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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『亜弥のDNA』最終回

2023-07-09 14:34:45 | 刑事ドラマ2000年~

余談ですが、この『亜弥のDNA』撮影期間中にリリースされ、大ヒットを記録したのが松浦亜弥さん5枚目のシングル『♡桃色片想い♡』でした。

はしのえみさんや前田健さんらが物真似のネタにした代表曲の1つであり、『亜弥のDNA』撮影現場でも「♪あ〜やあやや、あっややや、イエー!」っていうコーラスの真似が流行ってたそうです。



そもそも『亜弥のDNA』はテレ東の深夜バラエティー番組『アイドルをさがせ!』の1コーナーであり、松浦亜弥という新人アイドルを売り出す為に企画されたドラマなのに、ブレイクのスピードが想定外に速かったもんで、逆に超過密なスケジュールを無理やり「こじ開けて」撮影にお迎えするという、最初の思惑とはずいぶん違った制作環境になったことは、以前にも書きました。

ゆえに、主役が撮影に参加できる時間は、ほんのわずか。ちゃんとしたアクションシーンを撮る余裕はまったくありません。

そういう意味も含めて、小柄な女子中学生の主人公=亜弥(松浦亜弥)が、屈強な(?)男性刑事たちをあっという間に倒してきた用心棒のカオル(高野カオル)と、一体どうやって(時間をかけずに)闘うのか?

是非とも注目して頂きたい第9話=最終回の『亜弥、いい日旅立ち』です。



まず、蜂の巣になって失神してた岩城刑事(久保和明)が男らしく背後からカオルに殴りかかるも、即座に蹴られて再び失神。



その一瞬のスキを亜弥は見逃さなかった!



以下、コマ送りで再現!



左手で自らの鼻をつまみ……



右手で差し出した割箸の先にぶら下がってるのは……



あの福山雅晴(ホリケン。)の香しい靴下だった! 瞬殺! これぞタイムパフォーマンス!!



大事な娘が無事だったことと、クライマックスの撮影が時間内に収まったことにホッと胸を撫で下ろす、初回からハラハラしどおしの松浦警部(三嶋幸恵)なのでした。

「うわっ、また匂ってきた!💦」



というワケで、女子中学生の活躍により拳銃密造組織はついに壊滅!

ギクシャクしてた母と娘も、事件を通して絆を再確認し合えたみたいです。



「あのとき、拳銃を持った敵の中に岩城を突っ込ませたの、亜弥でしょ」

「知らないよ。足が滑ったんじゃない?」

それで岩城は蜂の巣にされたワケだけど、お陰で「なんだか吹っ切れた」と、彼は亜弥に感謝してるらしい。

これは『太陽にほえろ!』で滝刑事(スコッチ)が岩城刑事(ロッキー)をあえてハードな銃撃戦に飛び込ませ、拳銃恐怖症を克服させたエピソードの「パクリ」と思われますが、脚本と演出を手掛けたK監督は「オマージュだ」と言い張ってるそうです。

ただし、スコッチ刑事の場合は「こんなにクールでカッコいいオレでも銃はめちゃくちゃ怖いんだ」って、普段は人に見せない弱みをロッキーに見せることで、自信を取り戻させるというアプローチでした。

一方、岩城を敵の中に無理やり飛び込ませ、集中砲火のマトにさせた亜弥のスパルタ方式は、むしろ『太陽〜』より『探偵!ナイトスクープ』を彷彿させますw (あややもK監督も関西出身だし)

「言っとくけど、頭に当たってたら死んでるわよ」

「よっぽど射撃のプロじゃなかったら、頭なんて小さいマト狙わないで、胴体狙うでしょ?」



「親の顔が見たいわ」



「あなたです」

最終回にしてようやく、究極のアイドルスマイルが飛び出しました。

「あんたは大した娘よ。それは認める。でもこれ以上……」

「手を引くよ。もう解ったから」

「なにが解ったの?」

「お母さんの仕事って大変だよ。スリルがあって楽しい仕事だから、家のこと放ったらかして夢中になってるのかなって思ってたけど、そうじゃなかった」

亜弥は特に、同じ学校に通う生徒が担任教師に撃ち殺された事件で、相当つらい思いをしたようです。



「誰にでも出来る仕事じゃないよね。お母さん、凄いよ」



「あんた、それを確かめる為に首を突っ込んできたの?」



「お母さんを恨みたくなかったからね」

「亜弥………」

これも『太陽にほえろ!』でロッキー刑事が殉職し、その妻だった令子さんが「夫を夢中にさせた刑事という仕事を理解したい」と志願してマミー刑事になったいきさつの「もちろんオマージュだ」とK監督は言い張ってますが、どうでもいいですね。

ともかく、やっと真意を明かし、ちょっとしんみりしたところで、亜弥は元気に立ち上がって藤堂係長(上原袈裟俊)のデスクに歩み寄ります。



「というワケで係長。短い間でしたけど、お世話になりました」



「……係長?」



「係長っ!!💦💦」

まさかの「ボス、何もしないまま殉職!」かと思われましたが……

「おお、いかん。眠ってたわい」

単に眼を開けたまま寝てるだけでした。



「んもう! 死んだかと思ったよ💨」

「亜弥、失礼よ!💢」



さて、数日後。いつものように凶悪犯の草刈正晴(中村哲也)を追って、岩城刑事がバディの田口先輩(三遊亭亜郎)と共に町を激走します。が、以前とはちょっと様子が違う。



亜弥のお陰ですっかり拳銃恐怖症を克服した岩城は、新米時代のワイルドさを取り戻したみたいです。



「こっちはあれから靴下恐怖症なんだよバカヤロー!」

そして山田署の刑事部屋に戻った2人は、松浦警部からショッキングな事実を聞かされるのでした。

「えっ、亜弥ちゃんがアメリカ留学!?」

「ゆくゆくはFBIの試験を受けるって言ってたわ」

「もう行っちゃったんですか?」

「ちょうど今ごろ太平洋上空ね」



「なんでまた、そんな遠くに……」

「係長がね、あの子を山田署の顧問にするとか言い出したからよ」

「係長!」

「余計なことを!」



「……寝てるよ」

亜弥に100%頼りっきりだった田口や岩城に、藤堂係長を責める資格はありません。強くてカッコいい男が本当に1人も出てこないドラマです。

「亜弥ちゃん……」

「カッコいい中学生だったなあ……」

最終回らしく、刑事たちがそれぞれ亜弥の大活躍を回想したところで、デスクの電話が鳴ります。

そして爆睡中の藤堂係長に替わって受話器を取った田口刑事が、嬉しそうに叫ぶのでした。

「ええっ、ハイジャック!?」

それは本来、所轄署には関係ない事件だけれど……

「アメリカ行きの便で紅い革ジャンを着た中学生ぐらいの女の子が、犯人グループと派手に大立ち回りやらかしてるって!?」

「亜弥ちゃんだ!!」



激しい目眩を起こした松浦警部に、部下たちが瞳をキラキラさせながら問います。

「どうしますか警部!」

「連れ戻すのよ!!」

「ハイッ!!」



これぞ王道! そう言えば『太陽にほえろ!』も刑事たちの出動シーンで最終回の幕を閉じました。

当然、ラストカットも『太陽〜』に倣ってボスを撮るべきだけど熟睡中なもんで、初回からナレーションも担当して来たこの人=市原警部補(田中美穂)がまさかのトリ!



「次にお会いする頃には、私が係長です」

松浦警部はもっと上に昇進するでしょうから、市原さんの目論見は遠からず実現しそうです。

(おわり)




このミニドラマが放映されてから約20年が経ち、松浦亜弥さんも今や(2023年現在)30代後半の人妻で3子のお母さん。

芸能界を引退されたワケじゃなく、最近も「ネスカフェ エクセラ」のCMに出演されてはいるけど、あまり話題にはなってないようです。

一方、この作品がプロデビュー作だったK監督は、大して芽が出ないまま5年も経たない内に映像業界を去り、今はごく平凡な生活を送ってるとか。

結果的に、K監督が映像業界で働いた5年弱は、松浦亜弥さんがアイドルとして最も輝いてた時期とほぼシンクロしてます。

別に業界人だからって他の職種より偉いワケじゃないし、売れっ子アイドルになることが本当に幸せかどうかも「ケースバイケース」だと思うけど、それでも、あの約5年間が両者にとって「人生の絶頂期」だったことは間違いないでしょう。

特に、ブレイク真っ最中だった松浦亜弥さんを、プロデビューしたばかりのK監督が撮った『亜弥のDNA』は、両者が最も輝いた瞬間の記録と言えるかも?



じゃあ、お母さんになってほとんどテレビに出なくなった亜弥さんや、ごく一般的な仕事をしてるらしいK監督の現在は不幸なのか?

そんなワケありません。そもそも、永遠に輝き続けることなんて誰にも出来ない。パッと輝いて、いずれは消える。もう一度輝きたくなったらリターンするか、あるいは別の場所で頑張ればいい。人生はその繰り返し。

人類全体の運命も、いつかは消える。それで良いのだ。無目的に膨らみ、輝いて、最後に爆発する。

そして平然と人類がこの世から去るとしたら、それがぼくには栄光だと思える。そう岡本太郎も言っていた。


↑あややにさんざん空撃ち(故障のもと)されたこのモデルガンは、K監督の私物だそうですw


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『亜弥のDNA』#08

2023-07-07 22:00:21 | 刑事ドラマ2000年~

松浦警部(三嶋幸恵)と田口刑事(三遊亭亜郎)が消息を絶った! どうやら福山雅晴(ホリケン。)率いる拳銃密造組織の罠にはまり、拉致監禁されてるらしい!

敏腕警部の血を受け継いだ中3の受験生=亜弥(松浦亜弥)がいよいよ捜査一係のリーダーとなり、刑事たちを引き連れて組織のアジトへと向かいます。

第8話『亜弥、最後の闘い』ではなんと、亜弥の最後の闘いが描かれます。そりゃそうです、次回が最終話なんです。



「お母さん……」

何だかんだ言ってもマミーが大好きな亜弥に、44マグナムなんか持たせちゃいけません。それ以前に中学生だし。

一方、裏口に回った刑事たちは……



待ち構えてた用心棒のカオル(高野カオル)を見て、女だからとナメてかかってこの有様。



なぜ警察官の職を選んだ!? とはいえ今回ばかりは仕方がない。敵はなにせ星飛雄馬みたいに脚が上がるんです。(星飛雄馬って何?とか言うすっとぼけたヤツは私の飛行機から出ていきなはれ)



「ねえ、ガンちゃん」

「え?」

「なんで拳銃持つの怖くなったの?」

「…………」



「トラウマがあるって聞いたけど」



「……あれは忘れもしない、2年前か4年前の事件だった」



その頃、まだ新米だったガンちゃん=岩城刑事(久保和明)は、拳銃と鞭を持った墓泥棒(波里尊 法土)を追い詰めたのですが……



↑誰やねん?



若気の至りでワイルドを気取ってた岩城は、自分の腹を指差して「撃ってみろオラ!」と墓泥棒を挑発し……



↑だから誰やねん!?



自分が指示した通りの箇所を撃たれ、瀕死の重傷を負ったのでした。



「なんじゃこりゃあーっ!?」



「あれ以来、拳銃は見るのもイヤだし、すっかり弱気になっちまって……」

「なるほどねえ」

「オレなんか刑事失格だって、分かってはいるんだ。けど……」

「ガンちゃん。この際さ、トラウマ克服しようよ」

「えっ、どうやって?」

亜弥がニヤリと笑います。



そして岩城は、まるで誰かに背中を押されたかのように、敵アジト内部に突入して来るのでした。



「岩城!?」

いつの間にか市原警部補(田中美穂)も捕まってるし。



当然ながら岩城は、戦闘員たちの集中砲火を浴びて倒れます。その身体に命中した弾丸は1発や2発じゃありません。3発です。



戦闘員たちがアジトの表に飛び出すと、そこに44マグナムを構える女子中学生がいた!



ドゴーン!!と『ドーベルマン刑事』風の爆音を轟かせるマグナムだけど、反動が強すぎて連中には当たりません。当たったらエライことです。

「んもう、当たんないじゃん!」



戦闘員たちが再び銃を乱射しますが、もちろんアイドルにはかすりもしません。



44マグナムをポイ捨てし、ちょっとマイルドな357マグナムに持ち替えた亜弥は、みごと1発ずつで連中の利き腕をヒットするのでした。



マグナムを片手に、悠々と敵アジトに入って来る亜弥は、スケバン刑事なんかよりダーティハリーの方が相応しい!



「ガンちゃん、大丈夫?」



「大丈夫じゃねーよ、痛えよ!💨」

あれ以来、家で寝るときさえ防弾チョッキを着てる岩城は、『太陽にほえろ!』みたいに殉職したりしません。



「あんたがボスなの?」



「そうさ。味わい深い顔だろ?」

「そのテの顔はもう見飽きたよ。あんたたちが造った拳銃で何人の人が罪を犯したか分かってんの?」

「そんなことは知ったこっちゃねえな。そいつらは自分の意志で銃を買ったんだろ? 需要が無けりゃ誰もそんな面倒臭えもん造らねえよ」



「お母さん、撃っちゃっていいよね?」



「今回だけ特別よ」

現職警部の許可を得た女子中学生が、福山雅晴に向けて……ではなく、地面に向けて発砲します。



これは母親譲りのリバウンド戦法。地面から天井へ、そして左右の壁へと跳ね返っていった弾丸は、最終的に福山雅晴が持つ38スペシャルを弾き飛ばすのでした。



「あべし!」



「たわらば!」

あややビンタでボスも瞬殺! なぜ犯罪組織のボスになれた!?



「大丈夫?」

「私より田口が……」

田口刑事を失神にまで追い込んだのは、他ならぬ福山雅晴の……



「あやや〜💦」

むしろ一度嗅いでみたいと思わせる、超濃厚ソックス3組980円なのでした。

さて、これで事件はあっけなく解決? ……しよう筈がありません。最終回は次なんです。



最強の敵がアジト内に戻って来ました。この女だけはビンタじゃ倒せないでしょう。



ところが亜弥は、一切ひるむことなくカオルと対峙します。



「亜弥、何すんの!? その女は危険よ! やめなさい!!」



果たして亜弥に勝算はあるのか? 実に「ラス前」らしい引っ張り方で、次回へと続きます。


この第8話は高野カオルさんの立ち回りも凄いけど、それより何よりマグナム拳銃を構え、撃ちまくる松浦亜弥さんの非常にレアな勇姿が見どころで、サブタイトルを『あややとマグナム』にした方が良かったくらい。

ただレアなだけじゃなく、ちゃんとサマになってるのが凄い!と私は思う。大人になった亜弥さんの刑事役も観てみたかったです。


 


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『亜弥のDNA』#07

2023-07-02 18:30:27 | 刑事ドラマ2000年~

町に大量の改造拳銃が出回り、その内の1丁を亜弥(松浦亜弥)が通ってる中学校の生徒が購入し、それを没収した先生が虐めっ子を射殺するという、メチャクチャな(だけど2023年現在なら起こりかねない)事件が発生!

亜弥の説教により先生は自首したものの、拳銃密造組織をこれ以上野放しにすれば、犠牲者はもっと増えるだろうし、捜査に関わりすぎた亜弥の命も狙われるかも知れない!

第7話『亜弥、大いに怒る』は、ますます組織撲滅に使命を燃やす松浦警部(三嶋幸恵)と田口刑事(三遊亭亜郎)が、改造銃を購入した疑いの濃いOL=優美(小林優美)を尋問するシーンで幕を開け、そのまま最終回(第9話)まで一気に突き進みます。



「自殺するつもりで買ったんです」

意外にも購入をすんなり認めた優美は、その銃を隠してあるという場所に両刑事を案内するのですが……



どうも優美の様子がおかしい。いち早く異変を察知した警部が、いきなり銃を抜いて部下の顔に銃口を向けます。



「うわっ、どうしたんですか警部!?」

「しゃがんで!」



まるで忍者みたいに忽然と現れた刺客のカオル(高野カオル)が、タイのチョコレート・ファイターも真っ青な鋭いハイキックで、一瞬にして田口を、そして警部の銃を弾き飛ばします。



強い! そこらのチンピラ相手なら決して負けない松浦警部も、正拳突き1発で倒されます。そして……



男らしく背後から攻めようとした田口には、合計7発の廻し蹴りをプレゼント。



静止画じゃそのスピードが伝わらないけど、高野カオルさんはかなり動ける人であり、綺麗だし、時代がもっと早ければアクションスターになられたかも知れません。



で、どうやら優美はオトリだったらしく、最初からこれは松浦警部の捕獲を目的とする密造組織の罠だった!



倉庫内に監禁された警部と田口の前に、いよいよ組織のボスが現れます。果たしてどんな顔をしているのか?



やっぱりこんな顔だった!

「あんたが噂の松浦警部さんか。もっといかつい女を想像してたが、ちょっと可愛いじゃねえか」

ラスボスの正体は、栃木県出身の福山雅晴 ( ホリケン。)! とにかく悪い人なんです。

「安心しろ、暴力は俺の流儀じゃねえ。だが、あんたらが俺たちの組織をどこまで把握してるのか、吐いてもらうよ」



「警部が黙ってる限り、俺の口からは絶対言わねえからな!」

「ふっ、そいつはどうかな?」

松浦警部より田口を攻めた方が早いと見た福山雅晴は、ゆっくりと靴を脱ぎ、さらに靴下を脱いで田口へと歩み寄り、それを彼の鼻先に押し当てるのでした。



想像を絶する悪臭に阿鼻叫喚の田口!

その地獄絵図を、今回もあの人が物陰から覗いていた!



その正体は、他人の不幸を傍から見物するのがとにかく好きだから刑事になった、市原警部補(田中美穂)。松浦警部と同じ山田署捜査一係に所属する仲間なのでした。



一方、受験勉強に専念することを松浦警部に約束し、おとなしく自宅にいた娘の亜弥(松浦亜弥)が、刑事部屋へと駆けつけます。

「お母さんが行方不明って、どういうこと!?」



田口の相棒である岩城(久保和明)をはじめ残された刑事たちが、OLの優美を尋問しに行った警部と田口から連絡が途絶えたこと、そしてその優美が他殺体となって発見されたことを、大いにうろたえながら亜弥に報告します。



「死体で発見されたのがそのOLだけって事は、お母さんたちはまだ生きてるって事だよね? ヤツらのアジトを掴まなきゃ!」

そこでデスクの電話が鳴り、われらがボス=藤堂係長(上原袈裟俊)がクールに対応します。

「なんじゃ、あんたか」



「なにも手掛かりは無いの?」

「無いんだよ……あの2人がいないとオレ、もうダメだよう!(泣)」

ある事件がキッカケですっかり自信を失くした岩城を、ずっと叱咤激励しつつ支えてくれたのが、松浦警部と田口先輩なのでした。



「なに言ってんの、ガンちゃん。私がいるでしょ?」

「亜弥ちゃん……」

女子中学生に励まされ、なんとか泣き止む岩城刑事なのでした。

ところで、係長にかかって来た電話は誰からだったのか?

「えっ、市原さんからだったの?」

「敵のアジトの場所を報告して来よったよ」

「ええっ!?」



「で、どこなんですか!?」



「それは……どこじゃったかの?」



「じじいぃぃーーっ!!!」



係長から何とか記憶を絞り出した亜弥たちは、警部と田口が監禁されてる倉庫へと駆けつけます。



で、覆面パトカーのトランクにありったけ詰め込んだ拳銃を、女子中学生の亜弥が刑事たちに配るのですが……



順番に回してるのを岩城が全部トランクに戻すもんだから、いつまで経っても作業が終わりません。

「ストップ! 終わんないじゃん💢」



おかんむりの亜弥に、仲間の刑事たちが事情を説明します。



「岩城は、拳銃恐怖症なんです」

「そんなの、誰だって怖いじゃん」

「あいつの場合、持つだけでも怖いんですよ。ちょっとトラウマがあって……」

「…………」

亜弥はようやく理解します。田口&岩城のコンビがボンクラなのは、岩城が拳銃を見ただけですくんでしまい、田口がそれをカバーするのに精一杯だったから。



「オッケー♪」

何やら妙案を思いついたらしい亜弥は、自分が岩城のフォローを引き受け、残りの刑事たちを裏口に向かわせます。女子中学生の指示を何の抵抗もなく受け入れる、これぞ真のオトナと言えましょう。



「私が2人分使っちゃお♪」

「そ、そんなの使えるのかよ💦」



「こんな人殺しの道具をオモチャにしてるヤツら、絶対許さない!💨」

またもやスケバン刑事みたいなセリフを吐いて悪の巣窟へと向かう亜弥に、内心で「お互い様だと思うけど」とツッコミを入れながら、やっぱり素直について行くオトナな岩城刑事なのでした。 (つづく)



この第7話で幕を開ける最終3部作が撮影された頃、松浦亜弥さんは売れに売れて多忙を極め、たったの3時間しか現場にいられなかったり等、それまで自主映画でマイペースな撮影しかして来なかったK監督にとってはまさに「プロの洗礼」となりました。

けど、誰よりもしんどかったのは松浦亜弥さんご本人だったはず。当時このドラマを観たあややファンたちは、彼女の眼の下にクマが出来てることをえらく心配してたそうです。

それでも松浦さんは撮影現場でアイドルスマイルを絶やさず、どうやら『太陽にほえろ!』オタクらしい監督が要求する「全力疾走」にも笑顔で応えておられたとか。まさにプロフェッショナル!

劇中の亜弥もカッコいいけど、演じられた「あやや」はもっとカッコいい! リスペクトしてやみません。


 


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『亜弥のDNA』#04~#06

2023-06-25 18:05:16 | 刑事ドラマ2000年~

キセル乗車常習犯の近藤真晴(ホリケン。)と、銀行強盗犯の田原俊晴(ホリケン。)がそれぞれ犯行に使った改造拳銃が同じ製品であることが判り、山田署捜査一係の敏腕警部=松浦さゆり(三嶋幸恵)はバックに潜む密造組織の正体を暴こうと躍起になるのですが……

七曲署の山さんも真っ青な取調べにより田原を落とし、売人の名を吐かせたのは誰あろう、まだ中学生なのになぜか捜査に首を突っ込みたがる警部の一人娘=亜弥(松浦亜弥)なのでした。


第4話『ピッチピチ娘に御用心』では、その売人=野村義晴(ホリケン。)をすぐに連行するか、あるいは泳がせるかで亜弥と警部の意見が真っ二つに対立。

そうなると、ボスである藤堂係長(上原袈裟俊)に決めてもらうしかありません。

「どっちにしますか、係長。ベテラン女刑事か、ピッチピチ女子中学生か?」

「問題が違うでしょ!」



「ピッチピチじゃな」

「じじいっ!!💨」

係長のお墨付きを貰った亜弥は、即座に野村が潜伏するアパートに駆けつけますが、さすがに今回は警部が全力で阻止します。

「なんで首を突っ込むの! 私に仕返ししたいの?」

「なによ、それ」

松浦警部は、ずっと家のことを夫に任せて捜査に没頭し、母親らしいことを何もして来なかった負い目を感じてるのでした。



「お願いだから、こんな形で私を見返すのはやめて。もしもこんな事で、あんたが……」

「私、そんなつもりじゃないよ?」

「とにかくここは私たちに任せて。こう見えても優秀な刑事が揃ってるのよ。30秒で片付けてみせるわ」

「……分かった」

で、たぶん松浦警部に褒められたのは初めてであろう田口(三遊亭亜郎)&岩城(久保和明)らが喜び勇み、野村の部屋へと踏み込むのですが……



出来たてのインスタントラーメンを顔面に浴び、おまけに拳銃も奪われて、あえなく30秒で撃沈。結局、逃走する凶悪犯に亜弥が突っ込んで行くいつもの構図になっちゃいます。



野村は田口から奪った銃を構え、いつでも発砲できる状態。今回ばかりは警部の援護射撃が無ければ、さすがの亜弥も「たった10年そこそこの人生」を閉じる羽目になったかも知れません。

ついに警部が、亜弥の頬を叩きます。



もうこれ以上、母を心配させちゃいけないと悟った亜弥は、刑事部屋の藤堂係長にお詫びとお別れの挨拶をするのでした。

「なんじゃ、帰っちまうのか。そりゃ淋しいのう」

「……お母さん」

「ダメよ。どうせこの人はピッチピチが目当てなんだから」

「ピッチピチのなにが悪いんじゃ!?」



「これは売人の供述を元に作成したリストです。これだけの人数が改造銃を購入してるんです。ピッチピチとか言ってる場合じゃありません」

「あんたが振ったんじゃろが!」

と、そこで銃による他殺死体発見の知らせが入り、刑事たちが飛び出して行きます。母から受け継いだ敏腕捜査官の血が騒ぐ亜弥を、ロッカーから覗いてる女は幽霊じゃありません。




第5話『メル友って何じゃ?』では、ついに起こってしまった殺人事件により、身を引いたはずの亜弥がますます活躍しちゃう展開になります。

なにせ今回、例の改造拳銃で殺された被害者の少年=本木雅晴は、亜弥と同じあさひが丘中学校の生徒なのでした。

家に帰りますと言いながら係長と将棋してた亜弥は、その事実を知るや早速ケータイを取り出し、本木少年の交友関係を調べ始めます。



「そうか、メル友か!」

「情報収集にはこれが一番よ」

「メル友って何じゃ?」

「足で捜査する時代は終わったのかねえ……」

「メル・ギブソンの友達か?」

こうなるともう、松浦警部も亜弥のネットワークに頼るしかありません。

結果、殺された本木はクラスの虐めっ子グループのリーダーで、いつも虐められてた同級生が複数いると判ります。



その虐められっ子の1人=城島茂晴(山田広野)はまさに今、本木の子分だった3人の虐めっ子に虐められ中なのでした。

「そこまでよ!」



「1人の子を3人がかりで、カッコ悪すぎだよアンタたち!」



「なんだ、テメエ!」

「やんのかテメエ!」

「女だからって容赦しねえぞテメエ!」

不良だの極道だのといった連中はおしなべて、口にする台詞のボキャブラリーが乏しくて本当にカッコ悪いと、宮藤官九郎さんが仰ってました。

今度は女の子1人に3人がかりで殴りかかる卑劣な不良どもに、必殺あややビンタが炸裂!



きっかり3秒で戦闘力を奪われた不良どもは、田口刑事&岩城刑事にも日頃のうっぷんを余すこと無くぶつけられ、あえなく退散。



やられる側の痛みとオトナ社会の恐ろしさを思い知った彼らは、ニートとなって毎晩悪夢にうなされ、死ぬまで苦しみ続けることになります。祝・いじめ根絶!

弱いもの虐めはそれほど罪深いワケだけど、だからと言って撃ち殺すのは、ちょっとやり過ぎ。果たして犯人はこの城島くんなのか?

「キミもさ、ちょっとぐらい抵抗しないとカッコ悪いよ?」

「A組の松浦さんだ……」

「あやや、よく知ってるね」

「キミのことを知らないヤツなんて……」

照れてる場合じゃありません。亜弥がこの城島くんにターゲットを絞ったのは、同じ氏名が改造銃の購入者リストに載ってたから。



「拳銃買うのに本名教えちゃダメでしょ。これじゃどう考えたってキミが殺人犯だよ?」

「違うよ! 拳銃は確かに買ったんだけど、没収されたんだ」

「誰に? いつ? どこで? 何のために? 血液型は?」

「いっぺんに聞かないでおくれよ。学校で、持物検査されて……」

「!?」



「まさか、先生が?」

城島くんの担任教諭=長瀬智晴(児山武史)が拳銃を没収し、それがまったく公になってないという事は、つまり……!




第6話『亜弥の説教部屋』では、放課後の職員室に学校きっての美少女から呼び出され、ドキドキしながらやって来た長瀬教諭が、母親の手伝いで改造銃について調べてると告白され、赤くなってた顔を一気に青くします。

「キミ、そんな事してて、受験は大丈夫なのか?」

「あややぁ〜💦」



さすがは先生! いま最も痛いところを突かれ、さすがの亜弥も頭を抱えます。

「私のことはいいんです! 先生のクラスの城島くん、その改造銃を買っちゃったんですよ。ご存知ですよね?」

「えっ……そ、そうなのか?」



「先生。どんな嘘でも、必ず嘘は不利になっちゃうんですよ?」

「…………」

「城島くんが銃を買ったことは分かってるんです。その先は、言わなくても分かりますよね?」

「…………僕が没収した」

決して長瀬教諭は悪人じゃない。それをよく知ってるから、自首させて少しでも罪を軽くする役目を、亜弥が買って出たのでした。

「それから?」

「銃は……ウチに置いてある」

「それだけ?」

「…………」

「それだけじゃないんだね……」

「…………」

今度は長瀬教諭の方が頭を抱えます。



「先生のこと、みんないい先生だって言ってるよ? 私もそう思ってる」

「…………」

「先生、私はあなたを捕まえたりしません。あなたの心が知りたいだけです。逃げないで、勇気を出すんです!」

「…………僕は、イジメを無くしたかったんだ」

見て見ぬフリが出来なかった長瀬教諭は、虐めっ子らに話し合いを求めたけれど状況は変わらず、それどころか教師が介入したことで虐めは更にエスカレートしたのでした。

「虐められっ子を護るには、ああするほか無かったんだ!」



「そんな……それしか無かったなんて、そんなワケ無いじゃない! 最悪の選択だよ! なんで1人で抱え込んじゃったの?」

すでに精神を病んでいたであろう長瀬教諭は、いきなり立ち上がって懐から改造銃を取り出し、自分のこめかみに銃口を押し当てます。



「いけないっ!」

物陰で見守ってた松浦警部が駆け寄ろうとするも、間に合わない!

すると……



「バカッ!!」



メガトン級のあややビンタを浴びた長瀬教諭は、人生最多の鼻血を流して我に返るのでした。



「どうしてそんな簡単に、殺したり死のうとしたりするんですか!? 誰も死んだり生きたりなんて出来ないんです! 一度死んだらそこでおしまい、一度きりの人生なんです!」



「先生がそんな事してて、私たちはいったい誰から人生を、命の尊さを学べばいいんですか!?」



まるで金八先生みたいな亜弥の説教は、ずっと娘を放ったらかしにして仕事に打ち込んできた、母親の胸にもチクリと突き刺さります。



「あんたには参っちゃうわ」

「また怒るの?」

「ううん。大した娘よ、あんたは」

母親に脱帽され、満面の「どや顔」を見せる亜弥ですが……

「で、受験どうなってんの?」

「!?」

「私もすっかり忘れてたけど、大丈夫なの?」

「忘れてたって、いま何月だと思ってるの? あんたそれでも親?」

「誤魔化さないで!」

「そっちこそ誤魔化さないで!」

結局ケンカしちゃう2人だけど、それは今までとは明らかに違う、ほのぼのとした親子喧嘩。



そんな牧歌的な光景が、いつも陰から覗き見してるこの人(田中美穂)はお気に召さないご様子ですw


存分におちゃらけつつ、アクションやキャラクタードラマもしっかり盛り込むのが、昭和の刑事ドラマをよっぽど愛してるに違いないK監督の持ち味。

バラエティー番組内のミニドラマを、これほど細かくカット割りして映画風に撮る監督も珍しく、当然ながらコント風に撮るより数倍の時間とコストを要した筈で、現場の苦労が伺えます。



けれど最初の3話と違い、松浦亜弥さんが実に伸び伸びと演技されてるお陰で画面も弾み、がぜん面白くなって来たと私は感じてます。

続く第7話から第9話(最終回)までは一気に駆け抜ける3部作で、本格的なアクションシーンもあり、まるでちゃんとした刑事ドラマみたいになってます。是非、最後までお付き合い下さい!


 


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『亜弥のDNA』#01~#03

2023-06-22 22:02:40 | 刑事ドラマ2000年~

グループではなく単独で爆発的に売れた史上最後のアイドル「あやや」こと松浦亜弥さんが、前回レビューした『スケバン刑事/コードネーム=麻宮サキ』(’06) よりもずっと早い、2002年という人気絶頂期に刑事ドラマ『亜弥のDNA』で主役を張ってたことをご存知でしょうか?

と言ってもそれはプライムタイムの連ドラじゃなく、テレビ東京系列の深夜バラエティー番組『アイドルをさがせ!』内の1コーナーで、各話10分にも満たないミニドラマシリーズ。

なんだけど、異常なほどの刑事ドラマ愛に満ちた内容で、かつ私好みのナンセンスなユーモアに溢れた作品でもあるから、このブログで取り上げないワケにはいきません。スケバン刑事はただの「前ふり」です。

よっぽどの天才でイケメンなクリエイターによる作品だと私は確信してるけど、ちょっとクセの強い作風だったりもするので、好みはきっと岐れる事でしょう。

だとしても、あやや本来の魅力、あの怪物的なアイドルパワーを再確認するにはうってつけのドラマ。なにせ、あやや以外は全員くまなく無名のアクター! そして見るからにチョー低予算! なのに輝いてる!

石原裕次郎さんが「太陽そのもの」と云われたのと同じように、あややの存在が皆を輝かせてる。まさにスーパースターで、アイドル中のアイドル! それが本来の松浦亜弥さんです。



主人公は、あさひが丘中学校に通う中学3年生の、松浦亜弥。ドラマや映画において、売出し中の新人タレントに芸名と同じ役名を与えるのは昭和からの伝統。(逆にデビュー作の役名を芸名にする人も多かった)

あややの「人気絶頂期」って書いたけど、正確には「これからブレイクしようとする時期」に出演が決まり、撮影期間中にみるみる売れっ子になって紅白出場まで果たし、こんなちっぽけなドラマに出てる場合じゃない状況の中、針の穴を通すようなスケジュールの隙間を縫って撮影された、苦心の作。それが『亜弥のDNA』。

全エピソードの演出と脚本を任されたK監督は、自主映画上がりでこれがプロデビュー作だったという、マイナーどころか素人に毛が生えたばかりの超ド新人。

もし、あややのブレイクがあと数日早かったら、K氏が監督を任されることは無かった筈で、このときに彼は一生分の運を使い果たし、以降は苦労の絶えない人生を送ってるみたいですw



第1話『足を交互に出して走れ!』は、山田署捜査一係のボンクラ刑事コンビ=田口(三遊亭亜郎)& 岩城(久保和明)と、米国大統領暗殺を企てる無賃乗車の常習犯=近藤真晴(ホリケン。)との、非常にデンジャラスな距離感によるガンアクションで幕を開けます。



で、あっさり刑事たちを蹴散らして逃げようとする近藤の前に立ちはだかったのが、スーパースターのオーラを放つ稀代の美少女!



どう見てもティーンエイジャーの少女が、なぜ怖い顔して通せんぼするのか理解できないまま、とりあえず逃げてみる近藤を、彼女は全力疾走で追って来るのでした。



「なんでオレは子供に追われてんだっ!?」



ティーンエイジャーの肺活量には到底勝てないと悟った近藤が、卑劣にも少女に銃口を向けます。



ところが少女は平然と銃のシリンダーを掴んで発砲機能を封じ、あややパンチ1発とあややキック1発で近藤をノックアウト!



「子供、子供ってうるさいんだよ!」

「誰なんだ、テメエは!?」

「あさひが丘中学3年A組、松浦亜弥」



「お前、スケバン刑事か?」

「何それ? 私、スケバンじゃないよ」

「スケバン刑事も知らねえ子供じゃねえか!」

と、そこにもう1人の美女が登場します。田口&岩城コンビの上司にあたる敏腕警部、その名は松浦さゆり(三嶋幸恵)。



そのとき「あやや!?」と叫んだのは、亜弥自身。動揺したときに発する彼女の口癖です。

「亜弥! 何やってんの!?」

すかさず亜弥から拳銃を取り上げた松浦警部は、スキを見て逃げようとする近藤のすぐ横に立ってる鉄柱を狙って発砲!



弾丸は鉄柱に当たって跳ね返り、近藤の足に命中して逃走を阻止しちゃうのでした。

「撃たなくたっていいじゃない!」

「私は鉄柱を狙ったのよ。事故だわ」

「あやや!? ダーティハリーも真っ青だよ!」

「ダーティハリー知ってて、なんでスケバン刑事知らねえんだよっ!?」



当時15歳の松浦亜弥さんは恐らくダーティハリーもスケバン刑事もご存知なかったでしょうが、4年後に何の因果かマッポの手先「麻宮サキ」となってスケバン刑事の映画に主演します。

「中学生がなんでこんな事してんの!」

「別にいいじゃん、役に立ってるでしょ?」

「バカ言わないの!」

と、そこに何の役にも立ってない田口&岩城のコンビが駆けつけ、亜弥が捜査に協力することになった理由を説明します。

それは数日前、2人がいつものごとく取り逃がしそうになってた犯人を、たまたま通りかかった亜弥が咄嗟のパンチ&キックで倒してしまい、それ以来、彼女を全面的に頼るようになったという止むに止まれぬ事情。

「なにが止むに止まれぬ事情よ! あんたたち、こんな子供に手柄もらって恥ずかしくないの?」

「いい加減にしてよ、お母さん!」

「えっ、お母さん!?」

たいへん驚く田口&岩城だけど、松浦という姓を聞いたときに警部の身内かも?と一瞬でも思わなかったんでしょうかw



第2話『情熱のキッス』では、定年退職するのをうっかり忘れて仕事を続けてる、捜査第一係長の藤堂警部(上原袈裟俊)が初登場!



そんな係長ゆえ、刑事部屋に女子中学生が混じってても全然気づかない。だから亜弥も堂々と捜査に参加できるという、とても理にかなった設定。

ご高齢ゆえ電話に出るのも時間がかかり、先に受話器を取った亜弥が銀行強盗発生の第一報を受けちゃいます。



「係長、現場に急行します!」

「有無!」

「なんで有無なんですかっ!?」

「あっ、間違えた!」



松浦警部=母親の心配なんかどこ吹く風で、またもや拳銃を所持する犯罪者を追って走る亜弥!



その強盗犯=田原俊晴(ホリケン。)は前回の犯人=近藤真晴とルックスがよく似てるけど、もちろん別人です。



そして亜弥は、田原が逃走中に1人の女とアイコンタクトを取った瞬間を見逃しませんでした。

「はっ、なぜ此処に!?」

「だって、カノジョが待ってるんだもん。絶対戻って来ると思った」



うまく「まいた」つもりが先を読まれ、観念せざるを得ない田原は、悔しまぎれの深〜い接吻をチュバチュッチュと、至近距離で天下のアイドルに見せつけるのでした。




第3話『亜弥がカツ丼を食べた』では、まったくの別人である近藤真晴と田原俊晴が犯行に使用したリボルバーが、まったく同じ型の改造拳銃であることが判明します。

ということは、他にも同じ改造銃を持った同じ顔の犯罪者が、もっといるかも知れない!

恐らく大規模な密造組織がバックに潜んでると睨んだ松浦警部は、逮捕した田原からその手掛かりを聞き出すべく、取調室に向かうのですが……

「いい加減に吐いたらどうなの!?」



「亜弥! 何やってんの!?」

「邪魔しないでよ、お母さん。もうちょっとで落とせるんだから」

「落とせる?」

さすがに目眩を起こした松浦警部は、女子中学生に凶悪犯の取調べを許可した藤堂係長に猛抗議するのですが……

「そうじゃ、思い出したぞ!」

「は?」

「あの子の眼じゃ。どこかで見た気がすると言ったろう?」



「新米の頃の、あんたの眼じゃよ。あの眼にそっくりじゃ」

「新米の頃の私?」

「触るとヤケドしそうな、情熱的な眼じゃ」

「…………」



放映当時、あややファンたちは『亜弥のDNA』というタイトルにSF的な深い意味が込められてるに違いない!ってネットで騒いでたらしいけど、実際はすこぶる単純に、犯罪捜査に懸ける母の情熱と才能を受け継いでるから亜弥は強いんだっていう、それだけの意味しか無いそうです。

今回も亜弥は、その持って生まれた凄腕捜査官スキルを存分に発揮!

まずは田口たちにカツ丼の出前を手配させ、昨夜から食事はおろか水も与えてない容疑者=田原に食わせるのかと思いきや、その眼の前で実に美味そうに、自分で平らげます。



「あ〜、美味しかった。お腹いっぱい!」

その上で田原の母親を呼び寄せ、手作り弁当を差し入れてもらうという心理作戦。’02年当時でも色んな意味でアウトだろうけど、それが出来ちゃうのが深夜番組(しかもテレ東)の強み。



もちろん田原はあっけなく落ちて、売人の身元を明かすのでした。

「あやや〜、これも美味しそうだぁ」

またもや手柄が転がり込んだ田口&岩城は大喜びだけど、さんざん亜弥の介入を拒んできた警部は立つ瀬がありません。

そもそも、亜弥はなぜ、一銭のトクにもならない危険な捜査に首を突っ込んで来るのか?



そして、こないだから亜弥たちの様子をこっそり覗き見してる、この女(田中美穂)はいったい何者なのか?

小賢しい(そして全くどうでもいい)数々の謎を引っ張りつつ、次回へと続きます。



なお、 zetima社から発売されたDVDには、映像特典として各エピソードごとにNG集がついており、本編とは違う松浦亜弥さんの15歳らしい笑顔が見られます。

本編でも第4話以降は表情豊かになるあややだけど、第1話〜第3話は「刑事」を意識し過ぎたのか、表情がやけに硬いんですよね。

最初の3話は全てクランクイン初日に撮影されてますから、スーパーアイドルと言えども当時はまだ新人で、さすがに緊張してたのかも知れません。

いや、というより、自主映画上がりでプロのスタッフたちと仕事するのはその日が初めてだったという、K監督こそがガッチガチに緊張してたに違いありません。それが主演女優にも伝染しちゃったという、絵に描いたような悪循環w

なので、あややの魅力が真に発揮されるのは、次回から。今回のところは大目に見て下さいm(_ _)m


 


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