愚ダメ記、真誤付き、思い津記

日記?趣味?妄想?

科学的根拠

2021-03-05 | 日記

緊急事態宣言の解除が2週間延期となった。この2週間という数字がどこから出て来たのかをマスコミ・報道がいろいろと推測しているが、その中で「科学的根拠」という言葉が盛んに使われている。緊急事態宣言を2週間続ければ、感染状況が良くなるという「科学的根拠」があるのか?という批評・批判だ。しかし、彼らが使っている科学的根拠という言葉自体がどのような科学分野を指すのか? つまり「どの科学分野に基づく根拠を要求しているのか」については何の言及も無い。というより、そこまでは考えて無いのだろう。政府が言う「科学的根拠」の内容も曖昧だが、マスコミが使う「科学的根拠」は単なる言葉の流行りでしかない印象すらある。

 昔、「疫学」に基づく推測は科学的ではないという意見をどこかで聞いた覚えがある。公害と「公害病」と言われた症状の因果関係が「科学的に証明できていない」として、多くの企業がその責任を免れようとした経緯もある。水俣病でも、当該企業は当初、工場排水に含まれる水銀が、どのような経路で生物に取り込まれ、さらに人に蓄積して発症に至るのかという経路を証明しなければ「科学的根拠」に基づく責任は問えないと、企業の責任逃れを図った。

 その後も、一つ一つは思い出せないが、いろいろな場面で疫学調査や統計的相関関係だけではなく「科学的根拠」を示せという反論を聞いてきた。疫学調査も社会学的調査も、科学的調査の一つと考えるべきだと思うが、どうなのだろう。「感染症拡大の要因が何か」に関して、あるいは今後の拡大状況の推定に必要十分な「科学的根拠」とは何か?。それを口にする以上、それを構成する要因についてある程度の考えを持っていて欲しいと思うし、それを批判や批評の根拠として使う以上は当然持って然るべきと思う。

 追及されればおそらく常套手段の「我々は科学者じゃないし、専門家でもないので・・」と逃げるのだろうが、そうであれば「科学的根拠があるのか?」などと問い詰める態度を取るべきでは無いだろう。「感染拡大の予測」について科学的に言えるのは「病原体の性質(主たる感染経路・寿命・感染手段など)」と過去の「人々の行動と感染者増加との統計的相関関係」だけである。一つの政策を人々がどのように受け入れ、あるいは拒絶し、それによる個人個人の行動変容がどう起きるのか、そして社会全体として(マスとして)の感染者増大にはどのような影響があるのかというところまで科学的に予測することは困難だ。

 どのような「科学的根拠」を求めているのか想像もできないが、自分としては、せいぜい「現在ある情報の科学的分析に基づく推測」が出来るくらいだと思うし、それら情報の概要はこれまでに何度も報道されて来た。それ以上に的確な「科学的根拠」に基づく推測は不可能だろうし、むしろそれが不可能であるとの論理的証明を見つける方が簡単だろう。「選挙予測を発表すること自体が選挙結果に影響を及ぼす」ということもあるくらいだ。それにもかかわらず「2週間延長の科学的根拠を示せ」と要求する人たちは、よほどの「科学盲信」なのか「科学軽視(科学的無知」なのかどちらかなのだろう。

 ここについては、「2週間延長としたことに科学的根拠は無い」とした政府の方が、よほど「科学的」な責任ある態度だと感じる。マスコミ・報道関係者は「科学的根拠」を欲しがるより、もっと「政治的判断の根拠・経緯」の詳細を得ることに努力すべきだったと考える、すべてを「総合的な判断」と曖昧な言葉で終わらせないように。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 桜の開花 | トップ | マイクロプラスチック »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

日記」カテゴリの最新記事