ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『リーサル・ウェポン2』

2020-07-17 00:00:09 | 外国映画










 
1989年に公開された、リチャード・ドナー監督、ジェフリー・ボーム脚本によるアメリカ映画。日本のみ『炎の約束』というダサい副題がついてますが、私は認めないのでここでは無かったことにします。

数あるハリウッド・ポリスアクション映画の中で、私が一番好きなのが'87年に公開された『リーサル・ウェポン』のシリーズ第1作目と、この2作目。両方とも同じくらい好きです。

生涯で最も「観ながら燃えた」映画は、この『リーサル・ウェポン2』です。ただ、それは1作目の内容が伏線になった上での「燃え」なので甲乙がつけられない。以前、アクション映画の生涯ベスト1として1作目をレビューしたのはそういうワケです。『1』があればこその『2』。

ロサンゼルス市警本部・麻薬課に所属する元特殊工作員の刑事=マーティン・リッグス(メル・ギブソン)は、1年前に愛する妻を交通事故で亡くしてから自殺願望に取り憑かれ、死ぬのが怖くないもんだからムチャばかりする厄介者。

そんなリッグスを持て余した市警上層部は彼を捜査一課に異動させ、定年退職が間近に迫る温厚なベテラン刑事=ロジャー・マータフ(ダニー・グローバー)と組ませることで問題行動を押さえ込もうとする。

だけどそのマータフの家族が凶悪犯罪組織に狙われたもんだから、ランボー並みの殺人スキルを備えたリッグスがここぞとばかりに本領発揮!

その戦いを通じてリッグスとマータフは友情を育み、マータフの温かい家族とふれ合うことでリッグスも本来の明るさを取り戻し、妻の死を乗り越え立ち直っていく。それが1作目のストーリーでした。

そしてこの2作目では、リッグス&マータフがL.A.に駐在する南アフリカの外交官=ラッド(ジョス・アクランド)が闇で率いる麻薬組織を捜査するんだけど、明らかにクロなのに治外法権の壁が立ちはだかって手が出せない。

それでも諦めないリッグスはラッドの秘書=リカ(パッツィ・ケンジット)に近づき、情報を聞き出そうとする内にフォーリン・ラブしちゃう。妻を亡くして以来ずっと胸に空いたままだった、大きな穴を埋めてくれる相手とようやく巡り逢えたワケです。

ところが! 上司の正体を知ったリカが秘書を辞める決意をし、リッグスと一晩中チョメチョメしまくった翌朝、ラッドが送り込んだ殺し屋によって彼女は惨殺されてしまう。

さらにマータフの家が爆破され、同僚刑事たちが次々と暗殺され、おまけにリッグスの妻は事故で死んだのではなく、実はリカを殺したのと同じ殺し屋に暗殺された事実が判明し、リッグスのハイパー激怒がいよいよ頂点に!

そんな彼を放っておけないマータフも、数日後に迫ってた円満定年退職を諦め、絶対に手を出しちゃいけない敵を皆殺しにすべく、リッグスと共に決戦の地へと向かうのでした。

とにかく「燃える」要素をこれでもかと詰め込みまくったこのストーリー、ベタと言えば究極にベタなんだけど、脚本も演出も演技も全てがハイクオリティーなもんだから知らず知らず感情移入させられちゃう。

リカが殺された時点でもう充分に「燃える」準備は出来てるのに、まさかの「妻を殺したヤツ」登場ですよ!

妻の死によってさんざん苦しんで来たリッグスの姿を我々は前作で観てますから、そりゃもう冷静じゃいられない。作劇のあざとさを気にしたりする精神状態じゃないワケです。

リッグスを本気で怒らせたら一体どうなるか、前作を観た我々はよく知ってる。あとはもう「行けえーっ!! ぶっ殺せえーっ!!」って、心の中で叫ぶしかない。彼は期待通りにやってくれます。そりゃもう容赦なく徹底的に。

この2作目だけ観ても燃えるけど、1作目を踏まえた上で観たら、もうホントたまりません。私は日本人ですから劇場で奇声を上げたりはしないけど、きっと本国では野球やサッカーのスタジアム並みにうるさかった事でしょうw

だから『1』あればこその『2』。冒頭いきなりド派手なカーチェイス&銃撃戦からスタートし、人物紹介でモタつく事なく矢継ぎ早にアクションの見せ場を盛り込めるのも、これが2作目だから。

それともう1つ、数多あるポリスアクション映画の中でも本作が頭抜けて面白い理由として、コメディーとしてのクオリティーがやたら高いことも挙げられます。これはもう、麻薬組織の秘密を握るお調子者の会計士=リオ・ゲッツ(ジョー・ペシ)の投入が見事に功を奏しました。

どんなに燃えるストーリーでも、シリアス一辺倒だと疲れてしまって効果が半減しちゃう。緩和があってこそ緊張も活きるワケで、そのバランス感覚が絶妙なんですよね。メル・ギブソン、ダニー・グローバー、ジョー・ペシという名優が揃えばこそ、なんでしょうけど。

さらに女性観客を喜ばせるロマンスの要素もあり、ヒロインのパッツィ・ケンジットは可愛いしヌードも見せてくれるしで男性観客へのサービスも抜かりなし。

全てのバランスが絶妙に整った作劇で、存分に燃えさせてくれる『リーサル・ウェポン2』は、間違いなくバディ物ポリスアクションの最高峰。ただし、そのスペックは前作を踏まえないと100%発揮されないので、未見の方には1&2セットのご鑑賞を強くオススメします。

シリーズは2020年現在のところ第4作まで公開されてますが、残念ながら『3』と『4』は(同じ監督&キャストの顔ぶれでありながら)かなりテンションが落ちてます。そりゃ『2』で「燃える」要素を全部使い切ってるから当然だろうと思います。そのぶん笑いの要素が強化され、すっかりファミリー向けのユルい映画になっちゃった。それでも凡百のアクション映画より面白いんだけど、とにかく『1』と『2』が良過ぎました。

噂によると、まさかの『5』製作が決まったそうです。マータフはもちろんリッグスもとっくに定年退職してる筈だけどw、まぁ現役警察官でなくたって銃さえあればいくらでも悪党はぶっ殺せます。

だけど映画ってのは簡単に創れるもんじゃないですから、一旦決まっても諸事情で流れちゃうことがザラにある。話半分で聞いておかなきゃいけません。

もし本当にやるなら、是非とも1~2で味わえた「燃え」を復活させて欲しいですね。そうするにはもう、マータフに死んで頂く以外に手は無いと私は思うけど、さてどうなることか……? 話半分で期待したいと思います。
 


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2 コメント

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Unknown (1938goo)
2020-07-17 09:20:07
爽快な記事をありがとうございます。シーンが思い浮かぶようです。
ストーリーやアクションシーン、覚えていません。1&2、観返します。

「コブラ」と同じようにこれまた断片的にしか覚えていないのですが、リッグスが自分用の弾丸を首から下げていること。ベレッタをマシンガンのように使い15連発のファイアーパワーを見せつけたのが印象的です。ハンドガンでこんな戦いが出来るのか!と圧倒されました。

おっしゃるようにアクションの間の息抜きも絶妙でした。マータフとのジェネレーションギャップ?も楽しかったです。「前を見て運転しなよ」「うるせー、お前が生まれる前から運転してんだ」などなど。
コーヒーの香りで起こしてくれる奥さんや、娘のテレビ出演を心配する姿も良かったです。反抗期を迎える息子に鏡の前でヒゲの剃り方を教えるシーンがあったような…。

会計士「ヘイヘイ、オレにも銃を寄越せ」「(ふたりして)ノォ〜!!」ww
「3」あたりと混同しているかしれません。

リッグスのベレッタと違い時代遅れのリボルバーを下げているマータフですが、ここ一番の時は首をグルリと回してターゲットを仕留める姿にシビれました。
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Unknown (harrison2018)
2020-07-17 10:23:16
1作目が公開されたのは『ダイ・ハード』公開の前年で、刑事物に戦争映画並みのガンアクションを取り入れた映画の先駆けになりましたよね。15連発のベレッタを全弾イッキに撃ち尽くす姿は本当に鮮烈でした。

憶えていないと仰りながらもけっこう細かい部分を憶えておられると思います。ただ、寝てるマータフをコーヒーの香りで起こしたのは、奥さんじゃなくてリッグスですねw

マータフの首ぐるり、は本当に痺れました。特に、黒人差別で当時問題視されてた南アフリカの外交官にトドメの1発ぶち込む『2』のクライマックス。アメリカの劇場では大歓声が上がっただろうと思います。
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