今日10時から、墓の撤去に着手した。墓は、1971年に新しく建立したもので、その際、骨壺にあった遺骨は墓石の下に埋められた。その時の業者(御嶽教の行者でもあった)が、遺骨は土に還すものだという意見から、骨壺から出して土の中に埋めた、と母から聞いていた。
それから50年以上が経過している。土の中の遺骨はおそらくないだろうと思っていたが、掘ってみると、バラバラではあったが、残っていた。土と一緒に掘り出し、木綿の袋におさめた。遺骨は、水で洗い、骨だけを集めることになる。
もし遺骨が残っていなかったら、墓石の下の土を一部でも掘り出して実家の庭にもってくることを計画していた。
この墓の撤去に関して、三枚の書類を作成した。ひとつは「改葬許可申請書」である。これには埋葬されている者の本籍、住所、氏名、死亡年月日を記すのだが、もちろん申請者の住所氏名も必要である。そして現在埋葬されている墓地(納骨堂)の管理者の住所、氏名、法人の場合(当然宗教法人が多い)、記名、代表者の押印が必要である。墓地の管理者の記名、押印が必要で、これをしてもらわないと書類が整わないことになり、これを楯にして、記名、押印をしてほしかったら、離檀料を払え、といわれるのである。
私は墓からの魂抜きの読経の代金として3万円を支払っただけで終わったが、通常この離檀料の支払いをめぐって争いになる。
そしてその他に、「焼骨の自宅保管について」(これにも、墓地管理者の記名、押印が必要である)、「焼骨の自宅保管証明申請書」が必要になる。
これらの書類は、遺骨の改葬先が確立した段階で役所に届け出て、埋葬許可証を得るということだった。
母の遺骨はいまだ自宅にあり、また父の遺骨も、行き先が確定するまで自宅保管することになる。
いずれにしても、寺院とはこれで縁を切ったことになる。
「子孫に墓を残さず」である。私がこの世を去ってからも、私の遺骨は墓には入らない。それでよいと思う。