感想

バラとおわら風の盆と釣りなどの雑記

ドガの踊り子

2008年01月16日 | 雑記

  パリのオルセー美術館は1848年から1914年までの印象派の作品を中心に数多くの傑作が展示されています。かつて同美術館を訪れた際、ルノワール、モネ、マネ、ゴッホの絵の持つ圧倒的な力強さや明るい色使いに隠された健全な自己主張を感じたのですが、ガラスケースの中に大切に展示してあったドガの踊り子をモチーフにした絵は他の作品に比べとても小さいながらも他の印象派の絵が自然の光を捉えているのに対し、この絵は室内の照明の中に浮かぶ踊り子の瞬間を捉えており大変印象に残りました。印象派の運動はそれまでの肖像画として人を正確に写実する絵という商品が写真の登場で廃れ、代わりに画家は自分の意図する構図を用い、キャンパスを外に出し、自然の光のもと、ラフなタッチで自己表現を図ることになります。印象派の登場の契機は写真の登場であったのですが、その内因たる自我の開放については、近世ヨーロッパの文化・芸術史と連動しています。元来対象の模倣から始まった西洋の芸術は、その長い模倣の歴史から抽象へと変遷して行きますが、これは絵画や彫刻、音楽において特に顕著です。一方わが国の芸術の特徴は西洋のそれとは全くの逆のケースとなっており、縄文土器の文様を見ると判る通り、自然現象の忠実な模倣からではなく、いきなり抽象から始まっています。その長い連綿とした抽象主義文化が最高潮に達したのは、絵画においては江戸時代の浮世絵ですが、印象派の画家達は、1867年パリ博覧会において、この日本の絵を驚嘆の面持ちで眺めることになります。そこで彼らが見たものは、写実主義とはほど遠い人の姿でした。この浮世絵の影響の下、印象派の画家達は自分の意匠による作品創りに入って行きます。原色の色使い、遠近法を無視した空間構成で画家の主張を強調して行きます。さて、ドガは印象派の画家に分類されますが、当人は写実的手法を取り入れた古典画家と認識していました。ドガの絵の特徴は、前述の室内空間の光の陰影にあります。絵の具の発展により画家が外で絵を描けるようになり、自然の光あふれる光景を鮮やかに描き出していますが、ドガは古典主義にこだわりを持ち続けた人で、室内作品を多く残しています。特にバレリーナをモチーフにした作品群はほの暗い室内で、白い意匠のバレリーナ達の姿が鮮やかに描き出されています。私は若い頃から非常にドガの絵が好きでした。絵を描くことは下手なので無理ですがカメラを向けるときは常に画家の視点を思い浮かべます。今回新体操をたまたま見ることが出来、そんな絵のような構図の写真が撮れるといいなと思いました。

 

 

 

 

 

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新体操 女子

2008年01月16日 | 雑記

 

 動きのある被写体は明るく見える室内でも、手持ちだとブレてしまいます。踊りの所作のようにキメのポーズがいつ出てくるか分からず、また大変短い時間で次の演技に入りますので、自分の機材では意外と難しかったです。

 

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