ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『茶聖』

2020-12-15 23:20:51 | 
『茶聖』 伊東潤 幻冬舎
 「茶の湯」という安土桃山時代を代表する一大文化を完成させ、天下人・豊臣秀吉の側近くに仕えた千利休。茶の湯が、能、連歌、書画、奏楽といった競合する文化を圧倒し、戦国動乱期の武将たちを魅了した理由はどこにあったのか。利休は何を目指し、何を企んでいたのか。秀吉とはいかなる関係で、いかなる確執が生まれていったのか。
 お茶を学んでいるわりには、利休を主人公とした本を読んでいない私。だから、他の作者の本と比較はできない。
 ただ、528ページもある割には、するすると読むことができた。受験で日本史を選択したはずなのに日本史の記憶があまりなく、戦国時代が苦手な私だが、信長や秀吉がお茶に目をつけた理由や利休がフィクサーとして目指したものがわかった気がする。秀吉と利休のヒリヒリするような関係や利休と家族の思いやりなど、読んでいておもしろかった。
 2017年に見た「茶の湯」展、「茶碗の中の宇宙」展の図録を持っているので、本に出てくるお茶碗や茶入れを探しながら読んだ。お茶碗では「白鷺」「禿」「無一物」「大黒」茶入れでは「初花肩衝」「尻膨」を見たことがある。これって、すごくないか?安土桃山時代の壊れやすいお茶碗やお茶入れが大事に現代に伝わっている。しかも美しい。お茶碗を作った長次郎もすごいし、美を見出した利休もすごい。改めて思った。
コメント
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