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環境と体にやさしい生き方

環境の悪化は生物系全体に大きな影響を与えています。環境と体にやさしい健康的な生活を考えるための新鮮な情報を紹介します。

魚の食品としての安全性

2007年10月17日 | 食生活等
魚はとても有用な食品であるにもかかわらず、海の汚染が進んでいるために、食品としての安全性が大きな問題となっています。

【魚の食品としての効果】
私たちは、食物からさまざまな栄養分を摂っています。特に不飽和脂肪酸は、心臓、循環器、脳、皮膚などの機能を保ってくれる有用なものであり、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの必須脂肪酸は人間の体内では生成できないため、食物からとる以外に方法がありません。

不飽和脂肪酸は、青魚に多く含まれています。特に青魚には、不飽和脂肪酸の中でもDHAやEPAといった良質の脂肪酸がたくさん含まれています。青魚とは、サバ・イワシ・サンマ・アジなど、背中の部分が青い回遊魚のことを言います。その種類には、サケ・マグロ・ブリ・ニシン・アユなども含まれます。

魚は身の部分の色で分けると、赤身魚と白身魚に区分されます。
赤身の魚はマグロやカツオなどであり、「ミオグロビン」という特殊なタンパク質を多く含んでいるため筋肉組織が赤色をしています。ミオグロビンに多く含まれている鉄分は、貧血がある人にはとてもよい食物です。赤身の魚は、DHAやEPAも多くもっています。

(参考:DHA、EPA)
DHAは、ドコサヘキサエン酸の略で、中性脂肪の低下や血栓症の予防効果があるほか、記憶学習能力の向上、脳や神経組織の発育促進、視力の向上、血しょう中のコレステロール低下作用などの働きがあります。また、EPAは、エイコサペンタエン酸の略で、コレステロールや脂肪を減らす働きがあり、動脈硬化や心筋梗塞、脳血栓などの成人病を予防します。


このように、魚介類には人間の健康に有用な成分が多く含まれています。しかしその一方で、これらに蓄積された有害物質による健康被害が懸念されています。


【深刻な海洋汚染】
魚の生息する海洋の環境は、さまざまな要因で急速に悪化しています。
その要因としては、次のようなものがあげられます。

・工場排水、農畜産業排水、生活排水等に含まれる有機物や窒素、リンなどの無機物による汚染
・海洋投棄物や陸上からの流失物(プラスチック類、魚網など)による汚染
・過去に海底に沈殿したプラスチックなどから溶出した有害物質による汚染
・油田や船舶から流出した油による汚染
・船舶塗料の溶出による汚染
・焼却や燃焼による大気汚染を原因とした海洋汚染
  など

この他、合流式下水道も海洋汚染の原因のひとつです。合流下水道とは生活排水と雨水を同じ管きょで下水処理場に送る方式です。このため、大雨の際に水量が増えて処理しきれない場合には、未処理の汚水がそのまま海に放流されます。東京湾には年間に約30回も処理しきれなかった汚水が流れ込んでいます。(国土交通省では、合流式下水道の改善を平成16年から10年間で完了することを、下水道法施行令の改正で義務づけています。)

海洋汚染の大きな特徴は、汚染物質の多くが海中にあって目にみえないことです。地域によっては砂浜を覆い尽くすほどの漂着ゴミも、海洋汚染物質の一握りに過ぎません。さらに、これらの汚染物質から溶出した有害物質については、姿かたちが見えないために分析しない限り確認のしようがありません。

東京海洋大学の兼広春之教授らが東京湾で海底ゴミを収集したところ、約50%がプラスチック容器や袋、約35%が空き缶だったとのことです。毎年、湾全体で年間100トンのゴミが増え続けているといいます。これと同様の事態が世界の海で起こっているのです。年間に日本全国の海岸に漂着したゴミだけでも約2万6,000トンに上ると推定されています。


【海洋汚染の魚への影響】
水中の有機物や窒素、リンなどが多くなり富栄養化状態になると、植物プランクトンが異常繁殖して赤潮が発生します。近年の地球温暖化による海水温の上昇は、これに拍車をかけています。東京湾ではここ数年、赤潮が80~120日も発生しています。
赤潮が発生すると、水中の溶存酸素濃度が低下するために魚が生息できなくなったり、呼吸する際にエラにプランクトンが詰まって窒息死します。また、繁殖した藻類が産出する毒素によって死滅する場合もあります。

大量発生した植物プランクトンが死んで海底に沈むと、分解の過程で硫化水素が発生し大量の酸素を消費するため、水中の溶存酸素量(DO)が減少して青潮が発生します。東京湾では、年間10~20日も発生しています。この青潮も、魚の成育に影響を及ぼします。


海洋を漂流するゴミ(マリンデブリ)による影響も無視できません。たとえばプラスチック製品の原料となる5ミリメートル以下の小さなレジン・ペレットを魚が飲み込んでしまうと、腸閉塞などにより餓死してしまいます。また、流失や廃棄による魚網がいつまでも海中を漂うことで海の生物を取り続ける「ゴースト・フィッシング」によって、命をおとす海洋生物も少なくありません。


さらに怖いのは、海洋への流出水に混入したり漂流ゴミに吸着した有害物質、海底の沈殿物などから溶出した有害物質です。これらの有害物質には、ダイオキシンやPCBなどの内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)、水銀などの重金属、発がん性の芳香族炭化水素などがあります。

海洋生物は、生育の過程でこれらの有害物質を蓄積していきます。特に、寿命が長く大型の魚は、小さな魚を餌として食べることで蓄積の度合いは高くなります。また、海底にすむアナゴなども海底に沈殿した有害物質を蓄積しやすい環境にあります。


【魚の食品としての安全性】
食物連鎖の頂点にある私たち人間が食品として魚を食べる場合、有害物質の体内での蓄積が健康に与える影響が懸念されます。たとえば、世界保健機構(WHO)は1日当たりのダイオキシン類の最大耐容摂取量を4pg(※)としていますが、東京湾内の魚介類の平均ダイオキシン濃度は2005年度に1g当たり4.4pg-TEQ(※)との報告もあります。

(※:pgは1兆分の1g、TEQは毒性等量で、もっとも毒性の強い2,3,7,8-TCDDの毒性を1とした換算量)


変圧器やコンデンサのほか、塗料、可塑剤、ノーカーボン紙など、幅広い分野で使用されてきたPCBの魚への蓄積も進んでいます。PCBは、体内の脂肪に蓄積しやすく、発がん性があり、皮膚や内臓の障害、ホルモンの異常を引き起こします。特に人間の胎児は母親の子宮内で胎盤を経由して、また、出生後は母乳を通じてPCBを吸収します。
日本では、1968年に、福岡県のカネミ倉庫で製造された食用油に熱媒体として使用されていたPCBが混入し、これを摂取した人々に肝機能障害や肌の異常、頭痛などを引き起こしたいわゆるカネミ油症事件で、全国で10,000人以上が被害を訴え、約2,000人が患者として認定されました。

日本では、1974年にPCBの製造及び輸入が原則禁止になってから実に27年が経過して、ようやく2001年7月に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特別措置法)」が施行されました。これによって、PCB廃棄物の保管事業者は15年以内(2016年まで)に適正に処理することが義務付けられましたが、過去に製造されたPCBの70%以上は今でも使用されているため、環境を汚染し続けているのです。


この他、ノニルフェノールビスフェノールAの魚介類への蓄積も増加しています。
ノニルフェノールは、プラスチック製品の他、塗料や工業用洗浄剤、潤滑油、化粧品、農薬などの添加剤としても使われており、脂質と結合しやすい性質があります。
ビスフェノールAはビフェノール化合物の一種で、ポリカーボネート樹脂や食品缶詰の内部コーティング、ビンの蓋、水道管の内張り、虫歯予防のシーラントなどに使用されています。


また、愛媛大沿岸環境科学研究センターなどの分析で、近年、繊維製品や建材、プラスチック製品に使われている臭素系難燃剤の一種が、 日本周辺やアジアの海洋生物中に蓄積する量が増えていることが分かりました。この物質はヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)と呼ばれ、動物実験で甲状腺ホルモンへの影響や神経毒性も指摘され、各国で新たな汚染物質として注目されています。

関連記事
難燃剤の汚染 急拡大 アジアの海洋生物に蓄積 愛媛大調査


愛媛大沿岸環境科学研究センターは、米ニューヨーク州立大との共同研究で、北半球の先進工業国から発生した有機フッ素化合物が南極まで到達して地球規模で環境汚染が広がっていることも突き止めています。この有機フッ素化合物は、動物実験で発達への影響や免疫毒性などが指摘されています。


これまで書いてきたように、魚の食品としての効果は高い反面、安全性への不安は高まっています。食品としての安全性を考えた場合、食物連鎖の上位にあり寿命の長い魚や海底で生息する魚については、量を控えるなどの注意が必要です。また、経済発展のスピードに環境対策が伴わない国の沿岸地域や海水の流動性が低い湾内などでとれた魚についても、注意が必要です。

そして、一番大切なのは、私たちの命を支える海が汚染の一途をたどっていることをもっと認識して、私たち一人ひとりが海の環境を守るために、「汚さない」という意識を持ち、身近なところからきれいにするための行動をおこすことでしょう。


【主な参考文献】
・病気にならない生き方 新谷 弘実 サンマーク出版 2005
・日経エコロジー 2007.11号 東京湾の水質
・日経エコロジー 2007.11号 問われる大型魚の食品安全性
・日経エコロジー 2006.11号 すぐそこにある危機
・プラスチックの海 佐尾和子・丹後玲子・根本稔 編、海洋工学研究所出版部
・西日本新聞九州ねっとワードBOX ヘキサブロモシクロドデカン(HBCDs)
・日経新聞(夕刊)2007.5.16 有害な有機フッ素化合物 北半球の汚染 南極到達
・Wikipedia 赤潮
・Wikipedia 青潮


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中国製子供服からも危険物質発見

2007年08月21日 | 食生活等
中国製品の危険性はとどまるところを知りません。
先日も、食品添加物や化学薬品などを混ぜてつくられた鶏の「人工卵」が中国国内で売られているという記事ありましたが、今度はニュージーランドで、中国製子供服から発がん性が確認されているホルムアルデヒドが検出されました。

 ・食べ続けると記憶力減退・・・中国で今度は「人工卵」 SankeiWeb

 ・今度は子供服、NZで中国製から大量の発がん物質 YOMIURI ONLINE

今回検出されたホルムアルデヒドは羊毛や木綿製の子供服からのもので、安全とされる濃度の900倍にも相当するということです。ホルムアルデヒドは、発がん性の他に、変異原性や催奇形性、神経毒性があり、皮膚炎や呼吸障害の原因物質でもあります。

また、ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群を引き起こすVOC(揮発性有機化合物)のひとつでもあり、国土交通省は、2001年に「住宅の性能を第三者が評価する住宅性能表示制度」の中で、特定測定物質として指定しています。

特定測定物質に指定されているVOC ()内は、用途例
 ・ホルムアルデヒド(合板などの接着剤や合成樹脂の原料、防腐剤など)
 ・トルエン(接着剤や塗料の溶剤など)
 ・キシレン(接着剤や塗料の溶剤など)
 ・エチルベンゼン(接着剤や塗料の溶剤など)
 ・スチレン(合成樹脂の原料など)


本当に身の回りには中国製品があふれています。先日も、下着(パンツ)を購入しようとお店にいったところ、国内で名の通ったメーカーのものでも中国製で、驚いたことに高い商品はすべて中国製でした。また、紳士服店で何も考えずに靴下を購入したところ、3足中、2足は中国製でした。
仮に、このような肌に直接触れるものに大量の有害化学物質が含まれていたらと考えるとゾッとします。


自分や家族の健康は自らで守る以外にありません。商品を購入する際には、生産国や原材料等の表示などにも注意をはらうことが大切です。


このブログ内での中国製品の関連記事
危ない中国製品の今後のゆくえは?(2007.08.04)

中国製品にひそむ健康リスク(2007.07.01)



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危ない中国製品の今後のゆくえは?

2007年08月04日 | 食生活等
中国製品に対する安全性への不安が高まって、輸入国では規制措置をとる動きが活発になってきています。これに対して、中国政府もさまざまな手段を使って反撃に出ています。危ない中国製品の今後のゆくえはどうなるのでしょうか?

中国の総輸出高の約20%を占めている米国では、これまで中国製品のペットフードや歯磨き粉、風邪薬、タイヤ、オモチャ、魚介類などから有害物質が検出されています。(2007年1~4月の対米輸出:950億ドル)
これらの中国製品の安全性を巡る問題に対して、中国政府は当初、米国の対中貿易赤字が膨らんでいることへの過剰な反応だと抵抗していましたが、6月(2007年)になって対応に変化が表れてきています。

【中国国内における対応】
・2007年6月末、国家品質監督検査検疫総局は、調査の結果、中国製品の5分の1近くは国内の安全品質基準を満たしていないと報告しています。同時に当局の一斉調査で、180ヵ所の食品加工工場で重大な違法行為があったとして、工場閉鎖命令が出されています。

・新薬承認をめぐって約1億円相当のわいろを受け取っていた国家食品薬品監督管理局の前局長に、7月10日、死刑が執行されました。また、同管理局で薬品の認可を統括していた曹文庄も収賄罪で死刑の判決をうけています。

・国家品質監督検査検疫総局は、7月16日までに安全性に問題があったとして食品会社52社の食品の輸出を禁止し、企業名をウェブサイトで公表しました。(当該41社のうち日本向けに輸出していたのは15社)

・7月25日に、温家宝首相は、中国食品・製品の安全性確保のための総合対策として、「食品など製品の安全監督管理強化に関する国務院特別規定」案を審議して原則承認しました。(時事通信社) この案は、食品などの安全性を確保するためのメーカーの対応や地方当局の責任などについてまとめられています。


【輸出国に対する中国政府の対応】
・ワシントンでは中国外務省の人員を増やして、米国議会に対して中国製品への不安を抑えて、対米貿易黒字への対抗法案を阻止、または遅らせようとしています。

・6月28日、中国政府高官が米国記者数人との会合の際に、「昨年FDA(米食品医薬品局)が不合格にした中国産食品は全体の1%足らずで、中国が拒否した米国産食品の割合よりわずかに少なかった。」という内容の資料を配布しています。

・他国に比べ規模は小さいですが、米議会に対するロビー活動のため、法律事務所パットン・ボグズと月2万2000ドルの契約を結んでいます。

・米国の中国製品への規制に対して、中国政府は報復措置ともとれるような手段に出ています。例えば、中国輸出入食品安全局は米国産健康補助食品などを不合格にしています。


気になる中国製品の今後のゆくえ】
それでは、今後、中国製品の安全性は高まっていくのでしょうか?

アジア・ソサエティー米中関係ディレクターのオービル・シェル氏は、「中国流の資本主義はずっと無秩序な混乱状態にあった。中国の食品の約75%は、規制が難しい小さな無認可工場で作られている。」と言っています。
先日もテレビで、工場からのどす黒い廃液が流れ込むバナナ園で生産されているバナナを安全だといって販売する農家や、スッポンの重量を増やすために注射器で水を注入する業者などの取材レポートが報道されていましたが、これらは中小零細の企業や農家です。

また、中国では、贈収賄での立件が1979年の703件から、2000年~04年の5年間で1845万件に激増し、各々の賄賂の金額も高額になっています。特に特徴的なのは、高い地位にある官僚が贈収賄に関わるケースが多くなっていることです。
2000年には収賄を受けた官僚に死刑判決が下されていますが、その後も贈収賄事件は減るどころか増加の一途をたどっています。これらの収賄を受けた官僚の多くは海外へ逃亡しており、2004年末までの時点で、不正蓄財で海外逃亡した官僚は6,500人を超え、450億元が不正に持ち出されています。
(「中国という大難」から抜粋)
450億元は日本円で約7,000億円であり、中国の生活物価から考えると相当な金額です。

現在の中国は前述した状況にある上に、中国共産党一党独裁による情報の規制と統制で、腐敗の現状をメディアが自由に報道できないために抑止力となり得ず、また安全面に対する法的規制の遅れなどから、中国製品の安全性が早急に向上することはほとんど期待できません。

中国という大難

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それでは日本政府は有害な中国製品を阻止するできるのでしょうか?

7月20日に官邸で「輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議」が開催されています。当会議には、厚生労働省、農林水産省、外務省などの関係省庁と日本冷凍食品協会や対日貿易投資交流促進協会など、中国製品の輸入・販売に関わる91団体が参加しています。
この会議は、中国製品だけを対象としたものではありませんが、今回、政府として中国に対して食品の安全に関する協議開催の申し入れの方針を打ち出しました。一方、国内の業界団体には輸入品の安全管理強化を要請しています。


輸入品の安全確保に関する緊急官民合同会議 配布資料
 ・資料1 輸入品に関する対応について
 ・資料2 政府の対応事例


この資料1の冒頭には、「我が国においては、海外からの輸入品については、これまでの安全対策により、現時点において問題事案が頻発する状況ではない。」と書かれています。しかし、果たしてそう言い切れるのでしょうか。日本の輸入食品の検査官は300人程度(米国の約10分の1)で、抜き取り検査ですので、問題が発見されていないケースも十分に考えられます。
また、中国による報復措置を考えると輸入品の規制にも限界があります。

製品を輸入・販売する企業は、安全性確保に向けて自ら検査結果のチェックを強化してきています。この傾向はますます強まるものと思われますが、安全性に100%はあり得ません。
安全性確保のためには、私たち消費者自身が複数の情報を参考に、個々の責任において商品を購入する以外ありません。また、安全性が確認されないものについては、極力避けるという意識も必要です。


※最後に
現在は大量に出回っている中国産について安全性の問題がクローズアップされていますが、
『12日付のニューヨーク・タイムズ(電子版)は、2006年に禁止薬剤などの検出などで米国への食品輸入が差し止められた回数は、中国産よりもドミニカ共和国やデンマーク産の方が多かったと報じた。』(2007年7月12日時事通信社)
という記事もあるように、グローバル経済の中では至るところに危険が潜んでいるのが現状です。


過去ブログ「中国製品にひそむ健康リスク」も合わせてご覧下さい。



【主な参考文献等】
・日経ビジネス 2007.7.16号 「メード・イン・チャイナ」が危ない
・日経ビジネス 2007.7.30号 「中国の工業化の悪夢」
・産経新聞WEB 2007.7.18 「反撃? 中国が米国肉を輸入禁止 貿易摩擦の様相」
・中国という大難 富坂聰著 新潮社 2007.4.25


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トランス脂肪酸がニューヨークで全面禁止に!

2007年07月03日 | 食生活等
ニューヨーク市では、2006年12月に可決された「外食産業でトランス脂肪酸(TFA)の使用を事実上禁止する条例」が、2007年7月1日から施行されました。条例では揚げ物用の油などに含まれているトランス脂肪酸を1食当たり0.5グラム未満に抑えるよう義務付けています。2008年7月にはすべての食品に同様の基準を適用することになっています。(2007.7.3加筆)

油(脂)は、もっとも酸化が進みやすい食物ですが、一般的に市販されている油の多くは「溶剤抽出法」という方法で作られており、「トランス脂肪酸(TFA)」という成分に変わっています。この油は、「腐食しないかわりに体にとって非常に悪い成分に変わっているのです。

トランス脂肪酸は、大量に摂取すると心臓周辺の冠動脈が詰まる心筋梗塞などの問題を引き起こします。このトランス脂肪酸を大量に使用したジャンクフードなどの食べ物の消費量が、世界的に増加しています。
このため、米国では肥満が20年で2倍以上に増加し、今や21%に達し、年率5%で増え続けています。肥満が原因で生じる病気は、全医療費の12%(1000億ドル)を占めているといわれています。(2005.12日経エコロジー)

また、ニューヨーク市では、飲食店や家庭から流される使用済み油や食品残渣中の油分によって下水管が詰まり、年間5000件ものトラブルが発生しているようです。油脂は、下水管を詰まらせて未処理の汚水が河川を汚染するだけでなく、これを餌としたネズミの増殖を促し、環境衛生上の問題も大きくなっています。


油を多く使う食習慣の急増は日本も例外ではなく、ここ20~30年ほどで大人だけでなく子どもの肥満もかなり増えています。身近なところでは、小学校の運動会などでその現状を知ることができます。かけっこの競技では、太った子どもの姿がよく目につきますし、このような子どものほとんどが最下位でゴールしています。確かに20年ほど前も太った子どもはいましたが、どちらかというと筋肉質でむしろ速い子どもの方が多かったように思います。

今や、栄養の不良は、貧しい国だけの問題ではなくて、日本のような先進国においても深刻な問題なのです。WHO(世界保健機関)によると、世界的に過食による栄養不良が急増して、過食の人口は飢餓の人口と同じく推定で11億人に達しているようです。
トランス脂肪酸を含んだ、高カロリー・高脂肪で栄養価の乏しい安い食品が多くなり、本来必要とされている微量栄養素を含んだ食品にとって替わられているのです。

自身や家族の健康をまもるためにも、まず大人自身が自分の食生活を見直して範を示し、子どもの食習慣を変えていくことが必要でしょう。
国家レベルでは、これまで以上に食習慣の改善にかかわるキャンペーンを展開することが必要でしょう。とられる方法によっては、医療費の大幅な削減も可能でしょう。また、英国が来年1月末から16歳以上の子どもを対象としたテレビ番組でジャンクフードのコマーシャルを禁止することとなったように、日本においても同様の施策についても早急に検討すべきでしょう。

【主な参考資料】
・日経エコロジー 2005.12号
・時事通信 WEB トランス脂肪酸、使用禁止=積極PRのレストランも―NY市 2007.7.2


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中国製品にひそむ健康リスク

2007年07月01日 | 食生活等
中国産の食品や医薬品、ペットフードなどによる事故が各国で起こっています。
過去に中国で問題になった危険な食品で内容が明らかになったものをみてみると、思わず自分の目を疑いたくなるようなことばかりです。そのいくつかを列記します。

・プラスチックで光沢をつけた毒コメ(2001年4月、広東省)
・ブタのふんで調味した臭み豆腐(2001年10月、江蘇省)
・下水から抽出した油で揚げたパン(2003年9月、貴州省)
・でんぷんでつくった偽粉ミルク(2004年5月、案徽省)
・髪の毛を混ぜた偽しょうゆ(2004年10月、遼寧省)
・古革靴を煮てつくった偽牛乳(2005年3月、山東省)
・ブタの廃棄物でつくった肉まん(2005年11月、広東省)
・でんぷんや樹脂でつくった偽卵(2006年11月、山東省)

           (南日本新聞2007.6.4より抜粋)

中国政府は管理を強化することでこれらの事件の発生を絶とうとしていますが、事はそのような簡単なものではないようです。中国は、毛沢東(1976年死去)により発動された1965年から1977年の「文化大革命による国内の混乱」と1978年12月の中全会で指導体制を確立した小平(1997年死去)の「改革・開放路線による市場経済化」で、官も民も「儲かりさえすれば何をやってもいい。お金がすべて。」という拝金主義におちいっており、これが大きなモラル低下の原因となっています。

中国では、儲けることだけを考えている企業も少なくなく、そこには法律の遵守やモラルに基づく行動規範などはありません。また、地方政府の役人は企業からの賄賂を受けることが常態化しているのです。さらには、輸出品の検査を担当する検疫当局までもが企業と癒着しており、市場経済の発展によって海外への輸出が増えてきたことで、数年前から中国国内では起こっていたこれらの問題が顕在化してきたというのが現状のようです。

中国では、しばらく前に次のような小話が流行ったそうです。
『農民が稲を植えたが芽が出ず、服毒自殺をしたが死ねなかった。助かったことを喜んだ妻と祝いの酒を酌み交わしたら二人とも死んだ。』
稲の苗、毒薬、酒がいずれもニセモノだったというのがオチですが、現実問題として同様のことが起こっており、笑い話ではすまされない状況にあるのが今の中国です。


中国では、経済発展優先で環境汚染も深刻になっており、これが国民の健康悪化を加速しています。これを裏付けるデータとして、ガン患者の急増が上げられます。衛生省によると2005年には、中国全土でガンによって死亡した人が760万人にも達したそうです。2006年にはガンによる死亡者数が脳血管疾病をこえて1位になっており、死亡原因の4分の1以上がガンによるものです。

中国医学科学院腫瘍研究所の陳智周研究員は、ガン急増の原因として下記を指摘しています。
1.空気、水などの環境汚染、特に地下水汚染
2.食品汚染
3.細菌・ウイルスの増加


特に食品汚染では、「家畜に投与している薬品や飼料添加剤」、「野菜やくだものに使われている成長剤や殺虫剤」などがガン急増に起因しているとしています。


日本でも、安い中国製品が手に入る一方で、これらの製品による健康問題が懸念されています。日本や海外での最近の事例のいくつかを紹介します。

【ピーマンからピリメタニル検出】
冷凍食品用のピーマンから基準値を超えた殺虫剤のピリメタニルが検出され、厚生労働省が6月20日に食品衛生法に基づく検査命令を出しています。
なお、モニタリング検査の実施率は全輸入件数の3~5%程度ですので、検査対象とならずに日本国内で流通している食品の中に、危険なものが無いという保証はありません。

【練り歯磨きからジエチレングリコール検出】
中国製の練り歯磨きから、毒性のあるジエチレングリコール(DEG)が検出されました。
DEGは工業用溶剤などに使われ、大量摂取すると急性中毒症状を起こし、腎臓や心臓、神経系に影響を及ぼします。DEG入り歯磨きは複数の業者によって輸入され、旅館・ホテルで使用されていたほか、100円ショップや化粧品販売店などでも販売されており、現在自主回収されています。

【ペットフードに含まれた化学物質でペットが死亡】
米国で中国製のペットフードを食べた猫や犬が腎不全を起こして、数千匹が死亡しました。カナダのペットフード大手メニュー・フーズが3月に犬猫用フードのリコール(自主回収)を発表したのが発端で、FDA(米食品医薬品局)の調査によると、原因は原料の小麦グルテンに混入した有機化合物のメラミンだといわれています。メラミンは合板用の接着剤やプラスチック製品、塗料などの原料に使われ、発がん性やアレルギー性があるとされています。ペットフードのメラミン混入は、製造業者がタンパク質の含有量を増やすために意図的にやったものだと考えられています。
また、製品化されなかったペットフードは豚や鶏の飼料としても出荷され、メラミンに汚染された小麦グルテンは養魚用餌料の原料としても使用されていたようです。

このほかに昨年パナマで、中国産の原料が含まれるせき止め薬を服用して約100人が死亡しています。原因は、医薬品には使えないグリセリンだとされていますが、中国の検疫当局は主な責任はパナマの企業にあるとして反論しており、逆に不信感の増大を招いています。


問題が発覚した食品などの中には、人間の健康に与える危険度は極めて少ないといわれているものもありますが、そのようなものが製造・流通されていること自体が問題です。しかしながら現状では、中国国内で規制が強化されて危険な製品が生産されなくなることは、早々には期待できません。また、これらの危険な製品が日本国内に入ってくる前に水際で完全にシャットアウトすることも不可能です。

詰まるところ私たちが消費者自身が、単に安いというだけの理由で中国製の商品を買うことを控える以外に方策はないというのが現状ではないでしょうか。


【新刊紹介】
現在の中国が抱える、深刻な環境汚染・貧富の差の拡大・汚職の蔓延などさまざまな問題について書かれた本です。中国では工場廃水などによる水の汚染が進み、淡水の60%が重度の汚染にさらされ、きれいな水は5%程度しかないとされています。
中国という大難

新潮社

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【主な参考資料】
・厚生労働省報道発表資料 輸入食品に対する検査命令の実施について(中国産ピーマン) 平成19年6月20日
・産経新聞WEB 中国産ペットフード禍 背景に食のグローバル化 2007.5.18
・産経新聞WEB 中国でがん患者急増 環境汚染と因果関係? 2007.6.20
・南日本新聞 食品、医薬品事故相次ぐ中国 2007.6.4


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日本人の魚離れと健康・環境

2007年05月30日 | 食生活等
政府は、5月22日に平成18年度の「水産の動向(水産白書)」を閣議決定しました。
この水産白書によると、平成7年から16年までの1人1日当りの魚介類の摂取量はすべての年齢階級で減少している一方、肉類の摂取量は総じて横ばいです。特に平成13年度以降、大幅な減少が続き、若年層ほど魚離れが進んでいます。(1人1年当たりの供給純食料ベースでみると、13年度の40.2kgから17年度は14%減の34.4kg)

日本人は、動物性タンパク質の約4割を水産物から摂取しており、またこれらの持つカルシウムやミネラル、ビタミン類などの多くの栄養素の恩恵を受けています。近年、欧米や中国などでは、健康志向の高まりから魚類の需要が増えています。

水産物の持つ栄養素の例には次のようなものがあります。(「平成18年度水産白書」中の水産庁資料を抜粋)

【水産物の持つ栄養素の例】
「マグロ、カツオ、マダイ、ブリ、サバ、サケ、マイワシ」には、DHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)を多く含み、脳や神経組織の発達や機能維持、抗アレルギー、抗炎症の機能があります。

「イカ、カキ、タコ、アワビ、ホタテガイ、クルマエビ、サケ」に多く含まれる「タウリン」は血圧の調整、コレステロールの排出、肝機能改善、視力の維持の機能があります。

「小魚」に多く含まれるカルシウムには、骨形成、血圧や神経系の調整機能があります。

「ノリ、ヒジキ、ハマグリ」に多く含まれる鉄分は、赤血球(ヘモグロビン)の主成分であり、また全組織の機能維持に役立っています。

このように栄養素に富んだ魚類の消費量が減少している主な原因は、次のようなものです。

【魚類の消費量減少の原因】
・子どもの魚嫌いで、家庭での魚料理が減少しています。

・肉類よりも安かった魚介類の価格が上昇して両者の価格差がなくなったために、魚介類の割高感が生じています。特に、魚介類は不可食部分が含まれているために、可食部分で見た場合、肉類よりも単価が高くなっています。

・魚介類は調理、後片付けが面倒という人が増えています。


国内で魚介類の消費量が減っている一方で、漁業そのものに関しては大きな問題が山積しています。

【漁業を取り巻く問題】
漁業就業者の高齢化と減少で、生産構造の脆弱化が進んでいます。(平成17年の沖合・遠洋漁業用労働者は、5年前から27%減少し、25,000人になっています。)

・日本の食用魚介類の自給率は57%(17年度)で、4割以上を輸入に頼っています。
 (昭和40年代までは自給率100%以上、平成12~14年度は53%にまで低下)

・日本は、多くの魚類を輸入する一方で、高品質のものについては積極的に輸出を増やしています。(18年の輸出実績は1,703億円で、政府はこれを21年に6,000億円、25年に1兆円に増やすこととしています。)

・欧米では、BSE(牛海綿状脳症)や鳥インフルエンザの影響で食肉から魚類へのシフトがおこっています。また中国を始めとした新興国では、健康志向の高まりで魚類の消費が増加しています。このため、国際市場で日本の輸入業者が価格競争についていけずに買い負ける状態が続いています。(マグロの世界的な需要の増加で、昨年(2006年)夏に価格が上昇したのは記憶に新しいところです。)

・中国では、人件費が安い利点を活かして輸入したタラ類を加工し、白身魚を好む欧米などに輸出しています。

・国連食糧農業機関(FAO)の報告では、海洋水産資源の約半分が満限まで利用され、4分の1が過剰利用されています。水産庁・独立行政法人水産総合研究センターによる日本の周辺水域の漁業資源評価でも、93系統群中の半数以上の50系統群が低位水準となっています。

・今後、海面漁業の減少分を補うためには養殖業を推進する必要がありますが、養殖用餌の原料である魚粉の需給がひっ迫し価格も高騰しており、その確保が問題です。

・養殖漁場では、食べ残しの餌や魚ふんによる環境負荷が増大しています。

・エチゼンクラゲの大量発生で、「魚の卵や稚魚の食害、漁獲量の減少」、「毒針の攻撃による魚の鮮度低下」、「漁具の破損」、「魚網にかかったクラゲの除去作業による作業増大」などの問題が発生しています。
 エチゼンクラゲは、中国の経済発展と不十分な公害対策で、黄海及び渤海が富栄養化の状態になって大量繁殖したものといわれています。さらに、魚類の減少によるエサのプランクトン増加、地球温暖化による水温上昇などの環境の変化が、エチゼンクラゲの成長を助けているものと思われます。

石油価格の高騰が漁業経営を圧迫しています。特に漁業の分野では、他の産業と比べて省エネの取組が遅れています。


このような中、政府は、2029年までに食用魚介類の自給率を65%まで伸ばす目標を立てていますが、目標の達成には厳しい環境にあります。


魚介類は、漁場や魚種によっては汚染の可能性もありますが、基本的に私たちの健康の維持増進にとって重要な食物です。肥満や生活習慣病の予防のためにも、魚を利用した食生活について考えるべきでしょう。
また、これまで書いてきたように、漁業資源を取り巻く環境は極めて厳しいという現実もしっかり認識しておくべきです。


魚の食べ方については、ホームページ『環境と体にやさしい生き方・快適健康生活』『9.必須脂肪酸を多く摂る』をご覧下さい。


【主な参考文献】
 「平成17年度 水産の動向」及び「平成18年度 水産施策」 農林水産省
 「平成18年度 水産の動向」及び「平成19年度 水産施策」 農林水産省


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日本でも栄養不良による不健康が蔓延

2007年04月14日 | 食生活等
世界の人口のうち、先進国を中心とした約11億人は栄養不良の状態にあります。これは、企業の宣伝・広告を鵜呑みにして、偏食や栄養価の低い加工食品をとり過ぎたのも大きな原因のひとつです。

2007年4月現在、世界の人口は66億人に迫ろうとしていますが、そのうち、飢餓で栄養失調に苦しんでいる人が約11億人いる一方で、ほぼ同数の人々が過食による栄養不良の状態にあるといわれています。そして栄養不良が増えることで、病気が蔓延し、個人や国が負担する医療費が増え、経済活動における生産性も低下しています。

栄養不良の多くは、アンバランスな食事、栄養価が低く脂肪や砂糖をふんだんに使った加工食品の摂り過ぎなどが原因です。しかしながら多くの人は、この根本的な原因である食事環境を改めることをせず、薬品業界や健康食品業界などの宣伝に踊らされて、対症療法的なさまざまなダイエット法や健康法を試みては失敗しています。また、これらの対症療法をとったがゆえに、新たな病気まで引き起こしている人も少なくありません。

米国では、成人の過半数が太りすぎで、ほぼ4人に1人が肥満だといわれています。
日本でも厚生労働省の調査では、約2,000万人がメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の状態にあるとしています。メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型(内臓肥満、腹部肥満)の肥満にある人が、高血糖症、高脂血症、高血圧症などの動脈硬化の危険因子を2つ以上持っている状態をいいます。ちなみに内臓脂肪型肥満はウエスト周りが、男性で85cm以上、女性で90cm以上とされています。

日本人の食生活は、戦後の高度経済成長期(1955~1975年の20年間)以降急激に変化し、それまでの全粒穀物や野菜、果物を中心とした食事から、肉や加工食品を中心とするものへ変わってきました。これらの食品の多くは、カロリーや脂肪、糖分が多く栄養価の低いものです。

食品を供給する立場にある人たちは、栄養価よりも消費者の好む味付けや食感を重視した加工品をつくることで売上・利益を伸ばしてきました。これは、加工品にとどまらず、食肉においても同様です。たとえば、おいしい牛肉が食べたいという消費者のニーズに合わせて、国や飼料メーカーの研究機関ではサシ(脂肪交雑、いわゆる霜降りの状態)の入った肉をつくるために、さまざまな研究を行なっています。(脂肪交雑とは、筋肉の間に脂肪が入り込むもので、うまみや柔らかさと密接な関係があります。)

現在では、成長を促進するために、草食性の牛にトウモロコシや麦類などの穀物由来の濃厚飼料を大量に食べさせています。また、さらに霜降りの多い肉をつくるために、ある時期になると、牛の健康に不可欠なビタミンAを断つこともあり、そのような不健康な牛の肉が高級品として流通しているのが現状です。

現代のような経済効率を最優先する社会では、『何が高い値段で売れるか』、『何が消費者に受け入れられるか』という視点に重点が置かれて、モノが作られ、宣伝・販売されているのが実情です。これは、食品業界の他、医薬品業界でも同じです。

『病気にならない人は知っている』の著者ケヴィン・トルドー氏は、その本の中で、「製薬会社の望みは、本人たちが言うように病気を治すことではない。治療法が見つかったら、彼らは倒産してしまうのだから。」と書いています。

病気にならない人は知っている

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薬は基本的にすべて毒です。そして病気を治せるのはその人の体そのものの持つ免疫力です。しかし、現代は余りにも人の免疫力を弱める要因が多すぎます。その大きな要因のひとつが栄養不良なのです。
大量生産される穀物や野菜、果物は、化学肥料や農薬の大量使用で微量栄養素は失われ、栄養価が大幅に低下している上に、化学物質が含まれています。さらに加工の段階でさまざまな添加物が使われており、これらは毒であると同時に栄養素の吸収を妨げます。

それにしても、私たちの身の回りにはなんと対症療法が多いことでしょう。ダイエット効果があると宣伝されている飲み物や錠剤、お腹の脂肪を吸引してしまうという美容外科、あげくの果てには肥満遺伝子を見つけてこれを操作しようというものまで出てきています。
対症療法では、問題が一時的に解消されたようにみえても、その原因が取り除かれていないためにまた同様の病気にかかりやすくなります。

医療技術が進歩したおかげで、「病気は克服できるもので、万一病気になってもそのほとんどは簡単に治せる。」と考えがちですが、病気は減るどころかむしろ増えています。ケヴィン・トルドー氏の言うように、薬品を売ることで利益を得ているメーカーや病人を診ることで仕事が成り立つ医者がいる限り、この世から病気がなくなることはないでしょう。

私たちにとって重要なのは、自分自身で病気にならない体をつくることであり、そのためにも自分の食生活を今一度チェックしてみることが必要です。そして今、自分の持っている病気があれば、対症療法に走るのではなくその原因をつきとめて、根本から治していくことが大切です。私は、致命的な病気や事故によるケガの場合は別として、病院は自分の健康度合いを確認するところと位置付けるべきだと思っています。

【PR】
前述のケヴィン・トルドー氏による『病気にならない人は知っている』では、ちまたにあふれる健康情報や常識とされるものは必ずしも真実ではないと強調しています。そして、あらゆる病気は自然療法で治すことができるとしてその方法や理由について説明しています。米国の事例が多く耳慣れないことばもでてきますが、健康のために少しずつでも具体的な行動に移したいと考えている方には大変参考になる本だと思います。是非読んでいただきたいおすすめの本です。


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遺伝子組み換え食品の安全性と対策

2007年03月17日 | 食生活等
遺伝子組み換え作物・食品の流通がはじまって10年が経過し、現在ではいたるところに組み換え食品が出回っていますが、多くの実験結果や事件などからこれらの安全性に関する評価はまだまだ不十分なのが現状です。今回は少々ボリュームがありますが、安全性に関する問題と対策について紹介します。

遺伝子組み換え食品に関する事件は過去にいろいろと起こっており、また問題となる実験結果も多数報告されています。以下にそのいくつかを紹介します。

【L‐トリプトファン事件】
1988年から89年に米国で、昭和電工製造の必須アミノ酸のサプリメント「L‐トリプトファン」を食べた人のうち38人が死亡した事件です。健康被害者は、米国を中心に6,000人にものぼるといわれており、日本でも被害者が出ています。
原因は、製造の過程で用いられた遺伝子組み換え微生物が予期しない2種類のタンパク質を作って、これがサプリメントに混入したものと見られています。

【遺伝子組み換え作物の花粉でチョウが死んだ】
1999年5月の「ネイチャー」誌に、コーネル大学のジョン・ロージー博士が発表した研究結果です。これによると、トウワタの葉についた殺虫型トウモロコシ(Btコーン)の花粉を食べたチョウ(オオカバマダラ)の幼虫が4日間で44%死に、残ったチョウも小さいものや活動不良のものが見られたということです。(オオカバマダラは、北米に生息して、その幼虫はトウワタだけに寄生します。)

同様の実験は、2000年にアイオワ州大学のオブリキ博士らも行なっており、実験室でBtコーンから一定の距離を置いて設置したトウワタに、オオカマダラの幼虫を寄生させてその生育状況を調べたところ、最初の2日間で20%が、さらにその後の3日間で37から70%が死亡したと発表しています。

【スターリンク事件】
アレルギー誘発の可能性があるBt毒素遺伝子(Cry9c)を含むBtコーン(スターリンク)が、日本では飼料、食品ともに使用が認可されていなかった(現在も未承認)にもかかわらず、2000年に家畜飼料や菓子用コーン粉から検出された事件です。
このスターリンクはアベンティス社(現バイエル・クロップサイエンス社)が開発したもので、消費者団体「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」の調査で発覚しました。

米国でも人に対してはアレルギーを誘発する可能性があるとして、食品としての使用は禁止されていましたが、2000年9月にタコスの皮から検出されています。米国では、スターリンクの入った食品を食べて、数十人が病院に運ばれました。米国食品医薬品局(FDA)は、2000年11月に、スターリンクの混入に伴うリコールが300種ものトウモロコシ食品に及ぶと発表しています。なお、米国では動物試験で毒性上の問題は認められなかったため、飼料としては認可されています。
スターリンクは、その後も米国、カナダ、メキシコ、日本などで、コーン種子、ビール原料、ポップコーン、飼料などから検出されています。

事件の原因として、流通や加工段階での混入のほかに、非遺伝子組み換えコーンの畑にBtコーンが混ざってしまった可能性も指摘されています。


その他にも世界各地で多数報告されて枚挙に暇がありませんが、いくつかを列記します。

・米国の複数の農場でBtコーンを食べた母豚の出産頭数が激減しました。
・ドイツでBtコーンを食べた牛が変死しました。
・フランスで行なった実験で、遺伝子組み換えナタネの花の蜜を吸ったミツバチの寿命や嗅覚能力が半減しました。
・デンマークの国立リソ研究所ジョーゲンセン博士らによって、除草剤ナタネが雑草と交雑して除草剤耐性を持ち3世代先まで伝えたことが確認されました。(1996年ネイチャー)

・イギリスでロウェット研究所アパード・パズタイ博士が、遺伝子組み換えジャガイモをネズミに食べさせたところ、脳や臓器が小さかったり免疫力が低下した実験結果が得られました。(1998年)
・殺虫型遺伝子組み換え作物の根から毒素が染み出して土壌を汚染し、微生物やミミズが減少していることが報告されています。
・遺伝子組み換え作物に対して害虫や雑草が耐性を持つことで、逆に害虫の異常発生や雑草の繁殖を促すことにつながるという問題も指摘されています。



これらの事件や実験結果に対して、遺伝子組み換え技術推進派のなかには、管理方法や実験方法に不備があるなどと指摘して組み換え技術の安全性を強調している人もいます。
日本政府も遺伝子組み換え技術推進の立場から、遺伝子組み換え作物・食品は従来のものと同程度の安全性を有しているというのが基本的な考えです。

たとえば、殺虫効果のあるBtタンパク質遺伝子を導入したトウモロコシを、人間を含むほ乳類が食べた場合の安全性について、(社)農林水産先端技術産業振興センターのバイテク小事典では、次のように説明しています。
すなわち、胃の中は酸性なのでBtタンパク質は変性して消化酵素(ペプシン)により切断され、また、小腸内細胞には一致する受容体がなく、消化酵素(トリプシン)などによりアミノ酸にまで分解されるので安全上、問題はないという説明です。
しかしながら、タンパク質の15%程度は分解されずにそのまま吸収されるためアレルギーが起こると指摘している専門医もおり、安全上の評価が不十分です。

それではなぜ、このような事件や実験によって遺伝子組み換え技術の安全上の問題が指摘されているにもかかわらず、日本では「遺伝子組み換え作物・食品の安全性は、従来のものと同様である」として、導入に前向きなのでしょうか?

そのもっとも大きな原因は、EC諸国が食品をほぼ自給できているのに対して、日本の自給率は40%程度と低いことにあります。そして日本はこれらの主要穀物の多くを米国に頼っているのです。
これに対して、食品自給率の高いEC諸国では、一般的に遺伝子組み換え食品に対してはその安全性に懐疑的な国もあり、厳しい態度で臨んでいます。


このように安全性の評価が不十分な環境のなかでとるべき対策としては、下記のようなものが考えられます。


1.政府が中心となってすすめる対策
・主要な穀物である米や麦、豆類の自給を図る。
・家畜飼料についても輸入を減らして自給率向上を図る。
 (現在、農林水産省では食品残渣の飼料化などを推し進めようとしていますが安全衛生上や取扱い上の問題から、なかなか普及しないのが現状です。飼料作物栽培の推進などの、抜本的な施策が必要でしょう。)
・消費者のわかりやすい遺伝子組み換え表示制度に改める。


2.私たち消費者のとるべき対策
・地産地消を中心とした食生活をおくる。
・国産原料100%のものを選ぶ
(例:豆腐、納豆、醤油、味噌などは国産大豆100%使用のものを選ぶ。)
・清涼飲料水に使用されている異性化液糖には遺伝子組み換えトウモロコシが使用されている可能性があるので、購入を避ける。

・植物油は国産を選ぶか、遺伝子組み換え品としてまだ商品化されていないもの(ひまわり油、紅花油、ごま油、オリーブ油など)を選ぶ。
(注:大豆油、コーン油、なたね油、綿実油、醤油、異性化液糖などは、導入DNA及びそれによって生じたタンパク質が残存しないという理由で、遺伝子組み換えの表示が不要ですので、無表示の場合は遺伝子組み換え作物由来かどうかわかりません。)
・輸入品でも遺伝子組み換え作物でないものを買う。
・飼料を海外に依存している食肉の消費を抑える。


そして、私たち一人ひとりが、安全性評価が不十分な現状では「遺伝子組み換え食品は食べない、買わない」態度をとることが、食の安全・安心に対する大きなうねりを起こして国を動かしていくことにつながると思います。


関連記事
  1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
  2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
  3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
  4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)



【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】
・独立行政法人農業環境技術研究所ホームページhttp://www.niaes.affrc.go.jp/index.html


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遺伝子組み換え食品は安全か?

2007年03月11日 | 食生活等
前回まで、日本は、遺伝子組み換え作物・食品の最大輸入国で、これらが私たちの身近にあふれていることを紹介してきました。
遺伝子組み換え作物・食品は、安全上の問題が多く指摘され、世界各地でそれに関わる事件も発生しています。今回から健康や環境に与える影響について紹介していきますが、ボリュームが大きいので、今回は特に安全上の評価基準について紹介します。

遺伝子組み換え作物・食品の安全上の評価基準はどのようになっているのでしょうか?
実は、この評価基準こそが、遺伝子組み換え作物・食品の大きな問題の一つとなっているのです。

現在、遺伝子組み換え作物・食品の安全性を評価する指標として「実質的同等性」という概念が用いられています。
これは、遺伝子組み換え作物・食品が、これまで食べてきた同様の作物・食品と比べた場合に、形や生態の特徴、構成成分、使用方法などがほぼ同程度とみなせれば、その安全性は従来のものと同程度とみなせるという考え方です。

最初に「実質的同等性」の概念を持ち込んだのは、米国のFDA(米国食品医薬品局)ですが、その発端は国内のバイオテクノロジー企業の圧力によるものだと言われています。
この基準を、OECD(経済協力開発機構)、WHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、CODEX委員会(FAO/WHOの下部組織)で合意して、現在世界中で採用されているのです。

日本では、「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」(平成16年1月29日食品安全委員会決定)で、同様の考え方を示し、安全性の知見が得られていない場合にのみ、必要と考えられる毒性試験に基づいて食品の安全性を確認することとしています。

驚くべきことに、安全性の審査は基本的に、申請する業者が作成した資料のみに基づいて行なわれているのです。
このような評価基準では、長期にわたって摂取した場合の安全性やアレルギーの可能性については不透明です。


話は横道にそれますが、藤原正彦氏(お茶の水女子大学理学部教授)は著書「国家の品格」のなかで、現在、世界が荒廃している真の原因は、西欧的な論理と近代的な合理精神の破綻にあると書いています。

そして、論理がきちんと通っていれば、それが本質をついているか否かを判別できないにもかかわらず、後で振り返ると非道に思えるようなことでも、なぜか受け入れてしまうと言います。さらに、論理には必ず出発点が必要であるが、出発点そのものは仮設に基づくもので、その仮設を選ぶのは人間の情緒だと言います。
確かに、米国のイラク侵攻やイラン・北朝鮮の核兵器開発などはその好例でしょう。

(著者は、論理の出発点を正しく選ぶために、論理に日本人が古来から育んできた情緒や形を付加しなければならないと主張しています。そして、「国家の品格」を取り戻すために、現代を荒廃に追い込んだ自由や平等よりも情緒や形といったものが上位に位置することを、日本人それぞれが身をもって世界に示さなければならないと言っています。)

国家の品格

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遺伝子組み換え作物・食品について、「西欧的な論理と近代的な合理精神」で考えてみると、推進派にとってみれば、「組み換え作物・食品は安全だ」という仮設があって、この仮設に基づいて安全性を論理的に説明しようとしているということでしょう。

遺伝子組み換え作物・食品の安全性評価がこの「実質的同等性」という概念に基づいているために、さまざまな問題を引き起こしています。
次回は、「遺伝子組み換え作物・食品による事件」など、安全性に関わる問題について事例を交えて紹介します。


関連記事
  1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
  2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
  3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
  4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)



【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】



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身近にある遺伝子組み換え食品

2007年03月05日 | 食生活等
前回のブログでも触れましたが、日本は遺伝子組み換え食品の最大の消費国です。
そしてこの遺伝子組み換え食品については、いろいろな問題が指摘されています。
そこで今回は、私たちの身の回りにどのくらいの遺伝子組み換え食品が出回っており、その表示はどのようになっているのかについて触れてみたいと思います。

【遺伝子組み換え作物の栽培面積】
遺伝子組み換え作物は、1994年に米国でトマトが販売されたのを機に本格的な商業栽培が始まりました。組み換え作物の栽培面積は、2005年現在、世界全体で約9,000万ヘクタールであり、その内訳は、米国55%、アルゼンチン19%、ブラジル10%、カナダ6%、中国4%、その他となっています。また、作物別では、大豆60%、トウモロコシ24%、ワタ11%、ナタネ5%となっています。


(非営利団体国際アグリバイオ事業団(ISAAA)は、本年1月に、2006年の遺伝子組み換え作物の栽培面積は世界全体で約1億200万ヘクタールに達したとする報告書を公表しています。参考:ISAAAホームページhttp://www.isaaa.org/中の「Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2006」)(2007年3月11日加筆)


各々の作物の栽培面積に占める遺伝子組み換え作物は、大豆60%、トウモロコシ14%、ワタ28%、ナタネ18%となっており、驚くべきことに大豆は半分以上が遺伝子組み換え作物になっているのです。(以上、国際アグリバイオ事業団(ISAAA)報告書から抜粋)

また、日本がそのほとんどを輸入している米国では、2005年の場合、大豆の87%、トウモロコシの52%、ワタの79%が遺伝子組み換え作物になっており、いずれも前年より増加して、特にトウモロコシは前年比で約16%も伸びています。(米国農務省(USDA)の全国農業統計局(NASS)データ)

【日本国内で流通している遺伝子組み換え食品】
それでは、日本国内でどの程度の遺伝子組み換え食品が流通しているのでしょうか?

日本で販売が認められている遺伝子組み換え作物は、大豆、トウモロコシ、ナタネ、ワタ、ジャガイモ、テンサイで、実際に国内で流通しているのはテンサイを除く5品目です。これらの遺伝子組み換え作物は、現在国産品は流通しておらず、すべて輸入によるものです。(なお、遺伝子組み換え作物の総栽培面積に占めるジャガイモの比率は1%未満のため、前述の栽培面積に数値としてあらわれてこないものと思われます。)

日本は、大豆の約95%を輸入しており、その約70%(2004年実績317万トン)を米国に依存していますので、流通している大豆の60%程度は遺伝子組み換えのものと思われます。
すべての大豆の用途内訳は、製油用約75%、食品用約23%、その他約2%となっています。

また、穀物用トウモロコシは、約1,670万トン(2005年度実績)すべてが輸入品で、米国に約94%を依存していますので、約50%が遺伝子組み換えのものと思われます。
すべての穀物用トウモロコシの用途内訳は、飼料用66%、コーンスターチ用21%、その他13%となっています。

【遺伝子組み換え表示の問題】
これまで書いてきたように多くの遺伝子組み換え作物が輸入されているにもかかわらず、私たちの身の回りにはそれほど多く出回っているように感じられません。そこには、表示における問題があります。

現在、表示義務対象の指定加工食品は以下のとおりです。
(社)農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)「遺伝子組換え農作物を知るために ステップアップ編」より)

  1.豆腐・油揚げ類
  2.凍り豆腐、おから&ゆば
  3.納豆
  4.豆乳類
  5.みそ
  6.大豆煮豆
  7.大豆缶詰・瓶詰
  8.きな粉
  9.大豆いり粉
 10.上記1~9を主な原材料とするもの
 11.大豆(調理用)を主な原材料とするもの
 12.大豆粉を主な原材料とするもの
 13.大豆たん白を主な原材料とするもの
 14.枝豆を主な原材料とするもの
 15.大豆やもやしを主な原材料とするもの
 16.コーンスナック菓子
 17.コーンスターチ
 18.ポップコーン
 19.冷凍とうもろこし
 20.トウモロコシ缶詰・瓶詰
 21.コーンフラワーを主な原材料とするもの
 22.コーングリッツを主な原材料とするもの
 23.とうもろこし(調理用)を主な原材料とするもの
 24.上記16~20を主な原材料とするもの
 25.冷凍ばれいしょ
 26.乾燥ばれいしょ
 27.ばれいしょでん粉
 28.ポテトスナック菓子
 29.上記25~28を主な原材料とするもの
 30.ばれいしょ(調理用)を主な原材料とするもの
 31. アルファルファを主な原料とするもの

この中には、食品用の醤油や糖類、水飴などは入っていませんし、製油用大豆、飼料用の大豆やトウモロコシも入っていないのです。



さらに、表示方法にも問題があります。
表示義務のあるのは次の3種類で、各々矢印の右に書いてあるような表示をします。

・分別生産流通管理された遺伝子組換え農産物が原料の場合 ⇒ 「遺伝子組換え」
・組換え、非組換えを分別していない農産物が原料の場合  ⇒ 「遺伝子組換え不分別」
・従来のものと組成、栄養価などが著しく異なるもの ⇒ 例「高オレイン酸遺伝子組換え」

その他、分別生産流通管理された非遺伝子組換え農作物が原料の場合は、表示不要または「遺伝子組換えでない」と表示できます。また、大豆油や醤油などは、「加工後に組み換えられたDNA及びこれによって生じたタンパク質が残存しない加工食品」であるとして、表示は不要(任意表示)となっているのです。(前述の表示義務対象の指定加工食品に入っていない理由です。)

さらに問題なのは、遺伝子組換えでない農産物に流通の過程で5%以下の遺伝子組換えのものが混入しても、「意図せざる混入」として「遺伝子組み換えでない農産物」として扱われているということです。

これでもわかるように、スーパーで納豆を購入する場合に、「遺伝子組み換え大豆不使用」と書かれていても、その商品が必ずしも遺伝子組み換え大豆を使っていないとは言えないのです。また、何も書かれていない納豆と「遺伝子組み換え大豆不使用の納豆」では、「遺伝子組み換え大豆不使用の納豆」が安全だとも言えないのです。

次回はいよいよ、遺伝子組み換え食品の安全性と私たちが注意すべきことについて書いていきます。

環境問題や自分の健康を考え正しく対応するためには、まず現状を正しく知ることが大切です。その意味でこのブログが少しでも役に立てれば幸いです。


関連記事
  1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
  2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
  3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
  4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)



【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】


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