春江美術館・画廊春 (彫刻家 奥村信之・描く詩人 水村喜一郎作品常設) 

春江美術館・画廊「春」作品展示の様子を 画廊犬コテツと共にお伝えします。

四国犬絵美と水村さん 「匂いたつ詩情 水村喜一郎展」のご案内⑧

2017年03月20日 | 水村喜一郎 画家

3/18、19と画廊春に来ていただきました。

先生のアトリエは千葉県鴨川氏、美術館は長野県東御市です。

大垣からはかなり遠方ですが、美術館の学芸員である息子さんと一緒に個展に駆けつけていただきました。

鴨川のアトリエでは愛犬である四国犬の絵美とくらしておられます。

「これみてよ。」と嬉しそうに雑誌shibaを取り出され、私たちに見せてくれました。

画家として、命を懸けた絵との毎日を過ごされている先生にとって雑誌の写真をお見せできないのは残念ですが、四国犬、絵美との暮らしは心やすらぐ時間であることが伝わってきます。

同時に人間水村喜一郎の優しさが伝わってきます。

我が家の柴犬コテツ君にも「コテツ、コテツ」といつも優しく声をかけていただいています。

 

 今回来ていただくにあたり、画集に掲載されている作品など数点を持ってきていただきました。

のどぐろF6油彩

赤と白の対比が本当に美しい作品です。

搬入の時に迷いましたが、ずっと気になっていたのでお願いして持ってきていただきました。

画廊に飾ってみましたら、一気に全体が華やかになりました。

先生の傑作中の1点だと思います。

是非画廊にてじっくりご覧ください。

 

水村喜一郎展はいよいよ3/26月曜日まで開催しています。

当ブログで紹介しました作品のご予約も承ります。下記にお問い合わせください。

大垣市藤江町4-14 画廊春 代表 田渡達久

   Tel    :  0584-78-0043 

       Email  :    dentotakkyu@yahoo.co.jp

 

 

 

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頑固に描いたラフランス 「匂いたつ詩情 水村喜一郎展」のご案内⑦

2017年03月15日 | 水村喜一郎 画家

この絵には先生の絵に対する思いが詰まっているような気がします。

3cmほどの厚さの板に描かれています。

なんだか水村先生の自画像のような気がしてくるのです。

ラフランス一つ 260×150 板に油彩

自著「両腕を失っても夢は捨てない」の中に、こんな一文があります。

・・・前略

床にも一面モノが置かれていて、足の踏み場もない。油絵を描くところ、墨彩を描くところ、デッサンを描くところ、と所々に僕が一人座れるだけの「空き地」あって、空き地から空地へ飛ぶように移る。僕は、その空き地に抱かれるようにすっぽりと収まって、絵の世界に没頭するのだ。

 梁にはランプが下がっている。コーヒーミルはパリの蚤の市で買ってきた。壁にはヨハネスブルクの骨董店で一目惚れしたアフリカのお面が、飄々とした顔をしてにらんでいる。花瓶の花は枯れかけている。来客者は「片づけたらいいのに」と笑うが、バカを言ってはいけない。絵描きは、単に花を描くのではない。花の命を描くのだと生意気にも言いたい。

・・・後略

どくだみ SM油彩

 

水村喜一郎展はいよいよ3/17金曜日初日を迎えます。

珍しく、今日は画廊のガラス吹きをしました。なんだかソワソワして落ち着きません。

 

当ブログで紹介しました作品のご予約も承ります。下記にご連絡ください。

大垣市藤江町4-14 画廊春 代表 田渡達久

   Tel    :  0584-78-0043 

       Email  :    dentotakkyu@yahoo.co.jp

 

 

 

 

 

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水村先生の字 「匂いたつ詩情 水村喜一郎展」のご案内⑥

2017年03月12日 | 水村喜一郎 画家

25年程前 今は廃業してありませんが、大垣の愛晃堂画廊で水村先生のデッサンを購入しました。

この絵が私のコレクターとしての原点となったのですが、思いがけなくしばらくして1枚の葉書が届きました。

何とも不思議に美しい字で 購入の御礼がしたためられていました。

その文字一字一字が心に沁み入るのです。

書家の文字と違って画家の文字は何と味があるのでしょうか。

この文字が手でなく、口で書かれたことに心締め付けられます。

先生の著書の中にこんな文章があります。

 

感電事故で両腕をなくされた水村少年が学校に復帰したころのことです。

 

ミミズの字

・・・前略

小学校に復帰して、最初に必要に迫られたのは文字を描くことだった。口で書くよりしょうがないので、鉛筆をくわえて書いてみるが、ノートにはミミズがはっている。

ノートをとるのは絵ほど好きではなかったから、正直言って落ち込んだこともある。

「字なんて書けなくったってもいいや」と開き直ってみることもしばしばあった。

そんな僕を最初に励ましてくれたのは、小学校の高学年の三年間を教えてくれた先生だった。

先生は、ノートに這ったミミズのような筆の跡を文字として読んでくれた。それがうれしくて、うれしくてたまらなかった。

「先生が読んでくれるから、少しでも字に見えるように書きたい。」真剣にそう思った。

・・・中略

あるとき、教室で版画を彫ったことがある。足の指で彫刻刀を動かして、ガスタンクのある風景を彫った。自分でもなかなかよくできた、と出来に満足した。

それを見た先生は、とても驚いて、クラスの仲間に見せ、拍手をさせた。そして墨田区展に出品してくれて、入選となったのだ。

今から思うと拙い作品だが、先生は「やればこれだけできるんだ。」と僕を認め、何かに挑んでいこうとする勇気を祝福してくれたような気がする。

もし、先生の励ましがなかったら、僕はミミズの字のまま、諦めていたかもしれない。

 

・・・了

 

先生の字はとても味があるのですが、その一字一字には先生の不屈の人生が垣間見えると同時にたくさんの人の愛情がこもっているのではないかと思うのです。

そして絵と同時にその文字に鑑賞者である私たちは励まされてしまうのです。

 

水仙 

慈姑 F0 油彩

 

水村喜一郎展 会期は3/17~3/26(会期中無休)ですが 展示が終わりましたので明日からでもご覧になれます。

ただし、ご来廊の折には 画廊春 までお電話いただけますとありがたいです。

作品のご予約も承ります。

大垣市藤江町4-14 画廊春 代表 田渡達久

   Tel    :  0584-78-0043 

       Email  :    dentotakkyu@yahoo.co.jp

 

 

 

 

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 美智子様のご注文 「匂いたつ詩情 水村喜一郎展」のご案内⑤

2017年03月11日 | 水村喜一郎 画家

水村喜一郎作「夕映えの鴨川漁港」という作品が東宮御所に飾ってありますが、それにはこんなエピソードがあります。

私は先生のお描きになった本の中で、この文章が一番好きで心温まるのです。

 

以下 水村喜一郎著 「両腕を失っても夢を捨てない」2002年海竜社刊より 引用させていただきます。

僕の絵を注文してくださったのは美智子様の方だった。(御所の)控室から帰る途中の廊下に飾る絵が欲しいのだと言われる。本当は展覧会で見た柿の絵が欲しいが、少し小さいので あらためてかいてくれないかと。

その時に、ふと僕は展覧会で美智子様が、

「あの絵は夕焼けでしょうか」と言われた言葉と、ああ、この方は夕焼けがお好きなのかもしれないと感じたことがよみがえってきた。そういえば、あの柿の絵も、秋の夕日をぎゅっと閉じ込めたような赤い実だった。その瞬間、心の中で夕焼けをモチーフに描こうと決心した。

その後、いろいろな話をした。ラスコーの壁画の話や、美智子様ご自身がお描きになった絵の話などをし、絵がとてもお好きなんだということが伝わってきた。

美智子様は、こちらの言うことを微笑みを浮かべ、前屈みで、うなずきながら話を丁寧に聞いてくださった。僕に何か尋ねられるたびに、隣の皇太子さま(陛下)の方をご覧になって、話していいですか、と目で伺っていあた。皇太子(陛下)さまは自由にお話しなさいと促し、僕と会話を楽しむ様子を、隣で嬉しそうに眺めておられた。ここには幸せな時間が流れている、という感じだった。

僕は数か月をかけて作品を仕上げた。この絵を明るいイメージにしたいと思った。黄色というのは僕の中では暗い色だが、できるだけ明るい黄色を使い、漁船が寄り添うように休んでいる夕暮れの風景を描いた。

タイトルは「夕映えの鴨川漁港」とした。僕にとって夕映えや夕焼けは、人間のたくましさや希望といったものを想起させる。夕闇が迫り、やがて灯る明かりの下で、人は憩い、明日へと希望をつないでいく。

「今日も一日終わった。明日もがんばろう。」という気持ちが自然にわき上がってくる安らぎのときである。ちなみに画料までいただいた。

「水村は、美智子様に『僕は画家だから、絵は買ってください。』と言ったらしいぞ」

仲間うちでそんな噂が出たというが、でたらめだ。

「僕の絵を買っていただいて、ありがとうございます。」と、頭を下げたのである。

「園遊会の時には絵を出して、人に見ていただいています。」

くだんの「寅さん」から聞かされた美智子様のお言葉を思い出し、僕は、絵を介して人間と出会うというのはこういうことだと感じていた。・・・

 

この文章が水村作品の温かさをよく表していると思うと同時に、その人柄に打たれてしまうのです。

今回の展示でも夕焼けをテーマにした作品が二点あります。

SM 油彩「夕映えの島」

「夕映えの海」F3油彩

 

水村喜一郎展 会期は3/17~3/26(会期中無休)ですが 展示が終わりましたので明日からでもご覧になれます。

ただし、ご来廊の折には 画廊春 までお電話いただけますとありがたいです。

作品のご予約も承ります。

大垣市藤江町4-14 画廊春 代表 田渡達久

   Tel    :  0584-78-0043 

       Email  :    dentotakkyu@yahoo.co.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

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 心の琴線に触れる素描 「匂いたつ詩情 水村喜一郎展」のご案内④ 

2017年03月09日 | 水村喜一郎 画家

かって恩師であり、最大の理解者であった現代画廊・須之内徹さんが

「その人柄と同じように絵の中にも苦渋やきばりがない。」と惚れ込んでおられましたが、水村先生のデッサンは本当に美しいのです。

素直で音楽でも奏でているような美しい線は、見る人の心を清らかにしてくれます。

同時に恐れ入りましたと脱帽してしまいます。

 

先日、画廊春取扱いの洋画家、井上慎介さんがふらりと訪れ水村作品をみるなり

「こりゃ負けた 負けた」とつぶやいておられました。

「こんな素直に描いて、なんて心打つ作品だろう。」

 

先生は取材のため外国を訪れられることが多く、ヨーロッパの風景です。

今回6点の素描を展示しています。

ごゆっくり鑑賞していただき、満足していただけるとうれしいです。

 

全く別の話ですが、今朝 人生初めての体験をしました。

柴犬コテツ君と散歩していましたら、白い液体がポトリと降ってきて脳天を直撃しました。

上を見れば カラスが電線に留まっていました。運がいいのか 悪いのかはわかりません。

 

水村喜一郎展 会期は3/17~3/26(会期中無休)ですが 展示が終わりましたので明日からでもご覧になれます。

ただし、ご来廊の折には 画廊春 までお電話いただけますとありがたいです。

作品のご予約も承ります。

大垣市藤江町4-14 画廊春 代表 田渡達久

   Tel    :  0584-78-0043 

       Email  :    dentotakkyu@yahoo.co.jp

 

 

 

 

 

 

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