元旦の朝、軽井沢へ買物に行き、帰りに旧軽井沢にある旧三笠ホテルの雪景色を見に行く。アウトレットや旧軽井沢銀座通りの道路には雪はほとんどないものの、旧草軽交通の廃線路敷を白糸の滝方面へ登って行くと、急に雪道となり、それまで曇りがちな空から俄かに雪が舞い降りてきた。三笠ホテルの駐車場には県外ナンバーの車がチェーンを巻きはじめている。駐車場からホテルまでは約200mほど離れており、一人雪道を歩いて戻ると、三笠ホテルの巨大で荘厳な佇まいが目に入ってきた。現在は町の管理になっている受付には、正月出勤の男性がひとりいるだけで、他に人は見当たらない。「元日早々大変ですね。町営なのでてっきり3ケ日は休みかと思いました」と聞くと「31日は休みであとは4日も休みです」とのこと。この雪の日に尋ねてくる物好きも私の他に見当たらず、建物の外回りを早く写すと、早々に建物の中に入る。しんしんと降り積もる雪の音以外は、説明用の館内案内のテープのみが無機質に鳴り響いている。旧玄関ホールはこの建物内ではもっとも大きな部屋となっており、壁にはかつてこちらで晩餐を行っていた、旧華族や文化人の写真が飾ってあった。しばらくこの写真を眺めていると突然その時代にタイムスリップしたかのような、不思議な気分になってくる。いつのまにか館内案内のテープも止み、だれも居ないこの広い館内に一人取り残される。