ユーグレナ、つまりミドリムシから作った燃料でジェット機を飛ばすテスト飛行に成功したというニュースを見た。ジェット燃料は灯油に分類されガソリンほどの引火性・燃焼性は必要無いので、比較的得やすいのかと想像するが、ともかく化石燃料である石油からの脱却には力強い成功となりそうだ。燃料アルコールは穀物からも得られているが、穀物は茎や葉の部分が使えないので太陽エネルギーの利用としては無駄があるような気がする。ミドリムシではどれくらいの効率で燃料が得られるのかが、知りたいところ。
原生動物や藻類の大量培養というのは、一部の食品産業や養殖関連で行われていて、自分でも海産動物の餌としてクロレラのフラスコ培養に挑戦したことがある。ただ植物プランクトンやクロレラは硬い細胞壁があって、食べた動物が効率よく消化できないという難点がある。ミドリムシのような細胞壁が無く光合成能力を持つプランクトンを増やせれば、太陽エネルギーを効率よく有機物に転換し、食糧や燃料にも使いやすいだろうと想像はしていた。
しかし原生動物や藻類の純粋培養というのは想像以上に難しく、結局、知らぬ間に他の微生物が混入して全てダメになることが多い。ミドリムシの大量培養に成功した出雲氏らは、全く逆転の発想でミドリムシだけに有利な環境を見出して大量増殖を可能にしたという。発想の転換自身はありそうなことだが、それを成功させた努力はおそらく想像以上だったと思うし、その功績は非常に大きいと思う。ある意味、生き物を愛するからこそ成し遂げられた功績とも感じる。
ミドリムシ、ユーグレナは動物には作り出せないDHAなどのオメガ3脂肪酸をも含んでいることでも重要。DHAなどは必須脂肪酸で、良く取り上げられる魚にしても植物プランクトンからそれを得て貯蔵している。オメガ3脂肪酸を含む餌をやらなければ、養殖魚も育たないと聞いている。これをきっかけに、ユーグレナ以外の原生動物・植物プランクトンの利用方法も開拓されて行けば良いと感じる。CO2の吸収にしても太陽エネルギーの転換効率においても、光合成を超える転換システムを人は未だ発明出来ていないのだから。