岩手山麓景観形成重点地域を守ろう ★『イーハトーブ通信』

野生サクラソウ大群落を潰し岩手山麓の環境を破壊してきた旧町政。産廃問題に端を発した岩手山麓『誘致公害』の記録

津川敬氏講演会「活性化ってなんだのす?」記録=その1

2005年12月18日 | 現在の課題「九十九沢最終処分場」問題
12月8日の講演会記録を数回に分けてお伝えします。
その1===「ゴミで活性化」はまったくの幻想

おばんでがんす、津川と申します。これからの私の話は二つありまして、ひとつは地域の活性化とは何なのか、もうひとつは、これからごみ問題にどう取り組んでゆくか、という、かなり重いテーマです。

1.「ごみで地域活性化」はまったくの幻想

◆企業誘致からリゾート建設へ
まず活性化の問題ですが、一般には雇用を増やし、人口の減少を防ぐ。
そのために公共事業が必要だし、町村合併で生き残りを図りたいなど、背景や動機はさまざまですが、現実にはもっとドロドロした要素がそこに絡まっています。
今回はそれに触れる余裕はありませんが、自分たちの力ではなく外部の大きな資本や国の補助を当てにして活性化を図ってきたところは共通してあまりいい結果を生んでいません。

活性化とはそこに住んでいる人の知恵と工夫をいかに行政が吸収し、それをどう政策に生かすかの問題だからです。
ここで地域活性化なるものの歴史を振り返ってみますと、まず1950年代後半から70年代の半ば、つまり昭和30年代から40年代末にかけての高度成長期には企業誘致が活性化のキーワードでした。

ひとつでも多く有名な企業にきてもらいたい、そのためにはどんな条件も呑もうというわけですが、その結果、地域に残されたものは大気と水と土壌の汚染でした。
それと引き換えに市や町にはそれなりの金は入りましたが、結局大きく儲けたのはゼネコンと政治家です。

バブルが始まる80年代後半からはリゾート開発が中心テーマとなりました。
当時の中曽根首相が提唱したリゾート法が1987年に施行されて、宿泊や娯楽を目的とした大型施設を建てる動きが全国に普及するのですが(33都道府県)、手を出した地域はいまみんな赤字を出して行き詰まっています。
リゾート法というのは税制面での優遇や低利子の融資をはじめ、施設をつくるのに国有林の開発もOK、神社仏閣も邪魔になるならどかしてもいいというとんでもない法律で、そのひとつにゴルフ場開発があります。
当時金が一円もなくても会員権を売りまくってゴルフ場は造れたのでたいへんなブームになりました。

自治体も誘致に熱心でしたが、バブルの崩壊と会員権が売れなくなってことごとく失敗、後に残ったのは中途半端に掘り返された山林や里山だったのです。そこを狙って安く土地を買い叩いたのが産廃処理業者でした。

こうして90年代に入ると処分場や中間処理場を誘致して活性化を図ろうという動きが自治体にも出てきました。

<続く…>