前回まで、日本は、遺伝子組み換え作物・食品の最大輸入国で、これらが私たちの身近にあふれていることを紹介してきました。
遺伝子組み換え作物・食品は、安全上の問題が多く指摘され、世界各地でそれに関わる事件も発生しています。今回から健康や環境に与える影響について紹介していきますが、ボリュームが大きいので、今回は特に安全上の評価基準について紹介します。
遺伝子組み換え作物・食品の安全上の評価基準はどのようになっているのでしょうか?
実は、この評価基準こそが、遺伝子組み換え作物・食品の大きな問題の一つとなっているのです。
現在、遺伝子組み換え作物・食品の安全性を評価する指標として「実質的同等性」という概念が用いられています。
これは、遺伝子組み換え作物・食品が、これまで食べてきた同様の作物・食品と比べた場合に、形や生態の特徴、構成成分、使用方法などがほぼ同程度とみなせれば、その安全性は従来のものと同程度とみなせるという考え方です。
最初に「実質的同等性」の概念を持ち込んだのは、米国のFDA(米国食品医薬品局)ですが、その発端は国内のバイオテクノロジー企業の圧力によるものだと言われています。
この基準を、OECD(経済協力開発機構)、WHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、CODEX委員会(FAO/WHOの下部組織)で合意して、現在世界中で採用されているのです。
日本では、「遺伝子組換え食品(種子植物)の安全性評価基準」(平成16年1月29日食品安全委員会決定)で、同様の考え方を示し、安全性の知見が得られていない場合にのみ、必要と考えられる毒性試験に基づいて食品の安全性を確認することとしています。
驚くべきことに、安全性の審査は基本的に、申請する業者が作成した資料のみに基づいて行なわれているのです。
このような評価基準では、長期にわたって摂取した場合の安全性やアレルギーの可能性については不透明です。
話は横道にそれますが、藤原正彦氏(お茶の水女子大学理学部教授)は著書「国家の品格」のなかで、現在、世界が荒廃している真の原因は、西欧的な論理と近代的な合理精神の破綻にあると書いています。
そして、論理がきちんと通っていれば、それが本質をついているか否かを判別できないにもかかわらず、後で振り返ると非道に思えるようなことでも、なぜか受け入れてしまうと言います。さらに、論理には必ず出発点が必要であるが、出発点そのものは仮設に基づくもので、その仮設を選ぶのは人間の情緒だと言います。
確かに、米国のイラク侵攻やイラン・北朝鮮の核兵器開発などはその好例でしょう。
(著者は、論理の出発点を正しく選ぶために、論理に日本人が古来から育んできた情緒や形を付加しなければならないと主張しています。そして、「国家の品格」を取り戻すために、現代を荒廃に追い込んだ自由や平等よりも情緒や形といったものが上位に位置することを、日本人それぞれが身をもって世界に示さなければならないと言っています。)
遺伝子組み換え作物・食品について、「西欧的な論理と近代的な合理精神」で考えてみると、推進派にとってみれば、「組み換え作物・食品は安全だ」という仮設があって、この仮設に基づいて安全性を論理的に説明しようとしているということでしょう。
遺伝子組み換え作物・食品の安全性評価がこの「実質的同等性」という概念に基づいているために、さまざまな問題を引き起こしています。
次回は、「遺伝子組み換え作物・食品による事件」など、安全性に関わる問題について事例を交えて紹介します。
関連記事
1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
3.遺伝子組み換え食品は安全か?(2007.03.11)
4.遺伝子組み換え食品の安全性と対策(2007.03.17)
【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】
【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
ここから関連のある記事にアクセスしやすくなりました。
カテゴリー:[環境問題全般]・[地球温暖化]・[水質汚染・水不足]・[大気汚染]・[食料・エネルギー・資源]・[暮らし全般]・[食生活全般]・[食品添加物・化学物質]・[遺伝子組み換え作物・食品]・[電磁波]・[病気・アレルギー・薬]・[心の健康](今後、追加や変更の可能性があります。)
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・ホームページ「環境と体にやさしい生き方」
おすすめの環境・健康商品や本などの紹介も行っています。
・姉妹ブログ「環境とからだにやさしい生活」
遺伝子組み換え作物・食品は、安全上の問題が多く指摘され、世界各地でそれに関わる事件も発生しています。今回から健康や環境に与える影響について紹介していきますが、ボリュームが大きいので、今回は特に安全上の評価基準について紹介します。
遺伝子組み換え作物・食品の安全上の評価基準はどのようになっているのでしょうか?
実は、この評価基準こそが、遺伝子組み換え作物・食品の大きな問題の一つとなっているのです。
現在、遺伝子組み換え作物・食品の安全性を評価する指標として「実質的同等性」という概念が用いられています。
これは、遺伝子組み換え作物・食品が、これまで食べてきた同様の作物・食品と比べた場合に、形や生態の特徴、構成成分、使用方法などがほぼ同程度とみなせれば、その安全性は従来のものと同程度とみなせるという考え方です。
最初に「実質的同等性」の概念を持ち込んだのは、米国のFDA(米国食品医薬品局)ですが、その発端は国内のバイオテクノロジー企業の圧力によるものだと言われています。
この基準を、OECD(経済協力開発機構)、WHO(世界保健機関)、FAO(国連食糧農業機関)、CODEX委員会(FAO/WHOの下部組織)で合意して、現在世界中で採用されているのです。
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確かに、米国のイラク侵攻やイラン・北朝鮮の核兵器開発などはその好例でしょう。
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遺伝子組み換え作物・食品について、「西欧的な論理と近代的な合理精神」で考えてみると、推進派にとってみれば、「組み換え作物・食品は安全だ」という仮設があって、この仮設に基づいて安全性を論理的に説明しようとしているということでしょう。
遺伝子組み換え作物・食品の安全性評価がこの「実質的同等性」という概念に基づいているために、さまざまな問題を引き起こしています。
次回は、「遺伝子組み換え作物・食品による事件」など、安全性に関わる問題について事例を交えて紹介します。

1.遺伝子組み換え食品最大輸入国日本(2007.02.26)
2.身近にある遺伝子組み換え食品(2007.03.05)
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【主な参考文献等】
・「遺伝子組換え農作物を知るためにステップアップ編」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「バイテク小事典」社団法人農林水産先端技術産業振興センター(STAFF)
・「レスター・ブラウンの環境革命」レスター・R・ブラウン編著、松野弘監修 朔北社
・「日経エコロジー2004年7月号」日経BP社
・「地球とからだに優しい生き方・暮らし方」 天笠啓祐 つげ書房新社
・「安田節子公式ウェブサイト」http://www.yasudasetsuko.com/ 【遺伝子組み換え作物について】
【gooブログ投稿記事一覧】
gooブログ投稿記事一覧(http://www1.bbiq.jp/ecoecoweb/gooblog.html)のサイトを作成しました。
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