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ツルが来た

2021-03-08 | 日記

県内の田んぼに2羽のマナヅル(真鶴)が飛来した。先週知ったのだが、実際は2月下旬から来ていたそうだ。先日ローカル放送で紹介されていたが、普段は野鳥に無頓着な人達もツルのような大きな鳥にはさすがに気付き、話題になっていたのだろう。行って見ると、やはり背の高いツルが頭を挙げると、遠くからでも肉眼で見つけられる。2羽が餌を探しながらゆっくりと冬枯れの田を歩く姿は、それがあるだけで一帯の風景が変わったような気分になる。

 多くの人は知らないが、この周辺、車で一時間程度の範囲の中に一冬に一度は2~数羽のツルが訪れる。ナベヅルだったりマナヅルだったり、1日で居なくなることもあるし、気に入れば数週間居続けることもある。専門家の見解では、おそらく九州の一大越冬地に向かう途中か、そこからの北帰行の途中で一時的に立ち寄るのだろうとのこと。今回は時期的に見て、北帰行の途中ではないかということだった。九州の一大越冬地には一万羽近い様々なツルが集まるというが、生存数が少ない種類ではその大半が一箇所に集まっていることになるという。従って、野鳥の専門家の中には「そこで何かが起これば一気に種の存続が危うくなる」と警戒する声もあるという。

 2羽のツルを見ていると、かつては田園が拡がる多くの場所で、冬になると数羽とか数十羽くらいのツルの群れが見られたのだろうと思われてくる。そんな光景への親しみの中で「鶴の恩返し」の話が自然に生まれ、受け入れられたのだろうと。子供の頃からツルの群れを毎年目にしていれば、中には傷ついたり弱ったりしたものも居ただろう。子供たちにとっても「鶴の恩返し」の話が今よりずっと身近に感じられ、「生き物をいたわる心」を子供たちに育まれただろう。人生の半分以上を冬の田にツルのいる光景など見ること無く過ごした自分だが、この数年は情報を得てツルを眺めることを重ねて来た。初めて見る光景に驚きと感動を覚えるだけだった「田にツルが降りている光景」だが、見慣れて来ると何とも言えない懐かしさを感じるようになった。童話の世界の事と思っていた光景がそこに存在しているという思いなのかも知れない。

 今も一万羽のツルが日本に飛来し越冬していることは嬉しく思えるが、できれば数百羽程度の単位で数十か所の地域に分散して越冬できる条件があれば良いのにと願う。ツルの絶滅回避のために、もっと多くの人々が自然の生き物をもっと身近に知るために、そして百年・二百年前まで確かにそこにあった日本の風景の良さを失ってしまわないために。

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