浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】日本史研究会など『天皇制を問う』(人文書院)

2014-09-03 11:11:02 | 
 「「国学」が呼吸するとき」というテーマは、要するに近代天皇制イデオロギーをその始原から現在までを辿る旅であった。

 このテーマを考えるに際して、たくさんの本を買い、また読んだ。買ったけれども未だに読んでいない本もたくさんある。このテーマはもっともっと深めていきたいと思う。

 さて、その中の一冊が本書である。1990年に刊行されたものだが、内容的には古くなってはいない。
 
 これは日本史研究会、京都民科歴史部会が共催した「天皇制を考える歴史講座」の記録である。講座の記録であるから、内容的に緻密な論証がなされているわけではないが、それぞれの講師がとりあげた内容からは、様々な問題が提起され、触発されること大である。

 ボクと交遊があったいまは亡き江口圭一氏の論考(「昭和天皇の戦争責任と日本人の国家意識」)の鋭さ、松尾尊氏の論考は簡にして要を得たもので、まったく古さを感じない(「象徴天皇制の成立」)。

 松尾氏のそれは、後に『思想』(岩波書店)1990年4月号に掲載されたが、ぜひ読んで欲しいと思う。

 また、ひろた・まさき氏の差別論(近代天皇制と差別)も、氏の年来の主張のエッセンスが記されている。岩井忠熊氏の「近代天皇制と祭祀」ももっと詳しく論じて欲しいと思うような豊富な内容だ。

 戦後歴史学の担い手たちが研究されてきたことが、そしてその問題意識が、いまや継承されていないという気がしている。

 ボクの歴史に関する講座は、そうした問題意識と研究を、市民のなかに広げるという使命感で行われる。

 書庫には、いままで購入した本が乱雑に放り込まれている。そこから持ち出してきては読み、新たに購入しては読み、講座の内容をつくってきた。こういう機会をつくっていただいた酢山さんに感謝である。

 次は、9月12日の平和に関する講演の内容を詰めていかなければならない。毎日毎日が勉強である。

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