民間企業の宇宙船「クルードラゴン」の1号機が、宇宙飛行士4人を乗せ、国際宇宙ステーションとのドッキングに成功した。これからは少しずつ宇宙事業への民間進出が進んでいくのだろう。民間企業といってもアメリカの企業であれば、NASAの持つロケットや宇宙船に関わる技術が受け継がれているのだろうとは思う。「NASAが打ち上げていた」と言っても、それは公的機関が発注し公的資金が導入されていたということであって、実際には多くの民間企業がNASAからの注文を受けて技術開発・生産を行っていただろう。実際、スペースシャトに張り付ける耐熱板に京セラの技術が使われた際には日本でも大ニュースとなった。
国際宇宙ステーションへの人や物資の運搬は今後一定のペースで行われるだろうし、継続的に需要がある分野ならば民間企業への移管が可能だということだ。宇宙事業と言っても、火星探査や太陽系以外への探検的な宇宙観測などという分野は、まだまだ公的資金で事業が行われるのだから、これまでとは変わらない。つまり、宇宙開発の中で宇宙ステーションや月探査辺りまでは、今後も継続的に行う発展していく分野として、民間企業の競争的な技術開発・改良の導入による技術進歩が望まれる。
かつての利益による事業継続が望めないとして公的資金で行わざるを得なかった時代から考えると、ここで人類は地球から月までの範囲での本格的な宇宙活動へと新しい挑戦に踏み出したという事になる。それは、半世紀前の月面着陸の探検家の一歩とは異なり、フロンティアに向かって歩み始めた開拓者の大きな一歩と言うべきなのだろう。
