を稼ぐようにみえてしまうものでして、原子力を必要だと考えるならば、せめてベースロード電源として電力需要における一定割合を原子力により永続的に確保するという国策を示し、事業者の養成と事故対策の強化や太陽光電力買い取り制度のように原子力電力も買い取り制度を構築し事故対策基金とするくらいが、必要だ。

 石炭火力発電などを、電力不足に際してのベースロード電源とする、これも選択肢なのですが、政府が業界に呼びかける事にあまり意味はありません、石炭火力発電施設新設を電気事業法にもりこむ法改正をおこなうならば別なのですが、気候変動対策の観点から投資家は石炭火力発電に対し冷淡であり、結局民間には石炭ではいま資金が集まらないのです。

 国営火力発電所、Jパワーや東京電力が世論や投資家の反対を懸念して新規石炭火力発電所を建設資金を集められないならば、国営火力発電所として大井火力発電所規模の大規模火力発電所を首都圏と京阪神や中京地域に建設し、国が、石炭火力発電を行うことでの世論の圧力を受ける事に耐えてゆく覚悟、というような選択肢は、考えるべきかもしれません。

 批判はあるでしょうし気候変動対策から建設予定地選定にも反対はあるでしょう、しかし、原発ほど事故発生におけるリスクはありませんし、投資家が日本国債不買運動をおこなったとしても、必要なものであると説明し、耐えることは可能です。そしてもうひとつは水力発電のダム開発くらいでしょうか、あとは地熱発電でしょうか。選択肢は少ないのです。

 水力発電については、黒部ダムを中心とした黒部第四発電所による発電量が33万kw/hに達します、この規模の水力発電所が四カ所あれば敦賀原発に匹敵する発電が可能となります、これで可能だと用地買収を進めるべきと考えるか、あの規模のダムを西日本に四カ所新設すると西日本が水没してしまう、と考えるかは個人によるが、筆者は後者の立場です。

 地熱発電は建設費用が高いもののいったん建設してしまえば燃料費がかからないために低コストである、という説明と、既設の地熱発電所は老朽化が進み新規地熱坑掘削コストの問題から発電能力が低下している、この矛盾する説明が通ってしまう事が難点です、そして進まない要因を、温泉業界が反対しているから、で片づけている。現実を直視し動かねばなりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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東京電力-電力需給ひっ迫注意報発令,2011年の政治決定による原発停止と再稼働への政治決断の必要性

2022-06-27 07:00:52 | 防災・災害派遣
■臨時情報-電力関連
 六月の猛暑としては今回のものは災害規模に迫るものですが、仮に今後の夏本番を受け大規模電力不足と成れば巨大な災害に発展しかねません。

 東京電力は猛暑による冷房などの電力需要が高まり供給能力が他の電力会社からの融通を受けた場合でも供給不足となる懸念から昨日初の、電力需給ひっ迫注意報、この発令に踏切りました。原子力発電所のほぼ全てが停止し、火力発電は温室効果ガス削減機運を受け施設老朽化による廃止が続き、再生可能エネルギー開発は調整電力開発が進んでいません。

 政治決定による原発再稼働、今回は11年以上続く停止状態から、急な点検が間に合うとは考えられませんので、この夏の電力不足は最早回避出来ないと云わざるを得ないのですが、原子力事業者と原子力技術者の再確保という十年単位の再構築計画を、今からでも着手し、須年以内にこの状況を脱する必要があるよう考えます、その為には政治決定が必須と思う。

 菅直人首相(当時)は2011年5月2日の参議院予算委員会にて、浜岡原子力発電所において“地震の影響を受けやすい場所に立地していると指摘を受けており、政府としても国民に安心してもらえるかしっかり見極めて判断しなければならない”とし、当時点検中であった静岡県の浜岡原発、2011年7月に予定されていた再稼働への慎重な姿勢を示しました。

 海江田経済産業大臣(当時)は5月6日、浜岡原発の原子炉再稼働について政府として中部電力に運転停止を求める要請を行うと0700時にテレビ中継を行い、政府として事実上政治決定により運転停止を求めた事を全世界に発表しました。これは法的措置ではありませんが、3月11日から続く東京電力福島第一原発事故を背景に要請を公表した意味は大きいもの

 2011年5月6日の政府要請に基づく原子力発電所停止、政府要請は電力事業者が仮に根拠法が無いとしても拒絶する事は出来ません、いわば政治決定により原発を停止させた、この一点を考えれば、当時とは政党が違うという言い分ではなく、政治決定による再稼働を行わなければ、この状況を覆す事は出来ないのではないか、電力供給が逼迫しても、です。

 しかし、日本の原発全停止措置は、この“東海地震が切迫している”という受け留めができる政府要請と共に、法的措置ではなく政治主導での超法規的な要請に基づくものであり、地震発生の可能性を示唆された場合は日本の原発立地自治体で地震懸念の無い地域は存在せず、いわば慎重論に圧される形で原発停止のドミノ倒し的要請が広がる事となりました。

 停止要請から11年、確かに日本国内では熊本地震や胆振東部地震に鳥取県西部地震や能登半島地震など、地震は多発していますが冷温停止中の原子力関連施設が破損する様な地震は起きていません。問題は日本の電源構成において30%以上を占めていた原子力が突然、発電から冷温停止として逆に電力が必要となる負債化した事が、余りに突然であったこと。

 LNG液化天然ガス、中部電力は2011年5月8日に浜岡原発停止に伴う代替発電用にカタールからの液化天然ガス緊急調達への接触を開始したと毎日新聞が報じました、ここで日本と云う巨大な電力需要市場をLNGにより急遽まかなう措置が開始され、他の原発にも波及した事でLNGの取引価格が急騰、世界エネルギー市場を突然混乱させることとなります。

 再生可能エネルギー開発は確かに進められました、太陽光発電などは1kwあたり42円という破格の数字が政府により決定され、太陽光発電バブルというものが日本で生じました、しかしこれは再生可能エネルギーの普及以前に、日本の製造業に高すぎる電気料金を突き付け、国内の製造業を海外に転させざるを得なくなり、モノづくり大国の地位は後退した。

 電力不足、今回の六月猛暑により電力不足が顕在化したように思われるかもしれませんが、延々と2011年より続いている問題です。もちろん、太陽光パネルが風景として増加していますので、一見代替電源が確保されたように錯覚するのですが、再生可能エネルギーは太陽光の場合で日暮れや早朝などの発電能力など限界があり、調整電源が不充分なのです。

 大規模ダム開発による水力発電拡充や、化石燃料による発電が投資家の理解を得られないのであれば国営石炭火力発電所を建設し世界からの批判を電力会社に代わり国営会社が引き受ける選択肢もあります、しかしこれも時間がかかるのですが、2011年以降、増えるのは太陽光発電偏重、調整電力開発は放置されたまま、今年も夏の猛暑と電力不足が話題だ。

 政治決定による原発再稼働、ただ、万一の事態が発生した場合には政府には電力会社に措置命令を発する、生命の危険があっても実施を強制する事は可能ですが、実能力として原子力施設へ万一の際は対応する事が出来ません。しかし、シーレーン防衛など経済を意識した防衛政策は存在する一方、こうした状況にも政治決定は必要と考える余地もあるか、考える必要はあるのでしょう。

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アフガニスタン南東部地震-タリバン政権は救助作戦終了,発災後72時間経ず救助終了-各国へは資金等要請

2022-06-25 07:01:56 | 防災・災害派遣
■臨時情報-アフガン地震
 日本であれば初動72時間こそが生存者救命が左右されると大車輪で救助部隊を掻き集めるのですが。

 アフガニスタンでの地震は、タリバン政権が救助作戦の終了を発表しました。現地時間22日未明にアフガニスタン南東部にて発生した地震は、タリバン現地当局者の発表として死者数1000名以上、負傷者は1500名に昇るとしていて、被害は甚大です。タリバン政権は国際社会に支援を求めつつ、しかし救助作戦は24日までに終了したとも発表しています。

 日本政府を含め国際緊急援助隊を派遣している国はいまのところありません、これはアフガニスタンのタリバン政権は民主政権を武力打倒した後に女性参政権は勿論、教育や就業制限など女性人権を無視した施策を採り、各国との歩み寄りを拒否した政策を採っている為です。今回も、国際社会に支援を求めつつ、しかし具体的な支援などが不明確のままだ。

 地震は現地時間0130時頃に発生、震源は南東部ホスト州の州都ホストから44kmの地点で、地震の規模を示すマグニチュードは6.1、イギリスのBBCによれば被害はパクティカ州のガヤン地区とバルマル地区に集中していると現地医療関係者の声を伝えています。ただ、ホストから被災地までは舗装道路が無く、携帯電話中継施設倒壊により通信不能ともいう。

 タリバン政権の救助はヘリコプターにより行われているようですが、BBC報道を見る限りはMi-8中型ヘリコプターが1機飛行している以外はそれらしい救助活動はなく、また南東部は親タリバン地域ではあるのですが、ヘリコプター発着地域には小銃で武装したタリバン勢力が警戒している様子も映り、治安の問題か援助過小からの騒乱などが考えられます。

 国際社会の支援を求めているタリバン政権ですが、同時に昨年8月の民主政権転覆により同国は厳しい経済制裁下にあり、また、昨年の政権奪取後における各国との外交関係構築にも熱心ではなく、内陸国である同国ですが人道支援を行った場合でも被災地へ救援物資を搬入できる国は、多くはありません。タリバン政権が救助作戦を終了している事も響く。

 OCHA国連人道問題調整事務所によれば、国連とパキスタン政府が医療チーム派遣を準備中とのことです。ただ、被災地は土煉瓦造の建物が多く、日本では影響が出ない程度の揺れでも圧潰する事例が被害を大きくしているようです、特に死者1000名以上といいますが、まだ瓦礫の下に被災者が居る状況で、災害発生後72時間を経ずして救助が終了している。

 人道支援を要請するタリバン政権ですが、そもそも現地政府が何もしていない中で海外からの支援を受ける姿勢は被災地へ国際緊急援助を派遣する諸国が好意的に見るには無理があり、また、資金援助を行った場合でもアフガニスタンはタリバン政権前まで海外援助に依存しており、タリバン政権自身が経済破綻している中、被災者に渡るかの透明性が無い。

 タリバン政権は災害発生後まだ瓦礫の下に生存者がいるとされる72時間以内に救助を撃ち切り、一方で外国援助の再開を求めるなど、統治能力の限界を示していますが、問題は日本はじめ先進国から見れば破綻しているといえる統治機構を、当事者のタリバン政権側が改善させようという姿勢が見えない点で、なんとかならないのかという率直な印象です。

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サル痘:韓国で感染確認-アジア初,WHO世界保健機関はPHEIC公衆衛生緊急事態宣言発令検討へ緊急会合

2022-06-24 07:00:52 | 防災・災害派遣
■情報不足こそ喫緊課題
 世界はCOVID-19初動の遅れという今に至る疾病拡大の反省を次の世界的流行禍に活かせるのでしょうか、その試金石は間もなく。

COVID-19、日本は大きな人口と高齢化により感染当初に憂慮がありました、しかし限られた情報の中で、2020年2月3日、横浜の大黒ふ頭へクラスター感染を引き起こした超大型クルーズ船ダイヤモンドプリンセスを検疫隔離として接岸を許可し、中国から報告されている以上の、極めて高い感染力を有しているという生の情報を得て、対策に活かしました。

ダイヤモンドプリンセスの乗員乗客は3700名、感染者は706名で死者4名、非常に厳しい状況でしたが、感染力が非常に高く先進国の高度医療でも致命的となり得るとの情報を得た、多くの国はWHOの韓国に併せ1月31日に緊急事態を宣言しつつ、例えば欧州初期の感染拡大となったイタリアで部分的措置が取られたのは2月23日、市中感染拡大後です。

 WHO世界保健機関は世界で感染者が2100名を超えているサル痘について、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を発令するかについて本格的な議論に入りました。PHEICは発令されれば、各国に国境封鎖や検疫隔離等公衆衛生上の緊急措置を執る論拠となりますが、それだけに発令は慎重、2020年のCOVID-19では発令が十日遅れ600万名以上が死亡しました。

 韓国でもサル痘感染が確認された。韓国保健当局が22日に発表したところによれば、21日にドイツからインチョン国際空港へ帰国した韓国人が、倦怠感と皮膚の異常を感じた為に保健当局に自己申告したところ、感染が判明、アジア初の感染事例となっています。初動の遅れは深刻な結果を示ることをCOVID-19で学びましたが、果たして今回はどうか。

 サル痘とは。国立感染症研究所等の情報を参考としますと、潜伏期間は一週間から二週間、発症すると発熱と頭痛に続いてリンパ節腫脹に筋肉痛が一日から一週間弱続き、その後にサル痘の特色である発疹と痘痕が出るとのこと、合併症を引き起こさなければ二週間から四週間で完治するとのことです。すると隔離期間は二週間、発症すれば一ヶ月、となる。

 感染経路は。元々は1958年にワクチン研究を行った際、アフリカのカニクイザルから発見されたウィルスで、このカニクイザルも宿主ではなく宿主は齧歯類とされています。これまでは、野生の齧歯類や霊長類と観光客などが接触した場合に感染する、こう考えられていましたが、PHEIC公衆衛生緊急事態宣言を検討しているところを見ますと、より深刻だ。

 ヒト-ヒト感染を引き起こしている。留意すべき点は現在このサル痘が感染拡大している中心地は欧州です、6月15日までに感染確認は2103名、このなかで1773名が欧州で感染しており、欧州には野生のカニクイザルは居ません。そして天然痘と似ているというサル痘、しかしこの天然痘は、一度日本を滅ぼしかけたほど、感染力が強い事でも知られるのです。

 飛沫核に含まれるウィルスが乾燥状態で空気に乗り拡散する、これを空気感染といいます。空気感染する疾病はそれ程多くありません、COVID-19は幾度も専門家が飛沫核感染やマイクロ飛沫感染と、報道される空気感染という言葉を訂正し続けているのは、マイクロ飛沫核感染では10mも拡散しませんが、空気感染は数十m先まで届くためという事情がある。

 空気感染の方がCOVID-19のマイクロ飛沫感染よりも脅威度が高い為に専門家が、空気感染は甘くないという事で注意喚起も含め訂正しているのですが、この空気感染、数少ない感染事例が、天然痘なのですね。都市封鎖という単語が天然痘で示されたのは、城壁都市では封鎖して都市ごと封じ込める必要が在った、治療法確立前における唯一選択肢でした。

 サル痘。専門家は、“発疹が出る”“発疹から膿が出る”とした上で“膿を通じて感染する”としています。これらは天然痘と共通なのですが、天然痘が空気感染するというのは、膿が瘡蓋となり、その瘡蓋が乾燥して粉末となりますと、極端な話、“川の向こうにも空気感染する”という状況となります。COVID-19は幸い、こうした意味で空気感染はしません。

 致死率は。いまのところサル痘は二系統が確認されているとのことで、西アフリカ地域のサル痘と中央アフリカ地域のサル痘がある、今回欧州で確認されているサル痘は致死率が低い西アフリカ地域のものという。他方、同系統の中央アフリカ地域の致死率の高いサル痘は数%から10%と、COVID-19デルタ株の二倍から五倍程度という、危険な感染症です。

 PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうか。やはり関心がるのは情報が少なすぎる点です、明らかに欧州で市中感染を引き起こしているのですが、サル痘そのものはアフリカで局地的な感染例を、今回よりは小規模ですが1970年の最初の感染事例以降、何度か発生しています、2003年には輸入ペットを通じアメリカにも流入しました、しかし。

 今回の感染、特にCOVID-19の2020年からの感染拡大を受け、公衆衛生態勢は相応に強化されているにもかかわらず、欧州でこれほど大規模なヒト-ヒト感染を引き起こした事例はありません、市中感染が始っているといえる。発見されてから64年で初めての事例です、変異か変異が無いのならば感染拡大が進んだ背景に考えられるものはなにか、まだ不明だ。

 ワクチンが有効である。サル痘に対しては天然痘用ワクチンが有効といい、WHO世界保健機関によれば85%の効果を示すという。こういうのも、ワクチンの始まりはジェンナーの種痘に始まるもので、ワクチンの元祖というものです。種痘の後に開発されたものは不活性化ワクチンなど、今のmRNAワクチンから見ればかなり危険なものが初期のものです。

 しかし、天然痘ワクチンは改良が続けられ、結果的にサル痘は別ですが天然痘については根絶に成功しました。もっとも、根絶に成功した為に各国の天然痘ワクチン備蓄はバイオテロを想定した少量にとどまり、ワクチンの緊急量産が必要となるのですが。すると原動力となる論拠が必要です。PHEIC公衆衛生緊急事態宣言、今回は間に合うのでしょうかね。

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ロシアカムチャツカ半島ベズィアニィ火山が大規模噴火-噴煙一時1万5000mに到達,日本への直接影響は無し

2022-05-29 07:02:08 | 防災・災害派遣
■臨時情報-ロシア火山噴火
 写真は噴煙を上げる御嶽山と自衛隊機ですが火山噴火は地震と異なりエネルギーに上限が無く時として深刻な影響を広範囲に及ぼします。

 ロシアカムチャツカ半島のベズィアニィ火山が日本時間28日1710時頃、大規模な噴火を引き起し、噴煙は一時1万5000mに達したとのこと。ベズィアニィ火山は1955年から断続的に噴火を引き起しており、2010年頃から山体膨張が確認されていたとのことで、5月24日と25日にも比較的大きな噴火が発生していたということですが、今回はより大規模だ。

 ベズィアニィ火山は標高2882mで、ロシア非常事態省によれば噴煙は南東方向に広がっているという、噴煙柱崩落型火砕流の懸念はありますが、ベズィアニィ火山周辺には民間居住地域は無いとのことで、観光客もいないことから、人的被害の危険は及んでいないと、ロシア非常事態省は発表しています。ただ、現地映像を見る限り山体崩壊等はありません。

 火山噴火について、幾つかの留意事項を挙げますと、火砕流や火山灰被害とともに、大気中の火山性エアロゾルによる旅客機飛行への影響、また微細粒子の成層圏滞留により太陽光照射低下の影響です。ただ、ベズィアニィ火山噴火は噴火から五時間後には噴煙は5000m程度まで低下しているということで、この規模の噴火で終息するならば影響は限定的です。

 ただ、懸念するのは、山体膨張しているともとれるロシア科学アカデミーによる2010年頃からの観測で、山体膨張とも火口溶岩ドームとも受け取れる変化であり、これで噴火は終息に転じるのか、ということです。溶岩ドームの爆発ならば崩落型火砕流を引き起すものですが、噴煙1万5000mの観測と少々矛盾が生じます、山体膨張となるならば話は難しい。

 山体崩壊に至っていないならば噴火は継続する可能性があります。無論、火山噴火の旅にこの種の懸念は常に一定程度ありますので、観測を継続する必要はあります。仮にさらに大きな噴火となった場合は、北半球の気象に影響が生じ、例えば農業生産などに一定程度の影響を及ぼす懸念もあります、ただ、その可能性は現段階では低いのもたしかです。

 大規模噴火ということで我が国気象庁は、トンガのフンガトンガフアパイ火山噴火の際のような遠隔津波の日本到達を警戒していましたが、今回の噴火では顕著な気圧変化は認められないということで、危険は無いと発表しました。なお、カムチャツカ半島は千島列島火山帯を形成しており、こうした地球深部の変動が地震などに間接的に影響しないのかも関心事でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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サル痘拡大兆候-天然痘類似症状の感染症へWHO世界保健機関が警鐘,致死率は1~10%-情報収集強化呼び掛け

2022-05-23 07:00:21 | 防災・災害派遣
■臨時情報-サル痘関連情報
 日本では指定感染症四類に区分される危険な感染症が欧州や北米を中心に流行の徴候があるとのこと、本日の朝の臨時情報はこの点について。

 WHOは“サル痘”という天然痘によく似た症状を引き起こす感染症の流行兆候について、警戒態勢の強化を提唱しました。これは欧州や北米地域においてサル痘とおもわれる感染事例が徐々に増大している事を受けてことで、各国保健機関に対し患者の情報把握と感染者と接触した人の迅速な追跡体制を強化するよう呼びかけたものです。そのサル痘とは。

 サル痘とは、1958年に初めて発見されたもので幾度か人類を滅亡のふちまで追いやった天然痘とよく似た症状を発症したカニクイザルが1958年に確認されたもの、この確認はポリオワクチン製造への情報収集が発端です。1970年にはコンゴ民主共和国において数万規模の感染が確認され、熱帯雨林などでげっ歯類からサルへ感染拡大したものがヒトに感染へ。

 天然痘、これは上記の通り古代から中世において幾度も感染拡大を引き起し、その都度人類を滅亡のふちに追いやり、日本などは奈良時代の感染拡大が一時的に律令制度を崩壊に追いやりました、その最たる懸念は“空気感染”することで、COVID-19のマイクロ飛沫感染と異なり、疱瘡の膿が乾燥し空気中に拡散する事で数百m先まで感染すりという。

 天然痘は、ジェンナーの種痘に代表される予防法の確立により再度人類を滅亡させ得るリスクとはなっていません、そしてサル痘の予防にも種痘が有効と考えられるのですが、天然痘の根絶により40年近く前に日本では種痘が終了しており、欧州やアメリカでも同様の状況があるのですね、天然痘と似た症状、大丈夫なのでしょうか。しかしサル痘とヒトは。

 終末宿主である、要するにサル痘のヒトへの感染は感染拡大における終着点ではないかというものが厚生労働省の“感染症法に基づく医師及び獣医師の届け出について-サル痘”での分析です、これは媒介原となる宿主はネズミなどのげっ歯類であり、ヒト-ヒト感染は発生するものの主たる感染源はげっ歯類であり、日常生活では基本的に感染しえないという。

 致死率は最大で10%、CIVID-19デルタ株の五倍程度ですが、概ね1%程度で推移しており、CIVID-19オミクロン株の20倍以上ですが、COVID-19原種株と比較すれば同程度かやや上回る程度、そしてサル痘が現段階ではヒト-ヒト感染はまだ主流ではありません、感染力が上昇する様な変異は未だ確認されていませんが、要注意、という水準なのでしょうね。

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知床観光船KAZU-Ⅰ遭難事故,災害派遣の掃海艇いえじま海底120mの遭難船を発見-捜索寄与のPAP-104とは

2022-05-02 07:00:10 | 防災・災害派遣
■臨時情報ー知床遊覧船遭難
 4月23日に発生した知床遊覧船遭難、災害派遣要請を受け26日に出航した掃海艇が29日ついに沈没船を発見しました。

 知床観光船KAZU-Ⅰ遭難事故,沈没したKAZU-Ⅰを海上自衛隊の掃海艇いえしま、が発見しました。これは海上保安庁の測量船や漁船によるソナー探索等も行われていましたが、掃海艇の機雷掃討能力が、こうした状況において活用されることとなりました。こうもつかえる自衛隊装備というもので、今回は掃海艇がどのように発見したかをみてみましょう。

 いえしま、は掃海艇すがしま型の7番艇、函館基地に配属されています。掃海艇の任務はその名の通り、機雷を掃海する事に在ります。しかし、昔は地方隊展示訓練などで掃海艇が掃海器具を曳航する掃海展示が行われていましたが、近年の、というも展示訓練は最近行われていないが、観艦式などではそうした掃海展示が実施の無い事にお気づきでしょう。

 PAP-104,今回KAZU-Ⅰを発見しましたのは、すがしま型掃海艇に2基が搭載されている機雷掃討装置です、これは一種の水中ロボットで水深300mよりも深い海域まで機雷を掃討する事が可能で、高周波ソナーと高感度光学映像装置、そして機雷処分用爆雷やマジックハンド方式の係維索カッターが装備されていて、海中を6ノットで航行する事が可能です。

 機雷掃討装置、これを搭載するのは機雷が高性能化を続けている為で、例えば船舶の接近を感知して魚雷攻撃を行うキャプチャー機雷や、コンピュータを内蔵し目標となる船舶、LNGタンカーや車両運搬船などの高付加価値目標や潜水艦と空母や水上戦闘艦などの戦略目標を識別し、これだけを特定の時機で狙って起爆する知能化機雷などが存在しています。

 磁気機雷や音響機雷、第二次世界大戦では船舶の磁気を探知し爆発するものや、エンジンとスクリュー音などを検知し爆発するものが、従来の水中に半没状態で機雷が海底から係留される係維機雷対策の掃海を全く役立たずとしてしまいました。そして、これらは戦後、水中で音や磁気を発する掃海装置を曳航する磁気掃海や音響掃海が完成し対処可能となる。

 しかし、機雷は費用対効果が最も高い装備とされているもの、簡単に掃海されないよう技術が発達しますと、例えば数回や十数回の音響や磁気検知では起爆しないものや、特定の艦船航行特性を磁気的音響的に識別する機雷が完成、中には掃海艇を狙い掃海できなくなる機雷も開発され、掃海艇の後ろに掃海器具を曳航する事は危険極まりないものとなった。

 掃海艇を狙う機雷が掃海艇の後ろの掃海器具を無視して掃海艇を狙う為です、この為に機雷掃討という、掃海艇よりも前に前進して機雷を探して一つ一つ処分する方式が一般化します。PAP-104はフランス製で、光ファイヴァーを搭載し稼働時間が長く、掃海艇よりも600m以上前を航行して機雷を探索できるという。これは今回の捜索に寄与したかたち。

 KAZU-Ⅰ、恐らく掃海艇は櫛の歯を曳くように丹念に捜索を続けたのでしょう。高周波ソナーは機雷の形状を捜索する際に使うものですが、沈没船舶などの特徴的な形状も識別可能です。高感度光学映像装置は要するにテレビカメラです、特徴的な形状の地形に近づいて確認できる、漁船のソナーでは分らない、人工物の識別が可能という訳です。機雷用だ。

 KAZU-Ⅰ沈没位置は水深120mという。ただ、漸く発見できましたが、沈没原因は杜撰な安全管理と運行管理と情報管理、会社の通信塔は欠損で無線は故障し当初あるという衛星携帯電話は無く通常の携帯電話、周辺海域は通信圏外で、SOSさえ発信できない状況、こんな状況で運行を継続した運航会社は、どんなことがあっても償うべき事があるのです。

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北海道知床半島沖観光船KAZU-Ⅰ遭難事案-警備救難任務の南西方面重視が招いた捜索救難活動への影響

2022-04-25 07:01:15 | 防災・災害派遣
■臨時情報-知床沖遭難事故
 北海道知床半島沖にて発生した遭難事案は今日も捜索救難が継続されるとのことですが。

 知床観光船KAZU-Ⅰ遭難事故は、海上保安庁や警察に加え、自衛隊も北部方面隊より北部方面航空隊と北部方面システム通信群、海上自衛隊からは大湊地方隊からLOが派遣されるとともに、舞鶴の第14護衛隊、航空自衛隊からは千歳救難隊と秋田救難隊に加え小牧の救難教育隊も展開しており、更に八戸航空基地より哨戒機も捜索に参加しているとのこと。

 しかし、残念ながら今のところ生存者発見には至っていません。KAZU-Ⅰは排水量19tで船体規模からAIS船舶位置情報表示装置を搭載しておらず、また救難要請を発信した際に海上保安庁へ船舶位置が正確に通知できない通信上の不備があったようで、遭難位置をAISにより追尾できなかった事が初動の遅れを呼びました、しかし、もう一つの視点もある。

 南西方面重視の我が国安全保障体制は、今回の遭難事故捜索救助へも影響したといえるのかもしれません、それは海上保安庁釧路航空基地、事故現場から130km離れた場所に第一管区海上保安部の航空部隊に海上保安庁一番の俊足を以て運用されるシコルスキーS-76が配備されているのですが、今回の事故発生に際して稼働機は任務飛行中となっていました。

 出航の時点で事業者の天候判断が余りに楽観的過ぎた、この点は不変です、つまり瑕疵は事業者側に在り、そもそも現場海域の海象、国土交通省の資料によれば波浪3mと風速13m、この気象状況で19tの小型船がどのような観光案内を行うつもりだったのか、という無理な出航に原因はあったのですが、かりにもう少し救助する側に予算が有れば、ともおもう。

 シコルスキーS-76ならば事故現場海域まで一時間ほどで到達できるとのことですが、任務飛行中であり航続距離の関係上一旦は釧路航空基地へ戻り給油する必要があった、この為、現場海域への進出が出動要請受領から三時間を要した、ということになります。定数と稼働率の問題がありますが、重要なのは一機では同時に二方面へ出動出来ないということ。

 PLHヘリコプター搭載巡視船や、釧路航空基地の予備機に余裕があったならば、こうも考えてしまうのです。一方で、PLHは現在、多数が南西諸島の警備救難任務、云うまでも無く尖閣諸島警備専従部隊に優先して配備されています、これは必要ゆえに仕方ない事なのですが、しかし任務増大を背景に部隊転用ではなく、素直に増勢していれば、とも考える。

 南西シフトといえば、冷戦時代の防衛正面であった北海道始め本州の部隊を大きく南西方面へ引抜くという施策が、日本全体の防衛力整備に少なくない影響を及ぼした点はこれまでに幾度も提示しています、しかし、海上保安庁についても、南西方面と同程度に北海道周辺での巡視船や航空機が配備されていたならば初動は、こうも考えてしまうのですね。

 予算は有限です、従って平時から必要な方面への注力というものはある意味致し方ないことではあるのですが、南西シフトが生じさせた歪は、今回の警備救難任務に際しての海上保安庁航空機態勢にも影響を及ぼしたのではないか、予算は無い事は財政上理解はできるものの必要な予算は確保する努力、増税も含めて、検討されるべきではなかったかと思うのです。

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