ここ数日、画廊の中庭に降る雨をぼんやり見ていることが多くなりました。
何となく守一さんの書を眺めたくなり、掛けてみました。
五風十雨 熊谷守一 97才作(没年の作になります。)
守一作品との出会いは44年前です。
守一さん96歳の時です。
何となく入ったギャラリームカイで版画展が開催されていました。
それはそれは美しい絵が並んでいました。
シルクスクリーンの版画でしたが、
画家のタッチまでが盛り上がっているほど重ねて刷られていました。
こんなことができるのか と 驚いたことを今でも思い出されます。
岐阜の人だということを初めて知りました。
仙人と言われていることもあとで知りました。
当時でも版画はとても高額で買えるはずもありませんが、守一さんの本が売っていました。
「へたも絵のうち」 2800円で購入しました。
下宿に持ち帰り、ぱらぱらとめくっていますと表紙の裏にサインがあります。
ムカイのおばさんが豊島区千早町のアトリエに
大量にもちこんだ本の山を前にして
ため息をつきながら一冊ずつサインをしたんだろうなと
この本を眺めていると、その光景が面白く目に浮かびます。
ところで「五風十雨」とはどういう意味があるのでしょうか。
調べてみると
《5日に一度風が吹き、10日に一度雨が降る意》
1 天気が順調で、農作のために都合がよいこと。
2 世の中が安泰であること。
とあります。
いい言葉ですね。五風十雨
紫陽花が今年もきれいに咲きました。
画廊にはもう一枚守一さんの書があります
実は私の父が若いころ東京で働いていたときに
何のご縁か知りませんが
守一さんから短冊をいただいたと話していました。
「春風桃李花開日」と書かれています。
今も残っていますが、父はそんなに有名な画家とは知らなかったのでしょう。
短冊の下の方にセロテープをはがした跡があります。
とても残念です。
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