久しぶりの投稿です。今年も福野夜高祭に行ってきました。毎回違う感動があります。
福野夜高祭２０１４
八尾曳山祭の前日の５月２日、福野夜高祭に行ってきました。
福野夜高祭とは
富山県南砺市福野（旧福野町）の福野神明社の春季祭禮の中でも有名な神事が毎年５月１日、2日に執り行われる夜高祭です。巨大な夜高あんどんを町内若衆が引き回し、勇壮にして華麗、更に夜になると行灯に火が灯り幻想的な祭りです。起源は江戸中期と古く町内に電線がない頃には１２mもの高さの行灯が作られていました。明治に入り電線ができると、現在の６．３６mに高さが規制されますが、それでも見るものを威圧するのに十分な大きさです。 夜高あんどん（行灯）と呼ばれる山車は、こちら北陸から東北地方へ伝播し、ねぶたの起源となったとも言われています。夜高祭ですが、以前は夜鷹祭の字を使っていました。ヨーイヤサーとの掛け声は「良い夜さ、酔い夜さ」という意味のようです。
福野夜高祭の魅力
福野夜高祭で登場する町は７町あり、それぞれ大行灯、中行灯、小行灯、ちびっこ行灯など合計２３の山車を２ケ月ほど掛け各町の人々が精魂込めて制作します。特に巨大な大行灯は美術品のような美しさがありますが、一つの町（御蔵町）を除いて２日の深夜に行う、引き合いと呼ばれるケンカで壊し合いボロボロになってしまいます。この引き合い（壊し合い）に向けた緊張感が祭り全体を引き締め、独特の凛とした雰囲気を醸し出しているのが私見ですが、この福野夜高祭の最大の魅力ではないかと思います。
また主に中学生（高校生？）女子が行う夜高太鼓も迫力があり見ものです。
福野へのアクセス
車の場合、北陸自動車砺波ICから１０分程です。同時期開催の砺波チューリップ祭りの会場も近くです。５月３日に行われる八尾曳山祭の会場まで県道２５号線で旧山田町経由（やや山越え）で４０分程です。鉄道の場合、JR城端線の福野駅下車。駅前から会場となっています。
祭りの主な日程
前夜祭 ４月３０日 １９：３０～２１：３０（福野駅前）
町内練回し ５月 １日 １８：３０～
５月 ２日 １８：３０～夜 町内全域
引き合い（けんか） ２３：００頃？（混みます）
しゃんしゃんの儀 ２５：００頃？
四町曳山巡行 ５月 ３日
宿泊場所 （会場へ徒歩圏内）
ビジネスホテル福野 佐々木旅館 南砺市福野1594 TEL 0763-22-2543
（上町通り沿い会場前）
ビジネスホテル エフ・ワン 南砺市福野やかた5 TEL 0763-22-7474
ビジネスホテル村上 南砺市福野1579 TEL 0763-22-2377
福野タウンホテルア・ミュー 南砺市寺屋新屋敷384-2 TEL 0763-22-1414
近隣には庄川温泉など宿泊施設は多数あります。また砺波駅近くのビジネスホテルも車での移動ですと便利です。車中泊の方は数キロ離れたところに道の駅もあります。
駐車場
会場から数百メートル離れた場所にかなりあります。いきなり行っても地元の方に聞くと親切に教えてくれます。また事前に福野夜高祭連絡協議会発行の夜高巡行図を入手しておくと便利です。（ネットでダウンロード可）
雨天でも行われます。大行灯にカバーはかけません
（曳山は中止となることがあります）
見 所
裁 許
町の中心となる通称「銀行四ッ角」と呼ばれている大きな交差点では各町引き回しを監視する裁許という各町の祭りを取り仕切る最高責任者の皆さんが向かい合う形で対峙しています。いずれも厳しい面持ちでニコリともせず、まるで相手（敵）を一歩たりとも侵入させないといった意気込みが感じられます。並びは上町通り側に、新町、上町、七津屋の裁許の方が、正対する浦町通り側には浦町、辰巳町、横町の裁許の方が並び、二者見守る形の御蔵町側に御蔵町の裁許の方々が陣取っています。後で分かったのですが、この対峙する双方の町が相手の山と戦う（引き合い）形になっています。中立である御蔵町の山は引き合いには参加せず仲介役となっています。裁許の方々の厳しい面持ちは、祭りの最後まで緩むことなく続き、夜高祭の神事及び引き合いの緊張感と祭としての節度を鑑みることができます。 目立ちませんが二日午後５時頃から行われる裁許会のキビキビとした敬語使いの様子も感銘深いものがあります。
引き合い（ケンカ）
すれ違い様にお互いの行灯を壊し合います。神明社の神様（天照大神、豊受皇大神）が女神であるため、男性が激しくケンカをすればするほど、お喜びになるとの言い伝えがあり半ば神様公認？のケンカだそうです。ケンカといっても殴り合うケンカではなく、手や足を使って相手の山車を壊し合うものですが迫力があります。１１時頃から始まりますが、パンフレットには１０時半～と書いてあり、狭い通りは見物客でいっぱいになります。今年は二日午後に到着し、日中の万灯と町内を見学、夜の引き回しも見たので、まだ１１時まで時間があり当日は寒いこともあって駅前の銭湯（二日は１１時過ぎまで営業）に行きのんびりと１０時４５分頃上町通りに行くと、もう中へは入れない、入れても立ち止まれない状況でした。
しゃんしゃんの儀
いわゆるケンカの後の手締めの儀式で、引き合い後、夜中の１時過ぎ頃に行われます。私はまだ見たことがありませんが、当番裁許（裁許長 今年は横町）の挨拶（祭が無事行われたことの御礼など）からはじまり手打ち、乾杯、引き継ぎなどが行われるそうです。地元に住んでおられる女性の方で当日は家で親戚などの来客の接待があるので引き合いは見たことはないが、しゃんしゃんの儀は見にゆくとおっしゃっていたのが印象的でした。
感 想（祭りのあとに）
大変勇壮、華麗、幻想的な祭りですが八尾曳山に比べ来客も少なめで、引き合い時は混雑するものの、その他の時間帯はゆっくりとのんびり見ることができる祭禮です。このような素晴らしい祭、福野夜高祭がもっと全国的に有名になってもおかしくはないと思います。伝統は担い手が意識的に守って行かないと廃れてしまうものですが、それ以前に伝統を担う方々の絶対的な数が減って行くところに問題があり、おわら風の盆の八尾でも同じような問題を抱えていますが、市町村レベルでのバックアップや県レベルでの補助をこれからどんどん手厚くして行かないと大切な文化が成り立たなくなります。市町村合併により誕生した巨大な南砺市には五箇山、城端、庄川、井波といった名だたる観光資源がありますが、例えば五箇山は南砺市である前に世界遺産五箇山でありますし、相応の観光面での努力を行っています。その点福野夜高祭はマスコミに取り上げられる機会も少なく思われます。私は風の盆のように観光バスが何百台と来るような観光地にはなってもらいたくはないと思っていますし、キャパの問題もあるのですが、西馬音内盆踊りのように近年有名になった例もマスコミやネットでの影響が大きいと思います。安易な考えですが、人が沢山来ればそれなりに様態は変化しつつも維持継続は容易となってくると思います。
少子高齢社会及び都市のドーナツ化減少の中、何十年先を見据えた対策が必要ですが、ドーナツ化減少を招いた最大の要因は車優先の道路政策（道路交通法とは車を優先した法律です）とバブル以降の公共施設やショッピングセンター、病院などの地代の安い土地への移転にありますので、これをかつての鉄道、バスが繁栄した公共交通が活性化した社会を作ることは難しいことですが、現在国や地方行政がこれに取り組み始めています。
また伝統文化を守ることは、ますます厳しい時代となっていますが、様々な補助スキームが用意されていることと思われます。まずはマスコミ、ネットを活用し来町者を増やし、同時に行政の方々の更なる協力を得ることにより、夜高祭が将来にわたり発展存続して行くことを願っています。
勇壮な引き合い
裁許の皆さん 新町 、七津屋、上町
