浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

「ラベンダー」

2024-06-28 17:34:11 | 国際

 イスラエルによるガザへの侵攻、パレスチナ人に対するジェノサイドを理解する上で、『地平』創刊号は有益な情報を与えている。

 早尾貴紀さんの「イスラエルの過剰な攻撃性に関する三つの問いをめぐって」は、ガザ攻撃の背景など、様々な情報を与えてくれた。

 まずイスラエルの攻撃は、「西洋文明」を背後にしている。彼らの暴力性は「西洋文明」にルーツを持つ。せ「西洋文明」は、アメリカ大陸、アジア・アフリカ、太平洋の諸島へ侵略してきた。そこにあったのは、キリスト教につながる「明白なる天命(Manifest Destiny」がある。そして「西洋文明」のなかにいない者たちを「野蛮人」として大量殺戮を行ってきた。その上で、「西洋文明」の担い手たちは、「入植者植民地主義」を行ってきた。

 イスラエルがやっていることは、この「西洋文明」にルーツを持っているからこそ、たとえばアメリカ大陸に上陸したヨーロッパ人がインディアン(インディオ)におこなったことと相似的なことをするのだ。

 在米イラン人のハミッド・ダバシがこのような主張をしているという紹介であるが、この論考が手に入ったら、翻訳してみたいと思う。

 つぎに、「西洋文明」のもと、「理性の自己実現」を説いたあのヘーゲルが、アジア・アフリカに対する植民地支配と人種差別を正当化する代表的イデオローグだったという。驚きである。

 さらにガザへの空爆の目標には、AIが利用されているというのだ。その名は「ラベンダー」。

 「ラベンダー」は、「約230万人の全住民の行動履歴データが入力された監視システムから自動的に「テロリスト」の確立を判定する。写真や動画、移動した場所、会った人物、通話記録、SNSへの投稿やコメントなどなどが把握されて、それらのデータの集積からAI「ラベンダー」が、ハマースやイスラーム聖戦などの抵抗組織への関与の度合いを評価し、標的生成する。」攻撃対象となる「標的」の生成は、20秒ほどでつくられ、その「標的」が夜間に帰宅したところを爆撃する、その際、家族など20人程度の巻き添えがあることを前提にしている、というのだ。恐ろしい話である。

 そういう世界は、いずれ日本でも行われるだろう。「マイナンバー」がその基盤となるのだろう。

 自由がなく、統制され、国家にとって不要とされる人間が抹殺される、そういう社会が、すでにできあがりつつある。

 

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大杉栄らの墓について

2024-06-28 14:46:41 | 大杉栄・伊藤野枝

 先日、もと毎日新聞記者で、大宅壮一ノンフィクション賞を得たHさんから電話があった。最近静岡市に住むようになり、市営沓谷霊園の大杉栄らの墓(この墓には、大杉栄、伊藤野枝、橘宗一の遺骨が葬られている)に行き、たいへん感動した、ということであった。

 Googleの地図には、大杉らの墓が示されているが、タクシーで行く場合はほかのところに連れて行かれることがある。はじめて行かれる場合は、静岡東中学校の西側、長源院の入り口付近の交差点で降りて、霊園沿いに西方に向かい、左側にある入り口から入ればすぐに大杉らの墓を見つけることが出来る。

 大杉栄・伊藤野枝・橘宗一墓前祭は、昨年の虐殺100周年で、いちおうの幕を引いた。墓前祭は断続的に行われてきた。最近では、2013年から2023年まで毎年9月に行われてきた。

 その実行委員会では、「沓谷だより」を発行してきた。今でもそれを求める方がいるが、現在では最終号しか残っていない。

 今まで大杉についてはいろいろ論じられてきたが、この数年、野枝に注目が集まっている。東大の加藤陽子さんが、NHKの「100分で名著 フェミニズム」で、野枝を取り上げたこと、あるいは「風よ あらしよ」としてNHKのドラマになったり、それが映画化されたりしたからでもある。

 野枝については、もっともっと注目されても良いと思う。私は学生時代から野枝が好きで、彼女の全集はもとより彼女に関係する書物を多数、今でももっている。

 時間的余裕がでたら、もう一度野枝について考えようと思っている。

 さて、大杉らの墓を訪ねた方は、北街道沿いの古書店・水曜文庫に行くとよい。そこでいろいろな情報が手に入るはずである。Hさんも、そこを訪ねていったそうだ。

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