ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『やさしい猫』

2022-05-30 21:24:51 | 
『やさしい猫』 中島京子 中央公論新社
 シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。出会って、好きになって、この人とずっと一緒にいたいと願う。当たり前の幸せが奪われたのは、彼がスリランカ出身の外国人だったから。クマさんは、不手際でビザの更新ができず、不法残留で東京入国管理局に収容されてしまったのだ。
 ミユキさんの娘マヤがきみに語る形で話はすすむ。最後にきみが誰かがわかる。
 題名から猫が出てくる、ほんわかした話だと思いきや。入国管理局の理不尽さに驚いてしまう。知らなかった。仮放免されても他県をまたいでの移動には許可がいる。働くことはできない。(では、どうやって暮らすのか?)日本で育ち日本語しか話せない子どもを母国に返そうとする。日本を好きでやってきた人たちが日本に恨みを抱いて帰国しないだろうか。クマさんが長い収容で痩せていき、気力を奪われる姿には心が痛んだ。犯罪者ではないのに。救急車が来ても患者を乗せずに返される場面では、ウィシュマさんのことを思い出して辛かった。
 入管は、相談にくればいろんな手立てがあると言うが、「早く国に帰れ」という所に相談に行けるだろうか。日本語以外の言語に対応しているのだろうか。もちろん、一生懸命任務を遂行しているのだろうが、本を読んでいると一般の感覚と違うような気がした。
 ウクライナ人の避難と違うなあと思う、難民申請を待っている外国人も多いのではないだろうか。
 本に出てくるクルド人のハヤトくんは、どうなったのだろうか?
 
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