お正月なので舞台の天井近くに にらみ鯛と羊と書かれた凧が飾ってあります。
●花競四季寿(はなくらべしきのことぶき)
三味線で人間国宝の鶴澤清治さんが出ます。文楽の魅力の一つは、人間国宝を身近に感じられることでしょうか。文楽一のイケメン 豊竹咲寿大夫さんも出ています。大夫さんのええ声と三味線の音に、私の耳は幸せでした。
〈万才〉
春 門松が立ち並ぶ商家の前で、万才が舞います。
〈海女〉
夏 海岸で海女が舞います。そこへ、蛸がやってきて・・・。海女が蛸の頭をたたいたり、蛸が海女の着物の裾をちょいとめくったりと、ユーモラスです。舞台をはけるときに、蛸が手を振るので、思わず私も手を振ってしまいました。
〈関寺小町〉
秋 荒野原で老女となった小野小町が舞います。人間国宝の吉田文雀さんが、情感たっぷりに人形を遣います。
〈鷺娘〉
冬 雪景色の中、鷺の精である娘が舞います。娘は、白、ピンク、再び白と着物を替えます。
●彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)
文楽は「実は○○」などと同一人物がいろんな顔を持っていることが多く、しかも意外なところで人間関係がつながっているので、ややこしくて粗筋が書きにくいのです。おいしい日本橋藤久さんの幕の内弁当を食べた後なので、ついウトウトしてしまいました。
いつも感心することなのですが、人形を三人で遣っているのに(右手とかしらを遣う主遣い、左手を遣う左遣いさんと足遣いさんです)動きがスムーズで本当の人間のように見えること。人形なのに、表情豊かに見えること。すごい技です。
●義経千本桜 道行初音旅(よしつねせんぼんざくら みちゆきはつねのたび)
義経に会うために静御前は桜満開の吉野山へ。静御前が初音の鼓を打つとどこからともなく狐が現れ、狐が姿を消すと佐藤忠信が現れます。二人は源平合戦を思いながら、舞います。佐藤忠信は実は、偽の忠信で初音の鼓にされた狐夫婦の子ども。初音の鼓を慕っているという設定です。
白地に赤い狐火?の柄の着物を着た吉田幸助さんが、狐を遣います。狐が消えたと思ったら、今度は緑地の裃袴に着替えた幸助さんが、セリから佐藤忠信を持って登場!主遣いさんも早着替えをするんですね。静御前もお着替えをいっぱいしますし、静御前が投げる扇を佐藤忠信がキャッチするという振りもあります。桜満開の舞台で、美しい静御前とイケメン忠信が踊る美しい演目です。
三味線の人間国宝の鶴澤寛治さんが出ています。藤蔵襲名披露の時に一緒に写真を撮ってくださった鶴澤藤蔵さんも出ています。一緒に写真を撮ってくださったので、なんか応援してしまいます。それから、私の好きな竹本津駒大夫さんも出ています。