最新の『週刊金曜日』の特集は、「虎に翼」。この番組は、高評価されているようだ。しかしテレビを見ないわが家としては、いくら高評価だとしても、まったく見ていないから何ともいいようがない。
NHKには良心的な人がいて、こういう番組もつくるのだろうが、わたしとしては、NHKに対して強烈な不信感を持っているので、良い番組があってもみることはしない。NHKの権力べったり報道を許さないという立場からすれば、受信料を払わない、そのためにはテレビをみないという姿勢を堅持することがあるべき姿であると思っているからである。
さて、『東京新聞』が、「虎に翼」に関する記事を「こちら特報部」で掲載している。「朝ドラ「虎に翼」の三淵嘉子さんと共に「原爆裁判」を担当した元裁判官、いま振り返る判決の意味」という記事である。
わたしは、まことに恥ずかしいことに、「米国の原爆投下を「国際法違反」と断じた「原爆裁判」」(1963年)があったことさえ知らなかった。その判決に、当時裁判官であった「虎に翼」の三淵嘉子さんが関わっていたという。
「広島、長崎両市に対する原子爆弾による爆撃は、無防守都市に対する無差別爆撃として、当時の国際法からみて違法な戦闘行為。原子爆弾のもたらす苦痛は、毒、毒ガス以上で、不必要な苦痛を与えてはならないという戦争法の基本原則に違反している」という判決だとのこと。その通りである。明らかに非戦闘員を大量に殺戮する兵器を、アメリカは使用したのである。
その裁判の被告は、日本政府であった。驚いたことに、日本政府はアメリカが常に主張することを、まさにオウム返しに主張したという。
被告の日本政府は、国際法違反には当たらないと反論。国家間の戦争は、いずれの国内法でも国家の責任を問うことはできず、被爆者個人は国際法上の請求権を持たないとした。審理の中で「原子爆弾の使用は日本の屈服を早め、戦争継続による双方の人命殺傷を防止した」とも主張した。
何とまあ、日本政府の原爆に対する見解とアメリカ政府との見解が同一だというのである。
日本「臣民」に「敵国撃滅」、「鬼畜米英」などと叫んで「臣民」を戦争に駆り立てた日本政府が、戦争が終わってみれば、アメリカと同じことをいう。
時々に豹変する政府の主張、いかにその主張がいい加減であるか、みずからの主張に責任をもたないか、日本国民はしっかりと歴史の中から、日本政府の本質を見抜くべきである。
今、台湾をめぐって、アメリカの戦争政策にのって中国との戦争を想定しているようだが、日本政府の口車にのってはいけない。日本政府は、一貫して責任を負わない。平気で、日本国民を「棄民」化する。戦争で死傷することほどバカらしいことはない。戦争をしないで何らかの対立を解決する方策は、必ずある。カネ、カネ、カネと私利私欲に走る極右政党である自由民主党が、国民のことを考えているはずはないのだ。