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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ATARU』2012

2019-08-21 00:00:23 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の春シーズン、TBS系列の日曜夜9時「日曜劇場」枠で全11話が放映されたミステリードラマ。翌'13年の新春には続編となる4時間スペシャル、そして秋には劇場版も公開されました。

アメリカからやって来たサヴァン症候群の青年=自称「チョコザイ」(本名アタル=中居正広) が、その特殊能力を活かして警視庁の捜査に協力していくという、アメリカ映画『レインマン』と日本の刑事ドラマ『ガリレオ』をミックスさせたような内容。

捜査一課の主任=沢警部補に北村一輝、その部下でチョコザイの世話係=舞子に栗山千明、係長に嶋田久作、同僚刑事に千原せいじ、庄野崎 謙、鑑識課員に田中哲司、光宗 薫、FBI関係者に村上弘明が扮するほか、利重 剛、奥貫 薫、玉森裕太、市村正親、原 日出子etc…といったレギュラーキャスト陣。

サヴァン症候群とは、知的障がい者や発達障がい者の中で、特定分野に限って極端に優れた能力を発揮する人の症状を指し、本作ではそれをFBIが捜査に利用しようとしてる設定で、チョコザイは言わば実験台。

根本はありがちな謎解きモノながら、素顔は饒舌な中居正広くんがまともにコミュニケーション出来ないレインマン役を演じる意外性と、けっこう振り切ったコメディー演出(いよいよメジャー第一線に躍り出た栗山千明さんの弾けっぷり!)が楽しく、日曜劇場にしては涙の押し売りも控えめで、今あらためて観ると面白いです。

けど、2012年になっていよいよ刑事物ジャンルが「ただ突っ立って殺人事件の謎を解くドラマ」一色になって来たなか、新米弁護士(戸田恵梨香)が変人のセキュリティーマニア(大野 智)に協力してもらって密室殺人の謎を解く『鍵のかかった部屋』、さらに気弱な新米刑事(相葉雅紀)が猫にヒントを貰って殺人事件の謎を解く『三毛猫ホームズの推理』と、よく似たスタイルの連ドラがフジと日テレで同シーズンに放映されており(『ATARU』と合わせて3作ともジャニーズ主演!)、私は当時やってたブログで怒りを爆発させてましたw

今(2019年)でこそ諦めの境地で何も感じなくなってますけど、当時は本当に唖然ボーゼン、いったい日本のテレビドラマはどうなってるんだ!?って、不安と怒りと悲しみで昼寝も出来ない日々でした。

以下、当時リアルタイムで『ATARU』第1話を観た時に書いたブログ記事を、そのままコピペします。それを読んで当時の私の絶望感を踏まえた上で、あれから7年(!)経っても全く状況が変わらない(どころか、クオリティーはどんどん落ちてる)現実を直視し、皆さんも一緒に絶望して頂ければと思います。


☆『ATARU』#01(2012年の記事)

相葉雅紀くんの『三毛猫ホームズの推理』に続き、またもや謎解きドラマです。残るは堺雅人 主演『リーガル・ハイ』、大野智 主演『鍵のかかった部屋』、長澤まさみ主演『都市伝説の女』、観月ありさ主演『Answer/警視庁検証捜査官』と、ぜ〜んぶ刑事や弁護士が絡む謎解き物。さすがにウンザリして来ました。

同じ捜査物ジャンルでも、中にはアクション物や百合物(そりゃ無いかw)があったりすれば違った楽しみ方も出来るのに、揃いも揃ってぜ〜んぶ『相棒』のバリエーションみたいな、謎解きスタイルの会話劇なんですよね。

この統一感は、いくら何でも異常ですよ! これは一体、どうなってるんスか!? いつからこんな事になってんの? 異常です。絶対に異常。

TVドラマがもはや、単なる暇つぶしのクロスワード雑誌みたいな存在になってませんか? 昔からそんなもん? いやいや、そんなワケありません。

これは決して偶然の一致じゃないと思います。理由は簡単、謎解きドラマは早い、安い、美味いって事でしょう。つまり一番お手軽な安全牌。

謎解き物は大半を室内で撮影出来ます。屋外ロケやアクティブな描写を無くせば、撮影時間や移動時間を短縮出来る=経費節減に繋がるワケです。それが「早い」と「安い」。

で、ミステリーやサスペンスは女性に人気があり、そこそこの視聴率が約束されてるジャンルなんですよね。早く安く作れて、数字が稼げる。だから「おいしい」ってワケです。

創り手たちはもはや、自分ならではの斬新なドラマを創りたいとか、大ヒットさせたいなんて野望は抱いてないのでしょうか? 横並びのありきたりな企画で、無難にそこそこの数字が取れれば、それで満足なんでしょうか?

そんな事は、絶対に無い筈です。そんな仕事が楽しいワケないし、野望も持たずにクリエイターになる人はいないでしょう。

みんな、今まで誰もやった事がない企画を日々考えて、温めてるに決まってます。だけどテレビ局の偉いさんやスポンサーの商売人達が、その夢や希望を徹底的に打ち砕いてるんだろうと思います。

そんな金のかかる企画はダメ。女性ウケしない企画はダメ。ジャニーズを出さなきゃダメ。人気原作じゃないとダメ。新しいジャンルなんて、もってのほか。新人を起用? バカか、お前は! そんな博打を誰が打たせるか! 自分で金を払って全責任を負うなら考えてやってもいいけどね!

……とまぁ、こんな感じでしょう。もはや、冒険も実験もご法度。これじゃあ斬新な企画どころか、新たな人材が発掘され、育てられる事も無いでしょう。つまり衰退あるのみ。破滅です。

いやマジメな話、今期の新ドラマを見てると、本当にそら恐ろしくなって来ます。ここまでのっぺりと無個性で無難な番組がズラッと並んだのって、前代未聞じゃないですか? お金が無くて苦しい台所事情は解るけど、この投げやりな感じは非常にヤバイんじゃないでしょうか?

で、えーと、『ATARU』でしたっけ? 中居正広くんが、知覚障がいと引き替えに特殊な能力を持った謎のレインマン=チョコザイ(ATARUはコードネームらしい)に扮して、美人刑事・栗山千明さんの捜査に協力する話です。

『裸の銃を持つ男』の前身ドラマ『ポリス・スクワッド!』に、何でも知ってる情報屋が登場してましたけど、要するにあれと一緒ですよね?w 捜査に行き詰まったり、早く事件を解決させたい時は、その情報屋に聞けばどんな事でも教えてくれる。例えば、道で偶然すれ違った美女の住所やスリーサイズ、血液型やご先祖の名前だって、彼に聞けば一発で分かっちゃうw

それは刑事ドラマのご都合主義を皮肉った自虐ギャグなんだけど、『ATARU』の場合は大真面目にやってますからね。

ネコが事件を推理する『三毛猫ホームズ』にも言える事だけど、そんな都合のいい、ドラえもんの未来アイテムみたいな存在に頼って捜査する刑事を、皆さん応援する気になれますか?

で、やっぱり謎解きばっかで躍動感のカケラも無いし……各番組、脇を固める刑事達のキャラクターもだいたい一緒なんですよね。それは多分、定型パターンにハメてるだけだから。

チョコザイを捜査に利用出来るよう仕込んだらしいFBIみたいな組織だとか、千明さんの母親の死に秘密があって、上司の北村一輝さんが絡んでそうとか、そんな後付けのわざとらしい謎にも、私はまったく興味が沸きません。

申し訳ないのですが、良い点を見つける気力がもう無くなってます。毒しか出て来ないので、もうやめときます。

あ、中居くんのレインマン芝居は、けっこうハマってると思います。それと栗山千明さんがすっかりメジャーになられたのも良かった。それだけw
 

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『ハンチョウ/警視庁安積班』シリーズ '12~'13

2019-08-11 00:00:05 | 刑事ドラマ HISTORY









 
TBS系列の月曜夜8時枠にて、2012年の春シーズンに全12話、2013年の冬シーズンに全10話が放映された『ハンチョウ』シリーズの第5弾&第6弾。原作は今野 敏、制作はTBS&ドリマックス。

所轄の神南署から警視庁に新設された「特捜一係」へ異動となった安積警部補(佐々木蔵之介)が、まったくアウェイな状況から係長としてチームをまとめていく姿を縦軸に、それまでの人情路線よりハードな世界観で事件捜査が描かれます。

かつてボンクラ上司の命令に従ったばかりに相棒を殉職させてしまったトラウマから命令無視を繰り返す、スコッチ的な一匹狼キャラ=尾崎警部補(小澤征悦)、短気な性格ですぐに暴走しちゃう紅一点=結城刑事(比嘉愛未)、気弱な性格でミスばかりする若手=小池刑事(福士誠治)と、なんとも扱いづらい部下ばかりの新チームに、さすがの人格者=安積班長も今回は手を焼きまくります。

また、特捜一係を創設した張本人の刑事部長=川口警視監(里見浩太朗)がその目的をなかなか明かさなかったり等、シリーズを通して謎を引っ張る今どきの(小賢しい)手法が目立つのが、シンプルだった前シリーズに昭和ドラマ(というか太陽にほえろ!)のスピリットを感じた私としては残念なところ。そのへんはまぁ、時代の流れとして受け入れるしかありません。

なお、第5シリーズの終結をもって特捜一係が解散となり、第6シリーズで再結集(新設の押上分署にチームごと異動)する流れは、後にテレ朝の『警視庁捜査一課9係』→『特捜9』シリーズや『刑事7人』シリーズ等でも見られます。特に前者で解散した9係を特捜班として再結集させる警視総監を、これまた里見浩太朗さんが演じてるもんだから既視感がハンパないですw(果たして偶然なのかスタッフのお遊びなのか?)

ほか、警視庁初の女性捜査一課長に高島礼子、鑑識課員に六平直政、加藤夏希、押上分署刑事課の課長に升毅、押上の町医者に橋爪功、交番巡査に林家正蔵、居酒屋オヤジに金田明夫、といったレギュラーキャスト陣。

女性刑事が「結城」や「真山」だったり、若手刑事が「小池竜也」、おまけに居酒屋のオヤジが「徳吉幸吉」だったり等、昭和の刑事ドラマフェチならニヤリとせずにいられない役名が散見されるのと、あと安積たちが今どきベレッタやガバメント等のいかつい拳銃を使ってるのは、たぶんメインライター=大川俊道さんの仕業ですw

放映枠(パナソニック・ドラマシアター)そのものが第6シリーズ終了をもって廃止され、2019年現在のところ『ハンチョウ』シリーズ再開の噂は聞きません。

佐々木蔵之介さんもお忙しいだろうし、無理をして続ける必要は無いけれど、ちっとも面白味がない『刑事7人』みたいなシリーズを惰性で続けるぐらいなら、私は安積班のその後を見せて欲しいです。
 
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『ダーティ・ママ!』2012

2019-08-10 00:00:10 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の冬シーズン、日本テレビ系列の水曜夜10時「水曜ドラマ」枠で全10話が放映されたコメディータッチの刑事ドラマ。『アンフェア』の原作者である秦建日子さんの同名小説をドラマ化した作品です。

ろくでなしの旦那に見切りをつけ、子連れ狼スタイルで捜査する麻布南警察署・刑事課強行犯係主任の敏腕刑事「マルコー」こと丸岡高子に、永作博美さん。

マルコーが特製ベビーカーに乗せて連れ歩く、幼子のベビーシッターとして交通課から抜擢された相棒刑事「ラッセル」こと長嶋 葵に、香里奈さん。

ほか、恋人=葵との格差に悩む交番巡査に上地雄輔、強行犯係の係長に八嶋智人、刑事たちに佐藤二朗、安田 顕、野間口 徹、林 泰文と、当時は地味に思えたキャスト陣も今となっては豪華な顔ぶれ。

そして第1〜2話のゲスト=西田尚美さんは、男に依存しないと生きて行けない女性の役で、究極の自立型であるマルコーと対比して描かれました。

女性の生き方、仕事への取り組み方っていうのは結局、男とどう関わって行くかが何より重要というか、それが全てと言っても過言じゃないのかなぁ?って、このドラマを観て私は思いました。

男に媚びることなく自立するのか、あるいは男に寄り掛かるか利用するかして生きていくのか? 番組としては前者を圧倒的に支持してる感じだけど、そんなの人それぞれだし好きにすればええやん!って、私は思いました。男はだいたいそう思うんじゃないでしょうか?

けど女性にとっては、身につまされたり指針を発見したりする、何より興味深いテーマなのかも知れません。だからこれは100%女性向けの番組。

刑事ドラマとしては正直、食い足りない印象です。マルコー刑事のキャラは面白いんだけど、ダーティ・ママと呼ぶにはダーティーさが足りてない。

ベビーカーに色んなギミックが仕込んであったり、自分の子供をダシに使って容疑者に探りを入れたり、拷問は自分の手を汚さず後輩のラッセルにやらせたり、盗聴、盗撮、買収と、やってることは確かにダーティーなんだけど、その程度なら昭和ドラマの刑事さん達は日常的にやってました。手ぬるい!w

ただ、特製ベビーカーを押して出勤し、子連れで捜査する女刑事という設定に対して「あり得ない」みたいな声も出たでしょうけど、その点に関しては「あり」だと私は思います。

『デカワンコ』のロリータファッションと同じで、主人公の生きざまを象徴するアイテムだと思うし、絶対にあり得ないとは言い切れないですよねw マルコー刑事の場合、検挙率ナンバーワンの実力があればこその特別待遇であり、ミスを犯せば即免職というリスクを負わされてる等、設定の裏付けで最低限のリアリティーがキープされてます。

でも、装甲車と同じ素材で造られたというあのベビーカー、装備がやっぱり手ぬるいですw 子連れ狼を意識するならマシンガンは必須でしょう? 防弾仕様にはなってるみたいだけど、武器が腐ったタマゴって……w そっちのダーティーかよ!っていうギャグにはなってるんだけどw

何ならロケット・パンチが撃てるとか、それ位はっちゃけないとこのテの話は面白くならない、って私は思うんだけど……そういう部分が淡泊なのも、やっぱり女性向け番組なんですよね。

そんなワケで私は物足りなく感じたけど、永作博美さんの怪演&快演には観る者を惹きつける力があり、赤ちゃんの愛くるしさと相まって本作の見どころとなってます。

ただし相棒役の香里奈さんが、永作さんの力量にイマイチついて行けてないのが惜しい。ラッセルがマルコーにさんざん振り回された挙げ句、最後にプッツンして丁丁発止の口喧嘩になるのが毎回のお約束、かつ見せ場にもなってるんだけど、これがイマイチ面白くない。

不毛な話だけど、ラッセル役がもし多部未華子さんクラスの才能を持った女優さんだったら、その場面見たさに毎回チャンネルを合わせる事になったかも知れません。

香里奈さんも決して下手な人じゃないとは思うけど、美人でコメディも上手にこなせる女優さんは、ほんのひと握り。永作さんの相手役はちょっと荷が重すぎたかも知れません。
 
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『ストロベリーナイト』2012

2019-08-09 00:00:06 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の冬シーズン、フジテレビ系列の火曜夜9時枠で全11話が放映された、フジテレビ&共同テレビの制作による刑事ドラマ。

先にテレビ朝日系列で放映された『ジウ/警視庁特殊犯捜査係』の原作者=誉田哲也さんの代表作と云われる警察小説『姫川玲子シリーズ』を映像化した作品で、2010年秋に2時間スペシャルとしてパイロット版が放映され、その好評を受けての連ドラ化。

翌年には劇場版も製作・公開され、そのスピンオフとなるスペシャルドラマも放映。さらに2019年春シーズンには二階堂ふみ主演による連ドラ『ストロベリーナイト・サーガ』(全11話) としてリメイクまでされる人気シリーズとなりました。

ノンキャリアから異例のスピード出世を遂げた警視庁捜査一課殺人犯捜査第十係の姫川班主任=姫川玲子警部補に竹内結子が扮するほか、その部下に西島秀俊、小出恵介、宇梶剛士、丸山隆平、係長に高嶋政宏、日下班主任に遠藤憲一、管理官に渡辺いっけい、監察医に津川雅彦、鑑識課主任に田中要次、所轄署刑事に生瀬勝久、そして玲子の天敵となる勝俣班主任=通称「ガンテツ」に武田鉄矢、といったレギュラーキャスト陣。

魅力的な顔ぶれが揃っており、それだけで観る価値は充分にあるんだけど、内容は凡庸な謎解きもので、さして面白いと私は思えません。

ただ、毎回の殺人事件が『羊たちの沈黙』や『セブン』を彷彿させる猟奇性とゲーム性を孕んでること、そして主人公の玲子や部下の刑事たちがそれぞれ過去のトラウマに苦しみながら捜査する姿が、ダークな作風を嗜好する人たちにウケたのかも?

私はそういうのをあまり好まないけど、猟奇的殺人の再現シーンを決して生々しくは見せず、映像技術を駆使してファンタジックに描いた創り手の配慮には好感を持ちました。より過激に描くことが反骨精神=カッコいいと思い込んでる(としか思えない)おバカさんが映像業界には多いですからね。

とはいえ、同じ原作者による『ジウ』にも感じた事だけど、その設定って本当に要る?って思わずにいられない、ストーリー上で機能してるとは言いがたい設定がやけに多いのは気になります。

例えば、玲子が高校生だった時にレイプされた過去のトラウマ。その事件を担当し、親身になって励ましてくれた女性刑事(国仲涼子)への想いが、警察官を志望する玲子の原動力にはなってるんだけど、今でも折に触れレイプされた時の恐怖と苦痛がフラッシュバックする描写は、果たして必要なのか?

さらに、玲子の母親(手塚理美)もその事件をずっと引きずってて、もう30歳にもなる娘をがんじがらめに(そしてヒステリックに)縛り付ける「毒親」と化した姿を、第1話の冒頭でわざわざ見せる必要があったのか?

そういった設定が玲子の天才的な「刑事の勘」を裏付ける理由になってたり、事件の謎を解くヒントになったりするならともかく、単にキャラクターの背景として存在するだけで、ストーリーにはほとんど影響してない。それはまさに『ジウ』における基子(黒木メイサ)の複雑すぎて誰も共感できないトラウマ設定や、美咲(多部未華子)につけられた渾名「カンヌ」の無意味さ、そして二人の関係性が何のドラマも生まない投げやりさ等とホントよく似てます。

ならばアクションやお色気でサービスしてくれる『ジウ』の方がよっぽど面白いと私は思うんだけど、それでも『ストロベリー~』の方がヒットしたのは、やはり大方の視聴者がアクションより謎解きを好むのと、何となく面白いものを観てるように錯覚させる「魅せ方」が『ジウ』より巧かったという事でしょう。

ついでに言えば、高校時代の玲子にキャスティングされたのが、竹内結子さんとは全く似ても似つかない岡本あずささんである点も意図不明。リメイク版『ストロベリーナイト・サーガ』でも同じように全くタイプの違う2人(二階堂ふみさんと八木優希さん)が演じてますから、これは創り手が「あえてそうした」としか思えません。

あの事件を境に玲子の内面が大きく変わったことをビジュアルで示す、みたいな意図があるんだとしたら、そんなのイタズラに視聴者を混乱させるだけで創り手の自己満足に過ぎないと私は思います。

そもそもドラマ化したり映画化したりするだけの価値がイマイチ感じられない、私には凡庸としか思えない小説やマンガ、あるいは韓国ドラマ等に次から次と、決して安くはないであろう権利料をポンポン支払う日本のテレビ局ってほんと気前がいいですよね。オリジナルでもっと面白いストーリーを、もっと安い金額で書いてくれるライターさんが業界にはいくらでもいる筈なのに……なんとも勿体無いことです。

けど、こういう作品がヒットしてしまうんですよね。そんな世の中なんです。
 

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『デカ☆黒川鈴木』2012

2019-08-08 00:00:04 | 刑事ドラマ HISTORY









 
2012年の冬シーズン、日本テレビ系列の木曜深夜「木曜ミステリーシアター」枠で全13話が放映された、読売テレビ制作による40分枠の刑事ドラマ。滝田務雄さんの警察小説『田舎の刑事シリーズ』を原作とし、大宮エリーさんが全話の脚本を担当。

片田舎の小さな警察署を舞台に、板尾創路さんがクールな敏腕刑事=黒川鈴木を演じてます。その着想の面白さが全て、ではないでしょうか?

謎解きメインの刑事物なんて、舞台設定とキャラクター造形=世界観でしか個性を発揮しようが無い(それを除けばどれも同じ)ですから、そこでツボを外したら、もうアウト。

板尾さんがオチャラケ抜きで知性派デカを渋く演じる分、部下の白石刑事=田辺誠一さんが弾けたキャラで笑いの要素を引き受け、仲の悪い両者に挟まれ翻弄されるスタンダードな若手刑事=赤木を、当時売り出し中だった田中 圭くんが演じてます。

放映当時は三人の食い合わせがイマイチ良くない気がして初回しか観なかったんだけど、今あらためて第4話まで観てみると、じわじわ染み込んでくる可笑しみが結構クセになります。

田辺誠一さん演じる白石刑事がとにかくアホでw、渋くキメてる黒川に茶々を入れ、ペースをかき乱す役割なんだけど、警察官としてあまりに不真面目だしアホ過ぎて、当時は不快に感じたんですね。

だけど今となっては、田辺さんの卓越したコメディーセンスがこれほど存分に発揮された作品は珍しいし、決してでしゃばらない田中圭くんの名アシストぶりもさすがだし、何より板尾創路さんの敏腕刑事ぶりに違和感がまったく無いのが逆に笑えます。

良家のお嬢様なのに安月給の黒川と結婚し、きっつい毒を吐きながらもエコノミー生活に堪え忍ぶ妻=静江に扮した鶴田真由さんのコメディエンヌぶりも見もので、基本はありがちな謎解きストーリーでも決して退屈はしません。40分枠(正味30分)で展開も早いですからね。

交通課婦警に藤本 泉、署長に斉木しげるが扮するほか、毎回のゲストも釈由美子、熊切あさ美、中村ゆり、佐藤寛子、三津谷葉子、岩佐真悠子、高橋かおり、酒井若菜といった美女たちに、遠藤章造、中川礼二、木村祐一、ぼんちおさむ、品川 祐、山崎邦正といったお笑い畑の人らが悪役として絡む構図も楽しく、飽きが来ません。(吉本興業が制作協力に名を連ねてます)

こういうユニークな作りなら、謎解きドラマも決して悪くありません。テレビ番組は今や、より自由度の高い深夜枠の方が確実に面白いですね。

セクシーショットは、黒川いきつけの居酒屋で働くバイト娘に扮した、ファッションモデル出身でAKBオタクの岩崎名美さんです。
 

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