ささやかな幸せ

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『イギリス絵本留学滞在記』

2020-12-05 23:31:32 | 
『イギリス絵本留学滞在記』 正置友子 風間書房
 50代半ばにしてイギリス留学へと旅立つ。美しいウォルター・クレインの絵本と出会い、絵本の研究に没頭。その結果、イギリスでも知られていなかったヴィクトリア時代の絵本に関する詳細な博士論文に結実した。本書は、その6年間のイギリスでの生活と学び・研究の日々を綴る。「いくつになっても、学びと旅立ち」への勧めの書でもある。
 54歳でイギリス留学し、6年間学ぶ。50代では、経験・思考・集中力・気力・体力もあり、迷うことなく一つのテーマに集中できるという。きっと留学に向けて、英語を必死に勉強し、備えていたのだろう。「ご主人の理解があったから留学できたのですね」と言われるが、これが反対ならば「奥様のご理解があったから留学できたのですね」と言われるだろうかという一文にドキッとする。夫や子をできない理由にしていないだろうか?「自分の『生』を大事にし、社会に責任をもつ賢く強い人になる」というエールを胸に刻もう。
 『大森林の少年』を訳した灰島かりさんの名前もでてきて、驚く。
 2017年に滋賀県立近代美術館で見た「ウォルター・クレインの本の仕事」展の図録を引っ張り出して見る。正置先生の文があることに気付く。友達に薦められて行った展覧会だったが、本を読んだ今、いい展覧会に行ったものだとしみじみと思う。あの時より絵本の知識がちょっぴり増えた今、あの展覧会に行っていたら、もっと感じ方が違っていただろうな。残念。
 彫版師エヴァンスの重要性がよくわかった。子どものために最高の絵本を!とした当時の熱量が感じられた。「絵本は未来に生きる子どもたちへのおとなからのプレゼント」という言葉も胸に刻もう。残念ながら、本屋で見る新刊の絵本は「小説は書けないが、絵本ならできると思ってない?」と思うようなものが多く、力を感じるようなものが少ないと思うのだが・・・。
 今年はコロナ禍で読み聞かせのボランティアができない。「せめて低学年でも絵本を読んであげたいね」と言っているが、実際は私が子どもたちと絵本の世界に浸りたいのだと思う。
 
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