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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ウクライナ情勢-トランプ大統領"日本型平和主義"の敗北と先行するウクライナ軍事支援停止で逸した停戦主導権

2025-03-28 07:01:28 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 目的としての平和主義ではなく手段としての平和主義、日本型平和主義の危うさは過去幾度も議論していますがこれを標ぼうする日本の進歩的な方々が一定数居る事も現実です、そして今そこにアメリカ大統領が加わりました。

 アメリカのウクライナ和平は、ウクライナ軍事支援停止後に停戦交渉をウクライナの頭越しに行った事が決定的な失敗となっているのではないかと分析します。それはロシア軍が膨大なソ連時代の軍事備蓄、廃棄戦車等の再生により劇的な損失を補っていますが、ウクライナもソ連の一部であった過去から、大量の廃棄戦車などの備蓄があるのです。

 アメリカ軍事援助はトランプ第二次政権成立と同意に遮断されていますが、ウクライナ国内の軍需産業が巨大であり、ここに欧州と日本や豪州とカナダの支援が健在ですし、無人機製造能力や無人艇建造能力などでは、いまのところアメリカの軍事支援の枠外で対応し、ネプチューン2ミサイルのように射程1000km級の巡航ミサイルも独自開発しました。

 軍事援助、アメリカとロシアの停戦交渉をウクライナに呑ませる際に、支持して停戦に応じなければ軍事援助を中止する、というならば、ウクライナの対米依存という枠組みを背景に不利な状況でも妥協しなければならない状況はあったのかもしれませんが、先に支援が切られてしまっては、アメリカはウクライナにインセンティヴを提供できません。

 トランプ大統領とプーチン大統領の関係は、停戦合意が成立するならば履行されるというトランプ大統領のプーチン大統領への信頼、つまり、今の時代でも“戦争は話し合いと信頼で解決できる”という、一種“日本的平和論”をアメリカ大統領が実行するという、日本の平和主義理論からみれば、歓迎しなければならない滑稽さが問題を難しくしています。

 日本では一昨日が沖縄戦開始80年、慶良間上陸から80年という節目の年でしたが、この問題をウクライナに当て嵌めると重要な意味が見えてきます、それは、沖縄では日本軍2個師団vs米軍10個師団という絶望的な戦いとなりましたが、あの戦いを全滅まで継続した日本と同じように、支持次第で国家は追い詰められると最後まで戦うということ。

 降伏すれば幸せになれる、という論理は、併合する側が自国の兵士にさえ優しく出来ず、あまつさえ松葉杖のまま突撃を強いるような国、ソ連時代の圧政と飢餓を覚えているからこそ、降伏はできません、この状況で“軍事支援を停められたくなくば停戦に同意を”ではなく、最初に軍事支援を切ってしまったアメリカは主導権を逸している状況なのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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ウクライナ情勢-アメリカロシア"リヤド協議"で黒海商船安全確保に関する合意-発効時期未定

2025-03-26 07:01:26 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 アメリカとロシアはサウジアラビアのリヤドで開かれた協議の結果、黒海での民間船舶への武力攻撃を停止する事で合意に至ったとのこと。ただ、発効の時期は未定です。

 黒海での武力攻撃を禁止し、商船の黒海における安全な航行を確保するとともに、軍事目的での商船利用を禁止し、またエネルギー施設への攻撃も禁止したとのこと。合意が履行されているかの確認は盛り込まれなかったようで、ロシア側はこれによりウクライナ商船を攻撃しない分、ロシアからの肥料輸出なども可能となる様に合意に盛り込んだとのこと。

 今回、不透明であるのは、ロシア側はクリミア半島への橋梁が破壊されている事から民間船による軍需輸送を実施しており、この背景にはウクライナ海軍の無人艇攻撃によりセバストポリ軍港の黒海艦隊施設が艦艇による利用が殆ど難しくなり、揚陸艦なども1隻を除いて全て破壊されるか、修理不能のまま放置されているという状況があります。

 合意の通り民間船によるロシア軍軍需輸送を中断した場合は、ロシア軍はセバストポリを筆頭としたクリミア半島への輸送が不可能となり、アゾフ海をわたる橋梁修理を急ぐ必要が出てきます、しかし、黒海での停戦まで踏み込んでいない事から、これらの施設をウクライナ軍がこれまでのように攻撃し破壊することも可能で在る点に留意が必要でしょう。

 ロシア側は黒海での武力攻撃を行わないとした合意について、貿易金融取引制限の解除と、ロシア産水産物や輸出事業者への制裁解除を求めており、これは、アメリカがロシアに課している制裁だけを含むのか、世界各国が課している制裁をすべて解除するようアメリカに働きかけを要請しているのかが不明である一方、制裁の威力がある事も示した構図だ。

 黒海における合意がいつ発行するのかは不透明ですが、アメリカのトランプ政権は短期間のうちにウクライナでの戦闘を停しさせる意気込みが有る一方、ロシアとの交渉が複雑化しており、先ずはウクライナとロシアでの戦闘を停止させる事は出来ない一方、海上だけでも一定の成果を見せたいというあせりが表面化した様な合意とも言えるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-ロシアショイグ外相北朝鮮訪問とロシア連邦保安庁ボルトニコフ長官訪中

2025-03-25 07:00:43 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 ロシアの損害の大きさと国際的な孤立は北朝鮮の協力強化を求める事とかつて重要な同志国であった中国との関係改善を模索する状況となっているもよう。

 ロシアのショイグ外相は21日に北朝鮮を訪問した、ISWアメリカ戦争研究所3月21日付ウクライナ戦況報告によれば、ショイグ外相は北朝鮮の金正恩主席と会談した可能性が高いとISWは分析しています。また同じ21日、ロシア連邦保安庁のボルトニコフ長官は中国を訪問、北京において王国家安全保障部長と会談を行ったと分析しています。

 中露の高官会談について、ISWは法執行機関や治安機関単位での両国間の関係会合を強化する事で、テロ対策や国境管理、国際犯罪といった可能な範囲においてロシアと中国のパートナーシップを強化しようとしている可能性が高いとしています。これは中露関係がロシアウクライナ戦争開戦後ひかれた一せんがそのままである事を暗に示唆している。

 ロシアがこうした国際協力を模索する背景として、ISWはイギリス国防省の分析を引用、ロシア軍はロシアウクライナ戦争開戦後、戦死者は既に25万に上っておりロシア軍死傷者全体では90万の大台に達しているという、ウクライナ参謀本部の調査を紹介しています。また2月は平均して毎日1255名の死傷者が出ているとも分析を紹介しました。

 ロシア軍のウクライナ最前線における状況は、シヴェルスク方面のウクライナ軍旅団報道官の情報として、ロシア軍は高齢者や負傷者からなる部隊で攻撃した上で防衛線のすき間を探し、ここを発見した場合に洗練された歩兵部隊による攻撃を行っているということですが、歩兵部隊は平均して5kmから10kmの区間を徒歩機動しているとされています。

 徒歩機動に際して、ISWは同じ情報源から、ロシア軍では民間車両を現地の兵士個人が借り上げて徒歩機動を車輛移動に切替えるか、賄賂を支払わず徒歩で移動するかを選択させているという情報もあり、死傷者の多さとともに装備枯渇が兵員の損耗を増大させており、前進を大きく制約する要素となっている状況もしめしているようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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自衛隊統合作戦司令部発足!初代統合作戦司令官に南雲憲一郎空将,陸上総隊司令部・自衛艦隊司令部・航空総隊司令部の上級司令部

2025-03-24 20:00:28 | 国際・政治
■統合作戦司令部
 本日、自衛隊発足以来であり統合幕僚長設置と並ぶ大きな自衛隊の組織改編が東京市ヶ谷の防衛省において執り行われました。

 統合作戦司令部、防衛省は本日新しく陸海空自衛隊を包括的に統合指揮する統合作戦司令部を発足させました。この統合作戦司令部は司令官として統合作戦司令官を置き、アメリカのインド太平洋軍司令官と同格の将官、諸外国で云うところの大将、四つ星の将官を補職することとなっています。統合作戦司令官は陸海空自衛隊で持ち回りとなる予定だ。

 自衛隊の指揮はもともと統合幕僚長の所掌でした。この統合幕僚長という補職は2006年の防衛省設置法改正と共にそれまでの統合幕僚会議議長と統合幕僚会議を改組する形で創設されています、こういいますのも、統幕議長と言われていた時代には陸海空の幕僚長が隷下自衛隊を指揮し、統合幕僚会議は陸海空の調整を担うという位置づけであったため。

 統幕議長、他方で事実上、陸海空の幕僚長から昇進するかたちで統幕議長は位置付けられており、政治も統幕議長を自衛隊制服組トップという位置づけで総理の補佐などを担ってきましたが、統合運用の必要性から、防衛庁の防衛省改組にあわせ、統合幕僚会議事務局を統合幕僚監部に改組、統合幕僚長が生まれたわけです。ただ、此処で問題が。

 全自衛隊の頂点という位置づけとはなっていましたが、統合幕僚監部は幕僚機構を有するものの司令部機能は常設ではなく、過去の事例では第一線部隊を包括指揮する統合任務部隊司令官が置かれたことはありましたが、東日本大震災や熊本地震のような非常時に設置されるものであり、常設の自衛隊トップとなる機能がなく、ここに統合作戦司令部が。

 統合作戦司令官、初代統合作戦司令官には南雲憲一郎空将が就任しました。司令部は市ヶ谷の防衛省本省庁舎に置かれていまして、南雲憲一郎空将は前統合幕僚副長、航空自衛官でF-15戦闘機操縦士出身です。司令部には陸海空自衛官240名が勤務しており、2026年度末の編成完結時には280名の勤務体制が確立するとのこと。

 陸上総隊司令部、自衛艦隊司令部、航空総隊司令部、これまで陸海空自衛隊は別々に司令官を補職してきました。自衛艦隊司令官は1954年、航空総隊司令官は1958年に設置されています。陸上総隊司令官はそれまで、北部方面総監、東北方面総監、東部方面総監、中部方面総監、西部方面総監、五方面総監が艦内事態に対応する運用を取っていましたが。

 司令官は陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長と同格となります。2018年に陸上総隊が創設され陸上総隊司令官が陸上自衛隊のトップとなっています。今回、統合作戦司令官は、陸上総隊司令官と自衛艦隊司令官及び航空総隊司令官を指揮することとなります。他方で、将官ポストを新しくねん出するために、全国の指揮官ポストも整理縮小されました。

 アメリカインド太平洋軍司令官と同格の司令官が日本に誕生しましたが、問題はインド太平洋軍司令部はハワイの真珠湾基地にあり、東京市ヶ谷とは距離が隔ているという問題がありました。実は、この問題についてアメリカ国防総省も在日米軍司令部を改組し、統合軍司令部を横田基地へ置く計画があるのですが、この実現の見通しがたっていません。

 歳出削減政策、アメリカ政府のイーロンマスク氏をトップとした政府歳出適正省が在日米軍再編を予算の無駄と位置付けて指揮官の補職を停止したためです。アメリカ国防総省は、仮にこの計画が実現した場合には中将、三星ポストを補職する方針という事ですが、四つ星を補職した自衛隊とは一つ格下の将官を補職する姿勢が不協和音を生む懸念があります。

 統合幕僚長について、今回司令官補職は統合幕僚副長から補職されたという前述の通り、階梯としてはその一つ下となりますが、陸海空幕僚長と同格の司令官に対して、統合幕僚長は防衛大臣と内閣総理大臣の補佐に専念するという、統幕議長時代の職責に近く、具体的には内閣を補佐する位置づけと第一線部隊指揮、専念できる環境が完成した訳です。

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在日米軍司令部機能強化計画中止をアメリカ政府が示唆か?イーロンマスク氏が進める政府機能縮小の一環

2025-03-21 07:00:50 | 国際・政治
■太平洋での米軍更に縮小
 最終的に台湾や沖縄をガザやグリーンランドのように求めてくるのではないかと懸念するような事例が。

 在日米軍司令部機能強化計画中止をアメリカ政府が示唆している、NHKなどが相次ぎ報道しました。これは日米統合運用司令部を新しく設置し、自衛隊に陸海空自衛隊最高指揮官を統合幕僚長直下に配置するとともに新しくアメリカ軍にも在日米軍司令官以外に将官級ポストを配置し、有事の際に統合運用を行うというものでした。

 中止の理由はアメリカ政府が進める歳出削減、イーロンマスク氏が進める政府機能縮小の一環として国防費が縮小され、在日米軍予算についても例外ではなく縮小されるためとうものです。国防総省は環太平洋地域でのアメリカ軍能力低下というリスクは存在するものの、これにより1600億円が削減できるものとしているとの報道も。

 自衛隊はこの統合司令部設置に向け、複数の司令官級ポストを廃止し統合司令官補職の為の人事的再編を進めるなど既に幾つかの施策を提示しており、統合司令部中止の動きが現実となれば、自衛隊再編が自衛隊の地域配備能力や機動運用能力の再編に影響を及ぼす可能性も否定できません。

 アメリカの安全保障政策は対中強硬路線を採りつつ、このところ僅か二ヶ月でアメリカ軍は海外地域における戦略拠点を手放し、逆にガザやグリーンランドやウクライナなどでは、領土割譲と併合を求める、土地取得そのものが安全保障に切り替わる脱軍事的な外交方針を進めており、果たしてこれが意味を持つのか、懸念が出てきています。

 米軍の急激な縮小再編は欧州でも、NATO欧州連合軍最高司令官ポストの放棄を念頭に在欧米軍縮小を検討しているとされ、特にNATO欧州連合軍最高司令官ポストは北大西洋条約締結以来、アメリカ軍将官が担ってきた伝統的なポストである事から、仮に実行された場合は欧州における米欧防衛協力の引き返せない転換点となることでしょう。

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ウクライナ情勢-米ロ首脳電話初会談,トランプ大統領が求めた“30日間停戦”はプーチン大統領反対で実現せず

2025-03-19 07:00:18 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 停戦は実現しませんでした。イギリスなどは既に停戦が実現した場合に備え国際平和維持部隊派遣の準備を進めているとも報道がありわが国でも研究が開始されているという一部報道があります。

 米ロ首脳電話会談が現地時間18日に行われましたが、トランプ大統領が求めた“30日間停戦”は実現しませんでした。日本時間19日未明にかけて行われたトランプ大統領とプーチン大統領の電話会談では、両国首脳はエネルギー施設など民間インフラ施設への攻撃を停止する事で合意に至りました。プーチン大統領は軍に命令を出すとしたとのこと。

 今後の課題は、30日間停戦実現までは進まず、次の段階で黒海での戦闘停止が話し合われるとしています。黒海での戦闘は、ウクライナのアフリカ地域への穀物輸送船への攻撃を行わない合意とともに、ロシア海軍がおこなっている黒海艦隊艦艇によるウクライナへのミサイル攻撃を停止し、ウクライナ海軍も無人艇による艦艇攻撃を停止することが議題に。

 30日間の停戦が実現しなかった背景として、プーチン大統領が求めたのは、害奥からのウクライナへの軍事援助を停止する事を求め、30日間の停戦がウクライナ軍の戦力建て直しに用いられる可能性があるとしてプーチン大統領が受け入れなかったとしています。ロシア軍が戦力建て直しに使われる可能性については言及はなかったもよう。

 停戦実現に至らなかった背景の一つとして、ウクライナ軍がロシアクルスク州に対して行っている反撃が、いまもウクライナ軍がロシア本土の一部を保持し続けており、ロシア軍が停戦に応じた場合、ロシアがウクライナ領土を侵略しつづけるかぎり、ロシア本土の一部もまたウクライナ軍に保持され続けるという問題を解決できなかったという事情が。

 プーチン大統領はまた、ウクライナの中立化を求めていますが、中立化とは言うものの、ロシア支持政権樹立とウクライナ軍の事実上の解体を求めており、プーチン大統領の言う中立とは、ロシア側の国家としてウクライナを衛星国化する意味を含めており、スイスのような永世中立国化には反対している事も、理解しておく必要があるでしょう。

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ウクライナ情勢-ロシア軍はクルスク方面でのウクライナ軍排除のための複数方面からの攻撃を開始

2025-03-14 07:01:01 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ情勢
 欧米の歩調の乱れがロシア軍を有利に導いているもよう。

 ロシア軍はクルスク方面でのウクライナ軍排除のための複数方面からの攻撃を開始した、ISWアメリカ戦争研究所ウクライナ戦況報告3月8日付発表によれば、ロシア軍はウクライナ軍の退路を遮断するためにクルスクとの国境沿いにある複数の橋梁を爆破したとしています。

 スジャへのウクライナ軍退路遮断が目的である、これはロシア側ミルブロガーが行っている分析で、具体的にはH07号高速道路の橋梁を爆破しているという。一方、これにこごうしてロシア軍はロシア本土からウクライナ本土へのガスパイプラインを攻撃進路に用いようとした模様。

 ガスパイプラインの中を歩兵部隊が移動するという方式で、ウクライナ軍人地背後をつこうとしたもよう。ただ、この行動について、ロシア側が戦果を強調した一方、ウクライナ側はロシア軍を撃破したと発表していて情報確認が相互とも取れない状況と考えられます。

 ISWは踏み込んだ発言をしていませんが、アメリカでは人件費削減のために専門分析要員を削りすぎていることが判断を左右する問題に的確な問題領域に依拠した助言を行えないことが現在の情勢似影響を及ぼしているのではないか、従来は保守復権へ専門人材を養成する動きがありましたが。

 ハドソン研究所はじめ、保守系シンクタンクは大統領選前からトランプ大統領再選に向け、保守人材養成に尽力してきたようですが、こうした人材を登用しようという動きがそれほど大きくありません。これが現在の判断ミスや事実誤認につながっているのではとかんがえるのですね。

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ウクライナ情勢-安保理決議で顕在化する"米ロ枢軸"の懸念と欧州が模索する新しい防衛協力枠組み

2025-03-05 07:00:07 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 米ロ枢軸、とは思い切った表現ですが仮にトランプ政権が次の後継者として大統領選において指名したバンス副大統領によるバンス政権まで現在の路線が継続された場合にはあり得る状況です。

 安保理決議におけるロシア非難決議を、アメリカが反対し中国が棄権した事で、ロシア軍ウクライナ侵攻に対する米中の温度差が一転して、アメリカがロシア寄りの姿勢を示した事が欧州としてはおおきな懸念要素となっています。これは結果的に、米ロ枢軸の可能性とともに、欧州はアメリカとの安全保障協力の枠組みに歪みが生じるという点で重要だ。

 アメリカではこのところ、日本の鳩山政権時代以上に閣僚の放言が続いており、イーロンマスク政府支出改革相による、欧州立憲君主国家体制への君主制度への批判発言、バンス副大統領によるイギリスが過去40年間戦争に参加していないという、アフガンイラクシリア派遣を無視する発言、ルビオ国務長官のウクライナ否定発言などが相次いでいます。

 米ロ枢軸に対して欧州は現在、フランスの空母シャルルドゴール打撃群の南太平洋派遣を筆頭に、環太平洋地域での同志国との協力体制を強化しており、日本とオーストラリアを中心に防衛協力を強化していますが、同時にこの派遣はアメリカウクライナ首脳会談決裂前に計画され、多分に中国を意識しての空母派遣であった事に留意すべきでしょう。

 一帯一路政策など中国は欧州に警戒を強いる示威的な対外政策を進めてきましたが、AIIBアジアインフラ投資銀行への当初姿勢など、欧州は中国に対して過去、寛容な政策を進めており、現在のアメリカトランプ政権の親ロシア政策ともとれる対外政策が継続されるならば、欧州は親中国政策とはいかないまでも、新しい防衛協力基盤を模索する可能性が。

 現在のところ、アメリカは大規模な関税発動により大幅なリセッションの可能性が顕在化しています。このため、トランプ政権が次の大統領選挙において後継者と位置づけているバンス副大統領への支持がどの程度集まるかは未知数ですが、現在の路線が続いた場合、欧州はアメリカ以外に頼れる同志国を探し、協力を多極化させる可能性があるでしょう。

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ロシアウクライナ戦争開戦三年【5】ポピュリズムの台頭と貧富の格差という問題がアメリカ政治の混乱

2025-02-27 20:00:46 | 国際・政治
■ポピュリズムの台頭
 ぜんかいのつづき。

 現在のロシアウクライナ戦争は、こうした条件の下にうまれた権威主義国家が、諸国家間が国家間の民主的手続きにより対応に一致した主導権を発揮できる国を欠いて遅れを来している最中に、まず2014年のクリミア併合、その直後のドンバス戦争、その放置を背景に広がしました。

 ポピュリズムの台頭とともに貧富の格差という問題がこの拡散に拍車を掛けたのが現在のアメリカ政治の混乱です。もっとも、福祉政策よりも自由主義を制度として優先度の高い位置に起き続けたアメリカでは、この現状を根本から安定に回帰させる枠組みがなく、戦争の抑止に主導権を発揮できない。

 第三世界、最近はグローバスサウスと表現するようですが、多極化時代はもう一つ、この地域の経済的発展とともに、制度を支える主権者の教育制度などを整備する前に資源開発などにより工業化の端緒をつかんだことで、こうした地域において権威主義的国家体制の萌芽がみられることです。

 開発独裁、こうした言葉をつかえばこの問題はかなり根深いことであることを認識されるのかもしれませんが、権威主義国家への入り口は、情報通信技術の発展、優れた技術が安価に他国から流入する、この過程とポピュリズムと絡み合うことで容易に流れを国際公序から逸脱した方向へ進む。

 国際公序は、一方で、民主主義国家では持ち合わせている価値観、共有知、と表現することも出来るようですが、ある程度価値観の共同体を構成していますので、ここに、秩序か自由か、という権威主義国家と民主主義国家の構造、対立構造とはではいかずとも、一線が引かれるという。

 冷戦構造ではありませんが、この一線が、国際間の緊張関係を生む一方、現在のロシアウクライナ戦争では支援する諸国家の混乱、選挙での変容をみれば分かるとおり、ポピュリズムのドミノ倒しが生じ、宥和主義、1930年代の欧州のような無関心を起点とした疑似平和論が台頭しつつある。

 宥和主義について、世界は宥和主義を1930年代に試した結果、避け得ぬ利益の衝突まで進む対立構造を解決できない状態に陥り、ほかに選択肢がない状況二追い詰められたのが第二次世界大戦でした。今度は宥和主義を世界大戦に持ち込まない処方箋を考えているのか、これが懸念で。

 共有知、問題は東西冷戦時代の二極主義時代は、自由主義と共産主義の対立であり、ロールズとカントにケインズの理論vsマルクスとレーニンとスターリン理論、理論同士の対立でした。ソ連に興味は無くとも共産主義が何もかは理解できたわけで、互いが標榜する価値観が客観視できた。

 理論の対立が過去の東西冷戦の背景にあったのですが、一方で、現代の権威主義との対立はどのように理解するべきか。プーチン主義と理解しようともトランプ主義と理解しようとも体系化された理論ではないので泥縄式に切り替わる理論では賛同も批判も体系化できません。

 朝三暮四のポピュリズムというものは大概そういったものなのでしょうが、体系化できないために、一人の指導者が権力を独占し邪魔な意見を実力にて排除する構図が成り立ち、一方で、こちら”側”あちら”側”で考えて対立構造を民主主義的に固定化すると、制度は回避できぬ衝突に向かう。

 大国の論理といえるものですが、危惧するのは現状を看過し、仮にウクライナが不利な条件で停戦した場合、十年以内にロシアの第三次侵攻が開始され、今度こそ欧州は世界大戦に向かう危機に見舞われるということです。回避できぬ衝突というものの具体的事例はこの点を挙げる。

 平和の配当、という冷戦後の論理により欧州各国は大規模な軍縮を行って30年後のロシアウクライナ戦争、わかい欧州市民は冷戦を知りません、冷戦に対応する抑止力構築と維持の難しさを知りません。もっとも、もともとの先端工業国集積地域、軍需産業の再興は軌道に乗りつつあるが。

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ロシアウクライナ戦争開戦三年【4】グローバルな安全保障問題に対応できる防衛力が望ましい

2025-02-26 07:01:44 | 国際・政治
全方位的な防衛基盤
 本日は226ですが話題は現代の問題を。

 ロシアウクライナ戦争、開戦を回避するには権威主義国家が一旦決断を下した場合、国際法上の適法性や安保理決議などを経ず、いわば決定した時点で、どのようにそういった口実に対する合理的な対応を行おうとも回避する事はできません、唯一回避するには有志連合による多国籍部隊による抑止行動により、力で封じ込める覚悟しかない。

 わが国の場合は、こうした情勢の背景となる、つまり同条件ならば起こり得る権威主義国家とその関心となる地域、核心的利益というべきか、当て嵌まる地域があります。こうした地域で緊張が起こった場合、予防外交の話し合いではなく、それ以上に踏み込んだ決断を行わなければ懸念が現実となる可能性がありますが、その為に投じ得る防衛力は。

 限定戦争と全面戦争の区分をしっかりつけなければ、相手が我が国一部にたいしての限定戦争を試みているのに、射程の部分から全面戦争の入り口を潜ってしまう装備に偏重することで、日本の防衛行動が、相手国策源地攻撃など、全面戦争の入り口をこちらがわから超えることになり得る、故に全方位的な防衛基盤を構築する必要がある。

 オレンジプランや帝国国防方針のような概念から離脱して、すべての状況に対応しうる防衛力整備が、今後は必要となる、つまり想定を想定外が無いほどに積み重ねることも重要ですが、装備体系と作戦体系のマルチパーパス化を進め、例えば南西防衛や本土着上陸と云った、仮定ではなく、グローバルな安全保障問題に対応できる防衛力が望ましい。

 具体的には、限定戦争、日本以外の地域での限定戦争において対応できる防衛力があればある特定地域において放置した場合は第三次世界大戦へ直結する様な懸念が生じた場合に、引き離し任務や安定化任務、停戦監視任務などに充てる事で、局地的緊張を放置した場合に第三次世界大戦という形で日本の安全保障へ影響する事態を回避できる、ということ。

 欧州を見ますと、欧州正面の緊張とは一見無関係に見えるイタリアが先月、ラインメタル社の協力を得て大規模な装甲戦力近代化方針を発表したばかりですし、オランダの戦車部隊再建、独仏次世代戦車開発が合弁企業発足に進む一方でフランスの既存戦車近代化計画は十年近く前倒しが発表されるなど、この分野では既に大きな動きがあります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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