ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#404

2020-11-18 12:05:06 | 刑事ドラマ'80年代










 
前回レビューしたスコッチ復帰第2弾 #401『紙飛行機』に、前期スコッチ第2弾 #218『殿下とスコッチ』のリメイク的な狙いがあったとすれば、この復帰第3弾ももしかしたら、前期スコッチ第3弾の#221『刑事失格!?』を意識して創られたのかも知れません。

事件の内容は全然違うけど、スコッチ(沖 雅也)の強引すぎる捜査が大トラブルを巻き起こし、ボス(石原裕次郎)の責任問題にまで発展しちゃう筋書きや、その被害者と見られた人物に意外な裏の顔がある構造がよく似てます。

このパターンは後にデューク刑事(金田賢一)を主役にした#677『あなたを告訴する!』を始め、他の番組でもクール系デカが必ず味わう試練として流用されて行きます。


☆第404話『鍵のかかった引出し』

(1980.5.2.OA/脚本=小川 英&畑 嶺明/監督=櫻井一孝)

冒頭、住宅街の道路で暴走族が暴れ回ってるとの通報を受けたスコッチが、覆面パトカーで駆けつけ、族のバイクを次々はね飛ばして久保努という浪人生(湯浅紀保)を逮捕します。その時点でじゅうぶん問題行動なんだけどw、私は拍手喝采しました。いいぞスコッチ、もっとやれ!

で、努を署に引っ張って行ったスコッチは、「ひとつ間違えば死人が出ていたんだぞ!」と自分の危険行為は棚に上げてw、たっぷり3時間かけて説教しながら取り調べるのでした。いいぞスコッチ、面白い!w

で、長さん(下川辰平)に「もうその辺で勘弁してやれよ」と諭され、仕方なく解放してやるんだけど、翌朝、その努の焼死体が発見されちゃう。

状況から見て、彼は自分でガソリンをかぶって火を点けた、つまり警察にさんざん絞られたことを苦にしての自殺と考えられるんだけど、スコッチは断固認めません。それどころか、葬式に参列したその足で努の部屋に侵入し、勝手に家宅捜索を始めたもんだから両親がハイパー激怒。そりゃ怒りますよねw

それでもなお、努の机の引き出しにかかった鍵を開けるよう要求するスコッチに、父親は「あなたを告訴する!」と宣言し、マスコミは「七曲署の行き過ぎ捜査!」「未成年者を死に追いやった暴走刑事!」「あのスコッチ野郎ーっ!!」と騒ぎ立てるのでした。

しかしスコッチはなぜ、そうまでして久保努を調べようとするのか? 端から見れば、自分が彼を自殺に追いやったことを認めたくないから、悪あがきしてるようにしか見えないんだけど、果たしてホントにそうなのか?

「スコッチ、何か隠してるんじゃないのか? そのことを話せば誰かが傷つく。今のままなら、お前さん1人がワルでいればいい……そう思ってるんじゃないのか?」

長さんにそう問われても、スコッチは本音を明かしません。でも、きっと何かあるに違いない。ようやくスコッチを理解するようになったスニーカー(山下真司)はじめ、藤堂チームの面々は彼を信じ、事件の背景を徹底的に調べるのでした。

その結果、受験生をターゲットにした覚醒剤の密売組織が事件に絡んでることが、ついに判明します。

そう、スコッチは、暴走族に入った浪人生が覚醒剤を買ってるらしいことを、情報屋のタレコミにより知っていた。けど、確証が無かった。

取り調べでしつこく努を追及したのも、鍵のかかった引き出しを開けようとしたのも、なんとかその証拠を掴みたかったから……というより、本当にそれが事実なのかどうか確かめたかったのでした。

クライマックス、スコッチはたった1人で暴走族と対決します。次々に突っ込んで来るバイクを闘牛士みたいに払い除けるという、一見地味だけどかなり危険なスタントを、沖雅也さんは全てご自身で演じておられます。

私もかつて、似たようなアクションシーンを自主制作映画で撮ったことがあるんだけど、なにせバイクに乗るヤツも避けるヤツも素人なもんだから、見事に激突してあわや大惨事になるとこでしたw(もろ正面からはね飛ばしたもんで、かえって軽傷で済みました。ほんと危険だからマネしないで下さいw)

危険なだけでなく、ややもすれば滑稽に見えかねないアクションなのに、沖さんが演じるとやっぱカッコいいし、1人で暴走族に勝っちゃう展開にもムリを感じないんですよね。これがロッキーとかマイコンだと爆笑か失笑で終わっちゃいますw

で、観念した暴走族の自白により、密売組織が摘発されます。努は自殺したのではなく、口封じに殺されたのでした。

努の机の引き出しからも覚醒剤が見つかり、両親はスコッチに謝罪して告訴を取り下げます。

「1つだけ聞かせて下さい。あなたは覚醒剤のこともご存知だった。だのに、なぜ黙ってらしたんですか? 告訴するとまで私が言ったのに……」

努の父親にそう聞かれて、スコッチはやっと本心を明かします。

「信じたくなかったんです、私も」

「…………」

「鍵のかかった引き出しの中には……綺麗なものだけが、あって欲しかったんですよ」

「刑事さん……」

その様子を、いつものように物陰に潜んで立ち聞きしてたボスが、肩を叩いて「ごくろうさん」と声を掛けると、スコッチは「はい」と答えて満面の笑顔を見せるのでした。私は正直、そんなに笑わんでもって思いましたw

今回のエピソードは、本当は人一倍優しいスコッチ刑事の本質を、前期の時みたいに批判を浴びないよう早めに見せておこうっていう意図で創られたと思うんだけど、とにかく退屈だった当時の七曲署に波乱を起こして欲しかった私は、スコッチには常にクールでいて欲しいもんだから、そんなに笑わないでよってw、それは今でも思ったりします。

冒頭シーンでも、覆面パトカーでロッキー(木之元 亮)と二人で談笑……を通り越して爆笑するスコッチの姿が見られるんだけど、そんなに笑えるようなジョークをあのヒゲが言うワケないやんってw

私は前期スコッチの強烈に反抗的な態度が脳裏に焼き付いてるもんで、明るいスコッチにはどうしても違和感を覚えてしまう。『俺たちは天使だ!』の麻生キャプテンならいいんだけど、スコッチはそうじゃないでしょって。

だけどスコッチは前期の最終回でトラウマを克服し、本来の優しさと明るさを取り戻したワケだから、決して矛盾はしてないんですよね。単に、私がもっとハードな刑事像を勝手に望んでるだけの話で。

最終的にスコッチの殉職が決まった時、沖雅也さんは「スコッチをどう演じたらいいのか分からなくなった」みたいなコメントを残されてるので、もしかしたらご自身にもそういう迷いがあったんじゃなかろうか?って、これも私は勝手に思ったりしてます。
 


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