世の中の二乗>75の二乗

話せば長くなる話をする。知っても特にならない話をする。

映画見た

2011年06月27日 22時42分46秒 | Weblog
映画見る。
キューブリックの「フルメタル・ジャケット」は因縁のある作品で、
松尾スズキの映画評を読んだのが一番最初だった。
もう、なんだかそれはそれはすごそうな感じで書いてあった。
それを読んだ時期が大学のときで、ただでさえ鬱屈としておるのに
丸尾末広とか駕籠真太郎とかサドとか夢野久作とか読んでいた頃であり、
東京の演劇界では大人計画がぶいぶいゆわしていて、
そのときに自分は高知にいて、
それも女しかいなくてしかも隣の高校より人数少ないような大学で、
気が合う子はちょっとおかしくなって学校来なくなっちゃうし、
ある意味、理解者なんて一人もいねえよ的な状況での出合いで、
救いとかでもなんでもないけど、うわあ、すごい映画があるんだなあと思った。
あるんだなあ、とは思ったけど、
「じゃあ、実際見てみるのかい?」という話とは違って。
第一、怖そうじゃないか。
第二に、高知のツタヤにあるんかいな。
第三に、その頃DVDプレーヤーを持っていなかった。
というような事情から、見なかった。
「時計仕掛けのオレンジ」は見ても、
「アイズ・ワイド・シャット」は見ても。
それで、上京してしばらく経って、見つけたので、そしてDVDプレーヤーもあったので見た。
でも、なんということだろう。
そのプレーヤーは母からもらったものだったのだけれど、
リモコンがなくて、再生、ストップ、出し入れはできるが、
チャプター選択や音声切り替えができなかった。
なので念願の初「フルメタル・ジャケット」は字幕なしの英語。
わっかんねえ。
いや、大体の話はわかるが、
松尾スズキの言う「もはや詩的ですらある」罵倒のカラフルさが一切わからない。シット。
そこを味わわず、大体の話がわかったからってなんになるっていうんだ。ビッチ。
そんなことがあったので、「フルメタル・ジャケット」は長い間「もう一度見たいけどまだ見たくない作品」の枠に入れられることになった。
そんで、昨日、ようやく、2回目の鑑賞。
ベトナム行ったのが大きかったかもな。一応。
今度は母にリモコンを渡してもらっているので日本語字幕がでる。
上官のカラフルな罵倒が理解できる。
んで見た。
うわあああああ、すげえなああああ。
言葉がわかるって大事だなあああ。
凄まじいばかりの罵詈雑言ボキャブラリー。
そしてなんだこの変な爽快感は。
やっぱりあれかなあ、人はどんくさい人にお前どんくさいなあって面と向かって言えないからかなあ。だから、それ言ってくれる人がいるとひどいとは思いつつ、ちょっとうれしくなるんかなあ。
「微笑むな。この微笑デブ」
あと、少し私が出てくる若い男の子たちを嫌だなあと思っているからかもな。
だから罵倒されてておもしろいんかも。
これはこの上官が趣味でやってるわけでないのがすごいとこだな。
こういう、最初に人格とか人権を全部排除して命令に従うことだけを叩き込むシステムが、絶妙に性の発散につなげられて行われているのもすごい。
気持ち悪いし、大嫌いだが、
そういう世界に身を置くと、それはそれで頑張っちゃうのが人間なんだろうなあというのを強く思った。

セルジュ・ゲンズブール主演「ガラスの墓標」。
セルジュ・ゲンズブールの半生を描いた「ゲンズブールと女たち」という映画の予告を見つけて、
そのゲンズブール役の俳優がものすごく色気があったので、
セルジュ・ゲンズブールにも興味が出て借りた。
うん、色気のある人だ、ゲンズブールは。
ただ、この映画はあんまりおもしろくないなあ。
最初のゲンズブールが歌ってる歌はすっごいよかった。
そうか、ゲンズブールの色気だけの映画だからあんまりなのか。
あと、彼女のきれいさだけ。
ゲンズブールは毛皮が似合うなあ。
『ゲンスブールと女たち』 予告編


篠田正浩監督作品「処刑の島」。
好きな監督の作品だったのと、武田泰淳が原作なので見た。
でも、オープニングで脚本石原慎太郎となっていて少し嫌な予感した。
案の定、あんまりおもしろくない。
なんか全部歯切れが悪かった。
怨みがあって島に返ってきた男の人の話なんだけど、
怨みの根本もなんか歯切れ悪いし、その復讐方法も歯切れが悪い。
なんだあ、そりゃあ、という感じで終わった。
島の風景の撮り方はさすが、と思った。

イラン映画「ギャベ」。
遊牧民カシュガイ族が織るギャベは柄と色がすごく好き。
でも高いのでなかなか手に入れれない。
そのギャベの映画というのでわくわくして見た。
きれい。
ぶっちゃけあまり洗練されていない映画だけど、
きれいな色彩と、おとぎ話みたいな物語が素朴でいい。
なによりロケーションがすばらしい。
こんなとこに行ってみたいなあと何度も思う。
そんでやっぱり、ギャベがほしいなあと思う。